~刑法を解説~ 第18章 有価証券偽造の罪

~刑法を解説~19回目の本日は、第18章有価証券偽造の罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。

有価証券の罪

第18章には有価証券偽造の罪について規定されています。
規定されている内容は以下のとおりです。

第162条 有価証券偽造(変造)罪等
第163条 偽造(変造)有価証券行使罪等

この章では、有価証券の偽造等について定められています。
有価証券は、権利・義務に関する文書ですが、経済上、手形や小切手のように通貨に代わるものとして使用されていることから、単なる証明書にとどまらず通貨に近い機能を有していることから、違反した場合は文書偽造の罪よりも厳しい法定刑が規定されています。
第162条の有価証券偽造等罪では、有価証券を偽造(第1項)することと、有価証券に虚偽の記載をすること(第2項)を規制しています。
この法律でいうところの「有価証券」とは、約束手形や為替手形、小切手や鉄道等の乗車券、商品券や宝くじ等です。
ちなみに有価証券は、日本の経済を左右する非常に大きな機能がありますので、その重要性から国外犯の適用を受けており、日本国外で外国人が有価証券を偽造(変造)等した場合でも処罰の対象となります。
また行使の目的がなければ有価証券偽造罪等は成立しません。
有価証券等その物を偽造すれば有価証券偽造(変造)罪(1項)となり、正規の有価証券に虚偽の記載をした場合は有価証券虚偽記入罪(2項)となります。

そして第163条の偽造有価証券行使罪等では、偽造(変造)された有価証券や、虚偽の記入がなされた有価証券を行使することが禁止されています。
この法律では偽造(変造)された有価証券や、虚偽の記載がなされた有価証券を、行使目的で交付したり、輸入することも規制しているのが特徴です。

有価証券偽造の罪の罰則

①有価証券偽造(変造)罪等の法定刑は「3月以上10年以下の懲役」です。
②偽造(変造)有価証券行使罪等の法定刑は「3月以上10年以下の懲役」です。

「~刑法を解説~第18章の2支払用カード電磁的記録に関する罪」に続く

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