~刑法を解説~ 第6章 逃走の罪

~刑法を解説~5回目の本日は、第6章逃走の罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。

逃走の罪

第5章には逃走の罪について規定されています。
規定されている内容は

第97条 逃走罪
第98条 加重逃走罪
第99条 被拘禁者奪取罪
第100条 逃走援助罪
第101条 看守等による逃走援助罪

です。

まず第97条の逃走罪についてですが、この犯罪は裁判の執行により拘禁された既決又は未決の者が逃走した場合に成立する犯罪です。
そして逃走の際に物を壊したり、看守に暴行や脅迫を加えたり、仲間と通謀して逃走した場合は第98条の加重逃走罪となります。
皆さんの記憶に新しいかと思います、約4年前に大阪府富田林警察署の留置場にある接見室から逃走し、約1か月半にわたって逃亡生活をしていた男が、この加重逃走罪で有罪判決を受けています。
この事件では、接見室のアクリル板を壊して逃走していたので加重逃走罪が適用されいました。
第97条と98条が 被拘禁者が逃走すること を処罰するための法律であるのに対して、第99条から101条まででは 被拘禁者を逃走させること を処罰するための規定がされています。
拘禁者を奪取する行為をすれば、被拘禁者奪取罪になり、被拘禁者を逃走させる目的で道具を提供する等の援助をした場合は逃走援助罪となります。
また101条は特殊で、被拘禁者を逃走させるという点では前2条と同じですが、その主体が被拘禁者の看守や護送に携わる者に限定されています。

逃走の罪の罰則

逃走罪の法定刑「1年以下の懲役」です。

加重逃走罪の法定刑「3月以上5年以下の懲役」です。

被拘禁者奪取罪の法定刑は「3月以上5年以下の懲役」です。

逃走援助罪の法定刑は「3年以下の懲役」ですが、被拘禁者を逃走させる目的で看守等に暴行や脅迫をした場合の法定刑は「3月以上5年以下の懲役」です。

看守等による逃走援助罪の法定刑は「1年以上10年以下の懲役」です。

「~刑法を解説~第7章犯人蔵匿及び証拠隠滅の罪」に続く

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