【私戦予備及び陰謀】大阪の刑事事件 イスラム国へ渡航計画中の学生を聴取
刑法第93条に「外国に対して私的に戦闘行為をする目的で、その予備又は陰謀をした者は、3月以上5年以下の禁錮に処する」と私戦予備及び陰謀の罪を定めています。
私戦予備とは、政府が関与しない個人レベルで、外国相手に戦争行為を仕掛ける準備をすることで、私戦陰謀とは戦争を仕掛ける計画を立てることをいいます。
滅多に耳にすることのない法律が、平成26年10月に世間を騒がせました。
それは、警視庁公安部がイスラム国へ渡航しようとした北海道大学の学生を「私戦予備および陰謀」の容疑で事情聴取すると共に、関係先を家宅捜索したのです。
当時、イスラム国に拘束されたジャーナリストの虐殺映像が配信されるなど、国際的にイスラム国に対して非常に過敏になっている中で、日本ではイスラム国への入国を希望する若者が出てきて社会問題になっていました。そんな若者たちをどうにか食い止めようと、強制的にイスラム国へ入ることを阻止するために、明治40年に公布された刑法の中でも非常にめずらしい、この私戦予備および陰謀の罪が適用されたのです。
つまり日本からイスラム国への渡航を未然に防ぐことが目的で、苦肉の策でこの法律が適用されたわけでありますが、これには「イスラム国に入れる保証がないのに、イスラム国へのチケットを取っただけで私戦予備は成立しない」という否定的な意見と「日本人が米国などに戦争を仕掛けるのを食い止める意味で成立する」とみる肯定的な意見に分かれ、実際に事情聴取を受けた学生は起訴どころか、逮捕もされなかったようです。
この私戦に関する法律は予備や陰謀を規制していますが、私戦に参加すること自体を規制していません。それは一般人が外国と戦争をするなんて現実的にはあり得ないと考えられるためで、仮に、その様な事があったとしても、現行の法律(殺人、傷害、器物損壊等)で対処できるからです。
また、この法律は「自首した者はその刑を免除する」と、自首して捜査機関に協力した者に対しては刑を免除する事が約束されています。
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当事務所は刑事事件を専門に扱っておりますので、あらゆる刑法犯事件に精通しております。
私戦予備及び陰謀罪のように、過去に適用された例のない罪名についても取り扱わせていただきますので、ご安心ください。