同意があれば傷害罪にならない?
同意傷害について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
~事例~
大阪府堺市に住むAは会社員として働いていましたが、あるとき、部下が仕事でミスをしてしまいました。
その会社では、ミスをした際は、上司が部下をたたくということが日常的に行われていたため、部下もAにミスを報告した際に、「ご指導お願いします。」と殴られることをお願いしているともとれる言動をしていました。
しかし数日後、大阪府堺警察署からAに連絡があり、部下が怪我をしたということでAは傷害事件で捜査されることになってしまいました。
そこでAは大阪の刑事事件に強い弁護士の無料法律相談に行くことにしました。
(この事例フィクションです。)
傷害罪
第204条
「人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」
傷害罪は刑法第204条に規定されており、人を傷害することを禁止しています。
傷害とは他人の身体の生理的機能を毀損することを指し、その手段として一般的なものは暴行などの有形的方法になりますが、それ以外の無形的方法である場合にも傷害の結果があれば、傷害罪となる可能性があります。
しかし、傷害に対して、被害者の同意や承諾があった場合はどうなるのでしょうか。
そのような場合があるのかと思われる方がいるかもしれませんが、SMプレイなどの性的嗜好によるものもありますし、ボクシングなどの格闘技も結果を見ると身体の生理的機能は毀損されているので傷害となります。
しかし、試合や手術のたびに傷害事件になっていたのでは、医者やボクサーは生活できません。
傷害罪については同意や承諾がある場合に犯罪とならないことがあるのです。
違法性の阻却
刑法に規定されている犯罪が成立するには、
1.構成要件に該当する
構成要件に該当しなければ、犯罪とはなりません。
今回のテーマとなっている被害者の同意があると構成要件に該当しないものもあります。
代表的なものが住居侵入であり、これは管理権者の同意があって侵入していれば、なにも問題はありません。
2.違法性
違法な行為でなければ、犯罪とはなりません。
違法性が阻却されるものについては、正当業務行為や正当防衛などがあります。
今回の傷害罪については、被害者に同意があった場合にはこの違法性が阻却されます。
3.有責性
構成要件に該当する違法な行為であっても、その行為を行った者にその行為に対する責任を問うことができなければ犯罪とはなりません。
上記3つ、構成要件に該当し、違法性も有責性も阻却されなければ、犯罪となるのです。
ただ、いくら被害者の同意があったとしても傷害罪の違法性が必ず阻却されるというわけではありません。
今回の事例で考えると会社全体として殴って指導するという風潮があり、上司と部下という明らかな上下関係もある場合、そもそも、被害者の同意が有効とならない場合があります。
正常な判断を下せる者でなければ、その同意は有効とはなりません。
また、生命に危険性のある傷害や、社会的に相当でない傷害についても違法性が阻却されないことがあります。
社会的に相当でない傷害とは、暴力団が指を詰めるといって指を切り落としたような場合には、生命に危険があるとは言えませんが、社会的に不相当だとされ、同意があったとしても違法な行為であるとされます。
犯罪となるかどうかは、法律の条文に書いてあることだけで判断されるのではなく、さまざまな要素から判断されることになります。
その判断には専門的な知識が必要となりますので、専門家である弁護士の見解を聞くようにしましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では刑事事件、傷害事件に強い弁護士が無料法律相談、初回接見を行っています。
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