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【弁護士にインタビュー②】詐欺罪で逮捕 被害総額は3億円!!
大阪府八尾市の女性が詐欺罪で逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部の弁護士にインタビューしました。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部の弁護士へのインタビュー企画の二回目!!
今回は、マッチングアプリで知り合った高齢の男性から1600万円を騙し取ったとして、大阪府八尾市の女性が警察に逮捕された事件について、弁護士にインタビューします。
何とこの事件、逮捕された女性に騙された男性は複数いるようで、被害総額は3億円にも及ぶとみられています。
Q.先生、この事件をご存知ですか?
A.はい。
少し前にネットニュース等で騒がれていた事件ですね。
警察は、複数の被害者に対して、被害総額が3億円にも及ぶとみて捜査を進めているようなので、今後の捜査の進展が非常に気になりますよね。
Q.まず詐欺罪について教えてください。
A.詐欺罪とは、刑法に規定されている犯罪で、簡単に言うと、人からお金などの金品を騙し取ることですが、金品を騙し取るだけでなく、人を騙して、財産上不法の利益を得ても詐欺罪が成立します。後者の方は二項詐欺と呼ばれています。
Q.金品を騙し取るという点は理解できるのですが、財産上不法の利益を得るとは、どういうことですか?
A.確かに聞きなれない法律的な用語ですので分かりづらいかと思います。
よくある事件ですと、タクシーの乗り逃げですが、電車等のキセル乗車も二項詐欺に当たる場合がありますし、過去には、反社会勢力の人間が、その身分を偽ってゴルフ場でゴルフした行為が二項詐欺で立件されたケースもあります。
二項詐欺の場合、きちんとお金を支払っていても犯罪として成立してしまうことがあるので注意が必要です。
Q.詐欺罪の罰則はどの程度ですか?
A.法定刑は10年以下の懲役です。
窃盗罪の法定刑が10年以下の懲役若しくは50万円以下の罰金ですので、懲役刑に関しては窃盗罪と同じですが、詐欺罪には罰金刑の規定がないので、起訴されると執行猶予を得ない限り実刑判決、つまり刑務所に服役しなければいけません。
Q.今回の事件で起訴された女性の処分はどの程度と予想できますか?
A.余罪を含めると被害額は3億円に及ぶと報道されています。
全ての余罪が立件されて起訴されると、被害者に対して被害弁償したとしても実刑判決を免れるのは難しいでしょうし、むしろ長期服役も十分に考えれます。
ちなみに、一般的に詐欺事件で起訴された場合、被害額が100万円以上になると実刑判決の可能性が高くなると言われています。
Q.先生は詐欺事件の弁護活動の経験はありますか。
A.はい。
被害額が少額な単純な事件から、被害額が数億円にも及ぶ複雑な事件まで、複数の詐欺事件の弁護活動を経験しています。
Q.そんな先生が詐欺事件の弁護活動を行う上で、重要なことは何だと思いますか?
A.依頼者や被疑者、被告人が何を一番望んでいるかにもよりますが、本人の不利益を少しでも軽減するといった意味では、被害者様への謝罪や賠償をきちんとすることが、一番重要だと思います。
Q.最後に、ご家族等が詐欺罪で逮捕されたという方がまず最初にするべきことは何ですか?
A.弁護士を付けて上げることでしょう。
国選弁護人や当番弁護士制度という費用のかからない弁護士の制度を利用することもできますが、国選弁護人が付くのは勾留が決定してからですし、当番弁護士は面会に一回来てくれるだけで実質的な弁護活動は行いません。
やはり満足できる弁護活動を希望されるのであれば、私選弁護人を選任する方がよいでしょう。
当然、私選弁護人は費用がいくらかかるか分からないので不安だという方もいるかと思いますが、弊所ではご契約前に弁護士費用について詳しく説明させていただいていますのでご安心かと思います。
相談だけであれば費用もかかりませんし、お困りの方は無料法律相談をご利用いただくことをお勧めします。
【弁護士にインタビュー①】屋上からカートを落とした少女が殺人未遂罪で逮捕
住之江区で発生した、少女による殺人未遂事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部の弁護士にインタビューしました。
Q 先日、大阪市住之江区の商業施設の屋上から買い物用カートを地上に落として大阪市内に住む14歳の少女が殺人未遂罪で警察に逮捕された事件が報道されました。
この事件について先生にインタビューさせてください。
A わかりました。
Q まず、この事件を聞いてどう思われましたか?
A 非常に危険な行為で、驚きました。
今回の事件では負傷者はいなかったようですが、落下させたショッピングカートは重さが約8キロとのことで、商業施設は5階建てと聞いています。
5階建てということは、約20メートルの高さから落下したことになりますので、地上にいた方に直撃したら、死亡する可能性が極めて高く、警察が「殺人未遂罪」を適用して逮捕に踏み切ったのにも納得ができます。
Q ところで誰も怪我をしていないのにどうして殺人未遂罪が適用されるのですか?
A 刑事事件で適用される犯罪の多くは「既遂」と「未遂」があります。
犯罪を最後まで成し遂げていると「既遂」となります。
犯罪の実行行為に着手したが、犯行を最後まで成し遂げなかった場合は「未遂」となりますが、「未遂」の場合も、犯罪は成立し処分の対象となります。
今回の事件ではショッピングカートを屋上から落下させたことが犯罪の実行行為となり、犯行に着手していますが、人を死に至らしめるという殺人罪でいうところの結果までは発生していませんので、「未遂罪」となります。
Q でもどうして殺人罪なのですか?
A 確かに、逮捕された少女は「遊び半分でやった。」と供述しているようですね。
ですから、逮捕された少女に「人を殺してやろう!!」というハッキリとした殺意があったとは考えられませんが、少なくとも地上にいる人に当たる可能性があることは認識していたでしょうし、もし人に当たれば死んでしまう可能性も認識できたでしょう。
そういった認識はあったにも関わらず、こういった危険な行為に及んだということは、行為から発生する可能性のある結果を受け入れていることになります。
これを法律的に「未必の故意」といい、故意があったものと認定されます。
Q 今後、逮捕された少女はどうなるのですか?
A 逮捕された少女はまだ14歳ですので、現在は、勾留に代わる観護措置によって少年鑑別所に収容されているのではないでしょうか。
ただ共犯の同級生がいるという話しですので、捜査の進捗状況によっては通常の勾留が決定しているかもしれません。
何れにしても14歳という年齢を考えると、警察署の留置場ではなく、少年鑑別所に収容されているのではないでしょうか。
Q 少女は何か刑事罰を受けるのですか?
A 14歳の場合、捜査が終了すると家庭裁判所に送致され、そこで一定の観護措置期間を過ごすことになります。
通常ですと約4週間、少年鑑別所に収容されて、そこで様々なテストを受けたりするのですが、それが終了すると少年審判が開かれます。
そこで少女に対する処分が決定するのですが、この処分は刑事罰ではありません。
Q 少年でも「逆送」という手続きがあり、大人と同じ刑事罰が科せられることもあると聞きましたが?
A はい。まず逆送について説明します。
逆送とは、殺人などの重大事件について、刑事処分が相当であると判断された場合に、家庭裁判所から再び検察庁に事件を送致され、大人と同じ刑事裁判を受けて刑事罰が科せられることです。
しかし、逆送されるのは原則的に16歳以上の少年の場合ですので、14歳の少女が逆送される可能性は低いでしょう。
Q 同じ世代のお子さんを持つ親御さんがこのインタビュー記事を読んでいるかもしれません。そんな親御さんに何かメッセージはありますか?
A 私共の事務所では、これまで多くの少年事件を扱ってまいりましたが、刑事事件を起こしてしまった少年の親御様のほとんどが、最初は「どうしてうちの子が・・・。」「まさかうちの子が・・・。」と驚き、現実を受け入れることができないようです。当然のことだと思います。
大切なのはお子さんの話をきちんと聞いて、これから何をすべきか、何ができるのかを専門家に相談することです。
私共はお子様の更生を最優先にした弁護活動、付添人活動を推進しています。
お子様の起こした事件で不安のある方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部にご相談ください。
殺人罪と傷害致死罪の違いについて
殺人と傷害致死の境界線について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
~ケース①~
大阪府寝屋川市に住むAさんは、長年Vさんと交際しており結婚の話も出ていました。
しかし、ある日突然、Vさんが他の人と結婚するから別れてほしいと言われ、AさんはVさんに対して激しい憎悪を抱きました。
Aさんは、倉庫に置いてあったバットを持ち出し、そのバットでVさんの頭部や顔面、腹部を十数回にわたって殴打しました。
その結果、Vさんは脳挫滅などにより死亡しました。
Aさんは、Vさんを殺すつもりはなかったと供述しています。
(フィクションです。)
~ケース②~
大阪府寝屋川市に住むAさんは、長年Vさんと交際しており結婚の話も出ていました。
しかし、ある日突然、Vさんが他の人と結婚するから別れてほしいと言われ、AさんはVさんに対して激しい憎悪を抱きました。
Aさんは、鉄拳でVさんの頭部や顔面、腹部を十数回にわたって殴打したところ、Vさんはその場に倒れ、脳挫傷などにより死亡しました。
Aさんは、Vさんを殺すつもりはなかったと供述しています。
(フィクションです。)
殺人と傷害致死の境界線は?
上のケースでは、どちらもAさんがVさんに暴行を加えたことにより、Vさんが死亡しています。
Vさんを死亡させてしまったあという結果は同じです。
生じる結果は同じであっても、成立し得る罪が同じとは限りません。
ケース①では殺人罪が、ケース②では傷害致死罪が成立するものと考えられます。
同じ被害者の死という結果にもかかわらず、殺人罪と傷害致死罪が成立する場合とがあるのは、どのような違いによるのでしょうか。
それは、「殺意」を有していたか否かの違いによるものです。
殺人罪は、人を殺す犯罪です。
殺人罪の成立には、犯行時に殺意を有していることが必要です。
殺意というのは、人が死ぬ危険性の高い行為を、そのような行為と分かって行ったことです。
細かく言えば、相手が確実に死ぬとわかって、あるいは、相手が確実に死ぬとまではわかっていないけれども、もし死んでしまうとしてもかまわないと思っていた場合です。
殺意は、人の心の内のことですが、内心は行動などに客観面に表れることから、客観的な事情に基づいて認定されます。
つまり、人が死ぬ危険性の高い行為をそのような行為であると分かって行ったか否かを客観的な事情に基づいて認定していくことになるのです。
殺意の認定における客観的な事情としては、次のようなものがあります。
①創傷の部位
創傷の部位が、胸部(特に心臓部)、頭部、顔面、腹部、頸部などにあれば、これらの部位は、人体のその損傷が生命に影響を大きく与える部分であることから、殺意を認定する要素となります。
このような部位に傷があれば、人が死ぬ危険性の高い行為であると分かって行ったと認めやすいのですが、行為者が、その部位を認識しないで傷を生じさせた場合は、消極要素となります。
②創傷の程度
加えられた攻撃の程度やその回数の大小で、その程度や回数が大きければ大きいほど殺意を認定する要素となります。
例えば、刃物で被害者を刺し殺した場合、刺された箇所が多ければ多いほど、攻撃の回数は多く、また、刺された傷の長さが10センチを超え、刃物の刃体と比較してその割合が高い場合は、その攻撃の程度は強く、人が死ぬ危険性の高い行為であると認識して行ったと認められやすくなります。
③凶器の用法
力を込めたり、繰り返し凶器を使用した場合は、殺意を認定する要素となります。
④動機の有無
行為者と被疑者との行為前後の行動状況、両者の性格、両者の知己の程度や交際関係などから、殺意を抱く合理的な理由、つまり、動機がある場合は、動機に基づいて殺意が発生したとして、殺意を認定する要素となります。
⑤犯行後の行動
犯行後、被害者をそのまま置き去りにする場合は、死亡の結果発生に沿う行動であるので、殺意の認定要素となります。
他方、被害者に救命措置を講じる場合には、死亡の結果を阻止する行動であるので、殺意の認定の消極要素となります。
以上のような客観的事情に基づいて、殺意の有無が判断されます。
ここで、上のケースについて考えてみましょう。
ケース①において、AさんはVさんに対し、頭部や顔面、腹部という人体の枢要部に対し、十数回にわたってバットで殴打し、その結果、Vさんに脳挫滅を負わせ、Vさんを死亡させています。
そして、これらの行為は、突然Vさんから別れを切り出されたことに対する憎悪に基づくものです。
創傷の部位、バットという凶器の種類、用法、脳挫滅という創傷の程度、動機から、Aさんは、Vさんが死ぬ危険性の高い行為をそのような行為であると分かっていながら行った、つまり、殺意が認定でき、Aさんは殺人罪の罪責を負うのもと考えられます。
次に、ケース②についてですが、AさんはVさんに対し、頭部や顔面、腹部という人体の枢要部に対し、十数回にわたって攻撃し、その結果、Vさんに脳挫傷の結果を生じさせ死亡させています。
そして、動機がVさんに対する憎悪であることは、ケース①と同じです。
しかし、ケース②では、Aさんの攻撃方法は鉄拳ですので、鉄拳での攻撃は凶器を用いた攻撃よりもその程度は弱く、一般的に鉄拳による攻撃から死亡の結果を生じさせる可能性は低く、死亡に至る危険性は低いといえるでしょう。
もちろん、行為者が格闘家のような場合は例外は考えられます。
以上の点から、Aさんが、人が死ぬ危険性の高い行為をそのような行為であると分かって行った=殺意を認定することは困難であり、Aさんは、傷害致死罪の罪責を負うと考えられます。
殺人罪と傷害致死罪の法定刑は大きく異なりますで、殺意の認定の如何により科される刑罰にも大きな違いが生じますので、刑事事件に強い弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
無料法律相談・初回接見サービスに関するお問い合わせは、フリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。
鍵穴に接着剤を注入 器物損壊容疑で逮捕
鍵穴に接着剤を注入した器物損壊事件で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
大阪市内で鍵修理会社を営んでいるAさんは、鍵を修理を依頼してきた客と料金トラブルで揉めたことに腹を立て、深夜、客の自宅の、ドアノブの鍵穴に接着剤を注入しました。
客が被害を警察に届け出たことから、Aさんの犯行であることが発覚し、Aさんは器物損壊罪で逮捕されてしまいました。
(フィクションです。)
器物損壊罪
人の物を壊せば等すれば器物損壊罪となります。
器物損壊罪は、人の物を壊すだけでなく、人のペットを傷付けたり、物の効用を害した場合にも成立します。
物の効用を害するとは、その物を本来の目的で使用できなくすることで、例えば食器類に汚物をかけて使用できなくすることです。
器物損壊罪は、刑法第261条に規定されている犯罪で、その法定刑は「3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料」です。
器物損壊罪は親告罪ですので、検察官は、被害者等の刑事告訴がなければ起訴することができません。
ただ刑事告訴がないからといって警察が捜査できないわけではなく、刑事告訴がなくても、逮捕等の刑事手続きが進む場合はあります。
また器物損壊罪は故意犯ですので、過失的に人の物を壊してしまったとしても器物損壊罪に問われることはありませんが、壊した物の弁償を巡って民事事件に発展する可能性はあるでしょう。
器物損壊罪の量刑
器物損壊罪の法定刑は上記のとおり「3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料」です。
懲役というのは、刑務所に服役する刑罰で、罰金とは国にお金を納付する刑罰です。そして科料とは、1000円以上1万円未満の金銭を納付する刑罰です。
器物損壊罪で警察に逮捕されたからといって、このような刑罰が科せられるわけではなく、最終的に刑事裁判で有罪が確定したり、検察官が略式起訴した場合に、このような刑罰が科せられます。
初犯で犯行を認めている場合ですと、正式な刑事裁判を受けることなく略式起訴による罰金刑となる可能性が高いでしょうが、再犯の場合は起訴されて正式な刑事裁判を受ける可能性が出てきますし、再犯を繰り返せば、当然実刑判決が言い渡される可能性もあります。
器物損壊罪で刑事罰を免れるには
器物損壊罪で警察の捜査を受けていても、起訴されるまでに被害者と示談して、刑事告訴を取り消してもらうことができれば、必ず不起訴になります。
先述したように、親告罪は、被害者等の刑事告訴がなければ起訴することができないからです。
逆に起訴されてから被害者と示談しても、その起訴が取り消されるわけではないので、刑事裁判で無罪を獲得しない限り前科が付いてしまいます。
不起訴になれば、警察に逮捕されたりした歴は残りますが、前科にはなりません。
器物損壊事件で不起訴を希望される方は、一刻も早く弁護士を選任し、被害者と示談することをお勧めします。
刑事事件に強い弁護士
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
これまで数多くの示談を締結した実績がございますので、器物損壊事件の被害者との示談を希望されている方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部にご相談ください。
電車内の無差別殺傷事件
電車内の無差別殺傷事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
10月末のハロウィンの夜、都心を走行中の特急電車の車内において無差別殺傷事件が発生し、ワイドショーやニュース等のテレビ番組では、事件から1週間以上経過した今でも大きく報道されています。
そこで本日は、この事件を大阪の刑事事件専門の弁護士が解説します。
電車内の無差別殺傷事件
新聞や、テレビのニュース等で報道されている内容を参考に今回の事件をまとめますと、逮捕された24歳の犯人は、電車内で無差別殺傷事件を起こすことを事前に計画して電車に乗り込んでいるようです。
犯人は、事件を起こす数日前から、専門店で放火に使用するジッポライター用のオイルを大量に購入したりして、犯行の準備を進め、犯行当日は、停車駅間の時間が長い、特急電車を犯行場所に選んで電車に乗り込んだといいます。
また犯人は、人通りの多いハロウィンの日を狙って、犯行用の衣類まで用意していたといいます。
そして犯行当日、犯人は、乗客の多い上りの特急電車内に乗り込み、走行中の電車内において、高齢の男性を所持していた刃物で切り付けた上、事前に準備していたオイルを逃げまとう人に向ってかけて、火を放ちました。
その結果、刃物で切り付けられた高齢の男性は重体となり、10人以上が重軽傷を負ったといいます。
犯人は、逃走することもなく、緊急停車した駅で駆け付けた警察官によって、切り付けた高齢男性に対する殺人未遂罪で現行犯逮捕されました。
適用される罪名は
まず、報道を参考にして、犯人に適用される罪名を解説します。
殺人未遂罪
数ある刑事事件の中で最も凶悪な事件の一つが、殺人(未遂)罪です。
殺人罪は、人の生命という結果の重大性から非常に重たい法定刑が定められており、起訴されて有罪が確定すれば「死刑又は無期若しくは5年以上の懲役」が科せられますが、今回の場合、さいわいにも切り付けられた高齢の男性が一命を取り留めているので、現時点で適用されているのは殺人未遂罪です。
刑法第43条で定められているように、未遂ですと、刑が減軽される可能性が高く、その場合は「無期懲役若しくは2年6月以上の懲役」となります。
ただし、今回の犯人には複数の殺人罪が適用される可能性があります。
といいますのは殺人罪は、被害者一人につき、一件の殺人罪が成立するからです。
火を放つつもりで、人に対してオイルをかけているのであれば、殺人行為の着手が認められる可能性が高く、刃物で切りつけた被害者以外に対しても殺人未遂罪が成立し得るのです。
現住建造物等放火罪
刑法第108条には現住建造物等放火罪が定められていますが、その条文によりますと、放火の対象となるのは建造物に限られず、電車も対象となります。
つまりオイルをまいて乗客の存在する電車に放火した犯人の行為は、現住建造物等放火罪にも該当するのです。
現住建造物等放火罪についても、殺人罪と同じ「死刑又は無期若しくは5年以上の懲役」という法定刑が定められています。
また、テレビ等で報道されている事件時の映像を確認した限りでは、電車の車体そのものが燃えているように見えますので、現住建造物等放火罪については既遂であると判断できるでしょう。
犯人に成立する主な罪名としては上記のとおりですが、その他にも刃物を所持していたことに対しては銃砲刀剣類所持等取締法違反(通称「銃刀法違反」)や、人に対してオイルをかけたことに対して暴行罪等が適用されることが考えられます。
犯人は死刑を望んでいる・・・
報道によりますと逮捕された犯人は「人を殺して死刑になりたかった。」と供述しているようです。
どんなに犯人が厳しい刑罰を望んでいるいても、日本では法律に定められた法定刑の範囲内でしか刑罰を科せることができません。
逮捕された時の罪名(殺人未遂罪)だけで犯人が起訴された場合、死刑になることは絶対にありませんが、殺人未遂罪の他に「現住建造物等放火罪」において起訴された場合、法律的には、犯人に死刑判決がくだる可能性が出てきます。
ただこれまで一人の犠牲者も出ていない事件の刑事裁判で、死刑判決が言い渡されたという記憶はありません。
刑事事件に強い弁護士
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部は刑事事件を専門に扱っている法律事務所です。
何か刑事事件を起こしてしまったご本人様からのご相談だけでなく、警察に逮捕されてしまった方への接見等、刑事事件の弁護活動に関することであれば何でも対応できますので、刑事事件でお困りの方はフリーダイヤル0120-631-881(24時間受付中)までお気軽にお問い合わせください。
豊中市のスーパーで値札を貼り替えて警察から呼び出されました…
豊中市のスーパーで値札を貼り換え替えて警察から呼び出されました…
豊中市のスーパーで値札を貼り替えて商品を購入したとして警察から呼び出された事件を、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
値札を貼り替えた事件
豊中市で主婦をしているA子さんは、毎日のように近所のスーパーで買い物をしています。家計を切り詰めて節約しているA子さんは、少しでも安く食料品を購入しようと、商品に貼付されている半額シールを別の商品に貼り替えて購入する行為を繰り返していました。
そんなある日、A子さんの自宅に大阪府豊中警察署の捜査員から電話があり「スーパーで不正に買い物している件について話しが聞きたい。」と言われました。
A子さんは逮捕されてしまうのか、そもそも自分の行為がどのような犯罪になるのか全く分からず、出頭前に弁護士に相談しました。
(フィクションです)
値札の貼り替えは犯罪
みなさんも、スーパーで、賞味期限が迫る等した商品に値引きシールを貼付して販売しているのを目にしたことがあるかと思います。
A子さんは、その値引きシールを別の商品に貼り替えて、実際の販売価格よりも安い値段で商品を購入していたようです。
はたして、このA子さんの行為はどの様な犯罪に該当するのでしょうか。
詐欺罪
人から金品を騙し取れば「詐欺罪」となります。
詐欺罪は、刑法に規定されている犯罪で、起訴されて有罪が確定すれば10年以下の懲役が科せられる可能性があります。
詐欺罪と聞くと、オレオレ詐欺や、振込め詐欺等の特殊詐欺事件を一番に思い浮かべてしまいますが、このようなA子さんの行為も、詐欺罪に該当します。
確かにA子さんは、店員を騙して実際の値段よりも安く商品を買っていますが、お金を払っているので犯罪にはならないのでは、と思う方もいるかもしれませんが、詐欺罪が成立する上で、お金を支払っているかどうかは関係ありません。
しかし、お年寄り等から大金を騙しとる特殊詐欺事件と同じ罪になるのはおかしいのではないかと思うでしょう。
当然、同じ詐欺罪が適用されたとしても、実際に犯人に科せられる刑事罰は異なります。
詐欺罪のような財産犯の場合、犯人に科せられる刑事罰の重さ(量刑)は被害額に左右されると言われています。
Aさんのような被害額が数百円から数千円と比較的安ければ、不起訴になる可能性も十分にありますが、不起訴を確実なものにしたいのであれば、事前に被害額を弁償することをお勧めします。
詐欺罪に強い弁護士事務所
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部では詐欺罪等の刑事事件を専門に扱っている弁護士事務所です。
まだ警察から何の連絡もないけど、詐欺罪等の刑事事件を起こしてしまったという方、すでに警察から呼び出しを受けている方だけでなく、刑事事件を起こして警察に逮捕されてしまった方のご家族やご友人からのご相談にも対応しています。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部では、その日のうちに弁護士を警察署まで派遣する初回接見サービス(有料サービス)や、初回無料の法律相談をご用意してみなさまからのご連絡をお待ちしています。
刑事事件に強い弁護士のご用命は、フリーダイヤル0120-631-881(24時間対応中)までお気軽にお電話ください。
知人にまつ毛エクステをしたら刑事事件に…
知人にまつ毛エクステをしたら刑事事件に…
知人にまつ毛エクステをして刑事事件に発展した事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
知人にまつ毛エクステをしたら刑事事件に…
主婦のAさんは、数年前から趣味でまつ毛エクステを知人に施術しています。
当初は、知人から施術に必要な材料費しか受け取っていませんでしたが、知人の間で話題になったことから、1年前から材料費の他に、施術費を請求するようになりました。
施術費は、専門店の半額以下の値段に設定しており、これまで何のトラブルもなくやってきましたが、1カ月ほど前に施術した知人から「目が充血している。ちゃんと美容師の資格を持っているのか?」と電話がかかってきました。
Aさんは、この知人に謝罪し、施術費等を返還しようとしましたが、知人は「美容師免許を持っていないなんか聞いていない。警察に訴える。」と言って取り合ってくれません。
そして先日、大阪府東淀川警察署から電話があり、Aさんは警察署に任意出頭しました。
(フィクションです。)
まつ毛エクステ
まつ毛エクステ(正式名称:まつ毛エクステンション)とは、専用の接着剤を使用して、人口のまつ毛を一本ずつ接着することで、若い女性を中心に、10年以上前から広く利用されている美容方法です。
ただこの施術が広まったころから「目が痛い」「目が充血する」等の健康被害を訴える方が散見されたため、厚生労働省は、平成20年に、まつ毛エクステは「美容師法第2条第1項の「美容」に該当するとの見解を示し、これによって、まつ毛エクステの施術には、美容師の資格が必要であることが明白になりました。
美容師法第6条
美容師法第6条には、美容師以外は美容を業としてはならない事を定めており、これに違反すると30万円以下の罰金が科せられるおそれがあります。
美容とは、パーマ、結髪、化粧等の方法により容姿を美しくする事で、上記したように、まつ毛エクステも美容に当たります。
ところで、ここでいうところの「業として」とは何を意味するのでしょうか。
一般的に「業として」と聞けば「仕事として」と思ってしまうでしょうが、美容師法でいうところの「業として」とは、『有料、無料を問わず、反復継続の意思をもって行うこと』だと定義されているのです。
つまり、Aさんが施術に際して、材料費や施術費を徴収しているか否かに関係なく、常習的にまつ毛エクステを施術している時点で「業として」と認められてしまう可能性が非常に高く、Aさんの行為は美容師法違反に抵触するでしょう。
業務上過失傷害罪
刑法第211条で業務上過失傷害罪が定められています。
この法律は、業務上必要な注意を怠って人に傷害を負わせることによって成立する法律で、この法律でいう「業務」とは、人の生命、身体に危害を加えるおそれのある、人が社会生活上の地位に基づき反復継続して行う行為で、この行為は適法に行われる行為である必要はありません。
Aさんの無資格でまつ毛エクステを施術する行為も、反復継続して行っていることから、業務上過失傷害罪の対象となる行為である可能性は非常に高く、その行為によって相手に傷害を負わせれば「業務上過失傷害罪」が成立します。
業務上過失傷害罪の法定刑は「5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金」です。
実際に過去には、無資格者でまつ毛エクステの施術をしてしまった方が、目の傷害を訴えられて、美容師法違反だけでなく、業務上過失傷害罪で逮捕された事件があるので注意しなければいけません。
弁護活動
美容師法違反の無免許活動の罰則は、罰金刑しか定められていないので、刑務所に服役する事はありませんが、状況によっては、美容師法だけでなく業務上過失傷害罪にも問われる可能性があり、その場合は、刑務所に服役するおそれが生じます。
早期に、被害者と示談や贖罪寄付することによって、不起訴処分等の減軽が望めますので、美容師法違反や業務上過失傷害罪で警察に訴えられた方は、早期に刑事事件に強い弁護士にご相談ください。
刑事事件に強い弁護士
大阪で刑事事件に強い弁護士をお探しの方、無資格でまつ毛エクステを施術し、警察の捜査を受けている方は、美容師法に強い弁護士が所属する、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部にご相談ください。
起訴されてから私選弁護人に変更
起訴されてから私選弁護人に変更
起訴されてから私選弁護人に変更する場合について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
保釈による身体解放を目指したいという場合には通話料無料のフリーダイヤル0120-631-881までお電話ください。
~保釈~
逮捕に引き続く身体拘束について、勾留があることは、過去の記事で紹介しました。
この勾留については、起訴されるまでに、延長を含め最大で20日間の身体拘束になります。
そして、起訴された場合については引き続き起訴後勾留となります。
この起訴後勾留に対して行われる身体解放活動が保釈です。
保釈は、裁判所からの許可を受けたうえで、保釈保証金(保釈金)を裁判所に納めることで、釈放される制度です。
なお、保釈金は保釈の際に出される条件に違反することなく裁判が終了すれば返還されます。
保釈は請求したからといって必ず保釈許可決定が出るとは限りません。
そのため、弁護士は法律で定める保釈の要件を満たしていることをしっかりとアピールしていく必要があります。
保釈の要件(詳しくは過去の記事を参照)は法律に規定されていますが、実際に裁判所が保釈の許可の判断をしていくうえで重要視する部分は事件や被告人によってさまざまです。
今回は覚醒剤取締法違反で起訴された場合について見ていきましょう。
事例(フィクション)
2月3日
覚醒剤使用による覚醒剤取締法違反で大阪府天満警察署に逮捕、勾留されていたAは、勾留満期となり、起訴され大阪拘置所へ移動することとなりました。
Aには国選弁護人が付いていましたが、Aの母は、他の弁護士の意見も聞きたいと刑事事件に強い私選弁護人に弁護活動を依頼するために初回接見サービスを利用しました。
接見後、弁護士からの報告を受けたAの母は、刑事事件に強い弁護士に私選弁護人として弁護活動を依頼することにしました。
2月4日
依頼を受けた弁護士は、薬物依存に対する治療の必要性や、携帯電話を新しくするなどして売人等との関係を完全に断ち切ること、Aの母による監視監督や裁判の際は確実に出廷することをアピールした保釈請求書を大阪地方裁判所に提出しました。
その結果、Aに保釈許可決定が出ることとなり、保釈金150万円を納付することで釈放されることとなりました。
弁護士は裁判に向けた準備を始めています。
覚醒剤使用による覚醒剤取締法違反について詳しくはこちら
~起訴後でも私選弁護人への変更は可能~
覚醒剤取締法違反やその他刑事事件で逮捕され、勾留が決定された場合、基本的に国選弁護人が選任されることになります。
国選弁護人を違う国選弁護人に変更することは基本的にできませんので、国選弁護人が選任されている方が弁護士を変更しようと思うと私選弁護人に変更する、ということになります。
国選弁護人は、弁護士を選ぶことができませんので、事件を起こしてしまった本人やご家族との相性が悪いこともあります。
その点、私選弁護人であれば、実際に話をしてからご依頼いただくかどうかの選択をすることができますので、信頼できる弁護士に依頼することができます。
今回の事例のように、国選弁護人から私選弁護人への変更は、起訴された後であっても可能です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部は、刑事事件専門の弁護士事務所ですので、覚醒剤取締法違反での保釈や裁判の経験も豊富にあります。
まずは弁護士を派遣する初回接見サービスをご利用いただき、相性や信頼できるかどうかを見極めていただき、弁護活動のご依頼をお考えください。
弊所の初回接見サービスでは、大阪拘置所への接見も可能ですので、起訴されてしまったという方も一度フリーダイヤル0120-631-881までお問い合わせください。
刑事事件はスピードが命と言われますが、遅すぎるということもありません。
後悔のない事件解決のためにも一度お電話ください。
大阪府福島警察署の傷害事件 正当防衛を主張
正当防衛を主張している大阪府福島警察署の傷害事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
正当防衛を主張している傷害事件
土木作業員んをしているAさんは、先日、仕事仲間と共に飲みに行き、JR福島駅周辺の飲食店を何軒かはしご酒しました。
そして終電がなくなりタクシーで帰ろうとタクシー乗り場に並んで順番を待っていたところ、若者がその列に割り込んできたため、Aさんは、きちんと列の最後尾に並ぶように注意したのです。
すると若者が逆上し、Aさんの胸倉を掴んで身体を押してきたため、Aさんは若者の手を振り払い、顔面を数回殴り付けました。
若者がすぐに逃げていったので、その後、Aさんはタクシーに乗って帰宅しましたが、それから数日して、大阪府福島警察署の警察官から、Aさんの自宅に電話がかかってきました。
警察官から「若者から被害届が提出されたので、傷害罪として捜査している。取調べをするので出頭して欲しい。」と言われたAさんは、自分の行為は正当防衛だと主張し、出頭を拒否しています。
(フィクションです。)
傷害罪
傷害罪とは、暴行によって他人に傷害を負わせる犯罪です。
若者の顔面を数発殴るというAさんの行為は、当然のこと「暴行行為」に当たることは間違いありません。
また警察官から「傷害罪で捜査している。」と言われていることから、若者が傷害を負っていることは間違いないでしょう。
被害者が傷害を負っているかどうかは、医師の診断書の有無で判断されることがほとんどです。
傷害罪の法定刑は「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。
起訴されて有罪が確定すれば、この法定刑内の刑事罰が科せられることになりますが、偶発的な犯行で被害者が軽傷な場合は、略式起訴による罰金刑になることはほとんどです。
また起訴されるまでに被害者との示談が成立していれば不起訴になる可能性が高くなります。
ただ被害者が重傷を負った場合や、武器を使用しての暴行の場合などは、示談が成立したとしても起訴されることがあります。
正当防衛
正当防衛とは、急迫不正な侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するために、やむを得ずにした行為は、罰しないとした法律です。
よく「先に殴られたから殴り返したので正当防衛だ。」と勘違いしている方がいますが、先にやられたからやり返すというのは正当防衛ではありません。
正当防衛でいうところの、やむを得ずにした防衛行為は、必要最小限でなければなりません。
Aさんが、若者に胸倉を捕まれたのは、正当防衛でいうところの急迫不正な侵害に当たるでしょうから、これに対して若者の手を振り払う程度の暴行であれば正当防衛として認められる可能性があります。
しかしその後、顔面を数発殴打したのは単なる一方的な暴行行為になり、正当防衛どころか、過剰防衛としても議論されない可能性が高いでしょう。
若者が軽傷で済んでいれば、この暴行に至る経過が考慮されて、Aさんに対して厳重な刑事罰が科される可能性は低いと考えられますが、Aさんの主張する正当防衛は認められないでしょう。
傷害事件に強い弁護士
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
ご家族が刑事事件・少年事件でお困りの方は、今すぐ弊所にご相談ください。
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刑事事件における示談
示談成立について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
~事例~
吹田市にある大学の女子トイレで盗撮をしたとして、同大学に通うAくん(21歳)は大阪府吹田警察署に建造物侵入、迷惑防止条例違反の疑いで逮捕されました。
逮捕の連絡を受けたAくんの両親は、被害者へどのように対応すべきかについて弁護士に相談しています。
(フィクションです。)
被害者への対応
盗撮事件のような被害者が存在する場合、被害者が被った被害を回復したか否かが、事件の最終的な処分に大きく影響することになります。
具体的に言うと、被害が金銭面で回復されたか、被害者が被疑者・被告人に対してどのような感情を抱いているのかが、検察官が処分を決めたり、裁判官が宣告刑を決めるにあたって重要な意味をもつことになるのです。
そのため、被疑事実・公訴事実に争いのない場合、つまり、被疑者・被告人が行っただろうと疑われている事実について認める場合には、弁護人である弁護士は、被害者との間で示談を成立させるよう努めます。
示談とは
示談というのは、被害者との合意のことをですが、通常は、慰謝料を含めた被害弁償をし、被害者からの許しを得ることをいいます。
示談交渉は、一般的に、事件の当事者で直接行うよりも、弁護士を介して行います。
それは、弁護士を介して行うほうがスムーズに示談交渉ができる可能性が高いからです。
①被害者との連絡
まず、示談交渉に着手するためには、被害者に対し示談をしたい旨を伝えて話を進める必要があります。
被疑者・被告人が被害者の連絡先を知らない場合、被疑者・被告人が逮捕・勾留されており事実上連絡がとれない場合には、警察や検察官を通じて被害者の連絡先を入手するしか他ありません。
警察や検察官は、通常、被害者への働きかけを防ぐために被疑者・被告人本人やその家族に対して被害者の連絡先を容易に教えることはありません。
しかし、弁護人限りということであれば被害者の同意を得た上で被害者の連絡先を教えてくれることがあります。
被害者の了承を得た上ででなければ、いくら捜査機関と雖も個人情報を弁護士に教えてくれることはありませんが、交渉の窓口は弁護士であり、被疑者・被告人やその家族には連絡先を教えないと約束することで、安心して連絡先を教えてくれる被害者は少なくありません。
②示談交渉
被害者の連絡先を入手した後は、被害者(場合によってはその家族)との示談交渉を開始することになります。
当事者間の示談交渉は、感情的になるおそれがあり、円滑に進まない可能性が高いでしょう。
一方、弁護士を介してであれば、被害者の気持ちに配慮しつつ、被疑者・被告人の謝罪の意を丁寧に伝え、示談をすることのメリット・デメリットについてしっかりと説明することができますので、より冷静に交渉を行えることが期待できるでしょう。
例えば、示談内容に、被疑者・被告人が事件現場付近には今後近寄らないことなどの誓約を盛り込むことで、被害者に安心感を与えるなどのメリットを提示します。
また、弁護士を介して交渉することで、法外な示談金を支払うことがないように被害者と被疑者・被告人両者が納得する金額で取りまとめるよう努めます。
③示談書の作成
示談交渉の結果、合意が成立すれば、示談書を作成します。
示談書の作成は、法律の専門家である弁護士に任せましょう。
示談内容が不十分であれば、せっかく合意に至ったとしても、再度問題が生じたり、民事で訴えられたりする可能性があるからです。
示談書の内容は、通常、被疑者・被告人が謝罪する旨、示談金を支払う又は支払受領した旨、これ以外に債権がないことの確認(清算条項)、被害者の被疑者・被告人ないし裁判等に対する気持ち、などとなります。
被害者の被疑者・被告人ないし裁判等に対する気持ちには、様々なものがありますが、可能な限り処罰感情がないことを示す文言を明記することが望ましいでしょう。
示談の効果
検察官が起訴・不起訴を判断する前に、被害者との間で示談が成立した場合には、検察官は、被害者に関する犯罪後の事情として考慮し、起訴猶予とする可能性を高めることができます。
被害者等の告訴がなければ公訴を提起することができない罪(親告罪)である場合には、示談が成立し告訴をしない旨(告訴をしている場合にはそれを取り下げる旨)の合意があれば、検察官は起訴することができませんので、不起訴処分として事件を終了させます。
親告罪でない場合でも、被害者感情が重視される昨今では、示談が成立しているのであれば、起訴猶予で不起訴処分とする可能性が高いでしょう。
起訴された後であっても、被害者のいる事件において示談が成立しているかどうかは、量刑に大きく影響し得る事情のひとつであるため、裁判終了までに示談成立に向けて粘り強い交渉をしていくことが弁護人に求められます。
このように被害者との間で示談が成立しているかどうかといった点は、最終的な処分や量刑に大きく影響しますので、早期に弁護士に相談し、示談交渉に着手することが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
所属弁護士は、数多くの刑事事件・少年事件を取り扱ってきており、これまでも多くの被害者と示談交渉を行ってきました。
刑事事件を起こし、被害者への対応にお悩みの方は、一度弊所の弁護士にご相談ください。
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