~事件~
自営業を営むAさんは、友人にお金を貸す際に担保として預かった車を運転中、八尾市の路上で警察官から職務質問されました。
警察官から「Aさんの乗っている車に盗難届が出ている。」ことを教えられたAさんは「借金の担保で友人から預かっている車」である旨を警察官に説明し、車を放置して、その場から立ち去ろうとしました。
するとAさんは窃盗罪で緊急逮捕されてしまいました。(フィクションです。)
窃盗罪~自動車盗~
自動車盗は、窃盗罪の中でも警察が取締りを強化している街頭犯罪の一つに当たります。
窃盗盗(自動車盗)で起訴されて有罪が確定すれば、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科せられます。
緊急逮捕
逮捕は、裁判官の逮捕状を必要とする通常逮捕、誰でもできる現行犯逮捕、そして緊急性が認められる場合にできる緊急逮捕の3種類があります。
ここでは緊急逮捕について解説します。
緊急逮捕は、どんな犯罪を犯した者に対してでも、できるわけではありません。
緊急逮捕は
①死刑又は無期若しくは長期3年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪を犯している場合(重要性)
②罪を犯したことを疑うに足りる充分な理由がある場合(充分性)
③急速を要し裁判官の逮捕状を求めることができない場合(緊急性)
の3つの条件を満たしていなければ、逮捕することができず、警察官は緊急逮捕する理由を犯人に告げなければなりません。また警察は、緊急逮捕後、直ちに裁判官に対して逮捕状を請求しなければなりません。(裁判官が逮捕状を発しなかった場合は釈放される。)
Aさんの事件を考えると、まず自動車盗は窃盗罪です。
窃盗罪の法定刑は上記の通り「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」ですので、①の条件は満たします。
続いて③の緊急性についてですが、Aさんが車を放置して立ち去ろうとしているので、このままだと逃走する可能性があるとして緊急性も認められるでしょう。
問題は②の、罪を犯したことを疑うに足りる充分な理由があるかという点です。
確かに、盗難車を運転していれば、自動車盗の犯人である可能性が疑われるでしょうが、それだけで自動車盗を犯したことを疑う充分が理由となるか?と問われれば、疑問が残ります。
その疑問を補充するだけの理由があれば、Aさんの緊急逮捕は適法だと判断されますが、そうでなければ、Aさんの緊急逮捕は、違法逮捕となる可能性が高いです。
緊急逮捕は、法律に精通した者の判断が必要になります。
ご家族、ご友人が、窃盗罪で逮捕されてしまった方、八尾市の自動車盗で緊急逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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