大阪市此花区舞洲の倉庫火災で19歳の少年が逮捕

大阪市此花区舞洲の倉庫火災で19歳の少年が逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。

大阪市此花区舞洲の倉庫火災

昨年(令和3年)11月29日の朝に、大阪市此花区舞洲に所在する大手物流会社の倉庫で発生した火災は、鎮火する12月4日まで6日間にもわたって燃え続け、6階建て倉庫(約5万6千平方メートル)の約3万8700平方メートルが焼けましたが、幸いにも倉庫にいた約130人の従業員に怪我はありませんでした。
鎮火後の現場検証の際は、目撃者の証言から、倉庫1階に置かれていた段ボール製のパレット付近が火元とみられていましたが、出火原因までは明らかになっておらず、大阪府警がこれまで捜査を続けていました。

19歳の少年が逮捕

年が明けた1月15日、倉庫火災の原因を放火と特定した大阪府警は、その犯人として19歳の少年を逮捕しました。
少年の逮捕容疑は「現住建造物等放火罪」です。
報道各社によると、逮捕された少年は「同僚から暴行を受けて一緒に働きたくなかったので火をつけた」と容疑を認めているようです。
また少年が逮捕される前日には、同じ大手物流会社の別の倉庫でも火災が発生しており、こちらの倉庫火災についても少年は放火の事実を認めているようです。
(讀賣新聞 令和4年1月16日朝刊から抜粋)

現住建造物等放火罪

現に人が住居に使用したり、現に人がいる建造物に放火をすれば現住建造物等放火罪となります。
刑法では放火に関する罪についていくつか規定がありますが、現住建造物等放火罪はその中で最も重罪とされています。
現住建造物等放火罪には、殺人罪と同じ「死刑又は無期若しくは5年以上の懲役」と非常に厳しい法定刑が定められています。

19歳の少年が逮捕

今回の放火事件で逮捕されたのは19歳の少年です。
未成年(少年)が刑事事件を起こした場合、成人とは異なる手続きが進められて少年審判によって処分が決定するので、上記したような刑法に規定されている法定刑の適用を受けないのが通常ですが、今回の少年については例外的な措置となる可能性が極めて高いでしょう。
ここでいう例外的な措置とは「逆送」のことです。
逆送とは、家庭裁判所から検察官に送り返されて成人と同じ刑事裁判にかけられる手続きのことで、正確には「検察官送致」といいます。
逆送は、保護処分ではなく刑事処分が妥当であると家庭裁判所が判断した場合に取られる」手続きで、少年審判においては最も重い処分といえるでしょう。
逆送には、大きく2つのパターンがあります。

①年齢超過

家庭裁判所に送致された少年の年齢が、少年審判までの間に20歳になった場合は、年齢超過によって逆送されます。
注意しなければならないのは、基準となるのは、事件当時の年齢ではなく、少年審判時の年齢であることです。
例えば18歳の時に起こした事件でも、少年審判時に20歳になっていれば逆送の決定がなされます。

②刑事処分相当

被害者が死亡してしまった事件や、重大事件を起こした少年は、刑事処分が相当であるとの理由で逆送の対象となります。
その中でも、犯行の時に16歳以上で、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた少年は、原則として検察官に送致しなければなりません。

少年事件の手続きについては

少年事件の手続き

をご覧ください。

弁護士の見解は?

少年の供述している動機を考慮したとしても非常に厳しい処分が予想されます。
19歳という年齢と、現住建造物等放火罪という罪名、そして結果の重大性、さらに同種の余罪があることを考慮すると、刑事処分が相当として逆送されることは間違いないと思いますし、刑事裁判でも厳しい判決が予想されるでしょう。

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