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あおり運転に対して厳しい刑事罰 ドライブレコーダーの映像が証拠に
あおり運転に対して厳しい刑事罰 ドライブレコーダーの映像が証拠に
ドライブレコーダーの映像が証拠となったあおり運転が厳しい刑事罰となる件について、弁護士法事大阪支部が解説します。
数年前に社会問題にもなった「あおり運転」については、法律が整備されて刑事事件として扱われやすくなっており、法改正に伴って大阪府警察でも取締りを強化しているといいますが、いまだに多くのあおり運転による事件が発生しているのも事実です。
特に最近では、ドライブレコーダーの性能が向上し、誰もがドライブレコーダーの映像をネット上に拡散できるようになってきたため、再び「あおり運転」が社会の注目を集めつつあります。
そこで本日は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部の弁護士が、あらためてあおり運転に適用される法律について解説します。
暴行罪
あおり運転が社会問題化されてから適用される可能性が最も高いのが「暴行罪」です。
暴行罪は、刑法第208条に定められた犯罪で、その法定刑は「2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」です。
暴行罪でいう「暴行」の行為とは、代表的なもので、殴る、蹴る、突く、投げ飛ばす等、身体に対する物理的な有形力の行使ですが、直接的に身体に触れなくても、相手の五官に直接間接に作用して不快ないし苦痛を与える性質のものであれば暴行罪でいう「暴行」行為に該当する可能性があります。
走行中の車に急接近したり、走行中の車の前方で急ブレーキを踏んで急接近させる行為は、ドライバーの感情的に「接触するかも」という恐怖を感じるもので、暴行罪の暴行行為に当たる可能性は極めて高いでしょう。
危険運転致死傷罪
あおり運転が社会問題化される原因となった「東名高速道夫婦死亡事故」は、危険運転致死傷罪が適用されています。
危険運転致死傷罪とは、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第2条に規定されている犯罪です。
通常の交通(人身)事故は、過失運転致死傷罪が適用されますが、故意の危険運転によって交通事故を起こし、被害者を死傷させた場合は罰則規定の厳しい危険運転致死傷罪が適用されることとなります。
危険運転致死傷罪の法定刑は、被害者が死亡した場合「1年以上の有期懲役」で、被害者が傷害の場合「15年以下の懲役」ですので、過失運転致死傷罪の法定刑が「7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金」であるのに対して非常に厳しいのが分かります。
殺人罪
大阪府堺市で起こった、あおり運転による交通死亡事故には「殺人罪」が適用されています。
殺人罪は、殺意(故意)をもって人を死に至らしめることで、その手段・方法に制限はありません。
殺人罪は、人の命を奪うという結果の重大性から、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役と、非常に厳しい法定刑が定められています。
強要罪
あおり運転で「強要罪」が適用されるのは非常に珍しいですが、走行中の車の前で急停車した車の運転手が「強要罪」で逮捕された事件があります。
強要罪とは、刑法第223条に規定された犯罪です。
その内容は「 生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害する」ことで、法定刑は「3年以下の懲役」です。
前述したように、あおり運転については「暴行罪」が適用されるケースがほとんどでしたが、その暴行行為によって、被害者が、義務のない停止行為を強いられたとして強要罪が適用されることもあるのです。
強要罪の法定刑は、暴行罪に比べると厳しく罰金刑の規定もありません。
あおり運転を疑われたら
刑事事件を専門に扱っている弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部ではあおり運転に関するご相談を、初回無料で承っております。
あおり運転の容疑で警察に呼び出されている…ご家族があおり運転で警察に逮捕された…とお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部にご相談ください。
吹田市の自転車事故 テレビニュースで報道
テレビニュースで報道された吹田市の自転車事故について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
参考事件(フィクションです。)
大学生Aさんは、自転車で歩道を走行中に、コンビニから出てきた小学生と接触する交通事故を起こしてしまいました。
Aさんは小学生を救護すること無く、その場を立ち去りましたが、翌日テレビニュースで大阪府吹田警察署が重過失傷害とひき逃げ事件で捜査していることを知りました。
Aさんは、警察に出頭する前に、刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
自転車による交通人身事故
車やオートバイ等の自動車(原付を含む)を運転中に交通事故を起こして被害者に傷害を負わせれば過失運転致傷罪となりますが、自転車は過失運転致傷罪の対象外です。
Aさんのように自転車で交通人身事故を起こせば
(1)過失傷害罪【刑法第209条第1項】
(2)重過失傷害罪【刑法第211条後段】
が適用されるのです。
(1)過失傷害罪
過失傷害罪は、過失によって人に傷害を負わせることです。
「過失」とは、結果が予見できたにもかかわらず、その結果を回避するための措置をとらなかったことを意味し、分かり易く言えば、注意義務を怠ることです。
過失傷害罪で起訴されて有罪が確定すれば「30万円以下の罰金又は科料」が科せられます。
(2)重過失傷害罪
重大な過失によって人に傷害を負わせると「重過失傷害罪」となります。
ここでいう「重大」とは結果ではなく、過失の重大性、つまり注意義務違反の重大性を意味します。
自転車による交通人身事故で重過失が認められる可能性があるのは
・歩道上の事故
・人通りの多い交差点での事故
・ヘッドフォンを装着しての運転等の危険な方法による運転での事故
等です。
重過失傷害罪の罰則規定は「5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金」と、過失傷害罪と比べると非常に厳しいものです。
Aさんは、歩道上で小学生と接触しています。
この事実からして重過失傷害罪が適用される可能性が高いと考えられるでしょう。
また、道路交通法に定められた「救護義務違反」や「不申告罪」は、自転車の運転手にも適用されるので、重過失傷害罪以外にもAさんは、これらの罪に問われる可能性があります。
自転車事故を起こした方は
吹田市で自転車による交通人身事故を起こしてしまった方、重過失傷害罪で警察の捜査を受けておられる方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部の刑事事件に強い弁護士にご相談ください。
【摂津市の交通事件】酒気帯び運転で小学校校長が逮捕
【摂津市の交通事件】酒気帯び運転で小学校校長が逮捕された事件を、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
事件の概要(6月10日配信のJIJI. COMを参考にしています。)
大阪府摂津警察署は、9日午後10時ころ、酒を飲んで車を運転した酒気帯び運転の容疑で、寝屋川市立小学校の校長先生が逮捕しました。
警察の発表によりますと、パチンコ店の駐車場から出てきた車の運転手が顔を赤らめていたことに気付いた警察官が、車を停車させて、運転していた校長の呼気検査したところ、基準値を超えるアルコールが検出されて逮捕にいたったとの事です。
なお逮捕された校長は「パチンコ店の駐車場に止めた車の中で酒を飲んだ」と容疑を認めているようです。
飲酒運転
このコラムで何度もご紹介していますが、飲酒運転は
①酒気帯び運転
②酒酔い運転
に分類されています。
①酒気帯び運転
酒気帯び運転とは、飲酒運転を取り締まる法律の一つで、違反の基準となるのは呼気1リットル中のアルコール濃度が0.15mg以上、または血液1ミリリットル中に0.3mg以上のアルコール濃度です。
酒気帯び運転の罰則規定は「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。
②酒酔い運転
酒酔い運転は、酒に酔って正常に運転できない状態で運転することですので、酒気帯び運転よりも悪質な違反とされており、その罰則規定は「5年以下の懲役又は100万円以下の罰金」となります。
酒酔い運転には、酒気帯び運転のような基準値は設けられておらず、まっすぐ歩けるかどうかや視覚や聴覚が正常に機能しているかといった検査によって認定されることになります。
今回の事件で逮捕された校長は①酒気帯び運転が適用されていますので、アルコール検知の基準値は超えていたものの、酒に酔って正常な運転ができないほどではなかったと思われます。
飲酒運転で逮捕されるとどうなるの?
刑事事件を起こして警察に逮捕されると『逮捕⇒勾留⇒起訴』という流れが一般的ですが、単なる酒気帯び運転で逮捕された場合は、勾留まではされずに、釈放される可能性が高いかと思われます。
しかし今回のように、逮捕されたのが小学校の校長先生となれば、新聞やテレビ、インターネットのニュース等で報道されたり、職場での処分を受けたりと、刑事罰を受ける以外にも大きな不利益を被ることになります。
飲酒運転に関するご相談は
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部は、これまで数多くの交通事件を扱ってきた実績がございます。
逮捕というのは捜査過程の手続きに過ぎず、今後の弁護活動次第では刑事処分が軽減される可能性がありますので、飲酒運転でお困りの方は一刻も早く、弁護士に相談することをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部では、飲酒運転に関する無料法律相談のご予約を
フリーダイヤル0120-631-881(24時間、年中無休)
を承っておりますので、お気軽にお電話ください。
また飲酒運転で逮捕されてしまった方には弁護士を派遣することができます。
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【解決事例】無免許運転の再犯で略式罰金 公判を回避した事例
無免許運転の再犯で公判を回避して略式罰金となった解決事例を、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
事件の概要
会社員のAさんは、10年以上に前に交通違反の累積により運転免許を失効していますが、失効以降も、通勤等で日常的に無免許運転を繰り返していました。
そうしたところ約5年前に、別の交通違反がきっかけで無免許運転が発覚し、略式起訴による罰金刑を受けて前科が付きました。
更にその後も、日常的に無免許運転を繰り返していたAさんは、再び、別の交通違反が端緒となって無免許運転で大阪府此花警察署に検挙されてしまったのです。
警察署での取調べにおいてAさんは、常習的に無免許運転を繰り返していたことを供述し、取調べを担当した警察官からは「起訴される可能性が高い。」と言われました。
取調べ後、Aさんに選任された弁護士は、再発防止に向けた取り組みを提案しAさんに実行してもらったところ、Aさんは略式罰金となりました。
(実際に起こった事件を基に、一部変更を加えています。)
無免許運転
道路交通法第64条は、公安委員会の運転免許を受けないで自動車または原動機付自転車を運転することを禁止しています。
公安委員会の運転免許を受けないで自動車等を運転すると無免許運転になります。
無免許運転には、これまで一度も運転免許証の交付を受けたことがない場合だけでなく、免停中に自動車等を運転する場合や、Aさんのように運転免許を失効後に再取得しないで自動車等を運転した場合も含みます。
また、運転免許を受けてはいるものの、その資格では許可されない車両を運転する場合も、免許外運転に当たり、無免許運転となります。
無免許運転に対する刑事罰は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金です。
無免許運転は、交通反則通告制度の対象外ですので、無免許運転で警察に検挙された場合は、刑事手続に基づいて事件が処理されることになります。
無免許運転の量刑
無免許運転は、初犯であれば、略式起訴による罰金刑の可能性が高い事件です。
ただ無免許運転とは別に他の違反がある場合や、交通事故を起こしている場合は起訴されて正式裁判になることもあります。
そして再犯の場合は、検察官が、前刑からの期間や、常習性等などを総合的に考慮して起訴するるかどうかを判断しているようです。常習的に無免許運転を繰り返していた場合は、悪質性が高く、再び無免許運転を起こす可能性が高いと判断されて、起訴される可能性が非常に高くなります。
Aさんの場合も、警察の捜査で日常的に無免許運転を繰り返していたことが判明していたので、当初は正式に起訴(公判請求)される可能性が非常に高かったです。
しかし保有する車を処分する等して再発防止策を講じたことが評価されたのか、再度の略式罰金で手続きを終結することができました。
無免許運転の法律相談
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部では、無免許運転等の交通事件に関する法律相談を無料で承っております。
大阪府内の無免許運転に関するご相談については
フリーダイヤル0120-631-881(24時間、年中無休)
にてご予約を承っておりますので、お気軽にお電話ください。
なお弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部では、無免許運転等の交通事件で大阪府内の警察署に逮捕されてしまった方には、警察署に弁護士を派遣する初回接見サービスをご用意しています。
初回接見サービスについては こちら をご覧ください。
【トピック】警察官の交通違反どうなるの?
【トピック】先月、ヘルメットを着用せずに(ノーヘル)バイクを運転する警察官の姿がSNSに投稿されて話題になりました。
そこで本日は、警察官がノーヘル等の交通違反が、どのようになるのかについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
公務中の警察官であっても、公道で自動車を運転する時は交通ルールを守らなければならず、交通違反が除外されるわけではありません。
しかし、緊急走行中や、特殊な業務中の場合は、一部の交通違反については除外されているようです。
ノーヘルはどうなるのですか?
今回SNSで話題になったのは、ノーヘルでホンダのスーパーカブに乗車している千葉県警の警察官です。
まず制服を着用した警察官が乗車するオートバイには大きく分けて
①緊急走行できるオートバイ
②緊急走行できないオートバイ
の2種類があります。
緊急走行できるオートバイの代表例としては白バイですが、大阪府警では青バイというオートバイも存在します。
白バイは基本的に交通部に所属する白バイ隊員が、主に交通取り締まりを目的に乗車しているオートバイで、隊員は特殊な装備を装着して運転しています。
青バイは、地域部に所属する警察官が、交通取り締まりだけでなく、防犯パトロール等の犯罪抑止活動や、事件が発生した際の犯人検挙を目的に乗車しているオートバイで、乗車している警察官は、基本的には交番で勤務している警察官と同じ制服を着用しています。
緊急走行できるオートバイには、サイレンや赤色灯、拡声器等が装備されています。
逆に緊急走行できないオートバイとは、交番に勤務する警察官が移動手段として乗車しているオートバイで、かつてはホンダのカブが主流でしたが最近はスクータータイプのオートバイが多く導入されているようです。
こういったオートバイは「警ら用単車」と呼ばれおり、あくまでの警察官の移動手段として使用することを目的にしています。
ちなみに交番に勤務している警察官が警ら用単車を使用しているのは、基本的に大阪市外の警察署で、大阪市内の警察署で勤務する警察官の移動手段は自転車です。
公務中の警察官が、何れのオートバイに乗車するにしても、ヘルメットの着用は義務付けられているので、ヘルメットを着用せずにこういったオートバイを運転することは、例え制服を着用しての公務中であったとしても、交通違反となります。
交通事件に強い弁護士
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部は刑事事件を専門に扱っている法律事務所です。
大阪府内の交通事件でお悩みの方は是非ご相談ください。
無料法律相談のご予約は
フリーダイヤル 0120-631-881
にて24事件、年中無休で受け付けておりますのでお気軽にお問い合わせください。
なお、すでに大阪府警に逮捕されてしまった方のもとに弁護士を派遣するサービスもご用意しています。
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【解決事例】無免許運転の再犯 起訴されるも執行猶予を獲得
【解決事例】無免許運転の再犯 起訴されるも執行猶予を獲得
【解決事例】無免許運転の再犯で起訴されるも執行猶予を獲得した事件の解決事例を、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
事件の概要
Aさん(30代、会社員)は度重なる交通違反で、2年前に免許停止となり、その停止期間中に無免許運転で検挙され、罰金刑を受けた前科がありました。
そんな中、仕事の都合でどうしても車を運転しなければいけなくなったAさんは、再び無免許運転をしてしまい、その際に警察官の職務質問を受けて、再び無免許運転で検挙されてしまいました。
短期間で再犯を犯してしまったAさんは、当然のごとく無免許運転で起訴されましたが、執行猶予を獲得することができました。
(実際に起こった事件を基に、一部変更を加えています。)
無免許運転
道路交通法では以下の通り無免許運転について規定しています。
第六十四条 何人も、第八十四条第一項の規定による公安委員会の運転免許を受けないで(第九十条第五項、第百三条第一項若しくは第四項、第百三条の二第一項、第百四条の二の三第一項若しくは第三項又は同条第五項において準用する第百三条第四項の規定により運転免許の効力が停止されている場合を含む。)、自動車又は原動機付自転車を運転してはならない。
ここでいう無免許運転とは
・これまで一度も運転免許証の交付を受けずに運転する。
・免許が取り消されたにもかかわらず車を運転する。
・免許の停止期間中に車等を運転する。
・免許の対象外の車両を運転する。
ことです。
起訴されるも執行猶予を獲得
無免許運転で起訴されて有罪が確定すれば「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」が科されます。
他の違反や交通事故が絡んでいない単なる無免許運転であれば、初犯だと略式起訴による罰金刑になる可能性が高いですが、Aさんのように、短期間に再犯してしまった場合は、起訴されて正式裁判となり、執行猶予付きの判決となることが大半です。
無免許運転に強い弁護士
このコラムをご覧の方で、大阪の交通事件にお悩みの方、無免許運転で起訴されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部にご相談ください。
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フリーダイヤル 0120-631-881(24時間、年中無休)
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高槻市のひき逃げ事件 逮捕される前に自首を検討②
高槻市のひき逃げ事件 逮捕される前に自首を検討②
昨日に続いて、高槻市のひき逃げ事件で、逮捕される前に自首を検討していることについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
自首
まず高槻市でひき逃げ事件を起こしたAさんが警察に出頭したからといって、警察が必ず自首として扱うかは分かりません。
そこでまずは、自首について解説します。
刑法では「罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。」と自首について規定しています。
自ら警察署に出頭すれば「自首」と勘違いしている方がいるかもしれませんが、自首が成立するには、少なくとも
①捜査機関に対して自発的に犯罪事実を申告する。
②捜査機関に発覚する前に犯罪事実を申告する。
ことが必要です。
Aさんの事件の場合、すでにニュースで事件が報道されているので、捜査機関(警察)に事件が発覚しているのは明らかですが、犯人が誰なのかまで発覚しているかどうかは分かりません。
もし、捜査機関(警察)が、ひき逃げ事件を起こした犯人がAさんだと割り出すことができていなければ、Aさんが出頭すれば自首となるでしょうが、逆に、すでに犯人がAさんだと特定されていれば、Aさんが出頭しても自首として扱われないでしょう。
自首のメリット
自首することのメリットは、刑法の条文で明記されているとおり減軽される、つまり処分が軽くなることです。
ただ条文では「~減軽することができる。」となっているので、必ず減刑されるとは限らないので注意が必要です。
逮捕前に自首を検討するなら
このコラムをご覧の方で、逮捕前に自首を検討している方がおられましたら、自首する前に必ず弁護士に相談してください。
自首したからといって絶対に逮捕を免れれるわけではありませんし、そもそも自首に当たるかどうかも弁護士の見解を聞いておいた方がよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部では、ひき逃げ事件を起こしてしまった方、また逮捕前に自首を検討されている方からのご相談を、24時間、年中無休で受け付けております。
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高槻市のひき逃げ事件 逮捕される前に自首を検討①
高槻市のひき逃げ事件 逮捕される前に自首を検討①
高槻市のひき逃げ事件で、逮捕される前に自首を検討していることについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が二日にわたって解説します。
高槻市のひき逃げ事件
物流会社の倉庫で夜勤をしているAさんは、夜勤明けのある日の早朝、車で帰宅途中、高槻市の国道で信号待ちをしているバイクに後方から追突してしまいました。
慌てて車から降りてバイクの運転手に声をかけたところ、運転手から「大丈夫」と言われたので、Aさんはそのまま車に乗り込んで、帰宅しました。
そしてその日の夕方、テレビのニュースで自分の起こした事故が引き逃げ事件として警察が捜査していることを知ったAさんは、逮捕される前に警察に自首しようか悩んでいます。
(実際に起こった事件を基にしたフィクションです)
ひき逃げ事件
車を運転していて交通事故を起こした時は
①警察に届け出る
②怪我人がいる場合は救護措置をとる
ことを絶対にしなければいけません。
Aさんのように、例え相手から「大丈夫。」と言われても、この二つを怠れば刑事事件に発展する可能性が高く、場合によっては逮捕される可能性もあります。
ひき逃げは、道路交通法第72条1項に規定されており、その内容は以下の通りです。
交通事故があったときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員(略)は、直ちに車両等を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。この場合において、当該車両等の運転者(略)は、警察官が現場にいるときは当該警察官に、警察官が現場にいないときは直ちに最寄りの警察署(略)の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置を報告しなければならない。
「~講じなければならない。」(法72条1項前段)までが「救護措置義務」に関する規定、「この場合において」以下(法72条1項後段)が「事故報告義務」に関する規定です。
なお、上記規定は「交通事故があったとき」としています。
つまり、運転に過失があろうがなかろうが関係なく交通事故が発生した場合は救護措置義務、事故報告義務が発生しますから注意が必要です。
ひき逃げのうち救護義務違反の罰則は2種類あります。
一つは、人の死傷が運転者の運転に起因する場合で、この場合は、10年以下の懲役又は100万円以下の罰金
もう一つは、上記以外の場合で、この場合は5年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。
~明日は、「逮捕される前の自首」について解説します。~
大阪市の自転車事故 刑事事件に発展し前科が
大阪市の自転車事故 刑事事件に発展し前科が
刑事事件に発展して前科となった、大阪市内の自転車事故について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
大阪市内の自転車事故
会社員のAさんは、ヘッドホンで音楽を聴きながら、大阪市西淀川区の路上を自転車で走行していた際、前方の赤信号を無視して交差点に進入し、横断歩道を通行中の高齢の女性に衝突する事故を起こしてしまいました。
高齢の女性は転倒しましたが、腕を擦過する程度の軽傷で、Aさんは、すぐに警察に事故を届け出て、高齢の女性に謝罪しました。
その際、事故を取り扱った大阪府西淀川警察署の警察官から「女性から診断書が提出されれば人身事故としての扱いになりますが、診断書が提出されなければ警察から呼び出すことはありません。女性とよく話し合って大事にならないようにしてください。」と言われました。
それからしばらくしてAさんは、大阪府西淀川警察署からの電話で、女性が診断書を提出したことを知らされました。
その後、一度大阪府西淀川警察署で取調べを受けたAさんは、しばらくして検察庁に呼び出されて検察官の取調べも受けました。
そこでAさんは、検察官から、略式起訴による罰金刑になることを告げられたのです。
(フィクションです。)
自転車事故を起こしてしまった
自転車で人身事故を起こしてしまった場合、車やバイクを運転して人身事故を起こしてしまった場合とは異なる法律が適用されます。
その法律が、過失傷害罪や重過失傷害罪です。
ただ過失傷害罪は親告罪であるため、刑事手続きが複雑なためか、警察等の捜査当局は重過失傷害罪を適用する場合がほとんどのようです。
重過失傷害罪は、刑法第211条に規定されている法律で、重大な過失により人を死傷させた場合に適用されます。
重過失傷害罪の法定刑は「5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金」ですが、Aさんのような自転車事故ですと、略式起訴による罰金刑となる可能性が高いようです。
自転車事故が刑事事件化される場合
自転車での交通事故が刑事事件化されるかどうかは、被害者が怪我をしているかどうかが大きなポイントとなります。
被害者が怪我をしていない場合、事故自体が刑事事件化される可能性はありません。
逆に被害者が怪我をしている場合は、被害者から診断書が警察に提出されるかどうかによって、刑事事件化されるかどうかが決まります。
診断書が警察に提出されると、警察は重過失傷害罪で捜査を開始し、実況見分や取調べをおこないます。
そして作成された一件書類を検察庁に送致して処分が決定するのです。
検察官は、自転車を運転していた者の過失の割合や、被害者の怪我の程度を考慮して処分を決定します。
自転車の運転手の違反が重い場合や、複数ある場合は刑事罰が科される可能性が高いようです。
今回の場合ですと、Aさんは
・ヘッドホンで音楽を聴きながら運転している。
・赤信号を無視して交差点に進入した。
という、少なくとも二つの違反をしているので、重過失傷害罪が適用されてもおかしくないでしょう。
略式起訴による罰金刑も前科となる
通常の刑事事件の場合、警察署の取り扱いで被疑者指紋を採取されたり、被疑者写真を撮影されて検察庁に書類が送致されますが、今回のような交通事件の場合は、その様な手続きが行われないことがほとんどです。
しかし刑事訴訟法による刑事手続きがとられることに変わりはなく、略式起訴されて罰金刑が科された場合、前科となります。
自転車事故で前科を回避するには
自転車事故で前科を回避するには、弁護士による適切な被害者対応が必要不可欠となります。
被害者が診断書を警察に提出するまでに適切な被害者対応をしていれば、そもそも事故が刑事事件化しない可能性が高くなりますし、診断書が提出されて刑事事件化されたとしても、適切な被害者対応によって被害者から宥恕を得ることができれば不起訴処分に持ち込むことも可能となります。
自転車事故での前科を回避したい方は、刑事事件を専門に扱っている弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部にご相談ください。
歩行者とバイクの交通事故で歩行者が書類送検
歩行者とバイクの交通事故で歩行者が書類送検された事件を、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
交通事故は、車やバイクを運転する方であれば、誰しもが巻き込まれる可能性のある刑事事件の一つです。
通常、車やバイクの運転手が注意義務を怠り、人に怪我をさせた交通事故の場合、車やバイクの運転手には、過失運転致死傷罪や、危険運転致死傷罪等の法律が適用されることになり、そこで科せられた刑事罰は、前科や前歴になってしまいます。
しかし今回、バイクと歩行者の交通事故で、バイクの運転手ではなく、歩行者が書類送検されたのです。
本日は、この交通事件を大阪の刑事事件を専門に扱っている弁護士が解説します。
なおこの記事は、新聞等で報道されている内容を参考に作成しています。
事故の状況
50代の男性が、信号のある交差点の横断歩道を、赤信号を無視して横断中、青信号に従って交差点に進入してきたバイクと接触した事故。
接触によって、バイクは転倒し、運転していた30代の男性が手首を骨折する重傷を負ったが、歩行者の男性に大きな怪我はなかった。
重過失傷害罪
歩行者の男性は重過失傷害罪で送検されました。
重過失傷害罪とは、刑法第211条の後段に規定されている法律で、その条文によると「重大な過失により人を死傷させる」ことによって成立する犯罪です。
また重過失傷害罪の法定刑は「5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金」です。
起訴されて有罪が確定すれば、この法定刑内の刑事罰を科せられることになるのですが、懲役とは刑務所等に収容されて労役が科せられますが、禁錮は刑務所等に収容されるだけで強制的な労役は科せられません。
また罰金とは国にお金を収める刑罰で、懲役、禁錮、罰金は全て前科になります。
重過失傷害罪は、自転車同士や、自転車と歩行者の交通事故で、人が死傷した場合などに、自転車の運転手に対してよく適用される法律ですが、歩行者に適用されるのは極めて異例ではないでしょうか。
重大な過失とは
まず「過失」について解説します。
過失とは、行為時の客観的状況下において、結果の発生を予見し、これを回避するために何らかの作為又は不作為に出るべき注意義務があるのに、これを怠ることです。
「重大な過失」の、「重大な」とは、注意義務違反の重大性を意味し、結果の重大性を意味するものではありません。
今回の事故を当てはめてみると、歩行者の男性は「赤信号に従わずに横断歩道を横断した」という注意義務を怠っただけでなく、周囲の安全確認を怠ったという注意義務違反を犯しています。
この行為が、重過失傷害罪でいうところの「重大な過失」に当たると判断されたということになります。
重過失傷害罪で書類送検されるとどうなるの
書類送検=有罪ではありません。
書類送検とは、在宅捜査されていた被疑者の関係書類を検察庁に送致することです。
書類送検されたということは、警察の捜査が終了している場合がほとんどですが、書類送検後も、検察官の指示等で補充の捜査が行われることがあり、それら全ての捜査が終結した段階で、検察官は起訴するかどうかを判断します。
また書類送検時の罪名(今回の場合だと「重過失傷害罪」)については、警察で判断されることがほとんどですので、書類送検後に適用罪名が変更されることもあります。
今回の事件の場合ですと、送致を受けた検察官が、警察署から送致された書類を精査することになり、歩行者男性を呼び出して取調べをする等して、男性の行為が重過失傷害罪に該当するか否かを検討することになるでしょう。
また該当するにしても、こういった交通事故で歩行者に対して刑事罰を科せるといった前例が少ないことから、男性に対して刑事罰を科すことが妥当かどうかも検討することになるのではないでしょうか。
弁護士の見解
法律的には、重過失傷害罪が適用されてもおかしくはないと思います。
ただこういった交通事故で歩行者に対して刑事罰が科せられるのは非常に珍しいケースなので、検察官は証拠書類だけでなく、過去の裁判例と比較して、どの様な処分にするのかは慎重に検討する必要があると思います。
刑事事件を専門に扱う弁護士として、男性が不起訴を望むのであれば、まずはバイクの運転手との示談を勧めることになるのではないでしょうか。