~刑法を解説~ 第17章 文書偽造の罪~②~

~刑法を解説~18回目の本日は、第17章文書偽造の罪~②~について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。

文書偽造の罪

第17章には文書偽造の罪について規定されています。
規定されている内容は以下のとおりです。

~第154条~第158条は前回を参照~

第159条 私文書偽造等の罪
第160条 虚偽診断書等作成罪
第161条 偽造私文書等行使罪
第161条の2 電磁的記録不正作出及び供用罪

前回に引き続き文書偽造の罪について解説します。
本日最初に解説するのは私文書偽造の罪です。
第159条では、有印私文書偽造罪(第1項)有印私文書変造罪(第2項)無印私文書偽造(変造)罪(第3項)が規定されています。
これらの犯罪でいうところの私文書とは「権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画」のことで、借用書や、委任状、各種契約書は当然のこと、就職活動で会社に提出する自身の履歴書についても、偽った経歴を記載すると私文書偽造の罪に問われる可能性があるので注意が必要です。
また前回解説した公文書偽造等の犯罪と同じく私文書偽造の罪に関しても犯罪が成立するには行使の目的が必要とされています。
続いて第160条の虚偽診断書作成罪についてですが、この法律は主体が医師に限られている身分犯で、この医師が公務所に提出する診断書や検案書、死亡証書に虚偽の記載をした場合に成立します。
続いて第161条には、偽造された私文書や医師が偽造した診断書等を使用(行使)することを規制した偽造私文書等行使罪が規定されています。
そして人の事務処理を誤らせる目的で、その事務処理の用に供する公・私電磁的記録を、不正に作出した場合に成立するのが第161条の2に規定されている電磁的記録不正作出及び供用罪です。

文書偽造の罪~②~の罰則

①有印私文書偽造罪の法定刑は「3月以上5年以下の懲役」です。
②有印私文書変造罪の法定刑は「3月以上5年以下の懲役」です。
③無印私文書偽造(変造)罪の法定刑は「1年以下の懲役又は10万円以下の罰金」です。
④虚偽診断書作成罪の法定刑は「3年以下の禁固又は30万円以下の罰金」です。
⑤偽造私文書等行使罪の法定刑は、行使した偽造文書(診断書)の法定刑によって処断されます。
⑥電磁的記録不正作出及び供用罪の法定刑は「5年以下の懲役又は50万円以下の罰金」ですが、公務所又は公務員により作成されるべき電磁的記録にかかる場合は「10年以下の懲役又は100万円以下の罰金」です。

「~刑法を解説~第18章有価証券偽造の罪」に続く

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