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~刑法を解説~ 第8章 騒乱の罪
~刑法を解説~7回目の本日は、第8章騒乱の罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
騒乱の罪
第8章には騒乱の罪について規定されています。
規定されている内容は
第106条 騒乱罪
第107条 多衆不解散罪
第106条の騒乱罪とは、多衆で集合して暴行や脅迫をすることで成立する犯罪で、首謀者だけでなく、集合に参加した者も処罰の対象となり、そこで行われた単純な暴行や脅迫行為は騒乱罪に吸収されますが、暴行や脅迫以外の犯罪行為については、観念的競合の関係となります。
騒乱罪は、暴行や脅迫罪のように被害者を保護するための法律ではなく、社会的法益に対する罪という位置づけにあり、公共の平穏を保護法益とした犯罪です。
この法律でいう「多衆」とは、単に人数が多いということだけで判断されるわけではなく、構成員の質や、凶器の有無や、凶器の種類、集合した目的や時間、場所等の事情が考慮されます。
107条の多衆不解散罪は、集合した多衆が、権限のある公務員から解散の命令を3回以上受けtにもかかわらず解散しなかった場合に成立する犯罪です。
騒乱の罪の罰則
①騒乱の首謀者には「1年以上10年以下の懲役又は禁錮」の法定刑が設けられています。
②騒乱の指揮者や、他人に率先して勢いを助けた者には「6月以上7年以下の懲役又は禁錮」の法定刑が設けられています。
③騒乱に付和随行した者には「10万円以下の罰金」の法定刑が設けられています。
④集合した多衆を解散させなかった首謀者には「3年以下の懲役又は禁錮」の法定刑が設けられています。
⑤集合した多衆を解散しなかった者には「10万円以下の罰金」の法定刑が設けられています。
「~刑法を解説~第9章放火及び失火の罪」に続く
~刑法を解説~ 第7章 犯人蔵匿及び証拠隠滅の罪
~刑法を解説~6回目の本日は、第7章犯人蔵匿及び証拠隠滅の罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
犯人蔵匿及び証拠隠滅の罪
第7章には犯人蔵匿及び証拠隠滅の罪について規定されています。
規定されている内容は
第103条 犯人蔵匿・犯人隠避罪
第104条 証拠隠滅等罪
まず第103条の犯人蔵匿と犯人隠避についてですが、この法律は、罰金以上の刑に当たる犯罪を犯した犯人や、拘禁中に逃走した逃走犯を蔵匿したり、隠避した場合に成立する犯罪です。
ここでいう「蔵匿」とは、隠れ場所を提供することを意味し、「隠避」とは、蔵匿以外の方法で、警察等の捜査当局の、犯人や逃走犯の逮捕、発見を妨げる一切の行為を意味します。
例えば、逃走用の車を用意したり、逃走資金を提供するのは当然のこと、携帯電話を貸したりするだけでも犯人隠避罪に問われる可能性があるので注意が必要です。
続いて第104条の証拠隠滅等罪とは、他人の刑事事件に関する証拠を隠滅したり、偽造、変造することや、偽造や変造された証拠を使用することで成立する犯罪です。
例えば、過去には、ひき逃げ事件を起こした車両を修理する行為が証拠隠滅罪に問われた例があります。
親族は除外される
第105条 親族による犯罪に関する特例
上記した犯人蔵匿罪や犯人隠避罪、証拠隠滅等罪に当たる行為を、犯人又は逃走した人の親族が行った場合は刑が免除されます。
犯人蔵匿及び証拠隠滅の罪の罰則
①犯人蔵匿罪・犯人隠避罪の法定刑は「3年以下の懲役又は30万円以下の罰金」です。
②証拠隠滅等罪の法定刑は「3年以下の懲役又は30万円以下の罰金」です。
「~刑法を解説~第8章騒乱の罪」に続く
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第2章 内乱に関する罪
第3章 外患に関する罪
第4章 国交に関する罪
第5章 公務の執行を妨害する罪
第6章 逃走の罪
~刑法を解説~ 第6章 逃走の罪
~刑法を解説~5回目の本日は、第6章逃走の罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
逃走の罪
第5章には逃走の罪について規定されています。
規定されている内容は
第97条 逃走罪
第98条 加重逃走罪
第99条 被拘禁者奪取罪
第100条 逃走援助罪
第101条 看守等による逃走援助罪
です。
まず第97条の逃走罪についてですが、この犯罪は裁判の執行により拘禁された既決又は未決の者が逃走した場合に成立する犯罪です。
そして逃走の際に物を壊したり、看守に暴行や脅迫を加えたり、仲間と通謀して逃走した場合は第98条の加重逃走罪となります。
皆さんの記憶に新しいかと思います、約4年前に大阪府富田林警察署の留置場にある接見室から逃走し、約1か月半にわたって逃亡生活をしていた男が、この加重逃走罪で有罪判決を受けています。
この事件では、接見室のアクリル板を壊して逃走していたので加重逃走罪が適用されいました。
第97条と98条が 被拘禁者が逃走すること を処罰するための法律であるのに対して、第99条から101条まででは 被拘禁者を逃走させること を処罰するための規定がされています。
拘禁者を奪取する行為をすれば、被拘禁者奪取罪になり、被拘禁者を逃走させる目的で道具を提供する等の援助をした場合は逃走援助罪となります。
また101条は特殊で、被拘禁者を逃走させるという点では前2条と同じですが、その主体が被拘禁者の看守や護送に携わる者に限定されています。
逃走の罪の罰則
①逃走罪の法定刑は「1年以下の懲役」です。
②加重逃走罪の法定刑は「3月以上5年以下の懲役」です。
③被拘禁者奪取罪の法定刑は「3月以上5年以下の懲役」です。
④逃走援助罪の法定刑は「3年以下の懲役」ですが、被拘禁者を逃走させる目的で看守等に暴行や脅迫をした場合の法定刑は「3月以上5年以下の懲役」です。
⑤看守等による逃走援助罪の法定刑は「1年以上10年以下の懲役」です。
「~刑法を解説~第7章犯人蔵匿及び証拠隠滅の罪」に続く
~刑法を解説~ 第5章 公務の執行を妨害する罪
~刑法を解説~4回目の本日は、第5章公務の執行を妨害する罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
公務の執行を妨害する罪
第5章には公務の執行を妨害する罪について規定されています。
規定されている内容は
第95条 公務執行妨害罪及び職務強要罪
第96条 封印等破棄罪
第96条の2 強制執行妨害目的財産損壊等罪
第96条の3 強制執行行為妨害等罪
第96条の4 強制執行関係売却妨害罪
第96条の5 加重封印等破棄等罪
第96条の6 公契約関係競売等妨害罪
です。
第95条では一般的な公務員の職務執行の妨害について、第96条では特殊な公務員の職務執行に対する妨害について規定しています。
皆さんの馴染み深いのは第95条に規定されている公務執行妨害罪ではないでしょうか。
公務執行妨害罪は、公務員を保護するための法律ではなく、公務員の職務執行を保護するための法律で、ここでいう公務員とは、刑法第7条第1項に定められている「公務員」つまり「国又は地方公共団体の職員その他法令により公務に従事する議員、委員、その他の職員」を意味します。
また駐車監視員などのみなし公務員も公務執行妨害罪の客体となりますので、取締り中の駐車監視員に対して暴行すれば公務執行妨害罪となります。
公務執行妨害罪は、公務中の公務員に対して暴行や脅迫を加えることによって成立する犯罪で、職務執行が現実に妨害されたことまでは必要とされません。
公務の執行を妨害する罪の罰則
①公務執行妨害罪や職務強要罪の法定刑は「3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金」です。
②封印等破棄罪の法定刑は「3年以下の懲役若しくは250万円以下の罰金又は併科」です。
※併科とは、懲役刑と罰金刑の両方が科されることを意味します。
③強制執行妨害目的財産損壊等罪の法定刑は「3年以下の懲役若しくは250万円以下の罰金又は併科」です。
④強制執行行為妨害等罪の法定刑は「3年以下の懲役若しくは250万円以下の罰金又は併科」です。
⑤強制執行関係売却妨害罪の法定刑は「3年以下の懲役若しくは250万円以下の罰金又は併科」です。
⑥加重封印等破棄等罪の法定刑は「5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金又は併科」です。
⑦公契約関係競売等妨害罪の法定刑は「3年以下の懲役若しくは250万円以下の罰金又は併科」です。
「~刑法を解説~第6章逃走の罪」に続く
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第2章 内乱に関する罪
第3章 外患に関する罪
第4章 国交に関する罪
~刑法を解説~ 第4章 国交に関する罪
~刑法を解説~3回目の本日は、第4章国交に関する罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
国交に関する罪
刑法第4章には国交に関する罪について規定されています。
規定されている内容は
第92条 外国国章損壊等罪
第93条 私選予備及び陰謀罪
第94条 中立命令違反罪
です。
国交に関する罪では、国際紛争の火種となり、場合によっては外交問題にまで発展する可能性のある行為を規制しています。
まず第93条に規定されているのが、外国に対して侮辱を加える目的で、その外国の国旗や国章を損壊等にした時に成立する「外国国章損壊等罪」です。
この法律は、外国に対して侮辱を加える目的がなければ成立せず、こういった目的なく外国国章を損壊しても単に器物損壊罪が成立するにとどまります。
続いて第94条に規定されているのが、「私戦予備及び陰謀罪」です。
この法律は、外国に対する私的な戦闘行為の予備や陰謀を禁止する法律で、実は過去に適用された例があります。
中東地域の過激な武力派組織に戦闘員として参加しようと準備をしていた男性が、私戦予備罪で書類送検されたのです。
今ですと、ロシアとウクライナの戦闘に義勇兵として参加しようとすれば、私選予備罪に問われる可能性があります。
最後に第95条に規定されているのが「中立命令違反罪」です。
この法律は、交戦している外国の局外中立に関する命令に違反した場合に成立するのが「中立命令違反罪」です。
国交に関する罪の罰則
①外国に対して侮辱を与える目的で外国の国章を損壊等した者には「2年以下の懲役又は20万円以下の罰金」の罰則が設けられています。
ただし、その外国政府の要請がない場合は刑事罰を科せられません。
②私戦の予備や陰謀をした者には「3月以上5年以下の禁固」の罰則が設けられています。
ただし、自首した場合は刑事罰を科せられません。
③中立命令に違反した者には「3年以下の禁固又は50万円以下の罰金」の罰則が設けられています。
「~刑法を解説~第5章公務の執行を妨害する罪」に続く
~刑法を解説~ 第3章 外患に関する罪
~刑法を解説~2回目の本日は、第3章外患に関する罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
外患に関する罪
刑法第3章には外患に関する罪について規定されています。
規定されている内容は
第81条 外患誘致罪
第82条 外患援助罪
第87条 外患誘致罪と外患援助罪の未遂罪
第80条 外患誘致と外患援助の予備及び陰謀罪
です。
外患に関する罪には、日本国が外国から武力行使を受けた際に適用される可能性のある法律で、第81条に規定されている外患誘致罪については、法定刑に「死刑」しか規定されていない非常に厳しい犯罪ですが、これまで外患誘致罪の適用はありません。
外患誘致罪では、外国と通謀して日本国に対して武力行使させることを禁止していますが、第82条の外患援助罪は、日本国に対して武力行使してきた外国に協力することを禁止しています。
外患援助罪の法定刑は死刑だけでなく、無期懲役や2年以上の懲役が規定されています。
また先日解説した内乱に関する罪と同様に、外患に関する罪にも予備罪や陰謀罪の規定(第80条)がありますので、実際に日本国が外国からの武力行使を受けなかったとしても、日本国に対する武力行使の準備をしたり、武力行使してきた外国に対して協力する準備をしただけでも処罰の対象となります。
外患誘致罪の例
日本国の革命を夢見るAは、日本国を侵略しようと企んでいる外国の権力者に接触し、この外国の軍隊に対して、日本国の防衛情報を提供しました。(フィクションです。)
このような場合は、外患誘致罪が適用される可能性が高いでしょう。
ただ外患誘致罪には、死刑しか規定されていないという特殊性から、外患誘致罪の適用には対しては非常に慎重になることが予想されます。
外患援助罪の例
日本国の革命を夢見るAは、日本国に対して武力行使してきた外国の軍隊に接触し、外国の軍隊に対して食料を提供する等の援助を行いました。(フィクションです。)
このような場合は、外患援助罪が適用される可能性が高いでしょう。
外患に関する罪の罰則
①外国と通謀して日本国に対して武力行使させた者(外患誘致)には「死刑」しか規定されていません。つまり起訴されて有罪が確定することによって死刑が確定してしまいます。
②日本国に対して武力行使してきた国を援助した者(外患援助)には「死刑又は無期若しくは2年以上の懲役」の罰則が設けられています。
③外患誘致や外患援助の予備や陰謀をした者には「1年以上10年以下の懲役」の罰則が設けられています。
「~刑法を解説~第4章国交に関する罪」に続く
~刑法を解説~ 第2章 内乱に関する罪
本日より始まる~刑法を解説~では、刑法に定めらている法律を、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
第1回目の本日は、第2章内乱に関する罪について解説します。
内乱に関する罪
刑法第2章には内乱に関する罪について規定されています。
規定されている内容は
第77条 内乱罪
第78条 内乱予備及び陰謀罪
第79条 内乱等幇助罪
第80条 自首による刑の免除
です。
内乱罪とは、いわゆる革命活動、いわゆるクーデターを取り締まるための法律です。
国家の秩序を転覆させる目的で暴動を起こす重大な罪ですので、その罰則も非常に厳しく、首謀者には「死刑又は無期禁錮」の法定刑が定められています。
また内乱を準備したり、計画したりしただけでも処罰の対象(第78条)となりますし、武器を調達するなどして内乱をサポートしただけでも処罰の対象(第79条)となります。
逆に内乱が起こる前に自首した場合は刑を免除する旨も規定されています。
これまで内乱罪が適用された事件はありませんが、戦後ですとオウム真理教事件では内乱罪の適用を弁護士が求めたことがありました。
これは、殺人罪に問われた被告の弁護人が、首謀者以外は死刑が適用されない内乱罪の適用を求めたものでしたが、この主張は裁判所の判決で否定されています。
内乱罪の罰則
①暴動やクーデターなどの内乱行為の首謀者には「死刑または無期禁錮」と非常に厳しい罰則が設けられています。
②暴動やクーデターなど内乱行為を謀議したり、内乱において群衆を指揮した者には「無期禁錮または3年以上の禁錮」の罰則が設けられています。
③暴動やクーデターなどの内乱を計画している集団に対して、職務的に従事した者には「1年以上10年以下の禁錮」の罰則が設けられています。
④暴動やクーデターなどの内乱に参加した者には「3年以下の禁錮」の罰則が設けられています。
⑤暴動やクーデターなどの内乱の準備や謀議をした者には「1年以上10年以下の禁固」の罰則が設けられています。
⑥暴動やクーデターなどの内乱や、内乱の準備や謀議に際して、武器を準備したりする等の手助けをした者には「7年以下の禁固」の罰則が設けられています。
「~刑法を解説~第3章外患に関する罪」に続く
家出少女を自宅に連れ込んで逮捕 未成年者略取罪について~②~
昨日に引き続いて、家出少女を自宅に連れ込んで逮捕された事件を参考に 未成年者略取罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
初日の本日は「未成年者略取罪」の成立要件について詳しく解説します。
参考事件
大阪市住吉区に住む会社員のAさんは、家出をして寝床を探している14歳の処女とSNSで知り合いました。
この少女とSNSを通じてやり取りしている内に仲良くなったAさんは、家出少女を自宅に泊めて上げることにして、三日前に家出少女を自宅に連れ込みました。
その間に、家出少女の両親が警察に捜索願を提出していたらしく、大阪府住吉警察署が少女の行方を捜していたようです。
今朝、Aさんの自宅を、大阪府住吉警察署の捜査員が訪ねて来て、事情聴取を受けた後、Aさんは未成年者略取罪で逮捕されたのです。
(フィクションです。)
未成年者誘拐罪の成立要件
未成年者略取罪の客体となるのは
「未成年者」とは、18歳未満の者をいいます(民法4条)。
成年年齢は、これまで「20歳」でしたが民法改正により「18歳」に引き下げられたため本罪の「未成年者]も18歳未満の者を意味するようになりました。
未成年者略取罪が成立するには「故意」が必要
未成年者略取罪の「故意」とは、客体が未成年者であること及び自己の行為が略取に当たることの認識をいいます。
未成年者であることを知らなかった場合は、構成要件的故意を欠くことになるので本罪は成立しません。
しかし、未成年者であることを知り得たような場合は、未必の故意が認められ本罪は成立することになるため、知らなかったとして言い逃れすることは難しいでしょう。
ちなみに親権者等の保護監督権を侵害することまでの認識は必要とされていません。
未成年者略取罪に強い弁護士
大阪市住吉区の刑事事件でお困りの方、未成年者略取罪で警察の取調べを受けている方は、大阪の刑事事件に強いと評判の、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部では、刑事事件に関するご相談を初回無料で承っております。
無料法律相談のご予約は
フリーダイヤル0120-631-881(24時間受付中)
までお気軽にお電話ください。
またご家族、ご友人が警察に逮捕されてしまった方は、初回接見サービス をご利用ください
家出少女を自宅に連れ込んで逮捕 未成年者略取罪について~①~
本日から二日間にわたって、家出少女を自宅に連れ込んで逮捕された事件を参考に 未成年者略取罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
初日の本日は「略取罪」と「誘拐罪」の違いについて詳しく解説します。
参考事件
大阪市住吉区に住む会社員のAさんは、家出をして寝床を探している14歳の処女とSNSで知り合いました。
この少女とSNSを通じてやり取りしている内に仲良くなったAさんは、家出少女を自宅に泊めて上げることにして、三日前に家出少女を自宅に連れ込みました。
その間に、家出少女の両親が警察に捜索願を提出していたらしく、大阪府住吉警察署が少女の行方を捜していたようです。
今朝、Aさんの自宅を、大阪府住吉警察署の捜査員が訪ねて来て、事情聴取を受けた後、Aさんは未成年者略取罪で逮捕されたのです。
(フィクションです。)
未成年者略取罪とは
未成年者略取罪は、刑法224条に、未成年者誘拐罪と共に定められている犯罪です。
刑法224条には「未成年者を略取し、又は誘拐した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。」と明記されています。
「略取罪」と「誘拐罪」の意義
略取や誘拐は、被拐取者をその本来の生活環境から離脱させて自己又は第三者の実力支配内に移すことを内容にとする犯罪で、自由に対する罪の一種です。
保護法益は?
未成年者略取罪の保護法益は、被拐取者(略取・誘拐された未成年)の自由権と監護者の監護権とされています。
そのため、たとえ被拐取者の同意があったとしても、監護者の同意がなければ監護権を侵害したとして同罪が成立することになります。
「略取罪」と「誘拐罪」の違い
まず「略取」とは、他人の意思に反して現在の生活環境から離脱させて、自己又は第三者の支配下に移すことです。
「誘拐」は、他人を自己又は第三者の支配下に移す手段が、欺罔又は誘惑であるという点が異なるだけで、他はすべて「略取」と同じです。
~明日のコラムに続く~
傷害致死容疑で逮捕 正当防衛の主張が認められる?~②~
傷害致死容疑で逮捕された事件を参考に、正当防衛の主張が認められるかについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。~②~
正当防衛
刑法第36条1項
「急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない」
今回のケースでAさんがVさんを突き飛ばした原因は、Vさんが先にAさんに殴りかかってきたところを回避するためでした。
このような反撃行為の場合は正当防衛が認められる可能性があります。
しかし、正当防衛にも様々な要件があり、ケンカの際に相手が先に手を出したとしても具体的な状況次第では認められない可能性があります。
正当防衛が認められるための要件
・急迫不正の侵害があること
相手の行為が違法性を有する権利侵害行為である必要があり、急迫性がなくてはなりません。
なお、権利侵害が相手方の違法行為でない場合、例えば天災から逃れるために他人の敷地に入ったりしたような場合には正当防衛ではなく、緊急避難となります。
緊急避難についても違法性は阻却されます。
急迫性とは権利侵害行為が切迫していることで、過去や未来の権利侵害に対しては、正当防衛は成立しません。
・自己又は他人の権利を防衛するための行為であること
ここにいう権利とは法的に保護すべきとされる権利又は利益であり、一般的には、生命、身体、財産とされています。
そしてこれらの権利に対する不当な侵害に対して防衛の意思があるかどうかも正当防衛を判断するうえでの重要な基準となります。
・やむを得ずにした行為であること
やむを得ずした行為であるというためには、必要性と相当性が必要となります。
必要性とは防衛のためにその行為である必要があったかということです。
また、逃げる余地があるにもかかわらず積極的に攻撃したような場合には前述の防衛の意思が否定されてしまう可能性があります。
相当性については、侵害の危険を回避するためにとった防衛行為が、防衛のために必要最小限度であったといえるかどうかです。
素手の攻撃に対して凶器で反撃するなど、侵害行為を上回る反撃を行うと、正当防衛ではなく、過剰防衛となる可能性があります。
正当防衛の主張に強い弁護士
ケンカに巻き込まれて相手にケガをさせたが、正当防衛を主張したいという時などは刑事事件の専門家である弁護士の無料法律相談、若しくは 初回接見サービス を依頼するようにしましょう。
弁護士が事情を把握することが出来れば今後の展開や正当防衛が認められる可能性などを知ることが出来ます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部では刑事事件を専門に扱っている弁護士が多数在籍しておりますので的確な対応することが可能です。
無料法律相談、初回接見サービスのご予約は
フリーダイヤル0120-631-881
で承っております。