あおり運転に殺人罪が適用①

2019-01-26

~事件~

堺市で昨年7月に、あおり運転の後、バイクに車を衝突させて、バイクを運転していた男子大学生を死亡させたとして、大阪地方裁判所堺支部は、車を運転していた男性に、殺人罪の成立を認め、懲役16年の判決を言い渡しました。(平成31年1月26日付讀賣新聞朝刊を参考)
以前にもこのコラムで紹介した事件の判決が昨日言い渡されました。
全国的に厳しい取締りが行われているあおり運転に対して、ついに殺人罪が認定されましたが、その決め手となったのは、被告人の運転する車に搭載されていたドライブレコーダーで撮影された映像のようです。
今日から二日間にわたって、あおり運転殺人罪、そして今回の裁判を特集します。

◇あおり運転◇

東名高速道路で一家4人が死傷した事件で世間の注目を集めてからあおり運転が大きな社会問題となりました。
そのため全国の警察ではあおり運転の取締りを強化しています。
そもそもあおり運転とは、危険な追い越しや、前の車に急接近して車間距離を詰めたり、後続車がいるにもかかわらず不必要な急ブレーキをかけて衝突させようとしたり、前方を走行する車両にパッシングや、ハイビーム。クラクションを鳴らす等の危険な運転行為をいいます。
自動車を運転しての行為なので、通常は道路交通法違反による取締りが行われます。
例えば、急接見する行為は、車間距離不保持違反となりますし、危険な追い越しは、追い越し方法違反、幅寄せ行為は安全運転義務違反、執拗にクラクションを吹鳴する行為は、警音器使用制限違反によって取締りを受けますが、刑事事件化されない限りは、交通反則通行制度に則って、違反点数が累積されて、反則金の納付することで刑事罰が科せられることはありません。
しかし、警察庁は、より罰則の重い法令を積極的に適用するように全国の警察に指示しており、暴行罪(刑法第208条~2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料~)傷害罪(刑法第204条~15年以下の懲役又は50万円以下の罰金~)といった法律が適用されたケースがあります。
ちなみに、新聞等の報道によりますと、昨年1年間で、あおり運転に対してこれらの法令が適用されて刑事事件化されたのは、暴行容疑24件、傷害容疑1件とのことです。

◇殺人罪◇

今回の事件で認定されたのは刑法第199条に定められた殺人罪です。
殺人罪は、人の命を奪うという結果の重大性から、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役と、非常に厳しい法定刑が定められています。
殺人罪は、殺意(故意)をもって人を死に至らしめることで、その手段・方法に制限はありません。
射殺・撲殺・絞殺・毒殺等およそ他人の生命を断絶し得る手段、方法を用いた一切の行為について、殺人罪の実行行為が認められます。
また作為、不作為も問われませんので、幼児を養育する義務を負う者が、殺意をもって、殊更にその生存に必要な食べ物を与えず死に至らしめたような場合は、不作為による殺人罪が成立します。
更に間接正犯による殺人罪も認められます。
例えば、医師が患者を殺そうとして、薬と偽って看護師を使って毒薬を飲ませた場合は、間接正犯による殺人罪が成立するのです。

明日は、殺人罪における「故意」つまり殺意と、今回の裁判を解説します。
堺市で刑事事件に強い弁護士をお探しの方、あおり運転で警察の捜査を受けておられる方、ご家族、ご友人が殺人罪で警察に逮捕されてしまった方は、刑事事件を専門に扱っている弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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大阪府西堺警察署までの初回接見費用:37,700円