Archive for the ‘刑事事件’ Category

公務執行妨害罪で現行犯逮捕

2019-01-30

◇事件◇

無職のAさんは、家の近所にあるコンビニまで自転車で行く道中に、よく大阪府西淀川警察署の警察官から職務質問をされます。
毎回、自転車の防犯登録番号から盗品自転車でないか調べられるのですが、何度も職務質問されることに腹を立てたAさんは、昨夜、パトカーに停止を求められた際に、持っていたペットボトルをパトカーに投げつけました。
パトカーのフロントガラスが割れてしまい、Aさんは、公務執行妨害罪現行犯逮捕されました。
(フィクションです)

◇公務執行妨害罪~刑法95条1項~◇

公務員が職務を執行するにあたり、これに対して暴行・脅迫を加えた者は3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。

~ペットボトルをパトカーに投げつける行為は、公務執行妨害罪の「暴行」に当たるか~

刑法の規定の中には「暴行」という言葉がよくつかわれますが、その意味は各罪名によって異なりますから注意が必要です。刑法の「暴行」は次の4種類に分けられます。
=最広義の暴行=
  有形力の行使すべてを含み、対象は人であっても物であってもよいとされています。
=広義の暴行=
  人に対する有形力の行使をいいますが、直接暴行だけではなく、間接暴行も含むとされてます。
=狭義の暴行=
  人の身体に対する有形力の行使をいいます。
=最狭義の暴行=
  人の身体に対する有形力の行使で、人の反抗を抑圧するか、著しく困難にする程度のものとされています。

このうち、公務執行妨害罪の「暴行」は上記②に当たります。
直接暴行とは、人の身体に直接に有形力を加えることですが、間接暴行とは、物に対する有形力で、それにより間接的に一定の人に物理的・心理的に感応を与えるようなものを意味します。
すなわち、後者の場合、直接人の身体に暴行を加える必要はありません。Aさんの「パトカーにペットボトルを投げつけ、フロントガラスを割った」という行為も、この間接暴行に当たるでしょう。

~ペットボトルをパトカーに投げつけただけで、公務執行妨害の「公務の妨害」に当たるか~

上の暴行の程度ですが、当然、職務執行の妨害となる程度のものである必要がありますが、それによって現実に職務の執行が妨害されたことを必要とされません。
これは、公務執行妨害罪目的が公務の円滑な執行を保護するためにあるからです。
パトカーは、警察官が様々な警察業務を遂行するに当たって必要不可欠なものです。
フロントガラスが割れたパトカーでは、その後の警察業務に従事することができませんので、警察官の業務を妨害したことになるでしょうから公務執行妨害罪が成立する可能性は極めて高いといえます。
業務の妨害が認められなかった場合は、器物損壊罪が成立するにとどまるでしょう。

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あおり運転に殺人罪が適用②

2019-01-28

~事件~

堺市で昨年7月に、あおり運転の後、バイクに車を衝突させて、バイクを運転していた男子大学生を死亡させたとして、大阪地方裁判所堺支部は、車を運転していた男性に、殺人罪の成立を認め、懲役16年の判決を言い渡しました。(平成31年1月26日付讀賣新聞朝刊を参考)

昨日は、あおり運転殺人罪における手段と方法について解説しました。
本日は、殺人罪故意、つまり殺意と、今回のあおり運転による殺人事件の刑事裁判について解説します。

◇殺人罪の故意~殺意~◇

殺人の故意、つまり殺意がなければ、殺人罪は成立しません。
いかに人の死亡という重大な結果が生じたとしても、故意(殺意)がなければ殺人罪は成立せずに、傷害致死罪や、過失致死罪にとどまるのです。
殺人罪でいう故意(殺意)の内容は、客体に対して単に生命ある人であることの認識で足ります。
行為に関しては、殺人の手段である行為によって死の結果が発生する可能性があることの認識があればよいとされています。
殺人故意(殺意)は、確定的な故意に限られず、未必的な故意、条件付故意、あるいは包括的な故意であっても殺人罪は成立します。
そもそも故意とは、罪を犯す意思のことで、刑法第38条に規定されているように、法律に規定のある場合を除いては、故意のない行為については刑罰を科すことができません。
故意は、大きく「確定的故意」と「不確定的故意」に分けられます。
行為者が、犯罪事実の実現を確定的に認識、認容していることを確定的故意といいます。
不確定的故意の一つに未必の故意があります。
未必の故意とは、行為者が犯罪事実の実現を可能なものとして認識、認容していることです。
相手の頭を鈍器で殴って殺害した事件を例えると、もし行為者に「この凶器で頭を殴ったら相手が死ぬ」という確定的な認識があって、それを認容して頭を殴りつけて相手を殺せば、確定的故意が認められることになります。
もし行為者が「この凶器で頭を殴れば死ぬかもしれないが、相手が死んでもかまわない」というように、死の可能性を認識しながら、その結果を受け入れて行為に及んだ場合は未必の故意となり、この場合も殺人罪が認められます。

◇刑事裁判◇

それでは今回の刑事裁判を解説します。
新聞等でも報道されているように、今回の裁判で被告人の男性は、車をバイクに衝突させた行為について「車線変更を急ぐためで、追跡していたわけではない。追突も故意ではなく、直前にブレーキをかけた。」と、故意を否認しており、あくまで過失によって起こった交通事故であることを主張していました。
しかし、検察側は、被告人が運転していた車に搭載されていたドライブレコーダーの映像や音声から
・衝突の直前にヘッドライトをハイビームにして、執拗にクラクションを鳴らして被害者に対してあおり運転をしている。
・あおり運転から逃げるために加速して車線変更した被害者のバイクを追随して加速している。
・急ブレーキや急ハンドルといった衝突を回避するための行動をとっていない。
・衝突後もすぐに停止することなく数秒間走行を続け、その後「はい、終わりー」とつぶやいている。
を根拠に、被告人が、故意的に被害者のバイクに車を衝突させていると主張した上で、100キロ近いスピードで走行する車を、同スピードで走行するバイクに衝突させれば、バイクが転倒することは明らかで、それによって運転手が死亡する危険性があることは十分に認識できていたはずだとして、未必の故意による殺人罪を訴えていたのです。
被告人は、自宅とは違う方向に車線変更した理由を「妻を迎えに行くためであって、被害者のバイクを追跡したのではない。」と主張し、急ブレーキをかける等して衝突を回避する行動をとっていないことについては「普段仕事でトラックを運転しているが、トラックは急ブレーキを踏むと荷崩れするので、その癖で急ブレーキをかけなかった。」と主張していました。
更にバイクに衝突した後に「はい、終わりー」とつぶやいた理由については「人生が終わったという落胆してしまってつぶやいた。」と弁解していましたが、裁判官は、被告人の主張をほぼ全面的に退けて、未必の故意を認定して殺人罪を言い渡したようです。

堺市で刑事事件に強い弁護士をお探しの方、あおり運転で警察の捜査を受けておられる方、ご家族、ご友人が殺人罪で警察に逮捕されてしまった方は、刑事事件を専門に扱っている弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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あおり運転に殺人罪が適用①

2019-01-26

~事件~

堺市で昨年7月に、あおり運転の後、バイクに車を衝突させて、バイクを運転していた男子大学生を死亡させたとして、大阪地方裁判所堺支部は、車を運転していた男性に、殺人罪の成立を認め、懲役16年の判決を言い渡しました。(平成31年1月26日付讀賣新聞朝刊を参考)
以前にもこのコラムで紹介した事件の判決が昨日言い渡されました。
全国的に厳しい取締りが行われているあおり運転に対して、ついに殺人罪が認定されましたが、その決め手となったのは、被告人の運転する車に搭載されていたドライブレコーダーで撮影された映像のようです。
今日から二日間にわたって、あおり運転殺人罪、そして今回の裁判を特集します。

◇あおり運転◇

東名高速道路で一家4人が死傷した事件で世間の注目を集めてからあおり運転が大きな社会問題となりました。
そのため全国の警察ではあおり運転の取締りを強化しています。
そもそもあおり運転とは、危険な追い越しや、前の車に急接近して車間距離を詰めたり、後続車がいるにもかかわらず不必要な急ブレーキをかけて衝突させようとしたり、前方を走行する車両にパッシングや、ハイビーム。クラクションを鳴らす等の危険な運転行為をいいます。
自動車を運転しての行為なので、通常は道路交通法違反による取締りが行われます。
例えば、急接見する行為は、車間距離不保持違反となりますし、危険な追い越しは、追い越し方法違反、幅寄せ行為は安全運転義務違反、執拗にクラクションを吹鳴する行為は、警音器使用制限違反によって取締りを受けますが、刑事事件化されない限りは、交通反則通行制度に則って、違反点数が累積されて、反則金の納付することで刑事罰が科せられることはありません。
しかし、警察庁は、より罰則の重い法令を積極的に適用するように全国の警察に指示しており、暴行罪(刑法第208条~2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料~)傷害罪(刑法第204条~15年以下の懲役又は50万円以下の罰金~)といった法律が適用されたケースがあります。
ちなみに、新聞等の報道によりますと、昨年1年間で、あおり運転に対してこれらの法令が適用されて刑事事件化されたのは、暴行容疑24件、傷害容疑1件とのことです。

◇殺人罪◇

今回の事件で認定されたのは刑法第199条に定められた殺人罪です。
殺人罪は、人の命を奪うという結果の重大性から、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役と、非常に厳しい法定刑が定められています。
殺人罪は、殺意(故意)をもって人を死に至らしめることで、その手段・方法に制限はありません。
射殺・撲殺・絞殺・毒殺等およそ他人の生命を断絶し得る手段、方法を用いた一切の行為について、殺人罪の実行行為が認められます。
また作為、不作為も問われませんので、幼児を養育する義務を負う者が、殺意をもって、殊更にその生存に必要な食べ物を与えず死に至らしめたような場合は、不作為による殺人罪が成立します。
更に間接正犯による殺人罪も認められます。
例えば、医師が患者を殺そうとして、薬と偽って看護師を使って毒薬を飲ませた場合は、間接正犯による殺人罪が成立するのです。

明日は、殺人罪における「故意」つまり殺意と、今回の裁判を解説します。
堺市で刑事事件に強い弁護士をお探しの方、あおり運転で警察の捜査を受けておられる方、ご家族、ご友人が殺人罪で警察に逮捕されてしまった方は、刑事事件を専門に扱っている弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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外国人による窃盗事件

2019-01-24

◇事件◇

ブラジル人のAさんは、去年来日し、大阪市大正区の飲食店で働いています。
来日してから日本語を勉強し、ある程度の日常会話は話せるようになりましたが、難しい日本語はまだ理解することができません。
ある日、Aさんは仕事帰りに立ち寄ったコンビニで、缶酎ハイ等の食料品2000円相当を万引きしてしまいました。
店員に捕まったAさんは、通報で駆け付けた大阪府大正警察署の警察官によって警察署に連行されて、取調べを受けた後に留置場に収容されています。
Aさんの働いている飲食店の店長は、外国人による窃盗事件を扱った経験のある刑事事件に強い弁護士を探しています。
(フィクションです)

◇窃盗事件◇

Aさんの犯した万引きは、刑法第235条の窃盗罪に当たります。
窃盗罪の法定刑は、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。
被害額が2000円程度の偶発的犯行による万引き事件ですと、逮捕される可能性は低く、不拘束による取調べが行われた後に検察庁に事件書類が送致されます。
そして検察官が起訴するかどうかを判断するのですが、被害品を買い取る等して被害弁償している場合は、初犯であれば不起訴処分となるでしょう。

◇外国人による刑事事件◇

外国人の方が、日本国内で犯罪を犯し警察に逮捕された場合、日本人と同じように刑事手続きが進められる事になります。
窃盗事件を起こして警察に逮捕された場合、逮捕から48時間までは警察の留置場に拘束される事となり、その間に勾留を請求するか否かが判断されます。
勾留が請求されない場合は、逮捕から48時間以内に釈放され、その後は不拘束状態での捜査が継続されますが、勾留が請求された場合は、検察庁に送致されて、そこで検察官の取調べを受けた後に、裁判所に勾留請求される事となります。
そして裁判官が勾留を認めると、その日から10日~20日間は再び警察の留置場若しくは拘置所に拘束されたまま取調べを受ける事となります。
勾留の最終日に検察官が起訴するか否かを決定し、起訴されなければ釈放となりますが、起訴された場合は、その後の刑事裁判で最終的な処分が決定します。
ただ同じ犯罪でも、日本人の被疑者よりも外国人の方が、逮捕されるリスクや、その後の身体拘束を受けるリスクは高くなるでしょう。
また取調べを受ける中でも様々なリスクが生じてしまいます。
その代表的なのが言葉の壁です。
日本語が通じなければ、通訳を介して取調べが行われますが、自身の主張が書類になっているかに不安を感じてしまう外国人の方は少なくありません。
また生活習慣の違いも大きな壁となるでしょう。
もし逮捕、勾留された場合は、警察署の留置場に収容されることになります。
留置場での生活は、宗教上の理由等が、ある程度考慮されると言われていますが、日本との生活習慣の違いが精神的なストレスになることは間違いありません。

◇強制退去◇

日本で刑事事件を起こしてしまった外国人の方が一番心配されているのが強制退去についてです。
実際に、日本で生活する外国人が刑事事件を起こした場合、処分が決定し、その刑を終えた時点で日本から強制退去される可能性があります。
入管法によると、有罪判決が強制退去に結び付くのは、1年を超える実刑判決とされていますが、薬物事件や、窃盗罪、詐欺罪等の財産犯事件を起こした外国人の場合、その方の在留資格によっては、執行猶予付の判決であっても判決の確定と共に強制退去になる事があります。

刑事事件を専門にしている弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、これまで多くの外国人の方の刑事弁護活動を行ってまいりました。
刑事事件を起こした外国人の精神的なストレスを少しでも軽減できるように配慮した刑事弁護活動を心がけておりますので、大阪市大正区で起こった刑事事件でお困りの外国人の方や、外国人の知人が窃盗罪で警察に逮捕されてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回法律相談:無料
大阪府大正警察署までの初回接見費用:36,600円(別途通訳料を頂戴します)

覚せい剤の密売

2019-01-22

◇事件◇

大阪市西成区に住むAさんは近所の居酒屋でアルバイトしています。
この居酒屋では、店長が仕入れてきた覚せい剤を、常連のお客さんに密売しており、Aさんも覚せい剤密売を手伝っていました。
ある日、Aさんが一人でお店にいる時に、厚生労働省近畿麻薬取締局の捜査員が、捜索差押許可状を持って来て、店内を捜索されました。
そして、厨房に隠していた覚せい剤が見つかってAさんは、覚せい剤所持罪現行犯逮捕されたのです。
時を同じくして店長も、覚せい剤の譲渡違反で逮捕されていたようです。
Aさんは、20日間の勾留後に、覚せい剤の営利目的所持で起訴されてしまいました。
(このお話はフィクションです。)

◇営利目的の覚せい剤所持事件◇

覚せい剤取締法で、覚せい剤の所持を禁止しています。
自分で使用する目的などの、非営利目的の単純な所持事件ですと、起訴されて有罪が確定すれば10年以下の懲役が科せられます。
特別な事情がない限りは、初犯だと執行猶予判決となる可能性が高く、刑務所に服役することは免れますが、再犯の場合は、実刑判決の可能性が高くなります。

密売等の営利の目的で覚せい剤を所持していたと認められた場合は、営利目的の覚せい剤所持罪となり、この罪で起訴されて有罪が確定すれば、1年以上の有期懲役が科せられることとなり、情状によっては300万円以下の罰金を併せて科せられます。
~営利の目的~
覚せい剤取締法では、大きく分けて所持、譲渡、譲受、使用、輸出入、製造を禁止しており、それぞれの違反形態は、非営利目的営利目的とに分かれています。
そして営利目的には加重処罰規定を設けているのです。
このような加重処罰規定が設けられたのは、財産上の利得を目当てとして犯罪を行うことが道義的に厳しく非難に値するというだけでなく、一般にその行為が反復され、覚せい剤の濫用を助長・増進させ国民の保健衛生上の危害を増大させる危険性が高いからです。
営利の目的は、犯人が自ら財産上の利益を得、又は第三者に得させることを動機・目的とする場合を意味します。
警察等の捜査当局は、押収した覚せい剤の量や、実際に覚せい剤を買った人物がいるかどうか(密売履歴)、覚せい剤を密売して得た財産等から営利目的を立証するのですが、単に覚せい剤を有償で譲り渡すことだけで営利目的と認められるわけではありません。
営利目的の覚せい剤所持罪は、非営利目的の単純な所持罪に比べて非常に重たい法定刑が定められています。
営利目的の覚せい剤所持事件で逮捕、起訴された場合は、初犯であっても刑務所に服役する可能性があるので、早期に薬物事件に強い弁護士を選任する事をお勧めします。

◇麻薬取締官◇

麻薬取締官は、警察官とは異なり、違法薬物の捜査がのみが許されてる、厚生労働省の職員のことで、巷では「麻薬Gメン」と呼ばれています。
麻薬取締官は、薬物捜査に限って捜査権が与えられており、拳銃や警棒等の武器の所持も法律で認められています。
麻薬取締官は、麻薬及び向精神薬取締法やあへん法、麻薬特例法で、警察捜査では許可されていない「おとり捜査」がある程度許されています。
そのため麻薬取締官は薬物に対する専門的な知識を有しており、麻薬取締官の多くは薬剤師の国家資格を有しています。
麻薬取締官の扱う薬物事件は、大規模な組織的な密売、密輸、栽培事件や、有名人、著名人が起こした事件が多く、最近では、大阪府内で大規模な大麻の密造事件が摘発されました。
麻薬取締官に逮捕された場合でも、基本的な捜査手続きは警察に逮捕された場合と同じですが、麻薬取締官が所属する厚生労働省の地方厚生局麻薬取締部にある留置場は、勾留中の被疑者を収容する事ができないので、拘置所で身体拘束を受ける場合がほとんどです。

大阪市西成区営利目的覚せい剤所持事件に強い弁護士をお探しの方、ご家族、ご友人が麻薬取締官逮捕された方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回法律相談:無料
大阪府西成警察署までの初回接見料金:35,400円
大阪拘置所までの初回接見料金:36,200円

殺人罪で裁判員裁判

2019-01-20

昨年7月、堺市において、バイクに対して約100キロのスピードであおり運転をした後、車を衝突させてバイクの運転手を死亡させた死亡事故が発生しました。
衝突させた車を運転していた男性(被告人)に対して殺人罪が適用され、この事件の裁判員裁判が大阪地方裁判所堺支部で開かれています。
この事件は、あおり運転殺人罪が適用された極めて稀な事件で、被告人に殺意があったか否かが争点となりそうです。
(平成31年1月15日付 新聞各社の記事を参考にしています。)

◇あおり運転◇

皆さんもご存知のように、2年前に、東名高速道路において、あおり運転に起因する死亡事故が発生してから、あおり運転が社会問題となり、世間を騒がせています。
警察等の捜査当局は、あおり運転に対して道路交通法以外を適用して取締りを強化しており、これまで、暴行罪や傷害罪、危険運転致死罪等が適用されています。
しかし警察の発表によりますと、あおり運転の摘発は増加傾向にあるようです。
その要因の一つとして、車に搭載されたドライブレコーダーがあります。
今回の事件でも、被告人の車に踏査されたドライブレコーダーの映像と音声が有力な証拠となって検察側は殺人罪での起訴に踏み切ったと思われます。

◇殺人罪◇

殺人罪は、刑法第199条に定められた法律で、皆さんが身近に感じる中で最も重い犯罪ではないでしょうか。
殺人罪の法定刑は「死刑又は無期若しくは5年以上の有期懲役」です。
事件の内容にもよりますが、殺人罪で起訴されて有罪が確定した事件のほとんどは、10年以上の長期服役が言い渡されており、その中では数件の死刑判決も言い渡されています。
しかし、殺人罪で起訴された事件でも、適切な弁護活動を行うことによって執行猶予判決を得たり、傷害致死罪等、殺人罪よりも軽い法律の適用を受ける可能性があります。

◇殺人罪の量刑◇

皆さんが気になるのが殺人罪で有罪が確定した場合の量刑ではないでしょうか。
殺人罪は、人の命を奪うという結果の重大性から、非常に厳しい判決が予想されますが、死刑判決が言い渡されることは滅多にないのが現状です。
殺人罪の量刑は、殺人を犯す動機、殺人の手段方法、殺した人数等によって左右されます。被害者側に問題があったり、介護疲れ等が動機となって殺人を犯した場合は、比較的軽い刑が言い渡されますが、逆に、自己中心的な動機で、残虐な手口で人を殺してしまった場合は、非常に厳しい刑が予想されます。

◇裁判員裁判◇

かつては年間10人以上の死刑判決が言い渡されていましたが、裁判員裁判制度が導入されてからは死刑判決が減少傾向にあります。
裁判員裁判とは、平成21年から始まった裁判の制度で、ある一定の重い罪の刑事裁判においては、裁判所によって無作為に選出された国民が、裁判に参加し、裁判官と共に被告人の処分を決定する裁判のことです。
それまでは裁判官が判決を決定していましたことから、法律家目線からの刑事罰しか決定していませんでしたが、裁判員裁判制度が導入されてからは、一般人も審議に参加するようになり、少なからず一般人の意思が刑事罰に反映されるようになったのです。

◇今回の事件を検討◇

新聞各社から報道されているように、今回の刑事裁判で、殺人罪で有罪判決が言い渡されるかどうかは「殺意」を認めるかどうかが争点となります。
殺人罪における「殺意」とは殺人の故意を意味します。
人が死亡するという結果が生じたとしても、この故意がなければ殺人罪は成立しません
殺人罪の故意は、確定的な殺意までの必要はなく、人の死が発生する可能性を認識していれば足りるとされています。
今回の事件では、検察側は、被告人が
・約100キロのスピードで、被害者が運転するバイクに対してあおり運転を続けていること
・衝突後に被告人が「はい、終わり」と言っていること
を重要視し、少なくとも未必の故意が認められると判断し殺人罪での起訴に踏み切ったのでしょう。
それに対して被告人側は、ブレーキを踏んだが間に合わず衝突したと、過失運転致死罪を主張しているようです。
警察等の捜査当局だけでなく世間全体が、あおり運転に対して非常に厳しい反応になっていることを考慮すれば、今回の刑事裁判で検察側の主張が認められる可能性は十分に考えられます。

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器物損壊罪と親告罪

2019-01-18

◇事件◇

Aさんは南海電鉄岸和田駅周辺で、月極駐車場やコインパーキングを管理、運営しています。
Aさんの管理する駐車場に自転車を無断駐輪する駅の利用客が絶えず、これまで張り紙をするなどの対策をとってきましたが、一向に無断駐輪の自転車はなくなりません。
そこでAさんは、事前に、駐車場の目立つ部分に「平成31年1月1日以降、駐車場内に無断駐輪している自転車を施錠します。施錠の解除には10,000円を徴収いたします。」という張り紙をして、実際に平成31年1月1日に、駐車場内に無断駐輪している自転車のタイヤに通した鎖をフェンスに固定し自転車を動かせないように固定したのです。
その結果、それ以降は無断駐輪する自転車が激減しましたが、先日、大阪府岸和田警察署から、この件で話を聞きたいと電話がかかってきました。
Aさんが大阪府岸和田警察署に出頭したところ、警察官から、Aさんの行為は器物損壊罪に当たると言われました。
自転車を壊したわけでもないのに、自分の行為が器物損壊罪に当たることに納得ができないAさんは、大阪の刑事事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

◇器物損壊罪~刑法第261条~◇

他人の物を壊せば器物損壊罪となります。
器物損壊罪でいう「損壊」とは、「毀棄」と同義で、物質的に物そのものの形を変更させたり滅失させる場合だけでなく、広くその物の効用を害する一切の行為が損壊に当たります。
これまで効用滅失行為として器物損壊罪が適用された例としては
・看板を取り外して数百メートル先に放棄した事件
・他人の物置場所を勝手に変更した事件
・食器へ放尿し、食器を再び本来の目的に供することのできない状態にした事件
等があります。
今回の事件でAさんは、自転車その物を壊したわけではありませんが、自転車のタイヤに通した鎖をフェンスに固定していることによって、自転車の所有者が、鎖を破壊しなければ自転車を使用できない状態にしています。
この行為は、自由に運行の用に供するという自転車本来の効用を事実上失わせた行為であるから、器物損壊罪にいう損壊に当たると解されて、Aさんの行為が器物損壊罪に当たる可能性は十分に考えられます。

◇親告罪◇

親告罪とは、告訴がなければ公訴を提起することができない犯罪です。
Aさんの行為に適用されるであろう器物損壊罪をはじめ、名誉毀損罪、侮辱罪、秘密漏示罪、過失傷害罪、私用文書等毀棄罪、略取誘拐罪や親族間の窃盗罪等がこれに当たります。
ちなみに平成29年の刑法改正までは、強制わいせつ罪や強姦罪(現在の強制性交等罪)等も親告罪とされていましたが、現在は非親告罪となっています。

親告罪には、告訴不可分の原則があります。
これは、共犯の1人または数人に対してした告訴または告訴の取消しは、他の共犯に対してもその効力を生じることです。
これを告訴の主観的不可分と言います。
また犯罪事実の一部に対してした告訴または告訴の取消しは、その全部について効力が生じます。
これを告訴の客観的不可分と言います。

◇親告罪の刑事弁護活動◇

親告罪には
・告訴がなければ起訴できない
・一度取消した告訴は、同じ事実で再び告訴できない
という決まりがあります。
そのため器物損壊罪のような親告罪の刑事弁護活動は、被害者との示談が最優先されます。
未だ被害者が告訴していない場合は、示談書の中で告訴しないことを約束してもらい、既に告訴してしまっている場合は、告訴を取消すことを約束してもらうのです。
そういった内容の示談を、起訴されるまでに締結することができれば、器物損壊罪のような親告罪で警察の捜査を受けていても、刑事罰が科せられることはありません。

岸和田市の刑事事件でお困りの方、器物損壊罪のような親告罪で警察の捜査を受けておられる方は、刑事事件に強いと評判の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回法律相談:無料
大阪府岸和田警察署までの初回接見費用:38,600円

公訴時効と盗品等無償譲受罪

2019-01-16

◇事件◇

Aさんは、数日前に、友人から「もう10年以上前に盗んだバイクで時効が成立しているから大丈夫」と言われて、友人からバイクを無償で譲り受けました。
このバイクを運転中にAさんは、大阪市此花区の路上で信号無視をしてしまい、大阪府此花警察署の警察官に取締りを受けました。
その際に、Aさんのバイクの車体番号が削られていたことを不審に思った警察官から、バイクについて追及を受けたAさんは、もう時効が成立しているので大丈夫だろうと思って、バイクを友人から無償で譲受けた経過を警察官に説明したのです。Aさんは、大阪府此花警察署に連行されて取調べを受けました。
(フィクションです)

◇公訴時効◇

刑法では、犯罪が行われた後、公訴されることなく一定期間が経過した場合には、公訴が提起できなくなる公訴時効が規定されています。
公訴時効が成立する時期は、その犯罪の法定刑の大小を基準として規定されており、以下の通りです。
①人を死亡させた罪:法定刑に応じて、公訴時効なし,または30年、20年、10年
②死刑に当たる罪:25年
③無期懲役または禁錮:15年
④長期15年以上:10年
⑤長期15年未満:7年
⑥長期10年未満:5年
⑦長期5年未満または罰金:3年
⑧拘留または科料:1年

窃盗罪の法定刑は「10年以下の懲役または50万円以下の罰金」ですので、上記⑤に当たり、窃盗罪の公訴時効は7年です。
ですから友人が言うように、バイクを盗んだのが10年以上前であれば、バイクを盗んだ窃盗事件については時効が成立していることになり、バイクの窃盗犯人に刑事罰が科せられることはありません。

◇盗品等無償譲受罪◇

盗品等無償譲受罪とは、盗品その他財物に対する罪に当たる行為によって領得された物を無償で譲り受けることで、刑法第256条で「3年以下の懲役」の罰則が規定されています。
盗品その他財物に対する罪とは、窃盗罪や横領罪によって不法領得した財物は当然のこと、詐欺罪や恐喝罪によって不正に取得した財物も対象になります。
また、財産罪によって領得された財物が盗品等となるのですが、ここにいう犯罪行為は、構成要件に該当する違法行為であれば足り、必ずしも有責であることを必要としません
つまり財産罪を犯した犯人が、刑事未成年者であったり、親族間の犯罪に関する特例の適用によって刑の免除を受たりしている場合や、本犯の公訴時効が完成している場合でも、盗品等無償譲受けの罪は成立してしまうのです。
財産罪の実行行為に加担していた者は、財産罪の共犯となるので、盗品等の罪の主体にはなり得ませんが、財産罪の教唆者や幇助者は、財産罪の実行行為を分担するのではないので、盗品等の罪の主体となり得ます。
盗品等無償譲受罪故意犯です。
この罪が成立するには、行為者に盗品であることの認識がなければなりません。
この認識は、いかなる財産罪によって取得した物なのか、犯人や被害者が誰なのか等の詳細まで必要とされませんが、その財物が何らかの財産罪によって領得された物であることの認識は必要です。

つまり今回の事件を検討すれば、Aさんにバイクを譲った友人の窃盗事件について公訴時効が成立していたとしても、Aさんが盗品としてバイクを譲り受けているので、Aさんに盗品等無償譲受罪が適用されてしまいます。

大阪市此花区の刑事事件でお困りの方、盗品バイクの盗品等無償譲受罪で警察の取調べを受けておられる方は、刑事事件に強いと評判の、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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大阪府此花警察署までの初回接見費用:35,300円

盗聴器設置で住居侵入罪

2019-01-14

30歳男性からの法律相談

数ヶ月前から、職場の男性同僚に「妻が浮気しているかもしれない」という相談をされており、10日ほど前に、この同僚に頼まれて、同僚の家に盗聴器を仕掛けました。
同僚が奥さんを連れて買い物に行っている間に、同僚から借りた家の鍵を使って同僚の家に入り、寝室とリビングに盗聴器を仕掛けました。
仕掛けた盗聴器は、同僚が日本橋の電気街で購入し、事前に渡されていました。
先日、同僚の奥さんが盗聴器を発見して、大阪府門真警察署に届け出たようです。
私の行為は、犯罪になるのでしょうか?
同僚夫婦が住んでいるのは、門真市の賃貸住宅で、ここの賃貸契約は同僚がしており、住んでいるのは同僚と奥さんの二人だけです。
盗聴器を仕掛けるために家に入ることは、事前に同僚の承諾を得ています
(この相談はフィクションです)

◇住居侵入罪~刑法第130条前段~◇

正当な理由なく他人の住居に侵入すれば住居侵入罪が成立します。
住居侵入罪の法定刑は3年以下の懲役又は10万円以下の罰金です。
住居侵入罪は、「住居の平穏」を保護法益にした法律で、この法律でいう「住居」とは、人の起臥寝食に使用される場所を意味します。
そして住居侵入罪でいう「正当な理由なく」とは、社会的に相当であるかどうかによって判断されており、平穏公然に立ち入った場合でも、その立ち入りが住居者の意思に反するときは、住居侵入罪が成立する場合があります。
住居侵入罪は、その行為の特性から未遂罪の規定はなく、実務上は、身体の大部分が入った時に成立するとされる説が有力です。

◇住居者の承諾◇

住居者等の意思に反することが、住居侵入罪が成立するための要件となります。
つまり、住居者等の承諾、又は推定的承諾がある場合は、住居侵入罪は成立しないというのが判例です。
この承諾は、明示、暗示を問いませんが、住居者の真意に基づくものでなければなりません。
また、住居者の承諾が得て住居に入った場合でも、承諾を得ていない他の部屋に入ることは許されません。
~推定的承諾~
推定的承諾は、住居者が侵入することを承諾したであろうと推定される場合を意味します。
例えば、破損した水道管の修理のために、知人宅へ無断で立ち入ったなどは、推定的承諾があるものと考えられ、住居侵入罪は成立しないでしょう。
不法な目的は、通常、推定的承諾が認められないと考えられますし、また目的が特に不法でなくとも、立ち入る方法等を総合して管理者が同意してなかったであろうと推測される場合は、その推定的承諾を欠くことになります。

◇Aさんの事件を検討◇

それではAさんの行為に住居侵入罪が成立するかどうかを検討します。
かつての家長制度下における判例では、住居侵入罪における保護法益を「住居権」にあるとし、この住居権は一家の家長である夫が専有するものであるとされていたので、夫の承諾さえ得れば、同居している妻の承諾がなくても住居侵入罪に問われることはありませんでした。
しかし現在の憲法下では、男女の本質的平等を保障しており、夫婦は平等に住居権を有するとされています。
この点から、Aさんが、夫の承諾を得て、夫から預かった鍵を使用して住居に立ち入っているとしても、その目的が「盗聴器を仕掛ける」といった社会通念上、認められない不法行為を行うためで、さらにそれによって、承諾を得ていない妻の住居の平穏を犯していると考えられます。
そのためAさんの行為に対して、住居侵入罪が成立すると考えるのが妥当でしょう。

◇盗聴器の設置◇

盗聴器を設置する行為自体を禁止する法律はありませんが、盗聴器を設置する方法によっては様々な犯罪に抵触する可能性があるので注意しなければなりません。
Aさんの事件のように住居侵入罪が成立する他にも、電話機等に仕掛けた場合は電気通信事業法違反に、家具等に細工して仕掛けた場合は器物損壊罪に抵触するおそれがあります。

門真市の刑事事件にお困りの方、盗聴器設置住居侵入罪に問われるおそれのある方は、事前に刑事事件に強いと評判の「弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所」の無料法律相談をご利用ください。
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覚せい剤使用事件で強制採尿

2019-01-12

~事件~

大阪市西成区でタクシー運転手をしているAさんは、3年前に覚せい剤使用事件を起こして有罪判決を受けており、つい先日、執行猶予期間が終わったばかりです。
年末年始で忙しくて寝不足が続いたAさんは、仕事中の居眠り運転を防止するために覚せい剤を再び使用してしまいました。
1週間ほど前に、Aさんは大阪市西成区の路上に立っている覚せい剤の密売人から1万円分の覚せい剤を購入し、それを3回に分けて使用したのです。
最後に使用したのは昨日の夜です。
仕事前に、自宅において、水に溶かした覚せい剤を注射器で血管に射って使用したのですが、その後、仕事中に交通事故を起こしてしまいました。
Aさんは事故現場に駆け付けた警察官に任意採尿を求められましたが、これを拒否しています。(フィクションです)

~覚せい剤の使用~

覚せい剤取締法では、覚せい剤の使用、所持、譲渡、輸出入等を禁止しています。
覚せい剤を使用したとして、覚せい剤取締法違反で起訴されて有罪が確定した場合、10年以下の懲役が科せられます。
初犯の場合は、起訴されてもほとんどの方が執行猶予付の判決を言い渡されていますが、前刑から相当期間経過している場合や、情状に酌むべき相当な事情がある等、特別な理由がない限り、再犯の場合は実刑判決の可能性が非常に高いでしょう。

~採尿~

覚せい剤の使用は、検査によって尿から覚せい剤成分が検出されるか否かによって判断されます。
その検査を尿鑑定といいますが、その前段の手続きとして採尿があります。
採尿には、任意採尿強制採尿があるのですが、被採尿者が警察官等の指示に従って自ら自然排尿した尿を警察等の捜査機関に任意提出することを「任意採尿」といい、任意採尿を拒否した被採尿者から強制的に尿を採ることを「強制採尿」といいます。
任意採尿で採取された尿と、強制採尿で採取された尿に証拠能力の差異はありません。

~強制採尿~

警察官等の捜査員が被採尿者から強制採尿するには、裁判官の発した捜索差押許可状(以下「令状」とする。)が必要です。
令状は、警察官等の捜査員が、疎明資料を作成した上で裁判官に対して請求します。
疎明資料には、被採尿者が任意採尿に応じない旨と、被採尿者が覚せい剤を使用している蓋然性がある旨が記載されているのですが、警察等の捜査機関は「任意採尿を拒否するということは覚せい剤をしようしているのだろう」と考えており、人が住んでいる居宅や、人が管理している建物等に対する捜索差押を許可する令状に比べると、強制採尿の令状は比較的発付されやすい傾向にあり、裁判官が強制採尿の令状を発付しないことは滅多にありません。
強制採尿は、病院の医師によって、尿道にカテーテルを通して膀胱から直接的に尿を採取する方法で行われます。
令状の効力で、強制採尿を行う病院まで被採尿者を強制的に連行することが許されているので、病院以外の場所で強制採尿の令状を示されて執行されると、警察官等の捜査員によって強制的に病院まで連行されるので注意しなければなりません。

~尿鑑定~

尿鑑定は、警察官等が行う簡易鑑定と、科学捜査研究所の職員が行う本鑑定の2種類があります。
大阪府警は「インスタントビュー」という専用の薬物検査キットを使用する鑑定と、警察署に設置されている「ガスクロマトグラフィー 」という大型機械を使用する鑑定の2種類の簡易鑑定を採用しています。
採尿した方全てに簡易鑑定が実施されるわけではなく、被採尿者が覚せい剤を使用している可能性が高い場合や、本鑑定の鑑定結果を待っていては、被採尿者が逃走して、その後の逮捕が困難になることが予想される場合(緊急性がある場合)などは簡易鑑定が実施される傾向にあります。

~薬物事犯と保釈~

覚せい剤の使用事件は、逮捕・勾留される可能性が非常に高く、起訴されるまでの身柄解放されるケースは非常に稀です。
それは、捜査段階では、被疑者の身柄を拘束し、覚せい剤使用の常習性や薬物の入手ルート等を捜査し事案の全容を解明する必要が高いためと考えられます。
他方で、起訴後は、それらの捜査はある程度終了していると考えられます。
したがって、保釈請求をして、身柄を解放できる可能性も高まると言えます。
保釈が許可され、身柄を解放することができれば、本人の肉体的・精神的負担の軽減につながるだけではなく、裁判に向けた打ち合わせをじっくり行うことができるなどのメリットがあります。

大阪市西成区の薬物事件でお困りの方、再び覚せい剤の使用事件を起こしてしまった方は、大阪で薬物事件に強いと評判の「弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所」にご相談ください。
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大阪府西成警察署までの初回接見費用:35,400円

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