~刑法を解説~ 第36章 窃盗及び強盗の罪~②~

刑法を解説~47回目の本日は、第36章窃盗及び強盗の罪~②~について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。

第36章窃盗及び強盗の罪~①~ こちらをクリック

窃盗及び強盗の罪~②~

本日は、第36章窃盗及び強盗の罪に規定されている犯罪の中から、強盗に関する罪について解説します。

第236条 強盗罪
第237条 強盗予備罪
第238条 事後強盗罪
第239条 昏酔強盗罪
第240条 前段 強盗致傷罪 強盗傷人罪
      後段 強盗致死罪 強盗殺人罪
第241条 前段 強盗強制性交等罪
      後段 強盗強制性交等致死罪

本日は、数多くの犯罪を規定している刑法の中でも、凶悪事件として分類されている強盗に関する犯罪について解説します。
まず第236条に規定されているのが、暴行又は脅迫を用いて、他人の占有する財物を強取することによって成立する強盗罪です。
また他人の占有する財物を強取するだけでなく、財産上不法の利益を得たり、他人に得させたりした場合も強盗罪となります。(2項強盗)
タクシードライバーに暴行する等して、タクシー料金を踏み倒した場合が2項強盗に当たります。
強盗罪は、暴行や脅迫を用いて他人の財産を得るという点では、恐喝罪とよく似てますが、暴行や脅迫の程度が恐喝罪とは異なります。
また強盗は、予備行為も処罰の対象となります。(第237条)
強盗の予備行為とは、強盗するための準備行為を意味し、どういった行為が予備行為に当たるかは非常に幅が広く、強盗に押し入る店舗を下見するだけでも強盗予備罪になる可能性があります。

第238条では事後強盗罪が規定されています。
事後強盗罪は、窃盗犯人が、窃取した財物を取り返されるのを防いだり、逮捕を免れたり、罪証を隠滅するために、暴行や脅迫をした時に成立する犯罪です。
例えば、万引き犯人が、犯行を目撃した店員に捕まりそうになった際に、捕まるのを免れるために店員に暴行した場合などに成立する犯罪です。
当然、その際に相手に怪我をさせると次に解説する強盗致傷罪となります。

続いて第239条に規定されている昏酔強盗罪について解説します。
昏酔強盗は、昏酔させた人から財物を盗ることによって成立する犯罪です。
昏酔とは、意識喪失又は意識や運動機能に障害を生じさせることで、そういった状態にさせる方法に制限はありませんが、麻酔等の薬物を用いるのが一般的でしょう。

そして強盗の際に相手に怪我をさせると第240条の前段に規定されている強盗致傷(傷人)罪となります。
強盗致傷罪と、強盗傷人罪の違いは、相手に怪我を負わせる意思があったかどうかです。
犯行当初から、相手に怪我をさせる意思はなく強盗行為に及んだが、結果的に相手に怪我をさせてしまった場合は、強盗致傷罪となり、そもそも相手に怪我をさせる意思をもって強盗行為に及んだ場合は強盗傷人罪となります。
同じく第240条の後段には、強盗致死(殺人)罪が規定されています。
ここでも相手に対する殺意の有無で罪名が区別されています。
強盗致傷罪強盗傷人罪強盗致死罪強盗殺人罪は同じ条文に規定されていますが、どういった刑事罰が科せられるかは、当然、相手に怪我を負わせたり、殺してしまう意思があったかどうかが大きく影響します。

窃盗及び強盗の罪~②~の罰則

①強盗罪、事後強盗罪、昏酔強盗の法定刑は「5年以上の有期懲役」です。
②強盗予備罪の法定刑は「2年以下の懲役」です。
③強盗致傷罪、強盗傷人罪の法定刑は「無期又は6年以上の懲役」です。
④強盗致死罪、強盗殺人罪の法定刑は「死刑又は無期懲役」です。
⑤強盗強制性交等罪の法定刑は「無期又は7年以上の懲役」です。
⑥強盗強制性交等致死罪の法定刑は「死刑又は無期懲役」です。

「~刑法を解説~第37章詐欺及び恐喝の罪~①~」に続く

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