~刑法を解説~43回目の本日は、第33章略取、誘拐及び人身売買の罪~②~について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
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略取、誘拐及び人身売買の罪~②~
本日は、第33章略取、誘拐及び人身売買の罪に規定されている中から
第226条の2 1項 人身買受け罪
2項 未成年者買受け罪
3項 営利人身買受け罪
4項 人身受渡し罪
5項 所在国外移送人身売買罪
第226条の3 被略取者等所在国外移送罪
第227条 1項 営利拐取等幇助目的被拐取者引渡し罪
2項 身代金拐取者幇助目的被拐取者引渡し罪
3項 営利被拐取者引渡し罪
4項 身代金被拐取者収受罪、収受者身代金取得罪
について解説します。
まず第226条の2では人身売買について規定されています。
第1項では、人を買い受けることによって成立する「人身買受け罪」が、第2項では、未成年者を買い受けることによって成立する「未成年者買受け罪」が規定されいます。
そして第3項では、営利、わいせつ、結婚、海外目的で人を買受けることによって成立する営利等人身買受け罪が規定されており、第4項では人を売り渡すことによって成立する人身受渡し罪が、第5項では、所在国外に移送する目的で人身売買することによって成立する所在国外移送人身売買罪が規定されています。
第226条の3では、略取・誘拐されたり、人身売買された人を所在国外に移送することによって成立する被略取者等所在国外移送罪が規定されています。
第227条1項では、略取や誘拐、人身売買等の犯人を幇助(助ける)する目的で、こういった事件の被害者を、収受、輸送したり、蔵匿、隠避した場合に成立する営利拐取等幇助目的被拐取者引渡し罪が規定されています。
第227条2項は、身代金目的略取罪・誘拐罪の犯人を幇助(助ける)する目的で、こういった事件の被害者を、収受、輸送したり、蔵匿、隠避した場合に成立する身代金拐取者幇助目的被拐取者引渡し罪を規定しており、第227条3項は、営利やわいせつ、加害目的で、略取、誘拐、人身売買された被害者を引き渡したり、収受、輸送、蔵匿することによって成立する営利被拐取者引渡し罪が規定されています。
そして第227条の最後、4項に規定されているのが、身代金目的略取・誘拐の目的で略取・誘拐された被害者を収受した場合に成立する身代金被拐取者収受罪です。
また4項には、身代金目的略取・誘拐の目的で略取・誘拐された被害者を収受した者が、近親者その他略取・誘拐された者の安否を憂慮する者の憂慮に乗じて、財物を交付させたり、財物を要求した場合に成立する収受者身代金取得罪も規定されています。
略取、誘拐及び人身売買の罪の罰則~②~
①人身買受け罪の法定刑は「3月以上5年以下の懲役」です。
②未成年者買受け罪の法定刑は「3月以上7年以下の懲役」です。
③営利人身買受け罪の法定刑は「1年以上10年以下の懲役」です。
④人身受渡し罪の法定刑は「1年以上10年以下の懲役」です。
⑤所在国外移送人身売買罪の法定刑は「2年以上の有期懲役」です。
⑥被略取者等所在国外移送罪の法定刑は「2年以上の有期懲役」です。
⑦営利拐取等幇助目的被拐取者引渡し罪の法定刑は「3月以上5年以下の懲役」です。
⑧身代金拐取者幇助目的被拐取者引渡し罪の法定刑は「1年以上10年以下の懲役」です。
⑨営利被拐取者引渡し罪の法定刑は「6月以上7年以下の懲役」です。
⑩身代金被拐取者収受罪、収受者身代金取得罪の法定刑は「2年以上の有期懲役」です。
「~刑法を解説~第34章名誉に対する罪」に続く