~刑法を解説~ 第37章 詐欺及び恐喝の罪 ~②~

~前回の続き~

本日は、第248条の準詐欺罪から解説します。
準詐欺罪は、未成年者の知慮浅薄または人の心神耗弱に乗じて、財物を交付させたり、財産上不法の利益を得たりすることによって成立する犯罪です。
あまり聞きなれない罪名で、条文を読んでもどういった行為が該当するか分かりにくいかと思いますが、準詐欺罪を簡単にいうと、物事を判断することができない(困難な)未成年者や精神障害者を誘惑するなどして、こういった人たちから金品を受け取ることによって成立する犯罪です。

そして第249条に規定されているのが恐喝罪です。
恐喝罪とは、人から金品を脅し取ることによって成立する犯罪、詐欺罪と同様に、恐喝して財産上不法の利益を得る等した場合にも成立します。(2項恐喝)

恐喝罪も、詐欺罪とよく似た構成要件が存在し、その内容は

①脅す行為⇒②相手が恐怖に陥る(畏怖する)⇒③畏怖した相手が金品を交付する⇒④交付された金品を受け取る

といったもので、それぞれには因果関係が必要とされています。
恐喝とは、反抗を抑圧するに至らないかつ、相手が畏怖する程度の暴行や脅迫を加えて金品を要求することで、相手の反抗を抑圧するほど、暴行や脅迫の程度が強かった場合は、恐喝罪ではなく、強盗罪に問われてしまうこともあります。

恐喝事件の客体となるのは、他人が占有する他人の財物です。
違法薬物等、所持が禁止されている禁制品や、不動産であっても恐喝罪の客体となります。
また、借金の返済など、本来請求できるものであっても、行き過ぎた行為は恐喝罪となってしまうので注意が必要です。
例えば、犯罪被害にあった際に、加害者に対して慰謝料を請求する際でも、そこで口にした内容によっては恐喝罪に抵触する可能性があります。

詐欺及び恐喝の罪の罰則

①詐欺罪の法定刑は「10年以下の懲役」です。
②電子計算機使用詐欺罪の法定刑は「10年以下の懲役」です。
③背任罪の法定刑は「5年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。
④準詐欺罪の法定刑は「10年以下の懲役」です。
⑤恐喝罪の法定刑は「10年以下の懲役」です。

「~刑法を解説~ 第38章 横領の罪」に続く

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