~刑法を解説~4回目の本日は、第5章公務の執行を妨害する罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
公務の執行を妨害する罪
第5章には公務の執行を妨害する罪について規定されています。
規定されている内容は
第95条 公務執行妨害罪及び職務強要罪
第96条 封印等破棄罪
第96条の2 強制執行妨害目的財産損壊等罪
第96条の3 強制執行行為妨害等罪
第96条の4 強制執行関係売却妨害罪
第96条の5 加重封印等破棄等罪
第96条の6 公契約関係競売等妨害罪
です。
第95条では一般的な公務員の職務執行の妨害について、第96条では特殊な公務員の職務執行に対する妨害について規定しています。
皆さんの馴染み深いのは第95条に規定されている公務執行妨害罪ではないでしょうか。
公務執行妨害罪は、公務員を保護するための法律ではなく、公務員の職務執行を保護するための法律で、ここでいう公務員とは、刑法第7条第1項に定められている「公務員」つまり「国又は地方公共団体の職員その他法令により公務に従事する議員、委員、その他の職員」を意味します。
また駐車監視員などのみなし公務員も公務執行妨害罪の客体となりますので、取締り中の駐車監視員に対して暴行すれば公務執行妨害罪となります。
公務執行妨害罪は、公務中の公務員に対して暴行や脅迫を加えることによって成立する犯罪で、職務執行が現実に妨害されたことまでは必要とされません。
公務の執行を妨害する罪の罰則
①公務執行妨害罪や職務強要罪の法定刑は「3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金」です。
②封印等破棄罪の法定刑は「3年以下の懲役若しくは250万円以下の罰金又は併科」です。
※併科とは、懲役刑と罰金刑の両方が科されることを意味します。
③強制執行妨害目的財産損壊等罪の法定刑は「3年以下の懲役若しくは250万円以下の罰金又は併科」です。
④強制執行行為妨害等罪の法定刑は「3年以下の懲役若しくは250万円以下の罰金又は併科」です。
⑤強制執行関係売却妨害罪の法定刑は「3年以下の懲役若しくは250万円以下の罰金又は併科」です。
⑥加重封印等破棄等罪の法定刑は「5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金又は併科」です。
⑦公契約関係競売等妨害罪の法定刑は「3年以下の懲役若しくは250万円以下の罰金又は併科」です。
「~刑法を解説~第6章逃走の罪」に続く
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