【解決事例】盗撮事件の弁護活動を弁護士が解説

【解決事例】盗撮事件で不起訴を獲得した弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部の弁護士が解説します。

本日のコラムでは、不起訴を獲得した盗撮事件の弁護活動について、実際に弁護活動を行った弁護士に解説してもらいます。

まずどういった事件ですか?

この事件は、大阪府内の病院で働いている20代の男性が、大阪府吹田市のスーパーで、小学生女児スカート内盗撮した事件です。
被害者の母親に見つかった男性は、その場で110番通報されて、警察署に連行され、犯行を認めていました。

逮捕されなかったのですか?

はい。
スマートホンを押収されて、そこに盗撮映像が残っていた事や、家族が警察署に迎えに来たことなど、証拠隠滅逃走のおそれがなかったので、逮捕はされず、その日のうちに帰宅しています。

どういった経緯で弁護活動をされたのですか?

男性に弊所の無料法律相談をご利用いただき、弁護活動の委任契約をいただいたことから弁護人として弁護活動を開始しました。

最初はどういった見通しでしたか?

まず小学生の女児に対する盗撮行為がどういった法律に違反するのかを解説します。
まず盗撮行為は、大阪府の迷惑防止条例違反となります。
大阪府の迷惑防止条例では、スカート内を盗撮する行為に対して1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が規定されています。
また被害者が小学生の女児なので、児童ポルノ処罰法違反が適用される可能性もあります。
児童ポルノ処罰法には、盗撮による児童ポルノ製造を規制する規定があり、これに違反すると3年以下の懲役又は300万円以下の罰金と、大阪府の迷惑防止違反よりも厳しい罰則が適用されます。
男性は初犯なので、どちらが適用されても、略式起訴による罰金刑が濃厚でしたが、親御さんと示談できて、宥恕を得ることができれば不起訴の可能性もありました。

どういった活動を行いましたか?

被害者と示談を締結できるかどうかで、結果が大きく変わるので、被害者の親御さんとの示談交渉が主な弁護活動となりました。
また、不拘束で警察の取調べを受けている男性に対して、取調べに対するアドバイスも行いました。

示談を締結できたのですか?

はい。
当初、被害者の親御さんは非常にお怒りでしたが、交渉を続けていく中で、男性の作成した謝罪文を読んでいただくことができ、その頃から、少しずつ示談の話しに耳を傾けていただけるようになりました。
そして交渉を始めて1ヶ月近く経過して示談に応じてもらえることができました。

示談の内容を教えてください。

示談金は30万円で、男性には、今後盗撮したスーパーやその周辺に近寄らない条件が課せられました。
そして相手様から宥恕条項、つまり男性の刑事罰を望まないという示談としては一番良い内容の示談を締結することができました。

男性の刑事処分はどうでしたか?

男性は、警察の捜査を終えて大阪府迷惑防止違反で検察庁に送致されました。
ちょうど、そのタイミングで示談が成立したので、その結果を担当検察官に報告したところ、起訴猶予による不起訴処分となりました。

弁護活動を終えての感想は?

スマートホンが普及し始めてから、盗撮事件は増加傾向にあると言います。
非常に手軽に、そして迅速に写真や動画を撮影できるようになったために、つい出来心で盗撮をしてしまう方が多いようですが、一度成功すると、そのスリルを忘れられずズルズルと犯行を繰り返して、最終的に警察沙汰になってしまうので注意してください。
また今後は、刑法で盗撮行為が規制される見通しで、盗撮行為に対する刑事処分も厳しくなることが予想されます。
もし盗撮事件を起こして警察沙汰になってしまった方は、まずは弁護士に相談することをお勧めします。

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