~刑法を解説~ 第34章 名誉に対する罪

~刑法を解説~44回目の本日は、第34章名誉に対する罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。

名誉に対する罪

本日は、第34章名誉に対する罪に規定されている

第230条 1項 名誉毀損罪
      2項 死者名誉毀損罪
第231条 侮辱罪

について解説します。

この章では、名誉に対する罪である(死者)名誉毀損罪と、侮辱罪について規定されています。
インターネットが普及し、SNSの利用者の増加に伴って、ネット上において本章に規定されている犯罪が社会問題となり、度々、テレビや新聞等で特集が組まれるほど話題になっています。
まず第230条の名誉毀損罪について解説します。
名誉毀損罪は、公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した場合に成立する犯罪です。
ここで摘示する事実は、真実であろうと虚偽であろうと、名誉毀損罪の成立には影響しません。
また2項の死者名誉毀損罪は、死者の名誉を毀損することによって成立する犯罪ですが、死者名誉毀損罪は、摘示した事実が虚偽の場合にしか処罰の対象となりません。
ここでいう「公然」とは、不特定又は多数人が認識できる状態を意味し、また摘示される事実は、真実、虚偽にはとらわれませんが、少なくとも人の社会的評価を害する内容でなければならず、ある程度具体的な内容を含まなければならないとされています。

他方、第231条に規定されている侮辱罪は、公然と侮辱することによって成立する犯罪で、事実を摘示することまで必要とされていません。

ネット上における誹謗中傷事件

最近ではインターネットの匿名性を利用した誹謗中傷が、侮辱罪として刑事事件化されることが珍しくありません。
インターネットでは、誰もが目にすることのできる掲示板等に、誰もが簡単に投稿できるので、投稿した内容によっては人を傷つけることもあり、大きなネットトラブルに発展する危険性もひめています。
ここ数年の間に、そんな事件が多発しており、侮辱罪が見直されました。
そして今年の7月7日から侮辱罪の罰則が強化されています。

名誉に対する罪の罰則

①(死者)名誉毀損罪の法定刑は「3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金」です。
②侮辱罪の法定刑は「1年以下の懲役若しくは禁錮若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」です。

「~刑法を解説~第35章信用及び業務に対する罪」に続く

keyboard_arrow_up

0120631881 問い合わせバナー LINE予約はこちら