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有価証券の偽造事件
有価証券の偽造事件について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
~事件~
契約社員のAさんは、先日派遣先を解雇されて生活費に困窮しています。
奈良市のデパートが発行している「商品お取替え券」が金券ショップで買取りしていることを知ったAさんは、この券を偽造して金券ショップに売ることを考えました。
そこでAさんは、デパートが正規に発行している「商品お取替え券」を入手して、カラーコピー機を使用して偽造券を500枚作成したのです。
そして、偽造券を金券ショップで1枚900円で全て売ってしまいました。
金券ショップの店員が気付く事はありませんでしたが、しばらくして偽造券が出回っている旨のニュースを見たAさんは、警察が捜査していることを知って、刑事事件に強いと評判の弁護士に相談することにしたのです。
(フィクションです)
※偽造した「商品お取換え券」は、デパートで商品を購入した際に、その購入額に応じてデパートから交付されるサービス券で、1枚当たり1000円相当の商品と引き換えることができます。
「商品お取替え券」の表面には、金額(1000円)と、デパートの記名と、同デパートの印影が朱肉で押なつされています。
そして裏面には、使用できる系列デパート名が列記され、本券は販売及び返金はしない旨が明記されています。
◇有価証券偽造罪◇
~刑法第162条第1項~
行使の目的で、公債証書、官庁の証券、会社の株券その他の有価証券を偽造し、又は変造した者は、3月以上10年以下の懲役に処する。(刑法抜粋)
~有価証券とは~
通説では、有価証券偽造罪にいう「有価証券」とは、財産権を表彰した証券であって、証券上表示された財産上の権利、行使又は処分のために、その証券の占有を必要とするものとされています。
また有価証券の表彰する財産権は、債券であると物権であると、その他の権利であるとを問わず、流通性を持つことは必ずしも必要でないと解されています。
ここでAさんが偽造した「商品お取替え券」が有価証券に当たるかを検討します。
「商品お取替え券」は、上記※のよう体裁をなしているので、商品の代価の弁済に充てる権利、つまり、具体的な物品引渡請求権が表示されていることが認められます。
また、「商品お取替え券」の使用用途を考えると、有価証券のもう一つの要件、すなわち権利行使に当たっては証券の占有を必要とする要件も満たしているといえるでしょう。
このような観点から、Aさんが偽造した「商品お取替え券」は、名称こそ異なるものの、一般のデパートで販売されている商品券と同様に、有価証券偽造罪の客体となる有価証券に該当するでしょう。
鉄道等の乗車券、定期券、クーポン券等が有価証券に該当します。
~行使の目的~
有価証券偽造罪は、その成立に行使の目的を必要とする目的犯です。
有価証券偽造罪と同じように行使の目的を必要とする法律に通貨偽造罪がありますが、通貨偽造罪の行使の目的にある、流通に置くことまでは必要とされていません。
判例によりますと、有価証券偽造罪でいうところの「行使」とは、偽造した有価証券を、その用途に従って、真正(内容が真実)である有価証券として使用することです。
Aさんは、偽造した「商品お取替え券」を金券ショップに買い取らせているので、この行為は、当然、有価証券偽造罪の「行使」に当たり、その目的で「商品お取替え券」を偽造した行為は有価証券偽造罪に該当するでしょう。
◇偽造有価証券行使罪と詐欺罪◇
~偽造有価証券行使罪(刑法第163条)~
偽造した有価証券を使用すれば、偽造有価証券行使罪が成立します。
偽造した「商品お取替え券」を金券ショップに売ったAさんの行為は、当然、有価証券行使罪に該当します。
偽造有価証券行使罪の法定刑は、有価証券偽造罪と同じく3月以上10年以下の懲役です。
~詐欺罪(刑法第246条)~
人を騙して財物の交付を受けると詐欺罪が成立します。
詐欺罪の法定刑は10年以下の懲役です。
Aさんは、偽造した「商品お取替え券」を、金券ショップの店員に真正(本物)と偽って買い取らせて現金を得ています。
当然、この行為は詐欺罪に当たります。
今回の事件で、Aさんは有価証券偽造罪・偽造有価証券行使罪そして詐欺罪の3つの法律を犯していることになりますが、偽造・行使・詐欺は順次手段結果の関係にあるので、牽連犯として刑法上一罪となります。
牽連犯は、該当する罪のうち、最も重い罪の法定刑によって処断されるので、今回の事件の場合、Aさんに科せられる可能性がある刑事罰は「3月以上10年以下の懲役」です。
奈良市の刑事事件でお困りの方、有価証券を偽造した事件で警察の捜査を受ける可能性がある方は、刑事事件を専門にしている「弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所」にご相談ください。
初回法律相談:無料
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無銭飲食は詐欺事件になりますか?
無銭飲食の詐欺事件について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
◇事件◇
ある日Aは、大東市のレストランで食事をした際に、レジで代金を支払う事なく帰宅しました。
ある日、テレビで「無銭飲食をした男性が詐欺罪で逮捕された。」というニュースを見たAさんは、自分も警察に逮捕されるのではないかと不安です。
そこで、自分の行為が無銭飲食に当たると思ったAは、詐欺罪に強い弁護士に相談しました。(フィクションです。)
◇詐欺罪◇
詐欺罪は、人を騙して①財物の交付を受けたり②財産上不法の利益を得た場合に成立する犯罪です。
一般的に①を一項詐欺②を二項詐欺と言います。
詐欺罪の成立には、最低限の条件として「詐欺の故意」⇒「欺罔行為(騙す行為)」⇒「錯誤(騙される)」⇒「財物の交付」が必要となります。(構成要件)
詐欺罪の法定刑は「10年以下の懲役」と罰金刑が定められていないので、起訴されて有罪が確定すれば、執行猶予を得なければ刑務所に服役しなければなりません。
◇無銭飲食◇
詐欺罪が成立するには、上記したような構成要件が必要となり、それぞれに因果関係がなければなりません。
つまり無銭飲食=(イコール)=詐欺罪となるわけではなく、無銭飲食をするに至った状況によって様々なケースが考えられるのです。
=ケース1 ~最初からお金を持っていない事を認識しながら料理を注文した場合~=
お金がないのに入店し、料理を注文した時点で「詐欺の故意」が認められるでしょう。
お金がないのに店員に料理を注文する行為は、店員を騙す行為(欺罔行為)と捉えることができます。
そして店員は「料理を提供すれば代金を支払ってもらえる。」という錯誤に陥り、料理を提供します。
料理の提供が「財物の交付」と捉えることができるので、料理が提供された時点で詐欺罪が既遂に達すると考えられるでしょう。
=ケース2 ~途中でお金を支払う意思が無くなり逃走した場合~=
入店して店員に料理を注文するまでは代金を支払う意思がありました。
しかし運ばれてきた料理を食べている途中で、財布を忘れていることに気付いて、店員の隙を見て逃げたり、お金はあるが代金を支払うのがもったいなくなって、代金を支払う事なく逃走したりしたした場合などは、入店した時点では詐欺の故意は認められません。
しかし、料理を注文した後に無銭飲食の意思が芽生えて、代金を支払わずに逃走した場合は、詐欺罪の成立に必要とされる要件が揃わないので、詐欺罪が成立しない可能性があります。
しかし、逃走する際に、店員に対して「外に財布を取りに行ってくる。」等と言って、店員を騙す行為があった場合は、支払いを免れたとして2項詐欺罪が成立する可能性があります。
◇無銭飲食で逮捕されるのか◇
無銭飲食で警察に逮捕される可能性が高いのは、現行犯で店員に捕まった場合で現金を持っていなかった場合や、連続して無銭飲食を行っている場合です。
何れの場合も、上記=ケース1=で解説したように、詐欺の故意を立証しやすいからです。
無銭飲食は、犯行時の状況等によって詐欺罪が成立するかどうかが決定しますし、刑事事件化されたり、逮捕される可能性は、無銭飲食した際の状況によって変わってきます。
大東市の刑事事件でお困りの方や、無銭飲食してしまったことで警察に逮捕されるかどうか不安のある方は、大阪で刑事事件に強いと評判の「弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所」んにお問い合わせください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、検事事件に関する法律相談を初回無料で承っておりますので、ご安心してご相談ください。
大麻の栽培
大麻の栽培について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
◇事件◇
土木作業員をしているAさんは、泉大津市にある職場の近くに、仕事道具を置くために借りている倉庫で大麻を栽培しています。
Aさんは、10年以上前に友人から大麻の栽培方法を教えてもらってからずっと、この倉庫で大麻を栽培しているのです。
最初は自分が使用する分だけを自宅マンションで栽培していましたが、今では、倉庫で大量の大麻を栽培しており、インターネットで知り合った大麻愛好家に密売しています。
先日、Aさんから大麻を購入した客が警察に逮捕されたという話を聞いたAさんは、警察の捜査が自身にまで及ぶのではないか心配です。
Aさんに、前科、前歴はありません。
(フィクションです)
◇大麻取締法◇
大麻取締法では、大麻の所持、譲渡、譲受、輸出入、栽培が禁止されており、Aさんの行為は、栽培と譲渡の違反になります。
~大麻取締法第3条第1項~
大麻取扱者でなければ大麻を所持し、栽培し、譲り受け、譲り渡し、又は研究のため使用してはならない。
ここでいう大麻取扱者とは、大麻栽培者及び大麻研究者のことです。
大麻栽培者とは、都道府県知事の免許を受けて、繊維若しくは種子を採取する目的で大麻草を栽培する者のことです。
また大麻研究者とは、都道府県知事の免許を受けて、大麻を研究する目的で大麻草を栽培し、大麻を使用する者のことです。(大麻取締法第2条)
~栽培の禁止~
大麻取締法第24条に大麻の栽培を禁止する旨と、その罰則が明記されています。
◇大麻取締法第24条第1項◇
「大麻を、みだりに栽培し…た者は、7年以下の懲役に処する。」旨が明記されています。
ここでいう「みだりに」とは、社会通念上正当な理由が認められないという意味です。
上記のとおり、法律上、大麻の栽培が認められているのは大麻取扱者だけですので、それ以外の者が大麻を栽培すれば、この「みだりに」と言えるでしょう。
◇大麻取締法第24条第2項◇
「営利の目的で、大麻を栽培した者は、10年以下の懲役に処し、又は情状により10年以下の懲役及び300万円以下の罰金に処する」旨が明記されています。
営利の目的とは、犯人が自ら財産上の利益を得たり、第三者に得させることを、動機・目的とすることを意味します。
簡単に言うと、営利目的に大麻を栽培することとは、販売して利益を得ることを目的に大麻を栽培することです。
大麻を営利目的で栽培していたことは、栽培した大麻を実際に販売していたかどうか、またそれによって利益を得ていたかどうかによって立証されます。
~譲渡の禁止~
大麻取締法第24条の2に、大麻の譲渡を禁止する旨と、その罰則が明記されています。
◇大麻取締法第24条の2第1項◇
「大麻を、みだしに…譲り渡した者は、5年以下の懲役に処する。」旨が明記されています。
◇大麻取締法第24条の2第2項◇
「営利の目的で、大麻を譲り渡した者は、7年以下の懲役に処し、又は情状により7年以下の懲役及び200万円以下の罰金に処する」旨が明記されています。
単に、一度だけ友人に大麻を有償で譲り渡しただけで、営利目的の大麻譲渡とは認められないでしょう。
営利目的の大麻譲渡は、複数回に渡って、大麻を有償で譲渡するといった反復継続性が必要となり、それによって利益を得ていなければなりません。
◇量刑◇
営利目的でなければ、大麻の栽培も、譲渡も、初犯であれば執行猶予付の判決が十分に望めます。
逆に、営利目的が認められてしまうと、初犯であっても実刑判決の可能性が十分に考えられます。
営利目的の大麻栽培や、譲渡事件は、これまでの密売実績や、密売の規模、栽培の規模等によって、その量刑は左右されます。
Aさんの場合、営利目的の大麻栽培と、譲渡事件で起訴されて有罪が確定すれば、この二罪は併合罪となるので、有罪が確定した場合「15年以下の懲役、又は情状により15年以下の懲役及び500万円以下の罰金」が言い渡されます。
最高で15年の懲役と500万円の罰金と考えれば、決して軽い罪ではないので注意しなければなりません。
泉大津市の刑事事件でお困りの方、営利目的の大麻の栽培や譲渡事件に強い弁護士をお探しの方は、刑事事件に強いと評判の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回法律相談:無料
大阪府泉大津警察署までの初回接見費用:38,100円
料金を払わないタクシー強盗
料金を払わないタクシー強盗
料金を払わないタクシー強盗について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
~事例~
大阪府西成区に住むAはある日、酒を飲んでいて終電をなくし、タクシーで家まで帰ることにしました。
しかし、Aは運転手の運転が気に入らなかったらしく、こんな運転に金が払えるかといって料金を支払わずに立ち去ろうとしました。
運転手はAを止めようと立ちふさがりましたが、Aは運転手を殴ってそのまま帰りました。
後日、Aの自宅に大阪府西成警察署の警察官が来てAは強盗致傷で逮捕されることになってしまいました。
Aの両親は大阪の刑事事件に強い弁護士に初回接見を依頼しました。
(この事例はフィクションです)
2項強盗
刑法第236条 強盗
1項
「暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する」
2項
「前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする」
強盗罪は上記の様に規定されており、2項では財産上の利益を得ることも処罰の対象としています。
今回の事例のAはタクシー料金の支払いを免れるために運転手に暴行を加えているので、2項での強盗が成立することになりました。
条文上の「暴行又は脅迫」については相手方の反抗を抑圧するに足りる程度であることが必要とされ、これは客観的に判断されます。
強盗罪の罰則は「5年以上の有期懲役」と規定されているので、もし起訴されてしまうと無罪を除き、刑の減免がなければ執行猶予も付けられなくなり、実刑判決を受けることになってしまいます。
さらに、今回のAが殴った行為により店員がけがをしていると、強盗致傷となってしまう可能性もあります。
強盗致傷となってしまうと「無期又は6年以上の懲役」が規定されているので起訴されてしまうと裁判員裁判となってしまいます。
他に2項強盗となる例としては暴行脅迫を用いてキャッシュカードの暗証番号を聞き出した場合に成立した裁判例(東京高判平21.11.16判時2013)もあります。
一方で2項強盗が成立しなかった例としては、相続を受けるために両親を殺害しようとした強盗殺人未遂(東京高判平元2.27判夕737)や経営者を殺害して経営を継承したという例(神戸地17.4.26判時1904)があります。
このような場合には2項強盗は成立しないと判断されました。
裁判員裁判
裁判員裁判とは,抽選で選ばれた一般市民が「裁判員」となって,裁判官と一緒に刑事被告人が有罪であるか否か,有罪であるとしてどれくらいの刑を課すべきかを決める制度です。
裁判員裁判の対象となる事件については,裁判員の参加する刑事裁判に関する法律2条1項に定められています。
1号 死刑又は無期の懲役、禁錮に当たる罪に係る事件
2号 法定合議事件であって故意の犯罪行為により被害者を死亡させた事件
強盗致傷罪の法定刑は「無期又は6年以上の懲役」(刑法236条)ですから1号に該当し,裁判員裁判対象事件ということになります。
裁判員裁判は,国民がもつ常識や感覚を裁判に反映させるとともに,司法に対する国民の理解の増進とその信頼の向上を図ることが目的とされています。
しかし,裁判のプロではない一般の方が参加するわけですから,先入観や偏見などによって,偏った事実認定をされたり,不当に重い量刑となるおそれがあるという弊害も指摘されています。
実際に,裁判員裁判で出された死刑判決が,高裁で無期懲役となった裁判例などもあります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では裁判員裁判に強い弁護士が無料相談、初回接見を行っています。
ご予約はフリーダイヤル0120-631-881にて24時間受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。
大阪府西成警察署までの初回接見費用35,400円
ケンカ相手を死亡させたら
ケンカ相手を死亡させた場合について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
◇事件◇
Aさんは、東大阪市の町工場に勤務しています。
Aさんは、同じ作業を受け持っている同僚と性格が合わず、これまでも些細な事が原因でトラブルを何度か起こしています。
昨日も、機械の使い方を巡って同僚とトラブルになったAさんは、同僚から胸倉を掴まれたことので、同僚の顔面を手拳で殴りました。
Aさんに殴られた同僚は転倒し、動いていた機械に巻き込まれて死亡してしまいました。
その後Aさんは、通報で駆け付けた、大阪府布施警察署の警察官に殺人罪の容疑で逮捕されました。
刑事事件専門の弁護士からアドバイスを受けたAさんは、逮捕から一貫して殺意を否定して、傷害致死罪の適用を求めています。
(フィクションです)
◇殺人罪と傷害致死罪の違い◇
傷害致死罪については、刑法第205条において、「身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、3年以上の有期懲役に処する。」と規定されています。
一方、殺人罪については、刑法第199条において、「人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。」と規定されています。
傷害致死罪も殺人罪も、他人の生命を奪うという結果の重大性から非常に厳しい法定刑が定められています。
しかし殺人罪の法定刑は、懲役刑の下限が5年のため、減軽がなければ執行猶予は見込めませんが、傷害致死罪では、懲役刑の下限が3年であることから、減軽がなくても執行猶予うが望めますので、刑事裁判で言い渡される刑事罰については大きな違いがあります。
そこで今回は、殺人罪と傷害致死罪の違いについて考えてみたいと思います。
◇故意◇
傷害致死罪も殺人罪も、人に傷害を負わせ、その傷害によってその人を死亡させた場合に成立する犯罪のため、外見上は似ていますが、行為者の主観面において大きな違いがあります。
殺人罪は殺意をもって行為に出て、それによって人を死亡させた場合に成立する犯罪です。
一方、傷害致死罪は、殺人の故意はなく、暴行または傷害の故意だけをもって行為に出て、傷害を負わせ、それによって人を死亡させた場合に成立する犯罪ですので、傷害罪の結果的加重犯といえるでしょう。
このように、傷害致死罪は、行為時に殺意がないという点で、殺人罪と異なるため、法定刑も殺人罪に比べて軽くなっています。
◇この事件を検討◇
今回の事件を検討すると、Aさんが殺意をもって同僚を暴行したかどうかが、殺人罪が適用されるか、傷害致死罪の適用にとどまるかの違いになります。
もしAさんが、同僚の後方で機械が動いていることを認識したうえで、同僚を殴れば機械の方向に倒れ、機械に巻き込まれて死んでしまう結果を予測しながら、それを容認して暴行に及んでいるのであれば殺人罪が適用されるでしょう。
仮に、同僚に胸倉を掴まれたことに腹が立ち、とっさに暴行に及んだのであれば、上記のような結果を予測する余地もありませんので、傷害致死罪の適用にとどまるでしょう。
◇執行猶予獲得に向けた弁護活動◇
上記のケースにおいて、Aさんが殺人罪ではなく傷害致死罪に問われる場合、執行猶予が付く可能性が出てきます。
執行猶予とは、言い渡される懲役刑が3年以下の場合で、酌むべき情状があり、過去5年間禁錮以上の刑に処せられていないときであれば、付く可能性があります。
そして、傷害致死罪の有罪判決に執行猶予が付くか否かは、「酌むべき情状」の有無にかかっています。
傷害致死罪の場合、過失致死罪とは違い、暴行・傷害の故意はあるため、故意の犯罪行為によって人を死亡させています。
そのため、検察官・裁判官としては、簡単には「酌むべき情状」を認めてくれないケースが多いです。
したがって、公判では、被告人に有利な情状を、的確に主張していくことが大切です。
被告人にとって有利な情状としては、例えば同種前科がなく、行為態様にも顕著な悪質さまではなく、犯行後の証拠隠滅行為等もしていない等が考えられます。
そして、このような有利な情状を裁判において的確に主張していくためには、出来るだけ早い段階から刑事事件に強い弁護士を付け、早期に被疑者・被告人の方の話を聞き、事件を詳細に調べ、証拠を集めるといった弁護活動を開始してもらうことをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に強い弁護士が多数在籍しております。
ご家族、ご友人が、ケンカ相手を死亡させてしまうような重大事件を起こしてしまって警察に逮捕された方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回法律相談:無料
東大阪市を管轄する大阪府布施警察署までの初回接見費用:37,000円
自殺に関与する犯罪
自殺に関与する犯罪について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
◇事件◇
Aさんは3年前まで酒屋を営んでいましたが、近所に大手スーパーがオープンしたことによって売り上げが激減し、2年前に店を閉めました。
1年ほど前には妻にも先立たれてしまったAさんは、借金だけが残り、最近は生きていく意欲が全くありませんでした。
そん中で、同じような境遇にいる数名とSNSで知り合い、Aさんは、みんなで集団自殺することを呼びかけました。
そして1週間前に、賛同を得た男性2人と共に、Aさんが所有する枚方市内の倉庫で練炭自殺を図ったのです。
異変に気付いた近所の住民が警察に通報して、駆け付けた大阪府枚方警察署の警察官によって発見されたAさんは一命をとりとめましたが、一緒に自殺を図った男性2名は死亡しました。
Aさんは、自殺教唆罪で大阪府枚方警察署で取調べを受けています。
(フィクションです)
◇自殺関与及び同意殺人~刑法第202条~◇
刑法第202条
人を教唆し若しくは幇助して自殺させ、又は人をその嘱託を受け若しくはその承諾を得て殺した者は、6月以上7年以下の懲役又は禁錮に処する。
◇自殺関与の罪◇
人を教唆して自殺させれば自殺教唆罪に、人の自殺を幇助すれば自殺幇助罪となります。
「自殺」とは、自由な意思決定に基づいて行為者自身が、自ら命を絶つことです。
~自殺教唆~
自殺教唆とは、自殺の意思のない者に対して、自殺の決意を与えて自殺を遂行させることですが、教唆の手段は制限がなく、明示的な方法に限られず、黙示的な方法でもよいとされています。
ただし、欺罔や威迫等の程度が著しい場合は、通常の殺人罪が適用されることがあります。
過去には、追死する意思がないにもかかわらず、それがあるかのように被害者を欺罔して、被害者を自殺させた者に対して殺人罪が適用されています。
~自殺幇助罪~
自殺幇助罪は、既に自殺することを決意している者に対して、その自殺行為に援助を与えて自殺の実現を用意することです。
なお、自殺を教唆した者が、引き続き自殺を幇助すれば、自殺教唆罪の包括的一罪となります。
ちなみに、自殺行為の実行に直接的に手を貸した場合は、幇助ではなく、同意殺人罪(自殺者の嘱託がある場合)若しくは、通常の殺人罪(自殺者の嘱託がない場合)が適用されます。
自殺幇助罪の幇助行為とは、自殺方法の指示や、自殺に使用する器具や、自殺する場所のの提供をいいます。
◇同意殺人の罪◇
同意殺人罪は大きく
①嘱託殺人罪
②承諾殺人罪
とに分かれます。
~嘱託殺人罪~
被殺者から、その者の殺害を依頼されて、これに応じて被殺者を殺害すれば嘱託殺人罪となります。
~承諾殺人罪~
被殺者から殺害されることについての同意を得て、これを殺害すれば承諾殺人罪となります。
これらの同意殺人罪が成立するには
①被殺者自身からの嘱託、承諾があったこと。
②被殺者が判断能力を有し、その嘱託、承諾が、被殺者の自由かつ真意であること。
③殺害行為を開始するまでに、被殺者の嘱託や承諾があること。
④承諾については明示・黙示を問わないが、承諾については明示的になされていること。
が必要最低限の要件となります。
大阪府内の刑事事件でお困りの方、自殺に関与する犯罪に強い弁護士をお探しの方、ご家族、ご友人が大阪府枚方警察署に逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、無料法律相談、初回接見サービスをフリーダイヤル0120-631-881(24時間受付中)で受け付けております。
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恐喝で料金踏み倒し
恐喝で料金踏み倒し
恐喝で料金を踏み倒した場合について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
~事例~
大阪府岸和田市に住むAは岸和田市内にあるバーで飲んでいました。
Aはこの店の常連であり、頻繁に店に来ていたことからツケで飲めるのではないかと考え、支払いを要求してきた店員に対して暴力をちらつかせながら、ツケにしろと言って店員を押しのけて出ていきました。
推された店員は転倒し、全治10日のけがをしてしまいました。
店員はすぐに大阪府岸和田警察署に連絡し、Aは恐喝と傷害の疑いで逮捕されることになってしまいました。
逮捕の連絡を警察から受けたAの妻は大阪の刑事事件に強い弁護士に初回接見を依頼しました。
(この事例はフィクションです)
恐喝罪
刑法第249条
第1項「人を恐喝して財物を交付させた者は10年以下の懲役に処する」
第2項「前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする」
恐喝とは、財物の「交付」又は「財産上の利益処分行為」をさせる目的のために行われる脅迫行為のことを指します。
脅迫行為とは害悪の告知のことをいい、相手方またはその親密な者の生命、身体、自由、財産に対する危害を内容とすることが一般的です。
このほかにも、相手方の名誉を毀損し、社会的信用や地位を失墜させるようなものや、家庭の平和を破壊することを内容とするものについても脅迫行為にあたることがあります。
恐喝罪は強盗罪にあたらない程度の脅迫行為について処罰するものですから、脅迫行為については相手方の反抗を抑圧するに至らない程度のものとされています。
具体的には相手方の意思決定、意思実行の自由を制限、妨害するように畏怖あるいは困惑、不安の念を抱かせる程度のことです。
相手方の反抗を完全に抑圧し、相手から財物や財産上の利益を奪ったような場合には強盗罪となってしまう可能性が高いです。
2項恐喝
恐喝罪や詐欺罪、強盗罪などについては財産上の利益についても保護の対象となっているため、飲食店などでサービスを受けた後に代金の支払いを拒否して逃げたりした場合については、詐欺罪や状況によっては恐喝罪、強盗罪が成立する可能性があります。
今回のAのように相手にけがをさせたうえ、料金を踏倒した場合については恐喝罪と傷害罪になる可能性と、強盗致傷罪となる可能性があります。
もしも強盗致傷罪となってしまえば、法定刑が「無期又は6年以上の懲役」とされているので、起訴されて裁判になれば裁判員裁判となってしまいます。
状況によって成立する罪名が変わり、その後の手続きも大きく変わってくることがあるので専門家である弁護士の見解を聞くようにしましょう。
なお、窃盗罪については財産上の利益についての規定がないため、特別の定めのある場合を除いては、利益窃盗は不可罰となります。
初回接見
もしも、ご家族や大切な人が逮捕されてしまったら、どのようにすればよいか分からないことかと思います。
ご本人様も身体拘束されたうえで、取調べなどの捜査を受けていくことになるので、大きな不安を抱えておられることかと思います。
そんなときは初回接見をご依頼ください。
初回接見をご依頼いただければ、弁護士がご本人様と接見し、お話を聞いたうえで取調べのアドバイスと今後の見通しをお伝えします。
そして、ご依頼いただいた方に聞き取った内容や見通しをお伝えします。
ご依頼いただけるのは、ご家族はもちろんのこと婚約者などといった関係性でもご依頼いただける場合がありますので、まずはお電話でご確認ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では刑事事件、恐喝罪に強い弁護士が無料法律相談、初回接見を行っています。
ご予約はフリーダイヤル0120-631-881にて24時間受け付けておりますのでお気軽にお問い合わせください。
大阪府岸和田警察署:37,500円
法律相談:初回無料
交通違反が刑事事件に
交通違反が刑事事件に
交通違反の刑事事件について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
ケース
大阪府豊中市に住む公務員のAはある日車を運転していたところ、高速道路内でオービスを光らせてしまいました。
罰金を支払えばいいと思っていたAでしたが、前科がついてしまうのではないかと不安になり、刑事事件に強い弁護士の無料相談に行くことにしました。
(この事例はフィクションです)
~交通反則通告制度~
交通反則通告制度とは、軽微な交通違反をした場合の手続きを簡略化するための制度です。
本来は軽微な交通違反についても刑事罰が規定されています。
例えば、一時不停止であっても、道路交通法違反となり、「3月以下の懲役又は50万円以下の罰金」が規定されています。
しかし、刑事手続きは複雑ですし、軽微な違反でも前科が付いてしまうのでは車を運転する多くの人が前科を持ってしまいます。
そこで、一定の交通違反については、行政上の手続きのみで完了させることにより、事案を素早く処理することができるようにし、役所や裁判所、そして運転者の負担を軽減する制度です。
「反則金」を納付することと、免許点数が加算されるなどの行政罰によって刑事手続きに移ることなく、事件を終了させることができます。
~刑事事件化する場合~
今回のAについてはオービスを光らせているので、いわゆる赤キップの違反となり、刑事事件として処理される可能性があります。
赤キップとは前述の交通反則通告制度では処理されず、刑事事件となる交通違反を指し、過度な速度超過や飲酒運転などでの違反がこれにあたります。
速度超過については普通車の場合、一般道で30キロ以上、高速道路内で40キロ以上の超過で赤キップとなります。
他に刑事事件化する場合として、俗に青キップと呼ばれる軽微な違反であっても違反の事実自体を否認していく場合は、交通反則通告制度を拒否することになりますので刑事事件となります。
刑事事件となり、送致されれば、交通違反であっても検察官が起訴不起訴の判断をすることになります。
起訴される場合、多くは略式裁判となり、認めている場合は略式手続きにより罰金刑を受けることになります。
刑事罰の罰金と混同されることもありますが、反則金は行政の処分ですので前科とはなりません。
しかし、刑事罰として罰金を受けると前科が付くことになってしまいます。
さらに、事実を認めず争っていく場合や、大幅な速度超過や飲酒運転などの重大な交通違反や前科の有無によっては罰金ではなく裁判にかけられ、執行猶予や実刑判決となってしまうこともあります。
~弁護士について~
交通違反であっても刑事事件化してしまった場合、弁護士の活動が重要となる場面があります。
裁判になった場合はもちろんのこと、裁判にならないように贖罪寄付などをして検察官と処分の交渉をしていくこともできます。
贖罪寄付とは被害者のいない刑事事件や、被害者と示談を締結することができなかった刑事事件において、関連する団体などに寄付をすることによって反省の意を示す活動です。
この贖罪寄付は弁護士がいなくてもすることはできますが、適正な金額で寄付をすることや、寄付をしたことを主張して検察官と交渉していくには弁護士がいた方がよいでしょう。
逮捕されて勾留が付いた場合や在宅事件であっても起訴されて裁判を受けることになった場合には、国選弁護人という弁護士を付けることができます。
しかし、一定の資力のある場合や逮捕されずに捜査を受けていて起訴不起訴の判断が出る前である場合には、国選弁護人は付きません。
贖罪寄付によって有利な結果を目指すのであれば、弁護人がいない状態は避けた方がよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では交通刑事事件に強い弁護士が初回接見、無料法律相談を行っています。
ご予約制となっておりますのでフリーダイヤル0120-631-881までお気軽にお問い合わせください。
大阪府豊中警察署までの初回接見費用:37,400円
法律相談料:初回無料
児童ポルノの製造
児童ポルノの製造
児童ポルノの製造について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
事例
大阪府東大阪市に住むAはSNSで知り合った女子高生V(17歳)と頻繁にメッセージのやり取りをするようになりました。
仲良くなったAはVに対して冗談で胸を見たいとメッセージを送りました。
するとVは本当に胸の写った写真を送ってきてしまいました。
その後は何事もなく過ごしていたAでしたが、半年ほどたった時に児童ポルノの件で
話を聞きたいと大阪府布施警察署から連絡がありました。
前科が付いてしまうのではないかと不安になったAは大阪の刑事事件に強い弁護士の無料法律相談に行くことにしました。
(この事例はフィクションです)
児童買春、児童ポルノ法
今回の事例のAの行為は児童ポルノの製造にあたるとして児童買春、児童ポルノ法違反となる可能性が高いです。
児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律
「前項に規定するもののほか、児童に第二条第三項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせ、これを写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第二項と同様(三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金)とする。」
児童ポルノの定義についても法律で以下の様に規定されています。
「「児童ポルノ」とは、写真、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に係る記録媒体その他の物であって、次の各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいう。
一 児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態
二 他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
三 衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀(でん)部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの」
児童に被害意識がなくても
今回の事例のように仲良くやり取りをしているときに、相手が児童ポルノにあたるような写真を送ってきたりした場合、児童本人には被害意識がないということもあります。
しかし、児童ポルノにあたるような画像を送らせる行為は法律で禁じられているので、児童が補導されたときに警察にやり取りが発覚したり、保護者がやり取りを見つけて通報したりといったように児童本人の意思とは関係なく事件化してしまう場合もあります。
さらにこういった発覚経緯が考えられることから、事件化するのが写真を送らせてからしばらく経ったときということも考えられるので、すぐに警察が来ていないから安心ということもありません。
弁護活動
児童ポルノの製造に対する弁護活動については主に、示談締結を目指していくことになります。
児童買春、児童ポルノ法関連の被害者は未成年ということもあり、児童の保護者と示談交渉をしていくことになります。
保護者としては娘さんが被害者ということになりますので、処罰感情が大きくなることも予想されますし、もう関わりたくないと思われることもありますので、加害者が直接に示談交渉をしていくのは非常に難しいです。
そこで、刑事事件に強い弁護士に示談交渉を依頼するようにしましょう。
刑事事件に強い弁護士ならば保護者との示談の経験も豊富ですので、お気軽にお問合せ下さい。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では刑事事件、児童ポルノに強い弁護士が無料法律相談、初回接見を行っています。
ご予約はフリーダイヤル0120-631-881にて24時間受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。
大阪府布施警察署までの初回接見費用:37,000円
法律相談:初回無料
児童買春を自首するか検討
児童買春の自首について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
◇事件◇
大阪市内で鮮魚店を営むAさん(35歳)は、SNSで知り合った16歳の女子高生に5万円を渡して性交渉しました。
この少女とSNSで知り合ったのは半年以上前で、その後しばらくはメールのやり取りをする仲でしたが、女子高生がお金に困っていることを知ったAさんが援助交際を持ちかけて、先月の末に、大阪市天王寺区のホテルで性交渉に及んだのでした。
その後、女子高生と連絡がつかなくなったことが不安で、Aさんはインターネットで「児童買春」について検索すると、Aさんと同じような行為で多くの人が警察に逮捕されていることを知りました。
Aさんは、警察に自首することを考えて、事前に、大阪で刑事事件に強いと評判の弁護士に法律相談しました。
(フィクションです)
◇児童買春◇
児童買春は「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」の第4条に規定されています。
~同法第4条~
児童買春をした者は、5年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処する。
この法律の第第2条に「児童買春」について定義されていますが、この定義を簡単に言うと、児童買春とは「18歳未満の児童に対して、お金や、物等を渡したり、渡すことを約束して、児童とわいせつな行為をする」ことです。
「わいせつな行為」とは、性交渉は当然のこと、性交類似行為、口淫等も含まれていますので、Aさん行為は「児童買春」に該当するでしょう。
◇法律を知らなかったら・・・◇
もしAさんが、法律で児童買春が禁止されていることを知らなかった場合、どうなるのでしょうか?
刑法第38条第3項で「法律を知らなかったとしても,そのことによって、罪を犯す意思がなかったとすることはできない。ただし、情状により、その刑を軽減することができる。」と明記されていることを考えると、Aさんが行為時に、児童買春の法律を知らなかったとしても、それだけで罪を免れるのは不可能に近いでしょう。
◇自首~刑法第42条~◇
Aさんは自首を検討しているようです。
そこで、自首とはいかなる場合に成立し、どんなメリット、デメリットがあるのかご紹介いたします。
まず自首とは「①捜査機関に犯罪事実又は犯人が発覚する前に、②犯人が自ら進んで自己の犯罪事実を捜査機関に申告し、③その処分を委ねる意思表示」のことです。
をいうとされています。
~捜査機関に犯罪事実又は犯人が発覚する前~
「捜査機関」とは、主に検察官、警察官のことをいいます。
また、「犯罪事実又は犯人」とは、捜査機関に犯罪事実が発覚していない場合は当然のこと、犯罪事実が発覚していても、まだ犯人が誰であるか発覚していない場合も含まれます。
~犯人が自ら進んで自己の犯罪事実を捜査機関に申告~
自首は、自らが警察署等の捜査機関に出向くだけでなく、他人を介して自己の犯罪事実を申告させたり、電話によって行うこともできます。
また、書面による自首も有効と解されていますが、その場合、犯人がいつでも捜査機関の支配下にいることが条件となると考えられます。
~その処分を委ねる意思表示~
自首は、自らの犯罪事実や、自らが犯人である旨を捜査機関に対して自ら申告することです。
自ら申告するため、自首時に自首調書を作成する際の取調べにおいては供述拒否権は告げられません。
◇自首のメリット◇
~減軽~
刑の減軽を受けることがあります。
児童買春の法定刑は「5年以下の懲役又は300万円以下の罰金」ですから、自首が認められて減軽となれば、懲役刑は2年6月に、罰金刑は150万円まで減軽される可能性があります。
~その他~
自首することによって逮捕を回避できる可能性があります。
逮捕を回避できれば、付随的効果として、通常通り日常生活を送ることができますし、会社や学校などに児童買春をしたことをばれなくて済むかもしれません。
また、ずっと児童買春を秘密にしておくよりも精神的に楽になるでしょう。
なお、仮に、逮捕されても、自首したことがのちのち有利な事情(情状)として考慮され、不起訴処分や懲役刑ではなく罰金刑などの有利な結果に繋がりやすくなります。