Archive for the ‘薬物犯罪’ Category
大阪府の薬物事件~③~ 麻薬取締法違反
薬物事件を解説する、大阪府の薬物事件の3回目、本日は、昨年(令和4年)1年間間の検挙件数115件と、これまで解説した、覚醒剤取締法違反、大麻取締法違反に次いで多かった『麻薬取締法違反』について解説します。
麻薬取締法とは
麻薬取締法とは、正式には「麻薬及び向精神薬取締法」という法律名で、この法律は「麻薬及び向精神薬の輸入、輸出、製造、製剤、譲渡し等について必要な取締りを行うとともに、麻薬中毒者について必要な医療を行う等の措置を講ずること等により、麻薬及び向精神薬の濫用による保健衛生上の危害を防止し、もつて公共の福祉の増進を図ること(同法第1条参照)」を目的にしています。
この法律では、主にヘロイン、コカインやМDMA等の麻薬、そして向精神薬や、麻薬原料植物(マジックマッシュルーム等)等が規制されています。
罰則
それでは麻薬取締法で規制されている違法行為をした場合の主な罰則について解説します。
麻薬取締法では規制されている違法行為の罰則は、覚醒剤取締法や大麻取締法と同様に非営利目的の場合と、営利目的の場合で異なります。
まず非営利目的の場合の罰則については以下の通りです。
~ヘロインについて~
所持・施用(使用)・譲受・譲渡・交付・受施用・・・10年以下の懲役
輸出入・製造・・・1年以上の有期懲役
~その他の麻薬(コカインやMDMA等)について~
所持・施用(使用)・譲受・譲渡・施用のための交付・・・7年以下の懲役
輸出入・製造・・・1年以上10年以下の懲役
~向精神薬について~
譲渡や譲渡目的所持・・・3年以下の懲役
輸出入・製造・製剤・・・5年以下の懲役
続いて営利目的の場合の罰則については以下のとおりです。
~ヘロインについて~
所持・施用(使用)・譲受・譲渡・交付・受施用・・・1年以上の有期懲役、情状により500万円以下の罰金を併科
輸出入・製造・・・無期又は3年以上の懲役、情状により1000万円以下の罰金を併科
~その他の麻薬(コカインやMDMA等)について~
所持・施用(使用)・譲受・譲渡・施用のための交付・・・1年以上10年以下の懲役、情状により300万円以下の罰金を併科
輸出入・製造・・・1年以上の有期懲役、情状により500万円以下の罰金を併科
~向精神薬について~
譲渡や譲渡目的所持・・・5年以下の懲役、情状により100万円以下の罰金を併科
輸出入・製造・製剤・・・7年以下の懲役、情状により200万円以下の罰金を併科
このように覚醒剤取締法や大麻取締法とは違い、麻薬取締法違反は規制されている薬物が多く、ここで紹介した罰則規定もその中の一部に過ぎません。
大阪府の薬物事件~②~ 大麻取締法違反
薬物事件を解説する、大阪府の薬物事件の2回目、本日は、昨年(令和4年)1年間で、薬物事件の中で検挙件数が、前回解説した『覚醒剤取締法違反』に次いで多かった『大麻取締法違反』について解説します。
大阪府警が公表した統計によると、本日解説する『大麻取締法違反』で、令和4年に大阪府警が検挙した件数は685件でした。
大麻取締法で規制している大麻とは、大麻草およびその製品のことをいいます。
ただし、大麻草の成熟した茎及びその製品(樹脂を除く。)並びに大麻草の種子及びその製品については、規制対象から除外しています。
大麻については、近年、若年化が問題になっており、中学生が検挙されることもあります。
また大麻の形状(種類)が多様化してきており、警察が押収する大麻の種類は、乾燥大麻だけにとどまらず、リキッド状の大麻や、ワックス状の大麻もあるようです。
大麻取締法
大麻取締法では、大麻の所持や、譲渡、譲受、輸出入や栽培が規制されています。
前回解説した覚醒剤取締法では、使用が規制されていましたが、大麻の使用については規制されていないのが特徴です。
大麻の使用に関しては規制を拡大する意見もあるようですが、実際に使用罪を新設するに当たっては様々な問題があり、法改正には時間がかかるでしょう。
罰則
それでは大麻取締法で規制されている違法行為をした場合の罰則について解説します。
大麻取締法では規制されている違法行為の罰則は、覚醒剤取締法と同様に非営利目的の場合と、営利目的の場合で異なり、その罰則については以下の通りです。
~非営利目的の場合~
所持、譲渡、譲受・・・5年以下の懲役
栽培、輸出入・・・7年以下の懲役
~営利目的の場合~
所持、譲渡、譲受・・・7年以下の懲役、情状により200万円以下の罰金を併科
栽培、輸出入・・・10年以下の懲役、情状により300万円以下の罰金を併科
~次回は、麻薬及び向精神薬取締法について解説します。~
大阪府の薬物事件~①~ 覚醒剤取締法違反
新聞や、テレビのニュースなどで毎日のように、何らかの薬物事件が報道されています。
大阪府警が公表している統計によると、昨年(令和4年)1年間の、薬物事件の検挙件数の総数は2063件でした。
そこで本日より薬物事件を特集します。
初日の本日は、昨年(令和4年)1年間で、薬物事件の中で検挙件数が一番多かった『覚醒剤取締法違反』について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
覚醒剤取締法
覚醒剤取締法でいう覚醒剤とは、フエニルアミノプロパン、フエニルメチルアミノプロパン及び各その塩類や、同種の覚醒作用を有する物であつて政令で指定するもの、そしてこれらを含有する物(同法第2条1項参照)です。
そして、この覚醒剤や覚醒剤原料の使用や所持、譲渡や譲受、輸出入、製造等を規制しているのが覚醒剤取締法です。
罰則
それでは覚醒剤取締法で規制されている違法行為をした場合の罰則について解説します。
覚醒剤取締法では規制されている違法行為の罰則は、非営利目的の場合と、営利目的の場合で異なります。
まず非営利目的の場合の罰則については以下の通りです。
~覚醒剤について~
所持・使用・譲受・譲渡・・・10年以下の懲役
輸出入・製造・・・1年以上の有期懲役
~覚醒剤原料について~
所持・使用・譲受・譲渡・・・7年以下の懲役
輸出入・製造・・・10年以下の有期懲役
続いて営利目的の場合の罰則については以下のとおりです。
~覚醒剤について~
所持・使用・譲受・譲渡・・・1年以上の有期懲役、情状により500万円以下の罰金を併科
輸出入・製造・・・無期又は3年以上の懲役、情状により1000万円以下の罰金を併科
~覚醒剤原料について~
所持・使用・譲受・譲渡・・・10年以下の懲役、情状により300万円以下の罰金を併科
輸出入・製造・・・1年以上の有期懲役、情状により500万円以下の罰金を併科
営利目的の場合は厳罰化されているのが分かりますが、その中でも覚醒剤の営利目的輸出入や、製造については無期懲役が規定されており、非常に厳しい罰則であることがわかります。
~次回は、大麻取締法について解説します。~
【本日の即日対応可能】息子が大麻所持で逮捕!!
息子が大麻所持で逮捕された方必見!!本日の即日対応可能な弁護士をお探しの方は、大阪府内の刑事事件を専門に扱っている『弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部』にご一報ください。
弁護士を派遣する 初回接見サービス や、刑事事件専門の弁護士による 無料法律相談 については フリーダイヤル0120-631-881 にて、ご予約をお受けしています。
参考事例
大阪府和和泉市に住むAさんには、22歳の息子がいます。
この息子が1ヶ月ほど前に警察官の職務質問を受け、カバンの中に入れていた乾燥大麻を押収されたようです。
その時は、警察官から「鑑定する。」と言われて、帰らせてもらえたようですが、今朝、大阪府和泉警察署の捜査員が自宅を訪ねて来て、息子が大麻取締法違反で逮捕されてしまいました。
Aさんは、本日の即日対応可能な刑事事件を専門に扱っている弁護士を探しています。
(実話をもとにしたフィクションです。)
大麻取締法
大麻取締法で、大麻の所持や、譲渡しや譲受け、輸出入や栽培等を規制しています。(大麻の使用については規制していない。)
Aさんの息子が大麻の所持罪です。
大麻の所持罪は、営利目的の所持罪と、営利目的以外の所持罪の二通りがあり、この二つは罰則が異なります。
営利目的の場合は、「7年以下の懲役、情状により200万円以下の罰金を併科」の罰則が規定されていますが、営利目的以外の場合は、「5年以下の懲役」の罰則が規定されています。
今回の事件、Aさんの息子が自分で使用目的で所持していたのであれば、起訴されて有罪となれば「5年以下の懲役」の範囲内で刑事罰が科せられることになります。
薬物事件に強い弁護士
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部は、薬物事件などの刑事事件を専門に扱っている法律事務所です。
早期に弁護士を選任することで、早期釈放や、刑事処分の軽減などを実現させることも可能ですので、まずは初回接見サービスをご利用いただき、弁護士のアドバイスを受けることをお勧めします。
知人の車に覚醒剤が…②覚醒剤所持の故意
~昨日のコラムの続き~
昨日のコラムでは覚醒剤所持罪について解説しました。
そこで本日のコラムでは、覚醒剤所持罪の「故意」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
覚醒剤所持の故意
所持罪が成立するためには「故意」つまり、覚醒剤を自己の実力的支配内に置くことを認識していること、が必要となります。
他人の覚醒剤を所持していたケースでは、「自分のために置いていたのではない!」といった故意否認をすることが多くあるようです。
しかし、覚醒剤所持罪の成立には、積極的に覚醒剤を自己または他人のため保管する意思、自ら所有し又は使用、処分する意思などは必要でなく、ともかく覚醒剤と知りつつ自己の実力的支配内に置けばそれだけで所持罪は成立すると解されます。
今回の事件の場合、そもそもAさんは、知人から修理を頼まれた車を運転していただけで、その車の中に覚醒剤があることなど知らなかったでしょうから、当然、覚醒剤所持の故意はなかったと認められるでしょう。
ただ現場でAさんは、真実を警察官に言わずに「知らない」と言い続けて、車の所有者である知人のことも黙っていたようですので、その現場の状況証拠から、現行犯逮捕されたと思われますが、その後取調べで真実を供述すれば不起訴となって釈放されるでしょう。
ところで、もし白色の粉末を所持している認識はあるものの、その白色の粉末が「覚醒剤」であるとまでは認識していなかった場合はどうなるでしょうか?
これについては、所持していた物が「覚醒剤」であることを少なくとも未必的には認識・認容している場合は、覚醒剤所持の故意が認められてしまいます。
つまり、所持していた物が「覚醒剤である」と確信していた場合のみならず、「覚醒剤かもしれない」「なんらかの有害で違法な薬物かもしれない」との認識・認容を有していた場合も覚醒剤所持罪でいうところの「故意」は認めるでしょう。
大阪の薬物事件に強い弁護士
覚醒剤所持事件は、初犯であれば執行猶予付き判決となる可能性もありますので、覚醒剤所持事件で逮捕されてお困りであれば、今すぐ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部では、既に警察に逮捕された方への 初回接見サービス や、刑事事件でお困りの方からの 無料法律相談 をフリーダイヤル0120-631-881にて、24時間、年中無休で承っておりますので、お気軽にお電話ください。
知人の車に覚醒剤が…①覚醒剤取締法違反で逮捕
知人の車から覚醒剤が発見されたとして、覚醒剤取締法違反で逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
参考事件
自動車整備業を営むAさんは、知人から、車の修理を頼まれて大阪府松原市にある知人の家に車を取りに行きました。
そして整備工場までその車を運転して行っている途中に、信号無視をしてしまい、取締り中の警察官に呼び止められました。
そしてその際に車内検索されて、助手席のダッシュボードに入っていたポーチの中から覚醒剤が発見されたのです。
知人の名前を出すと、その知人が警察に逮捕されると思ったAさんは、警察官に色々と問い質されましたが「知らない」と言い続けたところ、Aさんは、覚醒剤取締法違反(所持罪)で現行犯逮捕されました。
(フィクションです)
覚醒剤所持罪について
覚醒剤取締法では、覚醒剤の所持や使用、譲渡、譲受、密輸入等、様々な規制がなされています。
その中で覚醒剤の所持については、覚醒剤取締法第14条に規定されており、その内容は以下のとおりです。
第14条
覚醒剤製造業者、覚醒剤施用機関の開設者及び管理者、覚醒剤施用機関において診療に従事する医師、覚醒剤研究者並びに覚醒剤施用機関において診療に従事する医師又は覚醒剤研究者から施用のため交付を受けた者の外は、何人も、覚醒剤を所持してはならない。
2 次の各号のいずれかに該当する場合には、前項の規定は適用しない。
一 覚醒剤製造業者、覚醒剤施用機関の管理者、覚醒剤施用機関において診療に従事する医師又は覚醒剤研究者の業務上の補助者がその業務のために覚醒剤を所持する場合
二 覚醒剤製造業者が覚醒剤施用機関若しくは覚醒剤研究者に覚醒剤を譲り渡し、又は覚醒剤の保管換をする場合において、郵便若しくは民間事業者による信書の送達に関する法律(平成十四年法律第九十九号)第二条第二項に規定する信書便(第二十四条第五項及び第三十条の七第十号において「信書便」という。)又は物の運送の業務に従事する者がその業務を行う必要上覚醒剤を所持する場合
三 覚醒剤施用機関において診療に従事する医師から施用のため交付を受ける者の看護に当る者がその者のために覚醒剤を所持する場合
四 法令に基いてする行為につき覚醒剤を所持する場合
以上の内容から、覚醒剤所持罪は
①覚醒剤を
②みだりに
③所持すること
によって成立するのがわかります。
「①覚醒剤」とは、覚醒剤取締法第2条第1項によると「フエニルアミノプロパン、フエニルメチルアミノプロパン及び各その塩類や、これらと同種の覚せい作用を有する物であつて政令で指定するものや、これらのうちの何れかを含有する物」です。
ここでいう「②みだりに」とは、社会通念上正当な理由が認められないことを意味します。
続いて「③所持」の基本的な概念について、判例によれば、「人が物を保管する実力支配関係を内容とする行為をいうのであって、その実力支配関係の持続する限り所持は存続するものというべく、かかる関係の存否は、各場合における諸般の事情に従い社会通念によって決定されるものである」と解されます。(最大判昭30・12・21)
~明日のコラムに続く~
【薬物事件速報】HHCで大阪府内発の摘発 医薬品医療機器法違反容疑で逮捕
HHCで大阪府内発の摘発された、医薬品医療機器法違反容疑事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
本日の讀賣新聞朝刊に、HHC(ヘキサヒドロカンナビノール)が大阪府内で初めて摘発された医薬品医療機器法違反容疑事件が掲載されていました。
HHC(ヘキサヒドロカンナビノール)は、今年3月に厚生労働省が指定薬物として規制を開始したばかりの違法薬物成分で、HHC(ヘキサヒドロカンナビノール)を含有する薬物の販売や、所持、使用が医薬品医療機器法で禁止されており、これらに違反すると刑事罰が科せられます。
医薬品医療機器法
医薬品医療機器法は、医薬品・医療機器等の有効性・安全性を確保するための法律「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」の略称です。
医薬品医療機器法では、中枢神経系の興奮若しくは抑制又は幻覚の作用(当該作用の維持又は強化の作用を含む。)を有する蓋然性が高く、かつ、人の身体に使用された場合に保健衛生上の危害が発生するおそれがある物を指定薬物として規制しています。
また、こういった指定薬物を、製造、輸入、販売、授与、所持、購入又は販売若しくは授与の目的での貯蔵、若しくは陳列は禁止しており、これらの違反については、起訴されて有罪が確定すれば「3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金、又はこれを併科」が科せられ、さらに業として行った場合は、「5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金、又はこれを併科」と厳罰化されます。
知らなかったでは済まされない
今回の、大阪府中堺警察署がHHC(ヘキサヒドロカンナビノール)を含有する液体を所持していた男性は、逮捕後の取り調べにおいて、HHC(ヘキサヒドロカンナビノール)の違法性については認識していたものの「自分が使用するカートリッジに含まれているとは知らなかった。」と供述しているようです。
HHC(ヘキサヒドロカンナビノール)のような規制薬物は、電子タバコ等の器具を使って使用する場合がほとんどで、リキッド(液体)タイプの商品が出回っているようですが、購入する製品にどういった成分が含有されているのかは定かではありません。
また指定薬物は、新たに指定されて規制が開始される成分がどんどん増えてきているので、どういった成分が規制対象になっているのかを網羅するのは非常に困難です。
警察に摘発されてしまうと、知らなかったでは済まされませんので、電子タバコを使用している方は、自分が使用するリキッドにどういった成分が含まれているのかきちんと把握することが大切です。
医薬品医療機器法で規制されている指定薬物については こちら をクリック
薬物事件に強い大阪の弁護士
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部では、薬物事件に関する無料法律相談を、フリーダイヤル0120-631-881にて、24時間、年中無休で承っております。
刑事事件でお困りの方からのご連絡をお待ちしておりますのでお気軽にお電話ください。
また弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部では、大阪府内で逮捕されてしまった方には、弁護士を警察署に派遣する 初回接見サービス をご用意しています。
【薬物事件】覚醒剤使用容疑で採尿 この後どうなるの?
【薬物事件】覚醒剤使用容疑で採尿された後の刑事手続きについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
刑事事件を専門に扱っている弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部は、刑事事件に関するご相談を無料で承っております。
そんな事務所への薬物事件に関するご相談で
覚醒剤使用容疑で警察に採尿されたのですが、この後どうなるのですか?
という内容のご相談がよくありますので、本日はこのご質問に弁護士が回答します。
採尿
警察に覚醒剤使用を疑われまずされるのが採尿です。
警察は採尿した尿を鑑定して覚醒剤成分が含まれているかどうかで、覚醒剤を使用しているかどうかを判断します。
皆さんご存知のとおり、採尿には任意採尿と強制採尿の二種類があります。
任意採尿は、「小便を提出してください。」という警察官の求めに応じて、自らの意思で排尿した尿を警察に任意提出することです。
逆に強制採尿は、警察官の求めに応じなかったときに、警察官が裁判官に令状(捜索差押許可状)を請求し、裁判官が発行した令状の効力で強制的に尿を差し押さえられることです。
強制採尿は、医師によって行われ、尿道にカテーテルを挿入する方法で尿を採取されるのですが、令状があれば、その令状の効力で、採尿のための病院までも強制的に連れて行かれてしまいます。
鑑定
採尿後に行われるのが鑑定です。
鑑定にも2種類あり、採尿後すぐに警察官によって行われるのが簡易鑑定で、後日、大阪府東警察署と同じ建物内にある科学捜査研究所で行われるのが本鑑定と呼ばれるものです。
簡易鑑定の際は、本人がその鑑定に立ち会うのが通常ですが、強制ではないので立会を拒否することもできます。
簡易鑑定の結果は ①陽性 ②陰性 ③擬陽性 の3種類があります。
①の場合は、その場で緊急逮捕される可能性が高いですが、②③の場合は逮捕を免れることができます。
ただ簡易鑑定の結果が②③だったからといって安心はできません。
警察は採尿時に、本鑑定用の尿も採っているので、後日、あまった尿を科学捜査研究所で本鑑定にかけられて、②③が、陽性反応となる場合もあるからです。
本鑑定で陽性反応になった場合は、後日、通常逮捕される可能性が濃厚でしょう。
よくある質問
Q.採尿されて逮捕されるまでの期間はどれくらいですか?
A.簡易鑑定の結果を基に逮捕される場合は、簡易鑑定で陽性反応が出た時点で、その場で緊急逮捕されます。
尿が本鑑定にまわされた場合、鑑定結果自体は遅くても2,3日で結果が出ますが、その結果が出たからといってすぐに逮捕されるわけではなく、鑑定結果が出てから警察は逮捕状を取得するのに必要な捜査を行うので、逮捕される時期はまちまちで特定することはできません。
早ければ1週間以内に逮捕される場合もありますが、遅い場合は半年以上経過して逮捕される場合もあるのです。
薬物事件に強い弁護士
覚醒剤使用事件は警察に逮捕される可能性の高い事件です。
逮捕前に弁護士を選任しておくことで大きなメリットを得られる場合もありますので、覚醒剤を使用して警察に採尿された方は、早めに弁護士に相談することをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部では、そのようなご相談を
フリーダイヤル 0120-631-881
にて24事件、年中無休で受け付けておりますのでお気軽にお問い合わせください。
なお覚醒剤使用事件ですでに警察に逮捕されてしまった方のもとに弁護士を派遣するサービスもご用意しています。
詳しくは こちら をご確認ください
【薬物事件】合成麻薬LSD施用で逮捕②
昨日のコラムに続いて、合成麻薬LSD施用で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
LSD施用で逮捕されたら
LSDに限らず薬物事件で逮捕されたら、その後勾留となる可能性は高いと言えます。
「勾留」とは、被疑者・被告人を拘禁する裁判およびその執行をいいます。
逮捕後にとられる勾留は、被疑者勾留又は起訴前勾留と言われます。
勾留となるには
①勾留の理由
②勾留の必要性
が認められる場合です。
①勾留の理由とは、「罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があること」、並びに、「定まった住居を有しないこと」、「罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があること」、「逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があること」のいずれかに該当する場合に認められます。
また、勾留の理由がある場合でも、被疑者を勾留することにより得られる利益と、これにより被る被疑者の不利益を比較衡量した結果、被疑者を勾留することが必要であること、つまり、②勾留の必要性も勾留の要件となります。
薬物事件の場合、再犯を犯す可能性が高いことや、薬物関係者(入手先や譲渡し先など)と罪証隠滅を図る可能性もあると判断されやすく、勾留に付される可能性が高くなっています。
勾留に加えて、弁護士以外との接触を禁止する接見禁止に付されることもあります。
接見禁止に付された場合、被疑者の家族であっても、被疑者と面会することが出来ません。
ただでさえ、外界と遮断された閉鎖的な空間に拘束されているため、身体的にも精神的にも厳しい状況に置かれている被疑者ですが、家族との面会の機会がなくなってしまうことで、更なる苦痛が生じることが想像されます。
そのような場合には、薬物事件にも対応する弁護士にご相談・ご依頼ください。
ご家族との面会を実現するため接見解除に向けた活動を行います。
また、長期身体拘束されている被疑者との接見を重ね、取調べ対応についての適切なアドバイスを提供し、被疑者の精神的不安を取り除きます。
大阪の薬物事件に強い弁護士
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部は、薬物事件を含めた刑事事件・少年事件を数多く取り扱う法律事務所です。
ご家族がLSDをはじめとした薬物事件で逮捕されてお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
無料法律相談・初回接見サービスのご予約・お問い合わせは
フリーダイヤル0120-631-881
にて24時間、年中無休で受け付けておりますので、お気軽にお電話ください。
【薬物事件】合成麻薬LSD施用で逮捕①
合成麻薬LSD施用で逮捕された場合について、今日から二日間にわたって弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
合成麻薬LSD施用で逮捕された事件
大阪ミナミの繁華街を警ら中の大阪府南警察署の警察官は、若い男性が倒れているとの連絡を受け、現場に駆け付けました。
警察官が、道に横たわっている男性に声をかけたところ、言動が不審だったため、警察署に任意同行して、尿検査を行いました。
鑑定の結果、LSDの成分が検出されたため、警察官は麻薬取締法違反(施用)の疑いで男性を逮捕しました。
男性は、大阪府内の大学に通う大学生で、逮捕の連絡を受けた両親は、突然の逮捕の連絡に驚いています。
(フィクションです。)
合成麻薬LSDとは
LSDは、リゼルグ酸ジエチルアミド又はリゼルギン酸ジエチルアミドであり、非常に強烈な作用を有する半合成の幻覚剤です。
LSDの純粋な形状は透明の結晶ですが、液体の形で製造することもできるため、その形状は、水溶液をしみこませた紙片、錠剤、カプセル、ゼラチン等様々です。
LSDは、無臭、無味、無色で、極めて微量で効果を持ち、その効用は摂取量だけでなく、窃取経験や精神状態、周囲の環境により大きく異なります。
LSDを乱用すると、幻覚、幻聴、時間感覚の欠如、強烈な幻覚作用が現れます。
麻薬取締法による取締り
LSDは、1970年より「麻薬及び向精神薬取締法」(以下、麻薬取締法)による取締りの対象となりました。
麻薬取締法は、麻薬及び向精神薬の輸入、輸出、製造、製剤、譲渡等について必要な取締を行うとともに、麻薬中毒者について必要な医療を行う等の措置を講ずること等により、麻薬及び向精神薬の濫用による保健衛生上の危害を防止し、もって公共の福祉の増進を図ることを目的とする法律です。
この法律で、LSDの輸入、輸出、製造、製剤、小分け、譲渡し、譲受け、交付、施用、所持、廃棄は禁止され、違反者に対しては罰則が科されます。
刑罰については、麻薬のなかでも、「ゼアセチルモルヒネ」(いわゆる、「ヘロイン」)と「ヘロイン以外の麻薬」に分けられており、ヘロインの場合に刑罰が重くなります。
ヘロインの施用についての刑罰は、10年以下の懲役、営利目的であれば1年以上の有期懲役、又は情状におり1年以上の有期懲役及び500万円の罰金です。
一方、ヘロイン以外の麻薬の施用については、7年以下の懲役、営利目的であれば、1年以上10年以下の懲役に処し、又は情状により1年以上10年以下の懲役及び300万円の罰金に処されるとされます。
~明日のコラムに続く~
« Older Entries Newer Entries »