殺人罪で裁判員裁判

2019-01-15

昨年7月、堺市において、バイクに対して約100キロのスピードであおり運転をした後、車を衝突させてバイクの運転手を死亡させた死亡事故が発生しました。
衝突させた車を運転していた男性(被告人)に対して殺人罪が適用され、この事件の裁判員裁判が大阪地方裁判所堺支部で開かれています。
この事件は、あおり運転殺人罪が適用された極めて稀な事件で、被告人に殺意があったか否かが争点となりそうです。
(平成31年1月15日付 新聞各社の記事を参考にしています。)

◇あおり運転◇

皆さんもご存知のように、2年前に、東名高速道路において、あおり運転に起因する死亡事故が発生してから、あおり運転が社会問題となり、世間を騒がせています。
警察等の捜査当局は、あおり運転に対して道路交通法以外を適用して取締りを強化しており、これまで、暴行罪や傷害罪、危険運転致死罪等が適用されています。
しかし警察の発表によりますと、あおり運転の摘発は増加傾向にあるようです。
その要因の一つとして、車に搭載されたドライブレコーダーがあります。
今回の事件でも、被告人の車に踏査されたドライブレコーダーの映像と音声が有力な証拠となって検察側は殺人罪での起訴に踏み切ったと思われます。

◇殺人罪◇

殺人罪は、刑法第199条に定められた法律で、皆さんが身近に感じる中で最も重い犯罪ではないでしょうか。
殺人罪の法定刑は「死刑又は無期若しくは5年以上の有期懲役」です。
事件の内容にもよりますが、殺人罪で起訴されて有罪が確定した事件のほとんどは、10年以上の長期服役が言い渡されており、その中では数件の死刑判決も言い渡されています。
しかし、殺人罪で起訴された事件でも、適切な弁護活動を行うことによって執行猶予判決を得たり、傷害致死罪等、殺人罪よりも軽い法律の適用を受ける可能性があります。

◇殺人罪の量刑◇

皆さんが気になるのが殺人罪で有罪が確定した場合の量刑ではないでしょうか。
殺人罪は、人の命を奪うという結果の重大性から、非常に厳しい判決が予想されますが、死刑判決が言い渡されることは滅多にないのが現状です。
殺人罪の量刑は、殺人を犯す動機、殺人の手段方法、殺した人数等によって左右されます。被害者側に問題があったり、介護疲れ等が動機となって殺人を犯した場合は、比較的軽い刑が言い渡されますが、逆に、自己中心的な動機で、残虐な手口で人を殺してしまった場合は、非常に厳しい刑が予想されます。

◇裁判員裁判◇

かつては年間10人以上の死刑判決が言い渡されていましたが、裁判員裁判制度が導入されてからは死刑判決が減少傾向にあります。
裁判員裁判とは、平成21年から始まった裁判の制度で、ある一定の重い罪の刑事裁判においては、裁判所によって無作為に選出された国民が、裁判に参加し、裁判官と共に被告人の処分を決定する裁判のことです。
それまでは裁判官が判決を決定していましたことから、法律家目線からの刑事罰しか決定していませんでしたが、裁判員裁判制度が導入されてからは、一般人も審議に参加するようになり、少なからず一般人の意思が刑事罰に反映されるようになったのです。

◇今回の事件を検討◇

新聞各社から報道されているように、今回の刑事裁判で、殺人罪で有罪判決が言い渡されるかどうかは「殺意」を認めるかどうかが争点となります。
殺人罪における「殺意」とは殺人の故意を意味します。
人が死亡するという結果が生じたとしても、この故意がなければ殺人罪は成立しません
殺人罪の故意は、確定的な殺意までの必要はなく、人の死が発生する可能性を認識していれば足りるとされています。
今回の事件では、検察側は、被告人が
・約100キロのスピードで、被害者が運転するバイクに対してあおり運転を続けていること
・衝突後に被告人が「はい、終わり」と言っていること
を重要視し、少なくとも未必の故意が認められると判断し殺人罪での起訴に踏み切ったのでしょう。
それに対して被告人側は、ブレーキを踏んだが間に合わず衝突したと、過失運転致死罪を主張しているようです。
警察等の捜査当局だけでなく世間全体が、あおり運転に対して非常に厳しい反応になっていることを考慮すれば、今回の刑事裁判で検察側の主張が認められる可能性は十分に考えられます。

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