~刑法を解説~ 第13章 秘密を侵す罪

~刑法を解説~13回目の本日は、第13章秘密を侵す罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。

秘密を侵す罪

第13章には秘密を侵す罪について規定されています。
規定されている内容は

第133条 信書開封罪
第134条 秘密漏示罪
第135条 信書開封罪と秘密漏示罪の申告罪について

この章では個人の秘密(法人を含む)を保護するための法律が規定されており、国や地方公共団体の秘密に関しては、特別法によって保護されています。

それではまず第133条の信書開封罪について解説します。
信書開封罪とは、正当な理由なく、封のしてある信書を開封することで成立する犯罪です。
対象となるのは「封のしてある信書」で、ここでいうところの信書とは、必ずしも郵便物である必要はなく、個人から個人に宛てた意思を伝達する文書であれば対象となり、身近な物ですと糊付けしてある封筒や、圧着式葉書がこれに該当します。
信書開封罪で注意しなければいけないのは開封する行為がこの罪に当たるのであって、中身を読むことを規制しているものではありません。
ですから、糊付けしている封筒を開けた時点で信書開封罪は既遂に達し、中身を読むかどうかは犯罪の成否に影響しません。

続いて第134条の秘密漏示罪は、他人の秘密を知っている者が、正当な理由なくその秘密を洩らす事を禁止している法律で、いわゆる守秘義務違反の罪といえます。
ここで対象とされているのは、他人の秘密を知り得る可能性の高い立場にある者で、条文内で列挙されているのは、医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師、弁護士、公証人の身分にある者(第1項)や、宗教、祈とう若しくは祭祀の職にある者(第2項)とこれら職にあった者です。
秘密漏示罪でいうところの「秘密を漏らす」とは、その事実を知らない人に告知することで、告げる相手は複数である必要はありませんし、一人に対して「ここだけの話し、絶対に人に言わないで!」と口止めして告げたとしても秘密漏示罪は成立します。
ただ既に、告知する秘密を知っている人に告知した場合は、秘密漏示罪は成立しないとされています。

信書開封罪と秘密漏示罪は親告罪です。(第135条)
つまり被害者等の告訴がなければ公訴が提起されることはありませんが、告訴がないからといって警察等による捜査が行われないわけではなく、刑事告訴がない段階でも逮捕や勾留といった刑事手続きが進む場合があるので注意が必要です。

秘密を侵す罪の罰則

信書開封罪の法定刑は「1年以下の懲役又は20万円以下の罰金」です。
秘密漏示罪の法定刑は「6月以下の懲役又は10万円以下の罰金」です。

「~刑法を解説~第14章あへん煙に関する罪」に続く

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