~刑法を解説~ 第19章 印章偽造の罪

~刑法を解説~21回目の本日は、第19章印章偽造の罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。

印章偽造の罪

第19章には印章偽造の罪について規定されています。
規定されている内容は以下のとおりです。

第164条1項 御璽等偽造罪
     2項 御璽等不正使用罪
第165条1項 公印偽造罪
     2項 公印不正使用罪
第166条1項 公記号偽造罪 
     2項 公記号不正使用罪
第167条1項 私印偽造罪
     2項 私印不正使用罪
第168条   第164条~167条の各2項の未遂罪

この章では、世の中に存在するあらゆる印章に関する規制がなされています。
まず第164条1項の御璽等偽造罪では、御璽(天皇の印章)国璽(日本国の印章)御名(天皇の署名)を偽造することを規制しており、2項の御璽等不正使用罪では、これらを不正使用することを規制しています。
続いて第165条では公印に関する規制がなされています。
この法律で対象となるのは、公務所の印章又は公務員の署名で、第165条1項の公印偽造罪で、公務所の印章又は公務員の署名を偽造することを規制されており、公務所の印章又は公務員の署名を不正使用すれば、2項の公印不正使用罪となります。
同じ公務所でも印章ではなく、公務所の記号を偽造すれば、第166条1項の公記号偽造罪となり、公記号を不正使用すれば2項の公記号不正使用罪となります、
そして公的機関ではなく、個人(他人)の印章や署名について定められているのが、第167条です。
ここでは第1項で他人の印章や署名を偽造することを、そして2項で他人の印章や署名を不正使用することを規制しています。
この章で規定されている偽造罪が成立するには、全て行使の目的が必要とされています。
またこの章で規定されている不正使用罪は、未遂罪も処罰の対象となります。(第168条)

印章偽造の罪の罰則

①御璽等偽造罪と御璽等不正使用罪の法定刑は「2年以上の有期懲役」です。
②公印偽造罪と公印不正使用罪の法定刑は「3月以上5年以下の懲役」です。
③公記号偽造罪と公記号不正使用罪の法定刑は「3年以下の懲役」です。
④私印偽造罪と私印不正使用罪の法定刑は「3年以下の懲役」です。

「~刑法を解説~第19章の2不正指令電磁的記録に関する罪」に続く

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