Archive for the ‘財産犯罪’ Category

【大阪市中央区の恐喝事件】刑事事件に強い弁護士が保釈を解説①

2018-07-02

~ ケース ~

半年前に刑務所を出所したばかりのAさんは、生活費に困窮し、大阪市中央区の路上を走行中の車に故意的に接触し、運転者を恫喝して治療費名目で現金を脅し取る手口の恐喝事件を複数件起こしました。
約2カ月前に逮捕されたAさんは、それ以降身体拘束を受けたままで、現在は大阪拘置所に収容されています。
3件の恐喝事件で起訴されているAさんは、出所間もないこともあり、実刑判決が言い渡されることを覚悟しています。
ただ余命宣告されている母親のことが心配なAさんは、せめて判決が言い渡されるまでの間だけでも保釈で自宅に帰りたいと思い、保釈に強い弁護士を探しています。(フィクションです。)

刑事事件を起こして逮捕、勾留された後に起訴された被告人が、刑事裁判で判決が言い渡されるまでの間に、釈放されることを『保釈』といいます。
保釈には、権利保釈裁量保釈義務保釈の3種類があるのですが、今日から2日間にわたってこれらの保釈を、大阪の刑事事件に強い弁護士が解説します。

~ 権利保釈 ~

まず初日は権利保釈について解説します。
権利保釈は、刑事訴訟法第89条に規定されており。
①死刑・無期・短期1年以上の懲役・禁錮に当たる事件ではない
②被告人が前に死刑・無期・長期10年を超える懲役・禁錮に当たる罪で有罪の宣告を受けたことがない
③常習として長期3年以上の懲役・禁錮に当たる罪を犯した事件ではない
④罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由がない
⑤被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者・その親族の身体・財産に害を加え、またはこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由がない
⑥氏名・住居が分かるとき
の要件を全て満たす場合、裁判官は保釈を認めなければいけません。
これが権利保釈です。

Aさんのように、刑務所から出所したばかりで、複数件の恐喝事件で起こし、起訴されている場合、権利保釈が認められる可能性が非常に低いと考えられます。

次回は、裁量保釈義務保釈について解説します。
大阪市中央区の恐喝事件で起訴された方で、保釈を望む方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の刑事事件に強い弁護士にご相談ください。

【松原市の詐欺事件】接見禁止の解除に強い刑事事件専門の弁護士

2018-06-29

松原市に住む無職Aは、詐欺事件の容疑者として、大阪府松原警察署逮捕されてしまいました。
裁判所から勾留通知が届いてAの逮捕を知った両親は、大阪府松原警察署に勾留されているAに面会に行きましたが、接見禁止のため面会することができませんでした。
Aの両親は、接見禁止の解除に強いと評判の、刑事事件専門の弁護士にAの弁護を依頼しました。(フィクションです。)

~接見禁止~

逮捕されて留置場にいる方と面会する事を接見といいます。
通常であれば警察に逮捕されて48時間以内に検察庁に送致され、送致を受けた検察官が裁判所に勾留請求して勾留が決定すれば、その後は勾留場所になっている警察署で勾留されている方と面会することができます。
しかし勾留と同時に裁判官が接見禁止を決定する場合があり、その場合は、家族であっても面会することができません。
これを接見禁止といいます。

~接見禁止の解除~

組織的背景のある事件、共犯者がいる事件、逮捕容疑を否認している事件等では接見禁止になりやすいと言われていますが、これは、事件の関係者と通謀することを避けるためなので、家族等にその様な虞がない場合は、家族等だけでも接見禁止を解除することが可能です。
家族等の接見禁止を解除するには、勾留されている被疑者の刑事弁護人が、接見禁止を決定した裁判官に対して文書で、接見禁止の解除を申請する必要があります。
刑事事件を専門に扱っている弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、様々な事件で接見禁止の解除に成功した実績があります。
接見禁止の解除に強い弁護士をお探しの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

ご家族、ご友人が松原市の詐欺事件で警察に逮捕された方、勾留された方の接見禁止を解除したい方は、刑事事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
大阪府松原警察署までの初回接見費用:37,800円

【大阪市東成区の刑事事件】取調べで黙秘 占有離脱物横領事件に強い弁護士に相談

2018-06-25

~事件~
会社員Aさんは、大阪市東成区の不動産会社に勤務しています。
Aさんは、会社が管理するマンションの駐輪場に長期間放置されていた鍵の壊れた自転車を修理して、自分の通勤に使用していました。
先日、通勤途中に、大阪府東成警察署の警察官に職務質問された時に、自転車が盗難車であることが発覚し、Aさんは大阪府東成警察署に任意同行されて、占有離脱物横領罪で取調べを受けました。
警察の取調べに納得ができないAさんは黙秘しましたが、今後の処分が不安になり、刑事事件に強い弁護士に相談しました。(フィクションです)

1 占有離脱物横領罪

占有離脱物横領罪とは、刑法第254条に定められている法律で、違反すると1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料が科せられるおそれがあります。
占有離脱物横領罪は、遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領する事によって成立する罪で、未遂の規定はなく、占有離脱物である事を知りながら、不法領得の意思をもってこれを拾得する事によって成立します。
自転車の占有離脱物横領事件は非常に軽微な犯罪です。
自転車の価値が2万円以下で、犯行を認めれている場合、初犯であれば微罪処分となって検察庁に送致すらされないケースがほとんどです。
しかし短期間に複数回、占有離脱物横領罪を犯してしまうと、前科が付く可能性があるので注意しなければなりません。

2 黙秘

警察官や検察官の取調べを受ける方には黙秘権が認められています。
黙秘権とは、話したくな事は話さなくてもよい、話したくなければ黙っていてもよいという、取調べを受ける方全員に認められている権利です。
黙秘権を行使する事は、メリットもありますが、状況によってはデメリットも存在します。
黙秘権を行使するか否かは、取調べを受ける方の判断ですが、事前に刑事事件に強い弁護士に相談する事をお勧めします。
警察や検察の取調べで黙秘するかどうかを悩んでおられる方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
刑事事件に強い弁護士が、事件の内容や、取り調べ状況、処分の見通し等を含めて総合的に判断して、的確にアドバイスいたします。

大阪市東成区で占有離脱物横領罪に強い弁護士をお探しの方、警察の取調べで黙秘しようかどうか悩んでおられる方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回法律相談:無料

【西宮市の窃盗事件で緊急逮捕】刑事事件に強い弁護士が逮捕手続きの誤りを指摘

2018-06-19

~事件~

専門学生A(21歳)は、西宮市の路上にキーが付いた状態で放置されていたオートバイを盗み、自分のオートバイのナンバープレートに付け替えて使用していました。
ある日、Aが交通違反したことがきっかけとなり、Aは窃盗罪緊急逮捕されてしまいました。
Aに選任された刑事事件に強い弁護士が、逮捕手続きの誤りを指摘したところ、Aは釈放されました。(フィクションです)

~逮捕の種類~

逮捕には
①現行犯逮捕
現に罪を行い又は、現に罪を行い終わった者は現行犯逮捕する事ができます。現行犯逮捕は、誰でも、令状なくしてできるので、令状主義の例外と位置付けられています。
緊急逮捕
 a.死刑又は無期若しくは長期3年以上の有期懲役に該当する罪を犯した者
 b.罪を犯した事を疑うに足りる充分な理由がある場合
 c.急速を要し、裁判官の逮捕状を求める事ができない時
の3つの要件を満たしている場合、裁判官の発する逮捕状なくして緊急逮捕する事ができますが、逮捕後直ちに、裁判官に逮捕状を請求し、発付を受けなければいけません。
③通常逮捕
令状主義に基づき、裁判官の発する逮捕状をもとに逮捕する事です。
警察官や検察官は、逮捕の理由と必要性を有する事を疎明する資料と共に裁判官に逮捕状を請求する事ができます。
そして、逮捕の必要性が認められれば裁判官が逮捕状を発し、この逮捕状をもとに逮捕します。

~逮捕手続きの誤り~

上記のように、逮捕手続きは3種類があり、それぞれの逮捕手続きを行うには、それぞれの要件が存在します。
その要件を満たしていないのに、逮捕手続きが進んだ場合は、それが判明した時点で逮捕された犯人は釈放され、改めて逮捕されるか、不拘束で取調べを受けることとなります。
窃盗罪緊急逮捕する場合、どの程度の嫌疑があれば「罪を犯した事を疑うに足りる充分な理由がある」と言えるのかは、ケースバイケースですが、盗難の被害品を所持しているだけでは、窃盗の嫌疑が充分にあるとは言えないでしょう。

西宮市で窃盗事件でお困りの方、刑事事件に強い弁護士、逮捕手続きに強い弁護士をお探しの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

【堺市の刑事事件】携帯電話不正利用防止法を刑事事件に強い弁護士が解説

2018-06-15

~事件~
堺市在住のAは、自身が代表を務める会社名義で携帯電話機を複数台契約し、この携帯電話機を、他人に有償で貸し出し小遣い稼ぎをしていました。
ある日、Aが契約している携帯電話機が犯罪に利用されたとして、大阪府堺警察署に呼び出しを受けました。
Aは、自分の行為が何かの犯罪に抵触しているのではないかと不安で、大阪の刑事事件に強い弁護士に法律相談しました。(フィクションです。)

携帯電話会社の承諾を得ずに、自身が契約している携帯電話機を、他人に有償で譲渡すれば、携帯電話利用防止法違反に当たります。
今回は、携帯電話不正防止法を大阪の刑事事件に強い弁護士が解説します。

携帯電話不正利用防止法とは「携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律」の略称です。
この法律は、実際に誰が使用しているのか分からない携帯電話機が、振込め詐欺等の犯罪に利用されている実態にかんがみて、この様な匿名携帯電話機を規制することを目的に施定されました。

~無断譲渡の禁止~

携帯電話不正利用防止法では、携帯電話会社の承諾なく、自身が契約した携帯電話機を、親族又は生計を同じくしている者以外の、第三者に譲渡することを禁止しています。(7条1項)
この規定に違反して、業として有償で携帯電話機を第三者に譲渡すれば「2年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金」の罰則が規定されており、懲役刑と罰金刑が併科されることもあります。

携帯電話不正利用防止法では、携帯電話機の無断譲渡に関して、上記以外にも
①自己が契約者となっていない携帯電話機を他人に譲渡すること
②譲渡者が契約者となっていないことを知りながら、当該携帯電話機を譲り受けること
③上記①②の禁止行為を業として行うこと
を禁止しており、①②に関しては「50万円以下の罰金」が③には「2年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金又は、これらの併科」の罰則が規定されています。

このように、携帯電話不正利用防止法で、携帯電話機の無断譲渡を禁止しているので、Aの行為は、携帯電話機不正防止法に抵触するでしょう。

堺市の刑事事件でお困りの方、携帯電話不正利用防止法に強い弁護士のご用命は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

【大阪市西成区の窃盗事件】不法領得の意思を否認 刑事事件に強い弁護士が解説

2018-06-13

~事件~
大阪でゴミ回収業を営んでいるAさんは、毎日トラックでゴミの回収をしています。
先日、大阪市西成区のゴミ収集所の横に止めてある自転車が邪魔でゴミを回収できなかったので、この自転車の持ち主に注意しました。
しかし、翌日、再び同じ場所に自転車が止まっていたので、Aさんはこの自転車をトラックに積んで持ち帰りました。
その状況が防犯カメラに撮影されていたことから、Aさんは窃盗事件の犯人として大阪府西成警察署に呼び出されて取調べを受けています。(フィクションです。)

みなさんが一番身近に感じる犯罪の一つが窃盗事件です。
窃盗事件が成立するには「不法領得の意思」が必要となりますが、このような法律用語を聞いても納得できない方が多いのではないでしょうか?
今回のAさんの事件を参考に大阪の刑事事件に強い弁護士が「不法領得の意思」を解説します。

~窃盗罪~

説明するまでもなく、人の物を盗ると窃盗罪になります。
このことだけを考えると、Aさんの行為は窃盗罪になりますが、法律的には窃盗罪が成立するには、不法領得の意思をもって他人の財物を窃取する必要があります。

~不法領得の意思~

不法領得の意思」とは、権利者を排除して他人のものを自己の所有物として振る舞い、その経済的用法に従い利用又は処分する意思を意味します。
これを分かりやすく解説すると、その物に対して権利のない者が、その権利のある者を無視して、一般的な方法でその物を使用したり処分することです。
窃盗罪だけでなく財産犯罪には、この不法領得の意思が必要とされています。

~Aさんの事件を検討~

Aさんの行為が窃盗罪に当たるかどうかは、犯行時、Aさんに不法領得の意思があったか否かによります。
Aさんに「持ち帰った自転車を使用する」「人に譲る」「リサイクルショップに売る」等の意思があれば、これが不法領得の意思になるので、Aさんの行為は窃盗罪に当たります。
逆にAさんが「自転車の所有者を困らせるために自転車を持ち帰った」「ゴミを集める時に邪魔になるので持ち帰った」という意思のもとで自転車をトラックに積んだのであれば不法領得の意思が認められず、窃盗罪が成立しない可能性があります。
当然、その後Aさんがどのように自転車を処分したのかによっても、窃盗罪の成立が左右されるでしょう。

大阪市西成区の窃盗事件でお困りの方、窃盗事件不法領得の意思を否認している方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

【大阪の刑事事件】独占禁止法違反を大阪の刑事事件に強い弁護士が解説⑥

2018-06-09

これまで5回にわたって独占禁止法について、大阪の刑事事件に強い弁護士が解説してきましたが、最終回は、JR東海のリニア談合事件を解説します。

~市場【一定の取引分野があるのか】~

今回のリニア工事は現在のところ品川から名古屋までしかなく、しかも起訴されたのは品川駅の工事のみということなので、一見すると市場がないかのように見えます。
限られた範囲であっても、発注者が特定の相手と直接契約した(随意契約)でなく入札方式によった場合、自由な競争により受注獲得を目指す状況があります。
すなわち、受注希望者のうちの一社が価格を上げれば発注者が他の会社を選ぶため価格を上げることができないという状態ですので、市場があるといえます。
「一定の取引分野」というからには、ある程度の規模が想定されます。
リニア工事は一ヶ所ではなく、複数の工事に分かれており、其々で入札が行われていますが、今回起訴されたのは品川駅の3カ所の工事に関するもののみです。
およそ今後のリニア工事について話し合いすることが決まって、個別の工事で調整することになっていたとすれば、「相互にその事業活動を拘束」する基本ルールの合意があったといえ、リニア工事全体を「一定の取引分野」とし、品川駅の工事については個別の受注における「遂行」であり、品川駅の工事についてだけ起訴したとしても、刑事罰に問うことはできるでしょう。
しかし、このようにして刑罰を科すには基本合意があったことを検察官が立証する必要があります。
基本合意を立証できず、品川駅の3カ所の工事の個別合意だけ立証できたとして、この工事が「一定の取引分野」といえるのは厳しいかと思われます。

~大手ゼネコンにしかできないのではないか~

リニア工事のような先端技術の工事は技術力も資金力も大手ゼネコンでしかできないと言われています。
入札によれば、技術力のない会社が異常に安い価格で受注してしまうとも言われています。
しかし、日本遊技銃協同組合事件(東京地裁平成9年4月9日)や大阪バス協会事件(審判決定平成7年7月10日)などの下級審裁判・審決例で問題となった例は、事業者団体が一定の基準を作り、そこに至らないものを排除するものでした。
本来国会や地方議会ら立法がするべきことを勝手にやったというものです。
今回のリニア談合は特定の業者に受注させるよう話し合ったもので典型的な談合であり、競争制限を目的としたもので、正当化の余地はありません。
今現在大手ゼネコン以外が割高であったり技術に不安がある場合でも、入札や受注を通して技術の向上や価格の低下があり得ます。
そもそも、現在大手ゼネコンしか技術や資金がないのも、これまでの談合により、談合企業内で競争が行われなかったり、他の会社が排除されて競争がなかったことも一因です。大手ゼネコンのみが技術や資金を有するとの主張は、これまでのそして今後の談合を容認するものでしかありません。

以上のような観点から、JR東海のリニア建設を巡る談合事件は、不当な取引制限に該当し、独占禁止法違反で有罪判決となる可能性が非常に高いといえます。

~大阪で独占禁止法違反でお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にお問い合わせください。~

【大阪の刑事事件】独占禁止法違反を大阪の刑事事件に強い弁護士が解説⑤

2018-06-08

今回は、談合の問題点等について解説します。

~談合は何が問題か~

談合とは、入札の際に、入札業者同士で事前に話し合って落札させたい業者を決め、その業者が落札できるように入札内容を調整することをいいます。
談合に加わった事業者は談合の話し合いに基づき、落札させる業者に落札させるよう、入札価格や量などを自ら制限します。
この点で相互にその事業活動を拘束ないし遂行しています。
談合の話し合いに従い、落札予定業者以外は一定の価格より下げることも、より多くの品量やより良い技術を出すことはしません。
この結果、自由競争が制限されてしまうのです。
入札談合は、価格カルテルなどとともにハードコア・カルテルといわれ、競争制限を目的としたものであり市場促進効果や正当化事由を有しない点で、直ちに競争の実質的制限に当たるとされています。

~情報交換と共同開発~

事業者同士の情報交換共同研究開発、JV(ジョイントベンチャー)などは競争上望ましいものもあり、直ちに競争の実質的制限とはされません。
情報交換としては、技術動向や経営知識、過去の事業活動に関する情報の交換は原則として違法になりません。
一方、商品役務の価格や数量や具体的な計画や見通しは、他の事業者に知られればそれを基準に価格調整ができるため、原則として違法になります。

共同開発や研究については、基本的に独占禁止法違反となる可能性は低いですが、共同する事業者の市場におけるシェア(占有率)が高かったり、その成果が直接に市場の製品に影響を及ぼすものであったりすれば、独占禁止法上問題となる可能性が出てきます。

公正取引委員会が公表している事業者団体の活動と、共同研究開発に関する独占禁止法上の指針については、下記URLを参考にしてください。(公正取引委員会HPにリンク)
「事業社団体の活動に関する独占禁止法上の指針」
http://www.jftc.go.jp/dk/guideline/unyoukijun/jigyoshadantai.html#cmsD29
「共同研究開発に関する独占禁止法上の指針」
http://www.jftc.go.jp/dk/guideline/unyoukijun/kyodokenkyu.html

次回は、JR東海のリニア談合事件について解説します。

~大阪で独占禁止法違反でお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にお問い合わせください。~

【大阪の刑事事件】独占禁止法違反を大阪の刑事事件に強い弁護士が解説④

2018-06-07

今回は、次回に引き続き、独占禁止法不当な取引制限の要件について解説します。

~一定の取引分野~

一定の取引分野とは、いわゆる市場をいいます。
その内部で競争がなくなれば、完全な独占(市場支配力)が発生する範囲が市場とされています。
一定の取引分野の範囲を画定するときは、需要の代替性と供給の代替性を考慮して判断します。
ある事業者が商品の価格を引き上げた場合、消費者が他の商品を選ぶ若しくは他の地域に行って購入してしまうため場合には、価格を引き上げることができません。
このような場合に、需要の代替性があると評価されます。
続いて、供給の代替性を解説すると、ある事業者が商品の価格を引き上げると、他の事業者もこの商品を生産するようになってしまう、若しくは他の地域から参入してきてしまうために価格を引き上げることができません。
このような場合に、供給の代替性があると評価されます。

~競争の実質的制限~

競争の実質的制限とは「競争を実質的に制限するとは、競争自体が減少して、特定の事業者又は事業者集団がその意思で、ある程度自由に、価格、品質、数量、その他各般の条件を左右することによって、市場を支配することができる状態をもたらすこと」です。(東京高等裁判所の「東宝・スバル事件」判決を引用)

~公共の利益に反して~

自由な競争を制限すること自体、技術やサービスの革新を妨げ、消費者の利益を損ねることになるため、当然に公共の利益に反することになります。
もっとも、最高裁判所は石油価格カルテル事件(昭和59年2月24日)で、「公共の利益に反して」とは、現に行われた行為が形式的に不当な取引制限に当たっても自由競争秩序による利益と取引制限により得られる利益とを比較して、一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進するという独禁法の究極目的に実質的に反しないと認められる例外的な場合を不当な取引制限から除外する趣旨だと述べています。この事件は中東戦争による原油の値上げの中、国内の灯油価格を抑えるために旧通産省による行政指導の下行われた価格カルテルでしたが、結局「公共の利益に反する」とされました。
日本遊技銃協同組合事件では、エアガンの協同組合が安全性を目的にエアガンの威力について自主基準を制定し、基準を満たした商品にはシールを貼らせ、シールを貼っていない商品の取引を拒絶させました。
問題となった事件で取引拒絶させられた会社は、協同組合に加入していませんでした。
裁判所は自主基準の目的は不合理とまでは言えないとしながら、組合の中には自主基準よりも威力の高い製品を販売している事業者もいたこと、協同組合に入っていないのがこの取引拒絶された会社だけで明らかに狙い撃ちだということで、違法性を阻却するべき事情はないとしました。
大阪バス協会事件(平成7年7月10日)は、バスの貸し切り運賃が道路運送法上刑罰で禁止されている金額よりも大幅に低くなっていたところ、バスの事業者団体の大阪バス協会が料金を適法な金額に近づけるために賃上げのカルテルを行いました。
審決では、元の賃料が違法であり、このカルテルが独禁法上保護する競争を実質的に制限するものではないとされました。

次回は、談合の問題点等について解説します。

~大阪で独占禁止法違反でお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にお問い合わせください。~

【大阪の刑事事件】独占禁止法違反を大阪の刑事事件に強い弁護士が解説③

2018-06-06

今回からは、独占禁止法の不当な取引制限について解説します。

~独占禁止法第2条第6号(不当な取引制限) -談合ー ~

独占禁止法では、「不当な取引制限」にあたるとして談合を禁止しています。
「不当な取引制限」とは、事業者が、契約、協定その他何らの名義をもってするかを問わず、他の事業者と共同して対価を決定し、維持し、若しくは引き上げ、又は数量、技術、製品、設備若しくは取引の相手方を制限する等相互にその事業活動を拘束し、又は遂行することにより、公共の利益に反して、一定の取引分野における競争を実質的に制限することをいいます。(第2条第6号条文を引用)
一定以上の価格にすることを取り決める価格カルテルや、入札談合などがこれに当たります。
こうした不当な取引制限をした者は、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金が科せられるおそれがあります。(第89条第1項)。
ちなみに、不当な取引制限は未遂も処罰の対象となります。

~共同して相互の事業活動を拘束~

「不当な取引制限」をしたとして刑罰を科すためには、事業者同士が「共同して…相互にその事業活動を拘束し、又は遂行」する必要があります。
一方的に相手や自分の事業活動を拘束したり、偶然事業者同士が同じ活動をしても「共同して…相互にその事業活動を拘束し」たとはいえず、事業者間に何らかの意思の連絡が必要とされているのです。
東芝ケミカル事件の審判決例では「複数事業者間で相互に同内容又は同種の対価の引き上げを実施することを認識ないし予測し、これと歩調をそろえる意思があること。」を意味するとしています。
直接事業者同士が会って約束することまでは必要されておらず、他の事業者の価格引き上げを認識して暗黙の裡に認容することで足りるとされています。
時効や共犯などの関係で、いつこの「拘束」や「遂行」が行われたのかが問題となります。不当な取引制限違反の罪の時効は5年ですので、「拘束」や「遂行」が5年以上前に行われたとなると、公訴時効が成立し、起訴されないからです。
また、途中から談合に加わった者であっても、「拘束」や「遂行」が終わった後で加わったのであれば共犯者とならないことになります。
長期にわたる談合の場合、基本ルールについての合意があった後に、個別の発注において個別調整が行われます。
多くの裁判例では、基本ルールの合意を「相互に…拘束」個別の発注における調整を「遂行」として、不当な取引制限の罪の包括一罪として処罰しています。
基本ルールの合意が5年以上前であっても、個別の受注調整が5年以内に行われたのであれば、不当な取引制限違反の罪に問われるのです。
また、基本ルールの合意には参加していなくても、後の個別の受注調整に携わった者も、不当な取引制限をした罪に問われてしまいます。

次回は、引続き独占禁止法の不当な取引制限の要件について解説します。

~大阪で独占禁止法違反でお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にお問い合わせください。~

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