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『Yahoo!ニュース』に末吉弁護士のコメントが掲載されました

2022-10-28

◇弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所西日本統括本部長の末吉弁護士(大阪弁護士会所属)が産経新聞の取材を受け、コメントが、令和4年10月26日(木)のYahoo!ニュースで紹介されています。◇

~取材の内容~

飲食店に電話で注文したにも関わらず、商品を受け取りに来ない「いたずら予約」が相次いでいる発生している問題に対して、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所西日本統括本部長の末吉弁護士(大阪弁護士会所属)が取材を受けました。

~末吉弁護士のコメント~

刑事事件の観点から見た「いたずら予約」について

「今回のケースは初めから取りに行くつもりがなく、さらに嘘の番号を伝えている。悪質性が高く、偽計業務妨害罪に問われる可能性がある」とアドバイスしました。

お店の対処法について

「インターネット注文で、事前決済のみ受け付ける。」「電話予約の場合は折り返して本人確認をする。」「作り始める前に再度予約を確認する。」といった方法を提案しました。

末吉弁護士がコメントした『Yahoo!ニュース』はこちら→→クリック

~刑法を解説~ 第23章 賭博及び富くじに関する罪

2022-10-27

~刑法を解説~29回目の本日は、第23章賭博及び富くじに関する罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。

賭博及び富くじに関する罪

第23章の賭博及び富くじに関する罪には

第185条 賭博罪
第186条1項 常習賭博罪
第186条2項 賭博開張図利罪・博徒結合図利罪
第187条1項 富くじ販売罪
第187条2項 富くじ取次罪
第187条3項 富くじ授受罪

です。

まず第185条の賭博罪について解説します。
賭博罪はその罪名のとおり賭博することを禁止した法律です。
ここでいう賭博とは、偶然の事情に関して財物を賭けて勝敗を争う行為を意味します。
賭博とは、いわゆる「賭け事」ですが、賭博罪の但し書きにもあるように、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、罪に問われない場合もあります。
ただ友人同士、知人同士であれば警察沙汰にまでならないだろうと思い込んでやってしまった、賭けマージャンや賭けゴルフ等であっても、その常習性や、参加人数、賭ける金額によっては賭博罪として警察の捜査を受けることがあるので注意が必要です。
そしてこういった賭博行為を常習的にすると、第186条1項の常習賭博罪となります。
またこういった賭博を主催した場合は、第186条2項の賭博開張となります。
もう一つ第186条2項には博徒結合図利罪が規定されています。
博徒とは、常習的ないし職業的に賭博を行う者を意味し、こういった博徒の集団を組織し、その組織をもって賭博の便宜を図ることによって成立するのが博徒結合図利罪となります。

第187条には富くじに関する規定がなされています。
富くじとは、宝くじのように抽選によって、くじの購入者が賞金を得るとともに、くじ発行者がくじ代金での収入を得るという形式のくじのことで、代表的なのは「宝くじ」です。
当然一般販売されている「宝くじ」は合法なものですが、同様のくじを無許可で販売したり、取次をしたり、授受することを禁止しているのが、第187条に規定されている富くじ販売罪富くじ取次罪富くじ授受罪となります。

賭博及び富くじに関する罪の罰則

①賭博罪の法定刑は「50万円以下の罰金又は科料」です。
②常習賭博罪の法定刑は「3年以下の懲役」です。
賭博開張図利罪・博徒結合図利罪の法定刑は「3月以上5年以下の懲役」です。
④富くじ販売罪の法定刑は「2年以下の懲役又は150万円以下の罰金」です。
⑤富くじ取次罪の法定刑は「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」です。
⑥富くじ授受罪の法定刑は「20万円以下の罰金又は科料」です。

「~刑法を解説~第24章礼拝及び墳墓に関する罪」に続く

~刑法を解説~ 第22章 わいせつ、強制性交等及び重婚の罪~④~

2022-10-26

~刑法を解説~28回目の本日は、第22章わいせつ、強制性交等及び重婚の罪~④~について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。

~刑法を解説~第22章わいせつ、強制性交等及び重婚の罪~①~については こちらをクリック
~刑法を解説~第22章わいせつ、強制性交等及び重婚の罪~②~については こちらをクリック
~刑法を解説~第22章わいせつ、強制性交等及び重婚の罪~③~については こちらをクリック

わいせつ、強制性交等及び重婚の罪~④~

第22章に規定されている、わいせつ、強制性交等及び重婚の罪の中から、本日は

第182条 淫行勧誘罪
第184条 重婚罪

について解説します。

まず第182条の淫行勧誘罪とは、営利の目的で、淫行の常習のない女子勧誘して姦淫させることによって成立する犯罪です。
ここでいう「営利の目的」とは、自らの財産上の利益を図る場合だけでなく、第三者に利得させる場合も含みます。
また、一時的な利得を図る目的でもよく、現実に利得することまでは必要とされていません。

続いて第184条の重婚罪とは、配偶者のある者が重ねて婚姻することを禁止している法律です。
簡単に言うと、結婚している人が、別の人と婚姻することを規制している法律で、ここでいう婚姻関係とは事実婚ではなく、法律上でなければなりません。
ちなみに、日本人が外国で婚姻した場合、それが日本でも有効なものであれば、再び婚姻すれば重婚罪が成立します。
戸籍が厳しく管理されている日本において起こりにくい犯罪かと思われがちですが、最近では、偽装した現妻との離婚届を役所に提出して、その後、別の女性と婚姻した男性が重婚罪で警察に逮捕された事件が存在します。
また、重婚する者の相手方となって婚姻した者も処罰の対象となります。

淫行勧誘罪と重婚罪の罰則

淫行勧誘罪の法定刑は「3年以下の懲役又は30万円以下の罰金」です。
重婚罪の法定刑は「2年以下の懲役」です。

「~刑法を解説~第23章賭博及び富くじに関する罪」に続く

~刑法を解説~ 第22章 わいせつ、強制性交等及び重婚の罪~③~

2022-10-25

~刑法を解説~27回目の本日は、第22章わいせつ、強制性交等及び重婚の罪~③~について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。

~刑法を解説~第22章わいせつ、強制性交等及び重婚の罪~①~については こちらをクリック
~刑法を解説~第22章わいせつ、強制性交等及び重婚の罪~②~については こちらをクリック

わいせつ、強制性交等及び重婚の罪~③~

第22章に規定されている、わいせつ、強制性交等及び重婚の罪の中から、本日は

第178条 準強制わいせつ罪・準強制性交等罪
第179条 監護者わいせつ罪・監護者性交等罪
第180条 第176条~第180条の未遂罪
第181条 強制わいせつ罪致死傷罪・強制性交等致死傷罪

について解説します。

まず第178条の準強制わいせつ罪準強制性交等罪について解説します。
これらは、心神喪失若しくは抗拒不能な状態の被害者に対して、わいせつな行為や性交等に及んだり、被害者を心神喪失や、抗拒不能な状態に陥らせて、わいせつな行為や性交等に及ぶことによって成立する犯罪です。
酒に酔って泥酔している被害者にわいせつ(性交等)行為に及んだり、治療を受けている患者等に対してわいせつ(性交等)行為に及んだり、睡眠薬を飲ませて意識もうろうとしている被害者に対してわいせつ(性交等)行為に及んだ場合に成立するのですが、この犯罪が成立するには、行為者が、被害者がそういった状態に陥っていることを認識していなければなりません。

続いて第179条の監護者わいせつ罪監護者性交等罪は、18歳未満の被害者に対して、この被害者を現に監護する立場にある者が、その立場を利用してわいせつ(性交等)行為に及ぶことで成立する犯罪です。
ここでいう「現に監護する」とは、18歳未満の者を現に監督し、保護している立場の者を意味し、法律上の監護権を有している者であっても、実際に監護している実態がなければ「現に監護する」には該当しません。

強制わいせつ(性交等)罪・準強制わいせつ(性交等)罪・監護者わいせつ(性交等)罪については未遂であっても処罰の対象となります。(刑法第180条)

強制わいせつ罪や強制性交等罪に関する法律の最後に解説するのは、第181条の強制わいせつ罪致死傷罪強制性交等致死傷罪です。
これらの犯罪は、強制わいせつ強制性交等の際(未遂を含む)に、被害者に怪我を負わせたり、被害者を死亡させると成立する犯罪です。

準強制わいせつ(性交等)罪・監護者わいせつ(性交等)・準強制わいせつ(性交等)致死傷罪の罰則

①準強制わいせつ罪・監護者わいせつ罪の法定刑は「6月以上10年以下の懲役」です。
②準強制性交等罪・監護者性交等罪の法定刑は「5年以上の有期懲役」です。
③強制わいせつ致死傷罪の法定刑は「無期又は3年以上の懲役」です。
④強制性交致死傷罪の法定刑は「無期又は6年以上の懲役」です。

「~刑法を解説~第22章わいせつ、強制性交等及び重婚の罪~④~」に続く

~刑法を解説~ 第22章 わいせつ、強制性交等及び重婚の罪~②~

2022-10-24

~刑法を解説~26回目の本日は、第22章わいせつ、強制性交等及び重婚の罪~②~について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。

~刑法を解説~第22章わいせつ、強制性交等及び重婚の罪~①~については こちらをクリック

わいせつ、強制性交等及び重婚の罪~②~

第22章に規定されている、わいせつ、強制性交等及び重婚の罪の中から、本日は

第176条 強制わいせつ罪
第177条 強制性交等罪

について解説します。

まず第176条の強制わいせつ罪について解説します。
強制わいせつ罪は

①13歳以上の男女に対して、暴行や脅迫を用いてわいせつな行為をすること
②13歳未満の男女に対して、わいせつな行為をすること

を禁止した法律です。
強制わいせつ罪でいうところの「わいせつな行為」とは、前回解説した公然わいせつ罪等と同じく、性欲を刺激、興奮又は満足させ、かつ普通人の性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するものを意味しますが、その判断基準は、その行為が被害者の性的自由を侵害するかどうかです。
また①の「暴行や脅迫」についてですが、暴行や脅迫の程度は、被害者の意思に反してわいせつ行為を行うに足りる程度とされており、強盗罪のように被害者の反抗を抑圧するほど激しいものだったり、強制性交等罪のように被害者の反抗を著しく困難にする程度までも必要とされていません。
また急に背後から女性に抱き付いたような強制わいせつ事件のように、わいせつ行為そのものが、ここでいう暴行ととらえられる場合もあります。
②については、こういった暴行や脅迫が必要とされておらず、単に、わいせつ行為に及ぶと強制わいせつ罪が成立し、例え、相手の同意があったとして強制わいせつ罪が成立することに変わりありません。
ちなみに行為者が、相手が13歳未満であることを知らずにわいせつ行為に及んだ場合は、強制わいせつ罪は成立しないとされています。

続いて第177条の強制性交等罪について解説します。
強制性交等罪

①13歳以上の男女に対して、暴行や脅迫を用いて、性交等すること
②13歳未満の男女に対して、性交等すること

を禁止した法律です。
強制性交等罪でいうところの、暴行や脅迫の程度は、前に解説した強制わいせつ罪におけるものよりも強いものが必要となりますが、被害者の反抗を抑圧する程度までは必要とされていません。
また強制性交等罪で禁止されている行為は、性交だけでなく、肛門性交口腔性交も含まれており、被疑者となる可能性は、男性だけでなく女性であります。
男性が女性に対して無理矢理に、口淫させる行為は当然のこと、女性が男性に対して無理矢理に、口淫しても強制性交等罪となり得るので注意が必要です。

強制わいせつ罪、強制性交等罪の罰則

強制わいせつ罪の法定刑は「6月以上10年以下の懲役」です。
強制性交等罪の法定刑は「5年以上の有期懲役」です。

「~刑法を解説~第22章わいせつ、強制性交等及び重婚の罪~③~」に続く

~刑法を解説~ 第22章 わいせつ、強制性交等及び重婚の罪~①~

2022-10-21

~刑法を解説~25回目の本日は、第22章わいせつ、強制性交等及び重婚の罪~①~について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。

わいせつ、強制性交等及び重婚の罪~①~

第22章は、わいせつ、強制性交等及び重婚の罪が規定されています。
本日は、その中でも

第174条 公然わいせつ罪
第175条 わいせつ物頒布罪等

について解説します。

まず第174条の公然わいせつ罪についてですが、公然わいせつ罪は、公然わいせつな行為をすることによって成立する犯罪です。
ここでいう「公然」とは、不特定多数の者が認識する可能性がある状態を意味し、実際に不特定又は多数の者によって認識されることまでは必要とされません。
また認識する者が特定人だけであっても、多数いる場合は公然性があると認められます。
また「わいせつな行為」とは、性欲の刺激、満足を目的とする行為で善良の風俗に反し、一般人に羞恥心を感じさせる行為をいいます。
公共の場所で下半身を露出する行為や、人前で性交渉する行為などが代表的ですが、例えば、同じ趣味を持つ複数人がホテルの一室に集い、そこでお互いの同意を得たうえで性行為に及んだ場合も公然わいせつ罪に抵触するので注意が必要です。

続いて第175条のわいせつ物頒布罪は、わいせつな文書や、図画、電磁的記録や、電磁的記録媒体等を頒布(交付、譲渡)したり、公然と陳列等することを規制した法律です。
またこういったわいせつな物を販売目的で所持することも禁止されています。(第2項)
この法律で対象とされている代表的な物は、無修正のわいせつ画像、動画です。
一昔前であれば無修正のアダルトビデオを販売してるお店などが、よくこの法律の適用を受けていましたが、インターネットの利用者が急増している現代では、ネット上に多くのわいせつ画像、映像が公開されていることから罪の意識が薄れ、一般の方々が手を出してしまいやすい犯罪の一つでもあります。

公然わいせつ罪、わいせつ物頒布罪等の罰則

公然わいせつ罪の法定刑は「6月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」です。
わいせつ物頒布罪等の法定刑は「2年以下の懲役若しくは250万円以下の罰金若しくは科料、又は懲役及び罰金の併科」です。

「~刑法を解説~第22章わいせつ、強制性交等及び重婚の罪~②~」に続く

~刑法を解説~ 第21章 虚偽告訴の罪

2022-10-20

~刑法を解説~24回目の本日は、第21章虚偽告訴の罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。

虚偽告訴の罪

第21章は、虚偽告訴の罪について規定されています。
規定されている内容は以下のとおりです。

第172条 虚偽告訴罪
第173条 虚偽告訴罪の自白による刑の減免について

この章では、人に刑罰又は懲戒処分を受けさせる目的で、虚偽申告をする虚偽告訴罪について定められています。
虚偽告訴罪は、人に刑罰や懲戒処分を受けさせることを目的にして行われたことを必要とする目的犯で、少年事件における保護処分を受けさせる目的であっても成立します。
またここでいう「告訴」には、被害届は含まれません。
また何をもって「虚偽」というかは、申告等の内容をなす事実が客観的真実に反するかどうかです。
虚偽告発も処罰の対象となります。
「告発」とは、犯人又は告訴権者以外の第三者が、捜査機関に対して犯罪事実を申告し、その訴追を求める意思表示を意味し、単なる犯罪事実の申告では虚偽告訴罪は成立しません。
ちなみに虚偽告訴罪は、故意犯ですので、虚偽告訴罪が成立するには、申告した事実が客観的に虚偽であるだけでは足らず、申告者が、申告した内容が虚偽であることを認識していることが必要とされています。

ちなみに虚偽告訴罪は、 偽証罪 と同じく、自白による刑の減免が規定されており、刑が減刑されるか免除されるかは裁判官の裁量によります。(第173条)

虚偽告訴罪の罰則

この章に規定されてされている虚偽告訴罪の法定刑は「3月以上10年以下の懲役」です。

「~刑法を解説~第22章わいせつ、強制性交等及び重婚の罪~①~」に続く

~刑法を解説~ 第20章 偽証の罪

2022-10-18

~刑法を解説~23回目の本日は、第20章偽証の罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。

偽証の罪

第20章は、偽証の罪について規定されています。
規定されている内容は以下のとおりです。

第169条 偽証罪
第170条 偽証罪の自白による刑の減免について
第171条 虚偽鑑定罪・虚偽通訳罪・虚偽翻訳罪

まず第169条の偽証罪について解説します。
偽証罪とは「法律により宣誓した証人が虚偽の陳述をした」場合に成立する犯罪です。
この犯罪の主体となるのは「法律により宣誓した証人」に限られている身分犯で、あくまでも対象となるのは「証人」ですので、裁判にかけられている当事者は対象となりません。
ここでいう「法律により」とは、宣誓について法律の根拠があることを意味します。
「宣誓」とは、良心に従って、真実を述べ何事も隠さず、また何事も付け加えないことを誓うことをいいます。
ところで何をもって「虚偽の陳述」となるのか気になるかと思います。
証人が自分の記憶とは異なる証言、つまり嘘を言うことが、虚偽の陳述なのか、それとも、証人が、客観的な事実と異なる証言を行うことを、虚偽の陳述というのかについては、前述した主観説が採用されています。
つまり証人がそうだと思い違いをしている内容を記憶に基づいて証言していれば、その内容が客観的な事実と異なっていたとしても、偽証罪でいうところの虚偽の陳述には該当しません。
偽証罪は、虚偽の陳述によって誤った裁判等が行われることを防止するための法律ですので、裁判等の確定前に虚偽陳述を自白すれば刑が減刑されたり免除されたりします。
この事が規定されているのが第170条です。
そして法律により宣誓した鑑定人や、通訳人翻訳人が、虚偽の鑑定や通訳、翻訳をした場合に成立するのが、第171条の虚偽鑑定等罪です。

偽証の罪の罰則

この章に規定されてされている偽証罪虚偽鑑定罪虚偽通訳罪虚偽翻訳罪の法定刑は「3月以上10年以下の懲役」です。

「~刑法を解説~第21章虚偽告訴の罪」に続く

~刑法を解説~ 第19章の2 不正指令電磁的記録に関する罪

2022-10-17

~刑法を解説~22回目の本日は、第19章の2不正指令電磁的記録に関する罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。

不正指令電磁的記録に関する罪

第19章には不正指令電磁的記録に関する罪について規定されています。
規定されている内容は以下のとおりです。

第168条の2 不正指令電磁的記録作成罪不正指令電磁的記録供用罪
第168条の3 不正指令電磁的記録取得罪

この章で規定されている犯罪は、平成23年の刑法改正によって新設された刑法の中では比較的新しい法律です。
世の中にパソコンやインターネットが急速に普及し、コンピューターウィルスによって電子計算機で使用者の意図に反する情報処理がなされることを防止することを目的に、この章ではコンピューターウィルス作成提供使用等の行為を規制しています。
この章で規定されている犯罪の保護法益は、コンピューターウイルスの被害にあったコンピューターの使用者だけでなく、社会的法益である世の中のコンピューターの安全性に対する信用とされています。

まず第168条の2では、正当な理由なく、他人のコンピューターに対して、使用者の意図に反する情報処理を行わせることを目的で、そういった情報処理をさせるソフト(コンピューターウィルス)を作成したり、そういった類のソフトを提供することを禁止しています。
他人のコンピューターに対して、使用者の意図に反する情報処理を行わせるソフト(不正指令電磁的記録)とは、俗にいう「コンピューターウィルス」のことです。
分かりやすく言うと、コンピューターウィルスを作成したり、提供したりするのを規制しているのが、第168条の2の「不正指令電磁的記録作成罪」「不正指令電磁的記録供用罪」なのです。
当然ですが、コンピューターウィルスを他人のコンピューターに対して実行する行為も処罰の対象となります。
また不正指令電磁的記録作成罪不正指令電磁的記録供用罪は未遂の場合も処罰の対象となります。(第168条の2第3項)

そして第168条の3の不正指令電磁的記録取得等罪では、コンピューターウィルスを取得したり保管したりすることを禁止しています。

不正指令電磁的記録に関する罪の罰則

不正指令電磁的記録作成罪不正指令電磁的記録供用罪の法定刑は「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。
不正指令電磁的記録取得等罪の法定刑は「2年以下の懲役又は30万円以下の罰金」です。

「~刑法を解説~第20章偽証の罪」に続く

~刑法を解説~ 第19章 印章偽造の罪

2022-10-16

~刑法を解説~21回目の本日は、第19章印章偽造の罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。

印章偽造の罪

第19章には印章偽造の罪について規定されています。
規定されている内容は以下のとおりです。

第164条1項 御璽等偽造罪
     2項 御璽等不正使用罪
第165条1項 公印偽造罪
     2項 公印不正使用罪
第166条1項 公記号偽造罪 
     2項 公記号不正使用罪
第167条1項 私印偽造罪
     2項 私印不正使用罪
第168条   第164条~167条の各2項の未遂罪

この章では、世の中に存在するあらゆる印章に関する規制がなされています。
まず第164条1項の御璽等偽造罪では、御璽(天皇の印章)国璽(日本国の印章)御名(天皇の署名)を偽造することを規制しており、2項の御璽等不正使用罪では、これらを不正使用することを規制しています。
続いて第165条では公印に関する規制がなされています。
この法律で対象となるのは、公務所の印章又は公務員の署名で、第165条1項の公印偽造罪で、公務所の印章又は公務員の署名を偽造することを規制されており、公務所の印章又は公務員の署名を不正使用すれば、2項の公印不正使用罪となります。
同じ公務所でも印章ではなく、公務所の記号を偽造すれば、第166条1項の公記号偽造罪となり、公記号を不正使用すれば2項の公記号不正使用罪となります、
そして公的機関ではなく、個人(他人)の印章や署名について定められているのが、第167条です。
ここでは第1項で他人の印章や署名を偽造することを、そして2項で他人の印章や署名を不正使用することを規制しています。
この章で規定されている偽造罪が成立するには、全て行使の目的が必要とされています。
またこの章で規定されている不正使用罪は、未遂罪も処罰の対象となります。(第168条)

印章偽造の罪の罰則

①御璽等偽造罪と御璽等不正使用罪の法定刑は「2年以上の有期懲役」です。
②公印偽造罪と公印不正使用罪の法定刑は「3月以上5年以下の懲役」です。
③公記号偽造罪と公記号不正使用罪の法定刑は「3年以下の懲役」です。
④私印偽造罪と私印不正使用罪の法定刑は「3年以下の懲役」です。

「~刑法を解説~第19章の2不正指令電磁的記録に関する罪」に続く

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