Archive for the ‘刑事事件’ Category
取調べの適法性
長時間の取調べ
長時間の取調べについて弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
ある日、暴力事件や窃盗事件などであなたが何らかの犯罪の嫌疑をかけられ、警察官から呼び出しを受けたり、警察署までの同行を求められたりした際、取調べが行われます。
警察官は犯罪の嫌疑のある者に対して、任意に取調べを行うことは日常的に行われていますが、任意の取調べの限界については様々な問題点があり、その問題についてご紹介します。
条文
~刑訴法197条1項~
捜査については、その目的を達するため必要な取調をすることができる。但し、強制の処分は、この法律に特別の定めのある場合でなければ、これをすることができない。
◇深夜の取調べ◇
長時間の取調べが深夜の時間帯まで及ぶ場合には、違法と評価される可能性が高くなるように思われます。
深夜までの取調べについて、犯罪捜査規範に「取調べは、やむを得ない理由がある場合のほか、深夜に又は長時間にわたり行うことを避けなければならない。」と規定されています。
もちろん、取調べが深夜に及べば必ず違法だと評価されるということではなく、深夜での取調べが適法であると判断された事例も存在します。
◇具体的事例◇
では、事例をもとに、長時間にわたる取調べが違法となる場合と、適法とされる場合についてご紹介したいと思います。
~違法と判断されたケース~
警察官は、午後10時ころ、路上で値札が付いた酒を所持しているAを発見し、交番に任意同行しました。その後、交番内で取調べを受け、当初否認していましたが、追及を受けて駐輪されていたオートバイの前カゴから盗んだ酒であることを供述しました。
その後、Aの所持品を入れたロッカー等へAを同行した後、午前2時ころから再び、交番において酒を盗んだ場所などについて取調べしました。
Aは、供述を翻し、酒をスーパーから盗んだ旨を供述したものの、その後、再度、買ったものであると弁解し、結局、午前4時ころ、酒をスーパーから盗んだことを供述し、午前5時30分ころ、緊急逮捕されました。
上記事例と同様の事案では、Aに対する取調べは、任意捜査として許容される社会通念上相当な限度を逸脱し、違法であると判断されました。(大阪地方裁判所判決)
判断のポイントについては
①取調べが徹夜にわたる長時間のものである
②被疑事実が重大な事案と言えない
③Aは帰宅したい旨などを警察官に告げてはいないが、積極的に取調べを希望していたわけではなかったこと
上記事例では、Aが酒の窃盗について、当初否認した後、供述を変遷させていたことから、警察官としても、その真偽を見極めようと取調べが長引き、緊急逮捕まで時間を要したものと思われます。
やはり、取調べが長時間かつ深夜にわたるような場合には、被疑者に対し、帰宅の意思を確認すべきでしょうし、取調べに対する明示の承諾を得たり、おおむねの自白を得られたりした段階で、出来るだけ早期の緊急逮捕を検討するといった措置が必要だと思われます。
~適法と判断されたケース~
マンションの一室において男性が殺害され、金品がなくなっていたという事案について、警察官が、午後11時過ぎから、同居の友人であったBの任意取調べを開始しました。
当初、Bは「早く犯人を捕まえて欲しいですし、私も取調べをお願いします。」と述べていました。
その後、Bの取調べは徹夜で行われ、翌午前8時過ぎころ、Bは被害者を殺害して金品を持ち出したことを自供しました。
しかし、この自供は客観的事実と異なる部分があったため、強盗の犯意についても曖昧であったため、警察官が取調べを続けたところ、Bは、強盗の範囲も認め、午後9時ころ逮捕されました。
上記事例と同様の事案では、Bに対する取調べは、任意捜査の限界を超えた違法なものとはいえないと判断されました。(最高裁判決、ただし、反対意見あり)
判断のポイントについては
①事案の重大性
②取調べの冒頭において、Bから進んで取調べをお願いします等との申出があったこと
③取調官は、Bの当初の自白が客観的状況と合致しないことから追及の必要性があったこと
④自白強要や逮捕の際の時間制限潜脱の意図はなかったこと
⑤Bから取調べを拒否したり、帰宅・休息を求めたりするなどの言動がなかったこと
上記事例では、徹夜での取調べが適法とされた事案として著名なものですが、この判示中には、通常、このような長時間の取調べは是認できませんし、本事例についても、Bが被害者の殺害を自供した時点で逮捕手続きをとるなどの方法もあったことなどが指摘された上で、本件取調べの適法性判断は慎重を期すべきであるとされており、長時間の取調べの適法性についての限界事例となります。
大阪市で取調べに関する相談を含め刑事事件に強い弁護士をお探しの方、ご家族、ご友人が逮捕された方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回法律相談:無料
初回接見料金:32,400円~
刑事事件専門の私選弁護人
刑事事件専門の私選弁護人
刑事事件専門の私選弁護人について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
~事例~
大阪府四条畷市に住むAは公務員で四条畷市の職員をしていました。
ある日、大阪府内の電車内で痴漢行為をしていたところを現行犯で周りの人間に取り押さえられ、大阪府四条畷警察署に逮捕されることになりました。
Aは検察官に送致されましたが、勾留請求はされず釈放となりました。
今後の事件処理に不安を覚えたAは痴漢事件に強い弁護士に弁護活動を依頼することにしました。
(この事例はフィクションです)
【痴漢事件には弁護士を】
痴漢行為は各都道府県で定められているいわゆる迷惑行為防止条例違反となります。
大阪府では「大阪府公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」となっており痴漢行為についての罰則は「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」が規定されています。
痴漢事件は初犯であれば罰金刑で終わることが多いですが、きちんと活動して示談を締結することができれば、不起訴処分を獲得することもありますし、逆に何もしなければ公判請求されてしまうこともあります。
不起訴処分獲得を目指すうえで一番大切になってくるのは示談が締結できるかどうかです。
しかし、痴漢事件の被害者は加害者本人やその家族からの直接の謝罪を受け入れないことが多いです。
そこで示談交渉の専門家である刑事事件弁護士に依頼するようにしましょう。
【国選弁護人について】
痴漢事件など刑事事件で警察に逮捕された場合、基本的に48時間以内に検察へ送致されることになり、検察は24時間以内に勾留請求をするかどうかを判断します。
そして勾留請求された場合には裁判官が勾留するかどうかを決定していくことになります。
今回の事例のAについては検察官が勾留請求せずに釈放となりましたが、事件が終了したわけではありません。
在宅事件として進んでいき、最終的に起訴不起訴の判断がされることになります。
警察の捜査が開始されてから、起訴される前の状態にいる方については被疑者と呼ばれるのですが、この被疑者段階の国選弁護人については刑事訴訟法37条の2に定められています。
刑事訴訟法第37条の2第1項
「被疑者において勾留状が発せられている場合において、被疑者が貧困その他の事由により弁護人を選任することができないときは、裁判官は、請求により、被疑者のため弁護人を付さなければならない。(略)」
痴漢事件は現行犯逮捕されてそのまま勾留されることもありますが、認めている場合は勾留されずに在宅事件として進んでいくことが多いです。
そして、勾留されずに在宅事件となった場合、国選弁護人はつかないことになります。
ここで何もせずに手続きが終わるのを待っていると、罰金刑で前科が付いてしまう可能性が高いです。
不起訴処分を獲得するためにも私選で弁護士を付けるようにしましょう。
【公務員の刑事事件】
今回の事例のAのように公務員の方は前科が付いてしまうことにより、懲戒処分を受ける可能性も高いですし、民間企業の方よりも報道されてしまうリスクが高いです。
そこで、しっかりと刑事事件に強い弁護士に依頼するようにしましょう。
弁護士は報道回避に向けても警察や検察へ働きかけるなどの活動を通じて報道機関へ情報を流さないようにお願いしていきます。
そのうえで、被害者の方との示談交渉も行っていき、ご本人が職を失うことのない様に活動していきます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では刑事事件、痴漢事件に強い弁護士が無料法律相談、初回接見を行っています。
私選で弁護人を選任される場合は刑事事件専門弁護士を選任するようにしましょう。
ご予約はフリーダイヤル0120-631-881にて24時間受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。
四条畷警察署までの初回接見費用36,900円
物を隠すと器物損壊
物を隠すと器物損壊
物を隠す器物損壊について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
大阪府交野市に住むAはマンションの隣人Vに対して音がうるさいと腹を立てていました。
何度も注意に行きましたが、一向に改善されなかったため、ある日、Vが家の玄関前に停めていた自転車を近くの空き地に持っていき、放置しました。
後日、大阪府交野警察署から器物損壊の件で話を聞きたいと電話がありましたが、Aは何のことを話しているのか分かりませんでした。
しかし、話をしていくうちに放置した自転車の件だということが分かりました。
マンションと空き地の近くにある防犯カメラに自転車を押すAの姿が映っていたことからAが特定され、器物損壊の容疑者として捜査されることになってしまいました。
困ったAは刑事事件に強い弁護士の無料法律相談へ行くことにしました。
(この事例はフィクションです)
【器物損壊罪】
刑法第261条
器物損壊
「前3条に規定するもの(公用文書等毀棄、私用文書毀棄、建造物等損壊及び同致死傷)のほか、他人の物を損壊し、又は死傷した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する」
他人の物を損壊した場合と、他人の動物を傷害した場合に器物損壊罪が成立します。
損壊とは、物の効用を喪失させることをいいます。
つまり、嫌がらせで物を隠すといった隠匿する行為についても、その物を使えなくしている点で効用を喪失させているので損壊に当たるのです。
今回のような物を隠匿するという器物損壊の事例は、一見すると窃盗罪のように見えますが、窃盗罪には権利者を排除し他人の物を自己の所有物と同様にその経済的用法に従い、利用し又は処分するという不法領得の意思がなければ窃盗罪にはなりません。
今回の事例の様に物を隠すという行為以外にも器物損壊に当たる少し意外な行為として、他人が飼育している魚を放流したり、食器に放尿したり、落書きしたりといった行為が器物損壊にあたるとされた例もあります。
ちなみに器物損壊罪の公訴時効は3年となっておりますので、過去の犯罪行為が発覚して事件になるということも十分にあり得ます。
【器物損壊罪の弁護活動】
器物損壊罪は親告罪ですので、弁護活動としては示談交渉を行っていくことになります。
親告罪とは告訴がなければ、公訴を提起できない罪のことをいいます。
告訴は告訴権者(犯罪により害を被った者)が書面又は口頭で検察官か司法警察員に対してしなければいけません。
なお、告訴の期間は犯人を知った日から6ヶ月以内となります。
親告罪の場合は告訴をされてしまっても被害者との示談を締結し、告訴を取り下げることができれば起訴されることはありません。
しかし、今回の事例のように近隣トラブルが刑事事件に発展したような場合には加害者からの直接の謝罪や示談の要求は受け入れられないことが多いです。
そんな時は専門家である弁護士に示談交渉を依頼するようにしましょう。
示談交渉に強い弁護士に頼んで示談を締結することができれば、不起訴処分となり、前科はつかないことになります。
【近隣トラブル】
今回のAは逮捕されていませんが、近隣トラブルが刑事事件化した場合、被害者の近くに住んでいることになるので、被害者との接触によって証拠隠滅を図る可能性が高いと判断され、逮捕・勾留される可能性は通常の事件よりも高くなります。
もしも、逮捕されてしまった場合には弊所の初回接見サービスをご利用ください。
ご依頼から24時間以内に弁護士が接見に向かいます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では刑事事件、示談交渉に強い弁護士が初回接見、無料法律相談を行っています。
ご予約はフリーダイヤル0120-631-881にて24時間受け付けておりますので、お早めにお問い合わせください。
大阪府交野警察署までの初回接見費用 39,100円
凶器準備集合罪で逮捕
凶器準備集合罪について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
◇事件◇
Aさんの息子(20歳)は、高校を中退後、仕事をせずに地元の友達と、いわゆる半グレグループを結成して、大阪市中央区の歓楽街を中心に活動しています。
半年ほど前から、この半グレグループのメンバーが、傷害罪や、恐喝罪で次々と警察に逮捕されていましたが、Aさんの息子は何れの事件にも関与しておらず、これまで逮捕されていませんでした。
しかし、ついに昨日、大阪府南警察署の捜査員が自宅に来て、凶器準備集合罪で息子は逮捕されてしまいました。
あまり聞きなれない法律の名前に戸惑ったAさんは、刑事事件に強いと評判の弁護士に「息子さんが起こした凶器準備集合事件」について相談しました。
◇凶器準備集合罪~刑法第208条の2第1項~◇
2人以上の者が、他人の生命、身体、財産に対して共同して危害を加える目的で集合した場所において、凶器を準備し、又はその準備があることを知って集合すれば凶器準備集合罪となります。
◇凶器準備結集罪~刑法第208条の2第2項~◇
同様の目的で、凶器を準備し、又はその準備があることを知って人を集合させれば凶器準備結集罪となります。
Aさんの息子は、対立する半グレグループが経営するお店を襲撃する目的で、仲間たちと近所の公園に金属バットやゴルフクラブ等の凶器を持って集合していましたが、パトロール中の警察官に目撃されたことから、その日は襲撃を諦めて解散していました。
Aさんの息子は、仲間に呼び出されて公園に行ったようですので、上記の凶器準備集合罪が適用されたようです。
Aさんの息子を呼び出した仲間には、凶器準備結集罪が適用されるでしょう。
~共同して害を加える目的とは~
集合した2人以上の者が、凶器を用いて人の殺傷、物の破壊を共同して行う共通の目的をもつだけでなく、そのことをお互いに認識していることが必要です。
ここでいう共同加害の目的は、積極的な攻撃を目指すのでなく、相手からの襲撃に備えて、それに応戦して共同殺傷しようとする受動的な目的でもよいとされています。
ですから、対立する半グレグループが、事前に襲撃を察知して、お店に凶器を持って集合した場合にも凶器準備集合罪が成立するでしょう。
~準備~
凶器準備集合罪でおける「準備」とは、凶器を用意することです。
これは必要に応じていつでも本罪の加害行為に使用できる状態におくことで、その準備は、自分で準備しても、他人と準備しても、他人に指示して自分のために準備させてもよいとされています。
ちなみに「~を知って人に~」の「知って」とは、凶器が準備されていることを認識しての意味で、その認識は未必的なものでもよいとされています。
~集合~
2人以上の者が共同加害の目的をもって、同じ時間、同じ場所に集まることです。
◇凶器準備集合罪・凶器準備終決罪の量刑◇
~凶器準備集合罪~
凶器準備集合罪の法定刑は「2年以下の懲役又は30万円以下の罰金」です。
~凶器準備結集罪~
凶器準備結手罪の法定刑は「3年以下の懲役」です。
凶器準備集合罪と凶器準備結集罪の法定刑は上記のとおりですが、凶器準備結集罪は、凶器準備集合をさせた教唆的な立場にあるために、罰金刑が規定されていない厳しい法定刑が定められているのです。
ご家族、ご友人が凶器準備結集罪で逮捕されてしまった方、大阪市中央区の刑事事件でお困りの方、大阪で刑事事件に強い弁護士をお探しの方は「弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所」にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、無料法律相談、初回接見サービスのご予約をフリーダイヤル0120-631-881にて24時間承っておりますので、お気軽にお電話ください。
初回法律相談:無料
大阪府南警察署までの初回接見料金:35,400円
留置場での生活
留置場での生活について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
~ある日突然逮捕され、留置場での生活を送ることになってしまったら…~
自分には関係ないという方がほとんどだと思いますが、自分には関係なくてもご家族やご友人が逮捕される可能性もあると思います。
逮捕されたご家族が、留置場でどのような生活を送っているか全く想像ができず不安のある方もいるのではないでようか。
その様な方のために、本日は、留置場での看守経験のある元警察官から聞いた、大阪府内の警察署の、留置場の生活についてご紹介いたします。
◇1日のタイムテーブル◇
警察署によって多少の違いはありますが、典型的には、
・午前6時30分~ 起床→布団の片付け、部屋の掃除、洗面
・午前7時~ 朝食
・午前7時30分~ 運動
・午後0時~ 昼食
・午後5時~ 夕食
・午後8時30分~ 布団を敷く、洗面
・午後9時~ 就寝
これらの日課時限以外に警察署や検察庁での取調べや弁護士との接見、家族との面会などが行われます。
◇運動◇
留置場では運動場と呼ばれる場所があり、そこで看守が立会いし、髭剃りや爪切り、他の被疑者と雑談などをして過ごします。
運動場と聞くと広いスペースを想像するかと思われますが、ランニングをするまでの広さはなく、警察署によって5畳程度の広さしかない運動場もあります。
◇入浴◇
入浴の回数は夏と冬とで異なりますが、基本的に、週に2回程度、入浴することができます。
複数人での入浴となり、入浴中は看守が自殺防止などのため、監視窓から入浴状況を確認します。
入浴時間は概ね決められており、看守から交代時間を告げられます。
◇洗濯◇
留置場では週に1回程度、看守に洗濯をしてもらいます。
看守が場内の洗濯機と乾燥機を使い洗濯し、洗濯した衣類を戻してもらいます。
◇健康診断◇
留置場には月に1,2回、医師の健康診断を受けます。
通常、身体検察室において、簡単な問診と胸に聴診器を当てる程度です。
緊急に医療機関の受診を希望する場合は、看守に医療機関まで護送してもらい、看守の立会いのもと、医師の診察を受けます。
留置場には常備薬が備えられており、看守に申し出れば、風邪薬、下痢止め、頭痛薬などの簡単な薬を処方してもらえます。
あくまで市販の薬を処方するだけで、日常的に医療機関から処方してもらい服用している薬があれば、先に書いたとおり、看守に医療機関まで護送してもらい、医師に処方してもらいます。
◇食事◇
留置場では官弁と呼ばれる無料で支給される食事と、自弁と呼ばれるお金を払って自費で購入する食事があります。
官弁はパンや簡単な総菜で質素なものが多いのですが、自弁を注文すれば、官弁にはない暖かい弁当や麺類をとることができる場合もがあります。
自弁の種類は、警察署によって異なり、お菓子類も自費で購入することができます。
◇読書◇
留置場では官本と呼ばれる本を無料で借りることができ、房内で過ごす就寝までの間、官本を読むことができます。
借りることができる本は3冊程度を決められていて、朝に自分で借りたい本を選び、房内に持ち込みます。
官本の種類としては、小説や漫画などがあります。
また、好きな本を差し入れてもらって読むことができますが、看守により本の記載内容の確認が行われた後、房内に持ち込むことができます。
◇会話◇
留置場では同部屋の人との会話が禁じられる場合もありますが、基本的には世間話などの会話は認められております。
叫び声や奇声をあげ騒ぐことは禁じられており、注意され、ひどい場合は拘束具を装着されて身体拘束を受けることもあります。
◇手紙◇
接見禁止処分で外部との手紙のやり取りを禁じられている以外は手紙を外部に送ることができます。ボールペンは無料で貸してもらえますが、原則として、被疑者ノートを書いたり、手紙を書くときにしか貸してもらえません。
ボールペンは凶器になり得ますので、使用後は看守に返却しますし、就寝前には必ず回収されます。
◇お金◇
留置場ではお金を稼ぐことはできません。
留置時に所持金がなければご家族やご友人からの差し入れに頼るしかありません。
所持金は、自弁や菓子類、タオル、歯ブラシ等の日用品の購入で使用することができます。
◇気温◇
留置場のイメージだと、壁も床もコンクリートでできていて寒そうなイメージがあると思います。
留置場の房内は畳敷きとなっていて、冷暖房の設備があります。
とはいっても、警察署の築年数によって、古い留置場は床冷えがすることがあるようです。
◇男女の別◇
逮捕されるのは男性も女性も同じです。基本的には同じルールに基づき生活を送ることとなりますが、女性を留置する場合は、担当する看守も女性にしなくてはならないなどの決まりがあります。
したがって、女性を留置できる留置場の数は限られていているので、逮捕された場所から遠く離れた警察署の留置場に留置される場合もあります。
◇留置場と拘置所の違い◇
留置場も拘置所も身柄を拘束する場所という点では同じですが、管轄が違います。
警察署の管轄となっているのが留置場で、法務省の管轄となっているのが拘置所です。
逮捕され、身柄を拘束する必要がある場合、ほとんどが留置場に入ることになり、取調べ担当の警察官が留置場の近くの環境にいるということが、捜査を早く終わらせることができるという犯人の利益にもなるのです。
また、起訴されると基本的に拘置所に移されることがあります。
拘置所は刑務官によって監視を受けることになります。
ご家族、ご友人が逮捕されて、大阪府内の警察署の留置場に収容されている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回法律相談:無料
警察署までの初回接見費用:32,400円~
背任罪の刑事弁護活動②
背任罪の刑事弁護活動について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
◇事件◇
Aさんは、東大阪市の近鉄布施駅近くにある信用金庫に勤めています。
Aさんは、この信用金庫で融資担当課長の職にあります。
Aさんは、布施駅近くて工務店を営んでいる友人に数年前から融資をしています。
融資を開始した当初は毎月利息が返済されていましたが、業績が悪化し始めた5年ほど前からは、返済が滞っていました。
しかし友人に懇願されて断ることができなかったAさんは、単に既存の貸付金の回収を図るとの名目(救済融資)で、その後も約50回にわたって合計8000万円を無担保で貸し付けました。
その後、友人の工務店が倒産し、救済融資を含めて全ての貸付金の回収ができなくなったことによって、Aさんの不正融資が信用金庫で問題視されてAさんは、信用金庫から調査を受けています。
信用金庫が、背任罪での刑事告訴を検討していることを知ったAさんは、大阪で刑事事件に強いと評判の、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の無料法律相談を利用しました。
(フィクションです)
◇救済融資◇
救済融資とは、すでに多額の融資を受けている者が、業績の悪化等で経営上の屈強に陥った際に、そういった状況から救うために更に追加融資する等、一般的に倒産に瀕した企業の経営改善のための資金として貸し付けられる融資を総称する金融上の実務用語です。
◇救済融資による背任罪の成否◇
救済融資の性質上、それを実行するに際しては、融資先から十分な担保を徴することが困難で、かつ貸し倒れの危険が大きいと言えるでしょう。
しかし、融資する金融機関とすれば、救済融資によって融資先企業が経営を持ち直して業績が回復する見込みが望める場合には、むしろ若干のリスクを冒してでも救済融資を続けることによって、焦げ付いた既存の貸付金の回収が可能となり、最終的には金融機関の損失を防ぐことになります。
このような観点から、融資先である企業の業績が回復する見込みがあり、融資する金融機関自体も、融資先企業の業績回復に応じて既存の貸付金の回収のために必要な措置を講じていたとすれば、任務に違背したとはいえないので、背任罪は成立しないでしょう。
逆に、融資先企業の業績が回復する見込みがない状況で、新たな担保物件を徴する等の措置を講じずに漫然と救済融資したのであれば、背任罪が成立する可能性が高くなります。
◇Aさんの事件を検討◇
Aさんは、工務店を経営する友人から新たな担保物件を徴することもせずに、また担保物件の保全や決済動向に応じた適時処分の必要上やむを得ず救済融資したのではなく、友人に懇請されるまま、単に既存の貸付金の回収を図るとの名目で、友人の利益を図るため漫然と救済融資に応じているものであるため、背任罪に当たる可能性があります。
◇背任罪の弁護活動◇
~会社への弁償及び示談~
Aさんの背任行為で被害者となる信用金庫が経済的な損失を負っているのは間違いありません。
信用金庫に対して損害額を弁済し、Aさんの刑事罰を望まない、刑事告訴しない旨(宥恕条項)を明記した示談を締結することが主な弁護活動となります。
示談の締結によって、刑事告訴を免れたり、例え告訴されていたとしても、告訴の取り消しが期待でき、不起訴等によって前科を免れることができます。
~減軽・執行猶予を目指す~
被害者への弁償や示談がかなわず起訴されてしまった場合、弁護士は、減軽を目指して活動することとなります。
背任罪の量刑は、被害者に与えた損害の程度に大きく左右されます。
一般的には損害額が100万円を超えてしまっている事件で、一切の弁済が行われていない場合には、実刑判決が言い渡される可能性が高いといえるでしょう。
そのため、被害者に損害全額がむずかしいくても、損害の一部を弁償するなどすることで反省の情が認められて減軽される可能性があります。
東大阪市の刑事事件でお困りの方、勤務先から背任罪で刑事告訴されるおそれのある方、大阪府布施警察署に、ご家族、ご友人が逮捕された方は、刑事事件に強いと評判の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回法律相談:無料
大阪府布施警察署までの初回接見費用:37,000円
背任罪の刑事弁護活動①
背任罪の刑事弁護活動について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
◇事件◇
Aさんは、東大阪市の近鉄布施駅近くにある信用金庫に勤めています。
Aさんは、この信用金庫で融資担当課長の職にあります。
Aさんは、布施駅近くで工務店を営んでいる友人に数年前から融資をしています。
融資を開始した当初は毎月利息が返済されていましたが、業績が悪化し始めた5年ほど前からは、返済が滞っていました。
しかし友人に懇願されて断ることができなかったAさんは、単に既存の貸付金の回収を図るとの名目(救済融資)で、その後も約50回にわたって合計8000万円を無担保で貸し付けました。
その後、友人の工務店が倒産し、救済融資を含めて全ての貸付金の回収ができなくなったことによって、Aさんの不正融資が信用金庫で問題視されてAさんは、信用金庫から調査を受けています。
信用金庫が、背任罪での刑事告訴を検討していることを知ったAさんは、大阪で刑事事件に強いと評判の、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の無料法律相談を利用しました。
(フィクションです)
◇背任罪~刑法第247条~◇
背任罪は、他人のためにその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときに成立します。
背任罪の法定刑は「5年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。
~主体~
背任罪の主体は「他人のためにその事務を処理する者」ですが、株式会社の発起人、取締役、会計参与、監査役、執行役等の役職員が背任行為に及べば、刑法第247条に定められた背任罪ではなく、会社法第960条に定められた「特別背任罪」の適用を受けます。
特別背任罪の法定刑は「10年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金又はその併科」と、背任罪に比べると非常に厳しいものです。
Aさんの身分は、信用金庫の融資担当課長ですので、特別背任罪の主体にはなり得ず、背任罪が適用されます。
~図利加害目的~
背任罪が成立するには、その背任行為に「自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的」が必要となります。
これを図利加害目的といいます。
背任罪が財産犯であることを考えると、ここでいう「利益」「損害」は、財産上のものに限るという説もありますが、判例では、自己の社会的地位、信用、面目、経営権等を保全、維持することなどの身分上の「利益」、これらを失墜させる「損害」など、財産上に限られず身分上の「利益」「損害」も含むとされています。
~Aさんの事件を検討【融資】~
上記のように、背任罪の成立には図利加害目的が必要となります。
つまり、本人の利益を図る目的で行為に及んだ場合は背任罪を構成しない場合もあるのです。
本来、信用金庫の業務における「融資」は、融資先と信用金庫の利益を図る目的で行われるものですが、同時に、それまでの融資の焦げ付きを防ぐなどの本人の利益を図る目的が、自己又は第三者の利益を図る目的と併せて認められることがあります。
このような場合には、目的の主従により背任罪の成否が決定することになるのです。
その目的がなければ当該行為に出なかったようなものが主たる目的と認められますが、本人の利益を図る目的が決定的な動機ではない場合には、背任罪の図利加害目的が認められてしまうでしょう。
本日は、背任罪の主体と、図利加害目的について解説しました。
明日は、Aさんの行為が背任罪に当たるかどうかについて検討したと思います。
背任罪が成立するかどうかの判断は、法律の専門知識を有している弁護士であっても非常に難しいとされています。
東大阪市の刑事事件でお困りの方、勤務先から背任罪で刑事告訴されるおそれのある方、大阪府布施警察署に、ご家族、ご友人が逮捕された方は、刑事事件に強いと評判の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回法律相談:無料
大阪府布施警察署までの初回接見費用:37,000円
公務執行妨害罪で現行犯逮捕
◇事件◇
無職のAさんは、家の近所にあるコンビニまで自転車で行く道中に、よく大阪府西淀川警察署の警察官から職務質問をされます。
毎回、自転車の防犯登録番号から盗品自転車でないか調べられるのですが、何度も職務質問されることに腹を立てたAさんは、昨夜、パトカーに停止を求められた際に、持っていたペットボトルをパトカーに投げつけました。
パトカーのフロントガラスが割れてしまい、Aさんは、公務執行妨害罪で現行犯逮捕されました。
(フィクションです)
◇公務執行妨害罪~刑法95条1項~◇
公務員が職務を執行するにあたり、これに対して暴行・脅迫を加えた者は3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。
~ペットボトルをパトカーに投げつける行為は、公務執行妨害罪の「暴行」に当たるか~
刑法の規定の中には「暴行」という言葉がよくつかわれますが、その意味は各罪名によって異なりますから注意が必要です。刑法の「暴行」は次の4種類に分けられます。
=最広義の暴行=
有形力の行使すべてを含み、対象は人であっても物であってもよいとされています。
=広義の暴行=
人に対する有形力の行使をいいますが、直接暴行だけではなく、間接暴行も含むとされてます。
=狭義の暴行=
人の身体に対する有形力の行使をいいます。
=最狭義の暴行=
人の身体に対する有形力の行使で、人の反抗を抑圧するか、著しく困難にする程度のものとされています。
このうち、公務執行妨害罪の「暴行」は上記②に当たります。
直接暴行とは、人の身体に直接に有形力を加えることですが、間接暴行とは、物に対する有形力で、それにより間接的に一定の人に物理的・心理的に感応を与えるようなものを意味します。
すなわち、後者の場合、直接人の身体に暴行を加える必要はありません。Aさんの「パトカーにペットボトルを投げつけ、フロントガラスを割った」という行為も、この間接暴行に当たるでしょう。
~ペットボトルをパトカーに投げつけただけで、公務執行妨害の「公務の妨害」に当たるか~
上の暴行の程度ですが、当然、職務執行の妨害となる程度のものである必要がありますが、それによって現実に職務の執行が妨害されたことを必要とされません。
これは、公務執行妨害罪の目的が公務の円滑な執行を保護するためにあるからです。
パトカーは、警察官が様々な警察業務を遂行するに当たって必要不可欠なものです。
フロントガラスが割れたパトカーでは、その後の警察業務に従事することができませんので、警察官の業務を妨害したことになるでしょうから公務執行妨害罪が成立する可能性は極めて高いといえます。
業務の妨害が認められなかった場合は、器物損壊罪が成立するにとどまるでしょう。
大阪市西淀川区における刑事事件でお困りの方、ご家族、ご友人が公務執行妨害罪で、警察に逮捕された方が、刑事事件に強いと評判の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回法律相談:無料
大阪府西淀川警察署までの初回接見費用:34,900円
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の無料法律相談、初回接見サービスのご予約は0120-631-881で24時間承っておりますので、お気軽にお電話ください。
あおり運転に殺人罪が適用②
~事件~
堺市で昨年7月に、あおり運転の後、バイクに車を衝突させて、バイクを運転していた男子大学生を死亡させたとして、大阪地方裁判所堺支部は、車を運転していた男性に、殺人罪の成立を認め、懲役16年の判決を言い渡しました。(平成31年1月26日付讀賣新聞朝刊を参考)
昨日は、あおり運転と殺人罪における手段と方法について解説しました。
本日は、殺人罪の故意、つまり殺意と、今回のあおり運転による殺人事件の刑事裁判について解説します。
◇殺人罪の故意~殺意~◇
殺人の故意、つまり殺意がなければ、殺人罪は成立しません。
いかに人の死亡という重大な結果が生じたとしても、故意(殺意)がなければ殺人罪は成立せずに、傷害致死罪や、過失致死罪にとどまるのです。
殺人罪でいう故意(殺意)の内容は、客体に対して単に生命ある人であることの認識で足ります。
行為に関しては、殺人の手段である行為によって死の結果が発生する可能性があることの認識があればよいとされています。
殺人の故意(殺意)は、確定的な故意に限られず、未必的な故意、条件付故意、あるいは包括的な故意であっても殺人罪は成立します。
そもそも故意とは、罪を犯す意思のことで、刑法第38条に規定されているように、法律に規定のある場合を除いては、故意のない行為については刑罰を科すことができません。
故意は、大きく「確定的故意」と「不確定的故意」に分けられます。
行為者が、犯罪事実の実現を確定的に認識、認容していることを確定的故意といいます。
不確定的故意の一つに未必の故意があります。
未必の故意とは、行為者が犯罪事実の実現を可能なものとして認識、認容していることです。
相手の頭を鈍器で殴って殺害した事件を例えると、もし行為者に「この凶器で頭を殴ったら相手が死ぬ」という確定的な認識があって、それを認容して頭を殴りつけて相手を殺せば、確定的故意が認められることになります。
もし行為者が「この凶器で頭を殴れば死ぬかもしれないが、相手が死んでもかまわない」というように、死の可能性を認識しながら、その結果を受け入れて行為に及んだ場合は未必の故意となり、この場合も殺人罪が認められます。
◇刑事裁判◇
それでは今回の刑事裁判を解説します。
新聞等でも報道されているように、今回の裁判で被告人の男性は、車をバイクに衝突させた行為について「車線変更を急ぐためで、追跡していたわけではない。追突も故意ではなく、直前にブレーキをかけた。」と、故意を否認しており、あくまで過失によって起こった交通事故であることを主張していました。
しかし、検察側は、被告人が運転していた車に搭載されていたドライブレコーダーの映像や音声から
・衝突の直前にヘッドライトをハイビームにして、執拗にクラクションを鳴らして被害者に対してあおり運転をしている。
・あおり運転から逃げるために加速して車線変更した被害者のバイクを追随して加速している。
・急ブレーキや急ハンドルといった衝突を回避するための行動をとっていない。
・衝突後もすぐに停止することなく数秒間走行を続け、その後「はい、終わりー」とつぶやいている。
を根拠に、被告人が、故意的に被害者のバイクに車を衝突させていると主張した上で、100キロ近いスピードで走行する車を、同スピードで走行するバイクに衝突させれば、バイクが転倒することは明らかで、それによって運転手が死亡する危険性があることは十分に認識できていたはずだとして、未必の故意による殺人罪を訴えていたのです。
被告人は、自宅とは違う方向に車線変更した理由を「妻を迎えに行くためであって、被害者のバイクを追跡したのではない。」と主張し、急ブレーキをかける等して衝突を回避する行動をとっていないことについては「普段仕事でトラックを運転しているが、トラックは急ブレーキを踏むと荷崩れするので、その癖で急ブレーキをかけなかった。」と主張していました。
更にバイクに衝突した後に「はい、終わりー」とつぶやいた理由については「人生が終わったという落胆してしまってつぶやいた。」と弁解していましたが、裁判官は、被告人の主張をほぼ全面的に退けて、未必の故意を認定して殺人罪を言い渡したようです。
堺市で刑事事件に強い弁護士をお探しの方、あおり運転で警察の捜査を受けておられる方、ご家族、ご友人が殺人罪で警察に逮捕されてしまった方は、刑事事件を専門に扱っている弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回法律相談:無料
あおり運転に殺人罪が適用①
~事件~
堺市で昨年7月に、あおり運転の後、バイクに車を衝突させて、バイクを運転していた男子大学生を死亡させたとして、大阪地方裁判所堺支部は、車を運転していた男性に、殺人罪の成立を認め、懲役16年の判決を言い渡しました。(平成31年1月26日付讀賣新聞朝刊を参考)
以前にもこのコラムで紹介した事件の判決が昨日言い渡されました。
全国的に厳しい取締りが行われているあおり運転に対して、ついに殺人罪が認定されましたが、その決め手となったのは、被告人の運転する車に搭載されていたドライブレコーダーで撮影された映像のようです。
今日から二日間にわたって、あおり運転と殺人罪、そして今回の裁判を特集します。
◇あおり運転◇
東名高速道路で一家4人が死傷した事件で世間の注目を集めてからあおり運転が大きな社会問題となりました。
そのため全国の警察ではあおり運転の取締りを強化しています。
そもそもあおり運転とは、危険な追い越しや、前の車に急接近して車間距離を詰めたり、後続車がいるにもかかわらず不必要な急ブレーキをかけて衝突させようとしたり、前方を走行する車両にパッシングや、ハイビーム。クラクションを鳴らす等の危険な運転行為をいいます。
自動車を運転しての行為なので、通常は道路交通法違反による取締りが行われます。
例えば、急接見する行為は、車間距離不保持違反となりますし、危険な追い越しは、追い越し方法違反、幅寄せ行為は安全運転義務違反、執拗にクラクションを吹鳴する行為は、警音器使用制限違反によって取締りを受けますが、刑事事件化されない限りは、交通反則通行制度に則って、違反点数が累積されて、反則金の納付することで刑事罰が科せられることはありません。
しかし、警察庁は、より罰則の重い法令を積極的に適用するように全国の警察に指示しており、暴行罪(刑法第208条~2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料~)や傷害罪(刑法第204条~15年以下の懲役又は50万円以下の罰金~)といった法律が適用されたケースがあります。
ちなみに、新聞等の報道によりますと、昨年1年間で、あおり運転に対してこれらの法令が適用されて刑事事件化されたのは、暴行容疑24件、傷害容疑1件とのことです。
◇殺人罪◇
今回の事件で認定されたのは刑法第199条に定められた殺人罪です。
殺人罪は、人の命を奪うという結果の重大性から、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役と、非常に厳しい法定刑が定められています。
殺人罪は、殺意(故意)をもって人を死に至らしめることで、その手段・方法に制限はありません。
射殺・撲殺・絞殺・毒殺等およそ他人の生命を断絶し得る手段、方法を用いた一切の行為について、殺人罪の実行行為が認められます。
また作為、不作為も問われませんので、幼児を養育する義務を負う者が、殺意をもって、殊更にその生存に必要な食べ物を与えず死に至らしめたような場合は、不作為による殺人罪が成立します。
更に間接正犯による殺人罪も認められます。
例えば、医師が患者を殺そうとして、薬と偽って看護師を使って毒薬を飲ませた場合は、間接正犯による殺人罪が成立するのです。