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【速報】生後5カ月の次男に暴行 傷害罪で父親を逮捕
【速報】生後5カ月の次男に暴行したとして、傷害罪で父親が逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
おととし12月、当時生後5カ月だった次男を暴行して、脳に重い障害を負わせたとして父親の男が傷害罪で大阪府警に逮捕されました。
逮捕された父親は、おととし12月、次男の頭にかみつき、頭部に何らか方法で強い衝撃を加え、硬膜下血腫などの傷害を負わせた疑いがもたれており、被害を受けた次男は現在も意識不明の重体です。
逮捕された父親は警察の取調べに対して「すべて黙秘する」と話しているようです。
幼児に対する虐待事件
通常の暴行や、傷害事件であれば、被害者の事情聴取によって、被害の状況が明らかになりますが、被害者が意識不明の重体に陥っている場合や、今回のような幼児に対する暴行、傷害事件は、被害者から話しを聞くことができないため、目撃者がいなければ事実認定が非常に難しく、立件するのが非常に困難だと言われています。
おそらく今回の事件も、犯罪事実を認定するのが非常に困難だったことから、事件発生から逮捕までに1年以上もの時間がかかったのだと思われます。
どうやって傷害事実を認定するの?
今回の事件、おそらく目撃者がいなかったと思われます。
そうすると真実を知るのは、暴行を受けた次男と、逮捕された父親のみとなります。
被害者である次男から話を聞くことは不可能ですし、おそらく父親は、これまでの警察の取調べに対して暴行を否認若しくは、取調べに対して黙秘していたものと思われます。
その場合、警察はどの様にして傷害の事実を認定しているのでしょう?
それは医師の作成した診断書や鑑定書がポイントとなります。
今回の事件の場合、報道によると次男は硬膜下血腫と診断されたようです。
硬膜下血腫のほとんどは、頭部外傷によって生じる場合がほとんどで、医師であれば、どの程度の外傷によって生じたものなのか推測することができ、その外傷が、事故的に起こったものなのか、故意的に加えられたものなのかが分かるので、そういった医師の鑑定を基に犯人が割り出されるわけです。
まずは弁護士に相談を・・・
幼児に対する虐待事件のように被害者から話しを聞けない傷害事件は、医師の鑑定書を基に捜査が進められますので、警察等の捜査当局も推測で捜査を進める傾向にあり、真実と異なる事実認定がされやすい事件だと言えるでしょう。
それ故に冤罪事件が生まれやすい事が危惧されますので、こういった事件でお困りの方は、早めに弁護士に相談することをお勧めします。
こういった傷害事件の 相談 や、警察に逮捕された方への 接見 は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部の弁護士が即日対応いたしますので、まずは、フリーダイヤル0120-631-881まで、お気軽にお電話ください。
【速報】同級生を刺殺し逃走 殺人罪で逮捕
昨年大晦日に、同級生を刺殺し逃走していた男が、殺人罪で逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
昨年末の大晦日、大阪市平野区において、忘年会後に同級生を刺殺し、逃走していた男が、兵庫県姫路市内にで身柄を確保され、大阪府警に殺人罪で逮捕されました。
男は、同級生の男性のわき腹を包丁で刺して殺害した殺人の容疑で逮捕されましたが、逮捕後の取り調べでは「殺すつもりはなかった」と殺意を否認しているようです。
警察の捜査によると、逮捕された男は、忘年会の最中にコンビニで凶器の包丁を購入しているようです。
殺人罪
殺人罪は、人を殺すことによって成立する犯罪で、刑法第199条に規定されています。
刑法第199条
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。
今回の事件のように包丁で刺殺する行為は当然ですが、このような積極的な加害行為でない場合、つまり不作為の場合でも殺人罪が成立することがあります。
例えば、まだ親の養育が必要な幼児に対して、養育する義務のある者が、殺意を持って食事を与えずに何日も放置した場合などです。
※2010年、大阪市で発生した「2児餓死事件」では、2人の幼児を自宅に放置していた母親が殺人罪で有罪となっている。
殺すつもりはなかった…殺意を否認
殺人罪が成立するには故意、つまり殺意が必要です。
この殺意は「殺してやろう、死んでしまえ」という確定的なものまでは必要とされておらず、「死んでしまうかもしれないが、死んでもかまわない…」といった未必の故意でも殺意は認められます。
ただ故意(殺意)は、心の中の声です。
今回のように「殺すつもりはなかった」との供述だけで殺意が否定されるかというと、そうではなく、今回の事件では、包丁でわき腹を刺すという行為態様から、殺意が認められる可能性は十分にあり得るでしょう。
ただ凶器の包丁を用意して忘年会に参加したのではなく、忘年会の途中で包丁を購入している点からは、計画的犯行というよりも、忘年会の最中に犯行を思い立って凶器を準備していると考えられ、偶発的犯行のように思えます。
殺人罪の弁護活動
殺人罪で逮捕されると、逮捕後の取り調べは全て録音録画されており、その映像音声は、裁判で証拠となってしまいます。
そのため取調べには慎重に対応する必要がありますので、ご家族が殺人罪で警察に逮捕されてしまった方は、すぐにでも刑事事件に強い弁護士を派遣することをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部では、逮捕された方のもとに弁護士を派遣する 初回接見サービス をフリーダイヤル0120-631-881で、24時間、年中無休で承っておりますので、お気軽にお電話ください。
【速報】大阪府警が弁護士をすぐに呼ばなかった 府に賠償を命じる判決
逮捕された男性が弁護士を要請したのに、大阪府警が弁護士をすぐに呼ばなかったとして、大阪府に賠償を求めた裁判で、大阪地方裁判所は、府に賠償を命じる判決を言い渡しました。
刑事弁護活動において非常に重要で、今後に大きな影響を及ぼす事が予想されるこの裁判について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
裁判の内容と判決
今回、問題となっているのは、建造物侵入罪の容疑で大阪府警に逮捕された男性が、大阪府堺警察署での取調べの際に、無料で弁護士を呼ぶことができる制度(当番弁護士制度)の利用を求めたものの、大阪府警の連絡ミスで、実際に弁護士と接見できたのが翌日となったことです。
弁護士の接見が遅れたことによって、男性は精神的苦痛を受けたとして150万円あまりの賠償を求めて大阪府を訴えていました。
これに対して大阪府は「制度は弁護士会の独自のもので対応すべき義務はない」などと主張していたようです。
大阪地方裁判所は判決で「法律で保障される弁護人の選任権の侵害にあたる」と判断し、府に11万円の支払いを命じています。
弁護士の見解
刑事手続きにおける逮捕、勾留によって警察の留置施設で身体拘束を受けている被疑者、被告人は、弁護士(弁護人)と接見(面会)する権利(接見交通権)があります。
ただ身体拘束を受けていると、自らが弁護士に「接見に来てください」と伝える手段は、手紙しかありません。
この手段に頼っていては、弁護士接見が必要な時に受けられず遅れてしまうため、現状は、捜査機関(警察官や検察官、検察事務官等)に「弁護士を呼んでください。」とお願いして、捜査員等を介して弁護士(弁護人)に接見要請がなされています。
こうすることで、被疑者、被告人の接見交通権が保障され、被疑者、被告人は必要な時に、必要な弁護を受けることができるのですが、間に入っている捜査員等が弁護士(弁護人)への接見要請をしなければ、間接的に、被疑者、被告人の権利が侵害されることになりかねません。
そういった意味では、今回の判決は強く支持できる内容だと思われます。
接見要請(弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の場合)
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、弁護人として選任していなくても、逮捕、勾留によって、警察署の留置場や拘置所に身体拘束されている方のもとに弁護士を派遣することができます。
詳しくは、こちらを クリック
また既に弁護人として選任していただいている場合は、取調べを担当している警察官や検察官、留置場、拘置所の看守に「●●弁護士に接見要請してください。」と一言申し出ていただくだけで、最速で担当の弁護士が接見にうかがいます。
必見!!年末年始の取調べ 何を注意するの!?
年末年始の休暇中でも警察は犯罪捜査をしています。そんな年末年始の警察での取調べを受ける方が、何を注意するのかについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
警察署での取調べ
ここ10年ほどで刑事手続きに関する取り決めが大きく変わり、警察署等での取調べについても大きく変わった事がありますが、取調べを受ける人たちは、今も昔も同じで、大きな不安を抱えています。
取調室という密室で、取調べの経験豊富な警察官を相手にすれば、言いたいことも言えず、警察官の言われるがままになってしまうのは当然のことかもしれません。
ただ、取調べを受ける人たちにも法律で認められている権利があり、警察官等の取調べ官が、その権利を侵すことは絶対に許されません。
そこで取調べ認められている権利について改めて解説するので、警察署で取調べを受けている方は必ず読んで取調べに臨んでください。
取調べで認められている権利
①黙秘権
取調官は、取調べを始めるにあたって、被疑者に対し、自己の意思に反して供述する必要がない旨を告げる必要があります。
あなたは、取調中は終始沈黙(黙秘)することができます。
②増減変更申立権
供述調書が作成されると、取調官から内容に間違いがないかどうか問われます。ここで自分の意図したこと(話したこと)と異なる内容が書かれてあった場合は、どんな些細なことでも構いませんので、遠慮なく、内容の変更、あるいは内容の増減を申し立ててください。
③署名押印拒否権
供述調書の内容の確認が終わると、最後に、供述調書への署名・押印を求められます。ここで、署名・押印してしまうと、その供述調書に書かれた内容=あなたが話した内容として裁判で証拠として扱われることになります。取調官は、あなたに署名・押印させようと説得を試みますが、署名・押印の拒否は、あくまであなたの判断で行うことができます。
④出頭拒否権、退去権
在宅事件の場合、被疑者は、捜査機関からの出頭要請を拒否することができます。また、取調べ後は、いつでも取調べ室から退去することができます。ただし、身柄を拘束されている場合、実務上、退去権は認められていません。
取調べ前に弁護士に相談を
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部は、刑事事件を専門に扱っている法律事務所です。
警察等の取調べを受ける前に弁護士に相談することで皆様の不安が少しでも和らぎ、自身をもって取調べに臨むことができます。
年末年始の休暇中に、警察署での取調べが予定されている方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部の無料法律相談をご利用ください。
タクシー運転手のスマホを持ち去り 器物損壊罪で逮捕
タクシー運転手のスマホを持ち去ったとして器物損壊罪で逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
事件内容
逮捕された男性は、大阪(伊丹)空港において、予約していたタクシーの駐車位置が、思っている場所と違った事からトラブルとなり、タクシー運転手が110番通報した際に、このタクシーの男性運転手のスマホを取り上げて、持ち去ったとして、事件発生から4カ月以上経過した12月20日、器物損壊容疑で逮捕されました。
窃盗罪では?
人の物を盗れば「窃盗罪」が成立します。
ですから、今回の事件でも「窃盗罪ではないの?」と疑問を抱いた方が多いかと思います。
窃盗罪が成立するためには、「不法領得の意思」が必要不可欠とされています。
「不法領得の意思」とは、権利者を排除して他人の物を自己の所有物としてその経済的用法に従い利用処分する意思のことです。
今回の事件だと、タクシー運転手のスマホを、自分で使用したり、転売する等の目的で、取り上げて持ち去っていれば窃盗罪が成立したでしょうが、今回は、そういった目的ではなく不法領得の意思が認められないので窃盗罪が適用されなかったのでしょう。
器物損壊罪
器物損壊罪と聞くと「何か壊したの?」と思われる方がほとんどでしょう。
確かに、刑法第261条で、器物損壊罪は「(中略)~他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。」と規定されているので「損壊=壊す」とイメージしてしまうのでしょうが、器物損壊罪でいう「損壊」とは、物を物理的に破壊する事だけに限られていません。
その物の効用を害する一切の行為が器物損壊罪でいうところの「損壊」に当たるので、今回の事件のように、人のスマホを使用できなくする行為も、器物損壊罪となるのです。
器物損壊罪は親告罪
器物損壊罪は親告罪です。
親告罪とは、被害者等の告訴権を有する人の刑事告訴がなければ、犯人を起訴できない犯罪です。(窃盗罪は親告罪ではない)
逮捕された男性が、今後起訴されるまでに、タクシー運転手と示談すれば不起訴となる事は間違いないでしょうから、刑事罰を免れたいのであれば示談の成立を目指すことが大切です。
器物損壊事件に強い弁護士
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部は刑事事件専門の法律事務所です。
大阪府内の器物損壊事件でお困りの方は是非ご相談ください。
またご家族、ご友人が大阪府内の警察署に逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が提供する 初回接見サービス をご利用ください。
家族が痴漢で逮捕!でも現状が分からない…どうすればいいの?
家族が痴漢で逮捕されたが、現状がわからず、どうすればいいのか判断できない…そういった方の疑問に、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部の弁護士がお答えします。
家族が痴漢で逮捕(実話を基に作成したフィクションです。)
堺市に住む主婦のA子さんの夫は、大阪市内の職場に電車通勤しています。
今朝、A子さんの夫は、いつも通り家を出て職場に向かいましたが、昼頃に、職場からの電話で夫が出勤していないことが分かりました。
A子さんは、夫の携帯電話に電話しましたが、圏外となっておりつながることはありませんでした。
そうこうしているうちに、大阪府浪速警察署より電話があり、痴漢の容疑で夫が警察に逮捕されたことが分かりました。
A子さんは、真面目な夫が痴漢なんてするわけがないと信じている反面、もしやってしまったのであれば、すぐにでも弁護士を入れて被害者と示談しなければいけないとも考えていますが、全く現状がわからないので、どうすればいいのか全くわかりません。
現状が分からない…どうすればいいの?
A子さんのように家族が警察に逮捕されたが、現状が分からないので、どのように対処すればいいか判断できないと悩む方が多いようです。
そんな時は、本人から話を聞くしかありません。
しかし、ご家族が警察署に行ったからといって、逮捕された方と面会できるわけではないので、本人から話を聞くためには、弁護士を派遣するしかありません。
現状が分かれば最善の対処が可能に
逮捕されてしまった本人から話を聞くことができれば
が分かるので、弁護士は、今後の手続きの見通しや、処分の見通しを立てることができます。
その上で、今後どういった弁護活動ができ、その活動が、今後の手続きや処分に対してどう影響してくるかが明確になりますので、弁護士を選任するかどうかを判断することができます。
初回接見サービス
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部では、現状を知り、最善、最速の対応をするために、逮捕されてしまった方のもとに弁護士を派遣する
を提供しております。
初回接見サービスは、お電話でご予約が完了し、ご予約いただいたその日のうちに対応することも可能ですので、まずはフリーダイヤル0120-631-881までお電話ください。
~刑法を解説~ 第40章 毀棄及び隠匿の罪
~刑法を解説~最終回の本日は、第40章毀棄及び隠匿の罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
毀棄及び隠匿の罪
第40章毀棄及び隠匿の罪では
第258条 公用文書毀棄罪 公電磁的記録毀棄罪
第259条 私用文書毀棄罪 私電磁的記録毀棄罪
第260条 前段 建造物損壊罪 艦船損壊罪
後段 建造物損壊致死傷罪 艦船損壊致死傷罪
第261条 器物損壊罪
第262条の2 境界毀損罪
第263条 信書隠匿罪
が規定されています。
まず第258条の、公用文書毀棄罪や、公電磁的記録毀棄罪は、公務所の用に供する文書や、電磁的記録を毀棄することによって成立する犯罪です。
「毀棄」とは、文書や電磁的記録の効用を害することをだとされています。
つまり物理的に壊すというだけでなく、隠匿によって使用できなくするといった行為も、毀棄に該当する可能性があるのです。
そして、公用文書や公電磁的記録ではなく、権利、若しくは義務に関する他人の文書や、電磁的記録を毀棄すれば、第259条の私用文書毀棄罪や私電磁的記録毀棄罪が成立します。
このように文書(電磁的記録)毀棄罪は、毀棄した文書や、電磁的記録が、公的な物なのか、私的な物なのかで適用罪名が分類されます。
続いて第260条の前段には、建造物損壊罪と、艦船損壊罪が規定されています。
建造物損壊罪や艦船損壊罪は、他人の建造物や艦船を損壊することによって成立する犯罪です。
彼女の家で、彼女と口論になって腹が立ったので壁を殴って壁に穴を開けてしまった…というのが建造物損壊罪の分かりやすい事例です。
ここで問題となるのが、壊した物が建造物に該当するかどうかです。
上記事例を参考にすると、例えば、殴って壊したのが、壁ではなく窓ガラスだった場合、その窓ガラスの形状や、設置状況によって、建造物損壊罪が成立するのか、この後解説する器物損壊罪が成立するにとどまるのかが決まります。
そして、建造物損壊や艦船損壊によって、人を死傷した場合は、第261条後段に規定されている建造物損壊致死傷罪、艦船損壊致死傷罪が成立します。
ここまで、皆さんにとってあまり馴染みのない犯罪を解説しましたが、次に解説する、第261条の器物損壊罪は聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
他人の物を損害したり、傷害することによって成立するのが器物損壊罪です。
分かりやすく言うと、人の物を壊すことで成立する犯罪ですが、人の飼っているペットを死傷させた場合も、器物損壊罪となります。
また器物損壊罪でいうところの「損壊」とは、物理的に壊すだけでなく、その物の効用を害することも含まれるので、例えば、食器に小便をかけたことによって、食器を使用できなくすれば器物損壊罪が成立します。
第262条の2に規定されているのが、土地の境界標を損壊したり、移動したり、取り除く等の方法によって、境界を認識できなくすることによって成立するのが、境界損壊罪です。
そして第263条には信書隠匿罪が規定されています。
信書隠匿罪は、他人の信書を隠匿することによって成立す犯罪で、隠匿とは、物理的に隠すだけでなく、意思伝達の過程でこれを妨害するなどの効用を害する一切の行為が含まれます。
毀棄及び隠匿の罪の罰則
①公文書毀棄罪、公電磁的記録毀棄罪の法定刑は「3月以上7年以下の懲役」です。
②私用文書毀棄罪、私用電磁的記録毀棄罪の法定刑は「5年以下の懲役」です。
③建造物損壊罪 艦船損壊罪の法定刑は「5年以下の懲役」です。
④建造物損壊致死傷罪、艦船損壊致死傷罪の法定刑は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断されます。
⑤器物損壊罪の法定刑は「3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料」です。
⑥境界毀損罪の法定刑は「5年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。
⑦信書隠匿罪の法定刑は「6月以下の懲役若しくは禁錮又は10万円以下の罰金若しくは科料」です。
今日まで、刑法を解説してまいりました。
新聞や、テレビのニュース等で聞き覚えのある罪名もあれば、「こんな法律あるの!!」と初めて聞いた罪名もあったかと思います。
刑事事件を専門に扱っている弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部では、刑事事件に関係するコラムを公開していきますので、刑事事件に興味のある方は是非ご覧ください。
なお、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部では、何か事件を起こしてしまった方、ご家族、ご友人が事件を起こして警察に逮捕されてしまった方からのご相談を、24時間、年中無休で受け付けております。
刑事事件に強い弁護士が必要になった時は是非、ご利用ください。
~刑法を解説~ 第39章 盗品等に関する罪
~刑法を解説~51回目の本日は、第39章盗品等に関する罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
盗品等に関する罪
第39章盗品等に関する罪では
第256条 1項 盗品等無償譲受け罪
2項 盗品等有償譲受け罪、盗品等運搬罪、盗品等保管罪、盗品等処分あっせん罪
が規定されています。
この章でいうところの「盗品等」とは、何も窃盗罪の被害品に限られません。
財産に対する犯罪行為に不法に領得された物であれば、ここでいう「盗品等」に当たりますが、収賄罪でいうところの賄賂や、賭博罪で取得された金品、漁業法違反によって密漁された魚介類は、盗品等には当たりません。
また盗品等の罪が成立するには、まず本件の犯罪行為がすでに既遂に達していることが、前提条件となります。
そして盗品等の罪の主体となるのは本件の犯罪行為の被疑者以外の者です。
ちなみに、本件の犯罪行為は、構成要件に該当する違法な行為であれば足り、有責であることまでは必要とされていません。
つまり刑事責任に問われない、触法少年(14歳未満)による窃盗事件の被害品を譲り受けたり、すでに公訴時効が成立している詐欺事件の被害品を譲り受けたような場合でも、盗品等の罪は成立するのです。
そして盗品等の罪が成立するには、いうまでもなく故意が必要となります。
つまり自分が譲り受けた者が「盗品等」であることを認識していなければ盗品等の罪には問われない可能性があるのです。
ただ誰が犯したどんな犯罪によって取得された物であるのかまで、詳しい情報を知っている必要はなく「何らかの財産犯罪によって得られた物である」程度の認識があれば足りるとされています。
それではまず第1項の「盗品等無償譲受け罪」について解説します。
盗品等無償譲受け罪は、盗品等を無償で譲り受けることによって成立する犯罪です。
友達が盗んできた自転車をタダでもらったりすると成立する可能性があるのが、盗品等無償譲受け罪です。
続いて第2項に規定されている、盗品等有償譲受け罪、盗品等運搬罪、盗品等保管罪、盗品等処分あっせん罪について解説します。
まず盗品等有償譲受け罪ですが、これは盗品等を有償で譲り受けることによって成立する犯罪です。
そして盗品等運搬罪ですが、これは無償、有償に関わらず、盗品等の場所を移すことで成立する犯罪です。
また盗品等保管罪は、その罪名のとおり、盗品等を保管することで成立する犯罪で、盗品等あっせん罪は、盗品等の売買、交換、質入れ等を媒介、周旋することで成立する犯罪です。
盗品等に関する罪の罰則
①盗品等無償譲受け罪の法定刑は「3年以下の懲役」です。
②盗品等有償譲受け罪、盗品等運搬罪、盗品等保管罪、盗品等処分あっせん罪の法定刑は「10年以下の懲役及び50万円以下の罰金」です。
「~刑法を解説~ 第40章 毀棄及び隠匿の罪 」に続く
~刑法を解説~ 第38章 横領の罪
~刑法を解説~50回目の本日は、第38章横領の罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
横領の罪
第38章横領の罪には
第252条 横領罪
第253条 業務上横領罪
第254条 遺失物横領罪・占有離脱物横領罪・漂流物横領罪
が規定されています。
まず第252条の横領罪について解説します。
横領罪とは、自己の占有する他人の物を横領することによって成立する犯罪です。
また自己の物であっても、公務所から保管を命じられている物を横領しても横領罪が成立します。(第2項)
横領罪でいうところの「横領」とは、不法に領得する、つまり「不法領得の意思を実現する」ことで、行為に制限はありません。
不法領得の意思とは、窃盗罪等の財産犯が成立するのに必要とされており、その内容は「権利者を排除して、他人の物を自己の所有物として、その経済的用法に従い、利用処分する意思」を意味します。
横領罪の主体となるのは、委託に基づいて他人の物を占有する者や、公務所から保管を命じられて自己の物を占有する者と限られているので、横領罪は身分犯の一種だといえます。
また横領罪における「占有」の基礎には、所有者と行為者との間に委託信任関係がなければなりません。
人から預かったり、借りている物を勝手に転売したり、レンタカーを期限内に返却せず、そのまま乗り続けたりすれば横領罪となってしまいます。
そして業務上、自己の占有する他人の物を横領すれば、第253条の「業務上横領罪」が成立します。
業務関係に基づく占有物についての横領行為は、通常、犯人と多数人との間の信頼関係を破るものである点において、その法益侵害の範囲が広く、また頻発のおそれが多いことなどから、業務上横領罪は、横領罪に比べると厳しい罰則が設けられています。
横領罪の最後第254条には、遺失物や漂流物、占有を離れた他人の物を横領することによって成立する、遺失物横領罪、漂流物横領罪、占有離脱物横領罪が規定されています。
横領の罪の罰則
①横領罪の法定刑は「5年以下の懲役」です。
②業務上横領罪の法定刑は「10年以下の懲役」です。
③遺失物横領罪・占有離脱物横領罪・漂流物横領罪の法定刑は「1年以下の懲役又は10万円以下の罰金」です。
「~刑法を解説~ 第39章 盗品等に関する罪」に続く
~刑法を解説~ 第37章 詐欺及び恐喝の罪 ~②~
本日は、第248条の準詐欺罪から解説します。
準詐欺罪は、未成年者の知慮浅薄または人の心神耗弱に乗じて、財物を交付させたり、財産上不法の利益を得たりすることによって成立する犯罪です。
あまり聞きなれない罪名で、条文を読んでもどういった行為が該当するか分かりにくいかと思いますが、準詐欺罪を簡単にいうと、物事を判断することができない(困難な)未成年者や精神障害者を誘惑するなどして、こういった人たちから金品を受け取ることによって成立する犯罪です。
そして第249条に規定されているのが恐喝罪です。
恐喝罪とは、人から金品を脅し取ることによって成立する犯罪、詐欺罪と同様に、恐喝して財産上不法の利益を得る等した場合にも成立します。(2項恐喝)
恐喝罪も、詐欺罪とよく似た構成要件が存在し、その内容は
①脅す行為⇒②相手が恐怖に陥る(畏怖する)⇒③畏怖した相手が金品を交付する⇒④交付された金品を受け取る
といったもので、それぞれには因果関係が必要とされています。
恐喝とは、反抗を抑圧するに至らないかつ、相手が畏怖する程度の暴行や脅迫を加えて金品を要求することで、相手の反抗を抑圧するほど、暴行や脅迫の程度が強かった場合は、恐喝罪ではなく、強盗罪に問われてしまうこともあります。
恐喝事件の客体となるのは、他人が占有する他人の財物です。
違法薬物等、所持が禁止されている禁制品や、不動産であっても恐喝罪の客体となります。
また、借金の返済など、本来請求できるものであっても、行き過ぎた行為は恐喝罪となってしまうので注意が必要です。
例えば、犯罪被害にあった際に、加害者に対して慰謝料を請求する際でも、そこで口にした内容によっては恐喝罪に抵触する可能性があります。
詐欺及び恐喝の罪の罰則
①詐欺罪の法定刑は「10年以下の懲役」です。
②電子計算機使用詐欺罪の法定刑は「10年以下の懲役」です。
③背任罪の法定刑は「5年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。
④準詐欺罪の法定刑は「10年以下の懲役」です。
⑤恐喝罪の法定刑は「10年以下の懲役」です。
「~刑法を解説~ 第38章 横領の罪」に続く
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