堺市のあおり運転 殺人罪ではなく「危険運転致死罪」で起訴②

堺市のあおり運転 殺人罪ではなく「危険運転致死罪」で起訴②

堺市のあおり運転において、殺人罪で勾留されていた男性が、危険運転致死罪で起訴された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
(このコラムは4月20日付けの、新聞会社の朝刊を参考に作成しています。)

昨日のコラムでは、堺市のあおり運転の事件概要について解説しました。
そこで本日は、殺人罪と危険運転致死罪について解説します。

殺人罪

殺人罪とは、人を殺害することによって成立する犯罪です。
みなさんご存知のとおり凶悪犯罪の一つで、その法定刑は「死刑又は無期若しくは5年以上の懲役」と非常に厳しいものです。
起訴されて有罪が確定すれば、執行猶予が付く可能性は非常に低く、長期実刑判決や無期懲役といった厳しい処分が予想されます。

危険運転致死罪

危険運転致死罪とは、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(自動車運転死傷行為処罰法)の中で規定されている法律で、一定の危険な状態で自動車を走行させて、人を死亡させる犯罪です。
この法律でいくつかの危険運転が規定されていますが、今回事件では、妨害運転致死罪が適用されているのではないでしょうか。
妨害運転致死罪とは、車の通行を妨害する目的で、走行中の車の前方で停止したり、著しく接近する危険な運転によって、人を死亡させることです。
起訴されて有罪が確定すれば「1年以上の有期懲役」が科せられます。
法律上は執行猶予が付きますが、危険運転致死罪は裁判員裁判で審理されることもあり、執行猶予が付く判決は珍しいといえます。

なぜ殺人罪で起訴されなかったの?

上記したように、殺人罪の方が厳しい法定刑が規定されているため、検察官は殺人罪で起訴したかったでしょう。
しかし殺人罪で有罪を確定させるには、「殺意」の立証が不可欠となります。
殺意とは、殺人の故意のことで、殺意が認められるためには、行為者が自分の行為によって、相手が死亡する(死亡する可能性がある)という結果を認識し、その結果を認容した上で行為に及んでいなければなりません。
あおり運転による「殺人罪」が適用された事件としては、数キロに及ぶあおり運転の末に、後方からバイクに相当な速度で衝突して、バイクの運転手を死亡させた乗用車の運転手に殺人罪が適用された例があります。

このコラムをご覧の方で、堺市のあおり運転でお困りの方、殺人罪や危険運転致死罪に強い弁護士をお探しの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部にご相談ください。
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