微罪処分について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
◇自転車盗で微罪処分◇
吹田市に住む会社員のAさんは、最寄りの駅まで自転車を使って通勤しています。
1ヶ月ほど前、出勤の際、駅の駐輪場に自転車をとめたのですが、帰宅時に駐輪場に来ると自転車が盗まれてなくなっていました。
そして近くの交番に被害届を出して歩いて帰宅している途中に、たまたま通りかかったマンションの敷地に、鍵をしていない自転車を見つけたAさんは、そのままその自転車を盗んでしまいました。
それから1カ月間、盗んだ自転車を使って通勤を続けていたのですが、昨夜、帰宅途中に無灯火だったことから大阪府吹田警察署の警察官に声を掛けられ、そこで盗んだ自転車に乗っていることが発覚してしまいました。
警察官からは「微罪処分にする。」と言われました。
(フィクションです)
◇他人の自転車を盗むと◇
路上や、駐輪場に止めてある他人の自転車を盗む行為は
①窃盗罪
②占有離脱物横領罪
の何れかに該当する場合がほとんどです。
窃盗罪(刑法第235条)
窃盗罪は、人の物(財物)を盗むことで、その法定刑は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。
占有離脱物横領罪(刑法第254条)
占有を離れた他人の物(財物)を横領することで、その法定刑は「1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料」です。
◇窃盗罪と占有離脱物横領罪の違いは◇
「他人の自転車を盗む」という行為であっても、窃盗罪が適用される場合と、占有離脱物横領罪が適用される場合があります。
その違いを簡単に説明すると、盗んだ物(財物)の占有が所有者等の管理者にあるかないかで適用罪名が変わってきます。
自転車等を例にすると、持ち主が置いている自転車を直接盗むと「窃盗罪」となり、持ち主が置いた自転車を、第三者が他に移動させて、そこから自転車を盗むと「占有離脱物横領罪」となるのです。
◇微罪処分とは◇
警察が取り扱う刑事事件の中で、最も多いのは刑法犯犯罪だと言われていますが、その中でも特に多いのが自転車盗事件です。
適用される罪名は上記のとおり「窃盗罪」と「占有離脱物横領罪」の何れかになりますが、自転車盗事件を、他の刑事事件と同じように処理していたのでは警察の処理が追いつきません。
そのため、一定条件を満たした場合に適用されるのが「微罪処分手続き」で、この手続きは、正規の刑事手続きに比べると非常に簡略化されており、懲役刑や罰金、科料といった刑事処分が科せられることもありませんし、検察庁から呼び出されることもほとんどありません。(警察の捜査を終えると検察庁に報告されるが、正規の送致手続きは取られない。)
◇微罪処分の条件とは◇
それでは微罪処分の条件とはどのようなものなのでしょうか。
大阪地方検察庁検事正の指示によりますと
①成人事件であること
②常習犯でないこと(過去10年間に同種の前科、前歴がないこと)
③逮捕されていないこと
④告訴、告発若しくは自首事件でないこと
⑤被害額がおおむね2万円以下の事件であること
が最低条件とされています。
◇刑事事件に強い弁護士◇
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
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