【弁護士にインタビュー①】屋上からカートを落とした少女が殺人未遂罪で逮捕

住之江区で発生した、少女による殺人未遂事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部の弁護士にインタビューしました。

 

Q 先日、大阪市住之江区の商業施設の屋上から買い物用カートを地上に落として大阪市内に住む14歳の少女が殺人未遂罪で警察に逮捕された事件が報道されました。
この事件について先生にインタビューさせてください。

A わかりました。

Q まず、この事件を聞いてどう思われましたか?

A 非常に危険な行為で、驚きました。
今回の事件では負傷者はいなかったようですが、落下させたショッピングカートは重さが約8キロとのことで、商業施設は5階建てと聞いています。
5階建てということは、約20メートルの高さから落下したことになりますので、地上にいた方に直撃したら、死亡する可能性が極めて高く、警察が「殺人未遂罪」を適用して逮捕に踏み切ったのにも納得ができます。

Q ところで誰も怪我をしていないのにどうして殺人未遂罪が適用されるのですか?

A 刑事事件で適用される犯罪の多くは「既遂」「未遂」があります。
犯罪を最後まで成し遂げていると「既遂」となります。
犯罪の実行行為に着手したが、犯行を最後まで成し遂げなかった場合は「未遂」となりますが、「未遂」の場合も、犯罪は成立し処分の対象となります。
今回の事件ではショッピングカートを屋上から落下させたことが犯罪の実行行為となり、犯行に着手していますが、人を死に至らしめるという殺人罪でいうところの結果までは発生していませんので、「未遂罪」となります。

Q でもどうして殺人罪なのですか?

A 確かに、逮捕された少女は「遊び半分でやった。」と供述しているようですね。
ですから、逮捕された少女に「人を殺してやろう!!」というハッキリとした殺意があったとは考えられませんが、少なくとも地上にいる人に当たる可能性があることは認識していたでしょうし、もし人に当たれば死んでしまう可能性も認識できたでしょう。
そういった認識はあったにも関わらず、こういった危険な行為に及んだということは、行為から発生する可能性のある結果を受け入れていることになります。
これを法律的に「未必の故意」といい、故意があったものと認定されます。

Q 今後、逮捕された少女はどうなるのですか?

A 逮捕された少女はまだ14歳ですので、現在は、勾留に代わる観護措置によって少年鑑別所に収容されているのではないでしょうか。
ただ共犯の同級生がいるという話しですので、捜査の進捗状況によっては通常の勾留が決定しているかもしれません。
何れにしても14歳という年齢を考えると、警察署の留置場ではなく、少年鑑別所に収容されているのではないでしょうか。

Q 少女は何か刑事罰を受けるのですか?

A 14歳の場合、捜査が終了すると家庭裁判所に送致され、そこで一定の観護措置期間を過ごすことになります。
通常ですと約4週間、少年鑑別所に収容されて、そこで様々なテストを受けたりするのですが、それが終了すると少年審判が開かれます。
そこで少女に対する処分が決定するのですが、この処分は刑事罰ではありません。

Q 少年でも「逆送」という手続きがあり、大人と同じ刑事罰が科せられることもあると聞きましたが?

A はい。まず逆送について説明します。
逆送とは、殺人などの重大事件について、刑事処分が相当であると判断された場合に、家庭裁判所から再び検察庁に事件を送致され、大人と同じ刑事裁判を受けて刑事罰が科せられることです。
しかし、逆送されるのは原則的に16歳以上の少年の場合ですので、14歳の少女が逆送される可能性は低いでしょう。

Q 同じ世代のお子さんを持つ親御さんがこのインタビュー記事を読んでいるかもしれません。そんな親御さんに何かメッセージはありますか?

A 私共の事務所では、これまで多くの少年事件を扱ってまいりましたが、刑事事件を起こしてしまった少年の親御様のほとんどが、最初は「どうしてうちの子が・・・。」「まさかうちの子が・・・。」と驚き、現実を受け入れることができないようです。当然のことだと思います。
大切なのはお子さんの話をきちんと聞いて、これから何をすべきか、何ができるのかを専門家に相談することです。
私共はお子様の更生を最優先にした弁護活動、付添人活動を推進しています。
お子様の起こした事件で不安のある方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部にご相談ください。

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