~刑法を解説~ 第9章 放火及び失火の罪①

~刑法を解説~8回目は、本日から二日間にわたって第9章放火及び失火の罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。

放火及び失火の罪

第9章には放火及び失火の罪について規定されています。
規定されている内容は、以下のとおりです。

第108条 現住建造物等放火罪
第109条 非現住建造物等放火罪
第110条 建造物等以外放火罪
第111条 延焼罪
第112条 現住建造物等放火罪及び他人所有の非現住建造物等放火罪の未遂罪
第113条 現住建造物等放火罪及び他人所有の非現住建造物等放火罪の予備罪

~第114条以降は次回を参照~

放火については大きく分けて4つの法律が定められて定められています。
まず第108条の現住建造物等放火罪についてですが、現に人が住居として使用したり、現に人がいる建造物等に放火した場合に成立する犯罪です。
現住建造物等放火罪は、未遂(刑法第112条)や予備行為(刑法第113条)であっても処罰の対象となります。
続いて第109条の非現住建造物等放火罪について解説します。
現に人が住居として使用せず、かつ現に人がいない建造物等に放火した場合に成立する罪ですが、放火した建造物等が他人所有の場合と自己所有の場合によって刑事罰が異なります。
また自己所有の非現住建造物等に放火した場合、公共の危険が生じなかった場合には刑事罰の対象となります。
例えば、周辺に家屋がなく人気のない場所にある自己所有の倉庫に放火した場合は、公共の危険が生じなければ処罰の対象とならないのです。
そして3つ目の放火の罪が第110条に規定されている建造物等以外放火罪です。
この法律は、現住及び非現住建造物に該当しない物に放火した場合に成立する犯罪ですが、建造物等以外放火罪も、非現住建造物等放火罪と同様に、他人所有の物に放火する場合と、自己所有の物に放火する場合で刑事罰が異なります。
また建造物等以外放火罪については、他人所有の物であっても、自己所有の物であっても公共の危険が生じなければ成立しない犯罪で、仮に、放火によって公共の危険が生じなかった場合には器物損壊罪が成立するにとどまります。
そして本日最後に解説するのが延焼罪です。
延焼罪とは、自己所有の非現住建造物等や、自己所有の建造物等以外に放火して、その火が、現住建造物等や、他人所有の非現住建造物等、建造物等以外に延焼した場合に成立する犯罪です。

「次回~刑法を解説~第9章放火及び失火の罪②に続く」

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