~刑法を解説~ 第3章 外患に関する罪

~刑法を解説~2回目の本日は、第3章外患に関する罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。

外患に関する罪

刑法第3章には外患に関する罪について規定されています。
規定されている内容は

第81条 外患誘致罪
第82条 外患援助罪
第87条 外患誘致罪と外患援助罪の未遂罪
第80条 外患誘致と外患援助の予備及び陰謀罪

です。

外患に関する罪には、日本国が外国から武力行使を受けた際に適用される可能性のある法律で、第81条に規定されている外患誘致罪については、法定刑に「死刑」しか規定されていない非常に厳しい犯罪ですが、これまで外患誘致罪の適用はありません。

外患誘致罪では、外国と通謀して日本国に対して武力行使させることを禁止していますが、第82条の外患援助罪は、日本国に対して武力行使してきた外国に協力することを禁止しています。
外患援助罪の法定刑は死刑だけでなく、無期懲役や2年以上の懲役が規定されています。

また先日解説した内乱に関する罪と同様に、外患に関する罪にも予備罪や陰謀罪の規定(第80条)がありますので、実際に日本国が外国からの武力行使を受けなかったとしても、日本国に対する武力行使の準備をしたり、武力行使してきた外国に対して協力する準備をしただけでも処罰の対象となります。

外患誘致罪の例

日本国の革命を夢見るAは、日本国を侵略しようと企んでいる外国の権力者に接触し、この外国の軍隊に対して、日本国の防衛情報を提供しました。(フィクションです。)

このような場合は、外患誘致罪が適用される可能性が高いでしょう。
ただ外患誘致罪には、死刑しか規定されていないという特殊性から、外患誘致罪の適用には対しては非常に慎重になることが予想されます。

外患援助罪の例

日本国の革命を夢見るAは、日本国に対して武力行使してきた外国の軍隊に接触し、外国の軍隊に対して食料を提供する等の援助を行いました。(フィクションです。)

このような場合は、外患援助罪が適用される可能性が高いでしょう。

外患に関する罪の罰則

①外国と通謀して日本国に対して武力行使させた者(外患誘致)には「死刑」しか規定されていません。つまり起訴されて有罪が確定することによって死刑が確定してしまいます。

②日本国に対して武力行使してきた国を援助した者(外患援助)には「死刑又は無期若しくは2年以上の懲役」の罰則が設けられています。

③外患誘致や外患援助の予備や陰謀をした者には「1年以上10年以下の懲役」の罰則が設けられています。

「~刑法を解説~第4章国交に関する罪」に続く

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