~刑法を解説~29回目の本日は、第23章賭博及び富くじに関する罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
賭博及び富くじに関する罪
第23章の賭博及び富くじに関する罪には
第185条 賭博罪
第186条1項 常習賭博罪
第186条2項 賭博開張図利罪・博徒結合図利罪
第187条1項 富くじ販売罪
第187条2項 富くじ取次罪
第187条3項 富くじ授受罪
です。
まず第185条の賭博罪について解説します。
賭博罪はその罪名のとおり賭博することを禁止した法律です。
ここでいう賭博とは、偶然の事情に関して財物を賭けて勝敗を争う行為を意味します。
賭博とは、いわゆる「賭け事」ですが、賭博罪の但し書きにもあるように、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、罪に問われない場合もあります。
ただ友人同士、知人同士であれば警察沙汰にまでならないだろうと思い込んでやってしまった、賭けマージャンや賭けゴルフ等であっても、その常習性や、参加人数、賭ける金額によっては賭博罪として警察の捜査を受けることがあるので注意が必要です。
そしてこういった賭博行為を常習的にすると、第186条1項の常習賭博罪となります。
またこういった賭博を主催した場合は、第186条2項の賭博開張罪となります。
もう一つ第186条2項には博徒結合図利罪が規定されています。
博徒とは、常習的ないし職業的に賭博を行う者を意味し、こういった博徒の集団を組織し、その組織をもって賭博の便宜を図ることによって成立するのが博徒結合図利罪となります。
第187条には富くじに関する規定がなされています。
富くじとは、宝くじのように抽選によって、くじの購入者が賞金を得るとともに、くじ発行者がくじ代金での収入を得るという形式のくじのことで、代表的なのは「宝くじ」です。
当然一般販売されている「宝くじ」は合法なものですが、同様のくじを無許可で販売したり、取次をしたり、授受することを禁止しているのが、第187条に規定されている富くじ販売罪、富くじ取次罪、富くじ授受罪となります。
賭博及び富くじに関する罪の罰則
①賭博罪の法定刑は「50万円以下の罰金又は科料」です。
②常習賭博罪の法定刑は「3年以下の懲役」です。
③賭博開張図利罪・博徒結合図利罪の法定刑は「3月以上5年以下の懲役」です。
④富くじ販売罪の法定刑は「2年以下の懲役又は150万円以下の罰金」です。
⑤富くじ取次罪の法定刑は「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」です。
⑥富くじ授受罪の法定刑は「20万円以下の罰金又は科料」です。
「~刑法を解説~第24章礼拝及び墳墓に関する罪」に続く