~刑法を解説~51回目の本日は、第39章盗品等に関する罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
盗品等に関する罪
第39章盗品等に関する罪では
第256条 1項 盗品等無償譲受け罪
2項 盗品等有償譲受け罪、盗品等運搬罪、盗品等保管罪、盗品等処分あっせん罪
が規定されています。
この章でいうところの「盗品等」とは、何も窃盗罪の被害品に限られません。
財産に対する犯罪行為に不法に領得された物であれば、ここでいう「盗品等」に当たりますが、収賄罪でいうところの賄賂や、賭博罪で取得された金品、漁業法違反によって密漁された魚介類は、盗品等には当たりません。
また盗品等の罪が成立するには、まず本件の犯罪行為がすでに既遂に達していることが、前提条件となります。
そして盗品等の罪の主体となるのは本件の犯罪行為の被疑者以外の者です。
ちなみに、本件の犯罪行為は、構成要件に該当する違法な行為であれば足り、有責であることまでは必要とされていません。
つまり刑事責任に問われない、触法少年(14歳未満)による窃盗事件の被害品を譲り受けたり、すでに公訴時効が成立している詐欺事件の被害品を譲り受けたような場合でも、盗品等の罪は成立するのです。
そして盗品等の罪が成立するには、いうまでもなく故意が必要となります。
つまり自分が譲り受けた者が「盗品等」であることを認識していなければ盗品等の罪には問われない可能性があるのです。
ただ誰が犯したどんな犯罪によって取得された物であるのかまで、詳しい情報を知っている必要はなく「何らかの財産犯罪によって得られた物である」程度の認識があれば足りるとされています。
それではまず第1項の「盗品等無償譲受け罪」について解説します。
盗品等無償譲受け罪は、盗品等を無償で譲り受けることによって成立する犯罪です。
友達が盗んできた自転車をタダでもらったりすると成立する可能性があるのが、盗品等無償譲受け罪です。
続いて第2項に規定されている、盗品等有償譲受け罪、盗品等運搬罪、盗品等保管罪、盗品等処分あっせん罪について解説します。
まず盗品等有償譲受け罪ですが、これは盗品等を有償で譲り受けることによって成立する犯罪です。
そして盗品等運搬罪ですが、これは無償、有償に関わらず、盗品等の場所を移すことで成立する犯罪です。
また盗品等保管罪は、その罪名のとおり、盗品等を保管することで成立する犯罪で、盗品等あっせん罪は、盗品等の売買、交換、質入れ等を媒介、周旋することで成立する犯罪です。
盗品等に関する罪の罰則
①盗品等無償譲受け罪の法定刑は「3年以下の懲役」です。
②盗品等有償譲受け罪、盗品等運搬罪、盗品等保管罪、盗品等処分あっせん罪の法定刑は「10年以下の懲役及び50万円以下の罰金」です。
「~刑法を解説~ 第40章 毀棄及び隠匿の罪 」に続く