~事件~
大阪市鶴見区にある建設会社で勤務するAさんは、20年以上にわたって会社の経理を担当しています。
Aさんは、数年前から、帳簿を改ざんする等して会社のお金を横領していたのですが、ついに税理士が横領に気付き会社から返済を求められています。
横領額は5年間で1千万円を超えています。
返済の難しいAさんは、今後の対応を刑事事件専門の弁護士に相談しました。
(フィクションです。)
業務上横領事件
勤める会社のお金を横領すれば業務上横領罪になる可能性が高いです。
自己の管理する他人の物を横領すれば、横領罪が適用されますが、それが業務に携わって管理している他人の物を横領した場合は「業務上横領罪」となり、単純な横領罪よりも罰則が厳罰化されています。
それは、業務関係に基づく占有物についての横領行為は、通常、犯人と多数人との間の信頼関係を破るものである点においてその法益侵害の範囲が広く、また頻発のおそれが多いことなどから、加重処罰の必要が認められているのです。
ちなみに、刑法第252条で定められている単純な横領罪の法定刑は5年以下の懲役ですが、刑法第253条に定められている業務上横領罪については「10年以下の懲役」と恐喝罪や、詐欺罪等と同じです。
業務上横領罪の量刑
上記のとおり、業務上横領罪には罰金の処罰規定がないために、起訴されれば、無罪や執行猶予付の判決が言い渡されない限り、刑務所に服役しなければなりません。
まず起訴されるか否かは、被害弁償(横領したの金品の返済)ができているかどうかに左右されるでしょう。
被害弁償できていれば、会社に実質的損害が弁償されたという判断で不起訴処分になる可能性が高いです。
しかし、会社に被害弁償できなければ、起訴される可能性が高いです。
その場合に気になるのが、執行猶予が付くかどうかです。
初犯で被害弁償できていないと仮定すれば、執行猶予が付くか否かは横領額に左右されるでしょう。
一般的に100万円を超える場合は実刑判決が言い渡される可能性が高いと言えるでしょう。(当然、情状にもよる。)