大阪府堺市の殺人事件 殺人罪について弁護士が解説
大阪府堺市の殺人事件を例に、殺人罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
先週、大阪府堺市内で二件の殺人事件が発生しました。
本日のコラムでは、この二件の殺人事件を例に殺人罪について解説します。
事件1
堺市東区のマンションの一室で、この部屋に住む29歳の母親と、3歳の娘が胸などを複数回刺されて死亡しているのが発見されました。
一緒に住んでいた33歳の夫の行方が分からなくなっており、大阪府警は、この夫が何らかの事情を知っているとみて行方を探しているようです。
事件2
堺市西区の路上で、まだ20歳の女子大生が23歳の男に刃物で刺されて亡くなりました。
男は事件直後に通報で駆け付けた警察官に現行犯逮捕されており、その後の取調べで逮捕された男は被害者の交際相手で、「刺したことは認めるが、殺そうとしたかは思い出せない」と供述しているようです。
殺人罪
警察が扱う刑事事件の中で、最も身近で凶悪な事件が殺人罪です。
殺人罪は、刑法第199条に規定されており、その内容は実に明解で「人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する」とされています。
ここでいう「殺した」というのは、人を死に追いやるという意味で、その手段や方法は問われず、不作為や間接的な方法であっても殺人罪に問われることがあります。
殺人罪で重要なのは「殺意があったかどうか」です。
殺意とは、簡単にいうと人を殺す意思(故意)のことで、殺意なく行為に及び、その行為によって人が亡くなった場合は、殺人罪が成立しないとされています。
殺人罪に時効はない
母子が亡くなった事件1では、まだ犯人が捕まっておらず、亡くなった母子の父親が行方不明であるようです。
平成22年に刑法が改正されるまでは殺人罪等について、公訴時効が25年と定められていたので、殺人犯人は事件を起こして25年間逃げ続ければ刑事罰を受けることがありませんでした。
しかし現在は、殺人罪をはじめとした「人を死亡させた罪」のうち、法定刑の上限が死刑である犯罪については公訴時効がないので、殺人事件を起こした犯人は、生きている限りは、いつまでも刑事罰を受ける可能性があります。
殺人罪の量刑は?
殺人罪で起訴されて有罪が確定すればどういった刑事罰が科せられるかについては、よく「死刑」になるのか「無期懲役」になるのかが話題になります。
裁判官が死刑判決を言い渡すかどうかは、「永山基準」が参考にされていると聞きますが、そもそもこの「永山基準」とは何でしょうか?
明日のコラムでは、この「永山基準」について解説します。
~明日に続く~