~刑法を解説~ 第31章 逮捕及び監禁の罪

刑法を解説~40回目の本日は、第31章逮捕及び監禁の罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。

逮捕及び監禁の罪

本日は、第31章逮捕及び監禁の罪に規定されている法律の中から

第220条 逮捕罪監禁罪
第221条 逮捕致死(傷)罪監禁致死(傷)罪

について解説します。

この章では、逮捕監禁に関する法律が規定されています。
逮捕罪も監禁罪も、個人の行動の自由保護法益としている法律です。
それではまず第220条に規定されているのが、逮捕罪監禁罪について解説します。
不法に人を逮捕した場合に成立するのが逮捕罪で、不法に監禁した場合に成立するのが監禁罪です。
逮捕とは、人の身体に対して直接的な拘束を加えて、その行動の自由を奪うことで、監禁とは、人が一定の区域から出ることを不可能又は著しく困難にして、その行動の自由を奪うことを意味します。
分かりやすく説明すると、人の身体をロープで縛るなど、有形力を用いる方法によって自由を奪うのが「逮捕」に当たり、鍵を閉めて部屋に閉じ込めたりして、行動の自由を場所的に制限するのが「監禁」に当たると言えます。
ちなみに監禁罪の成立は、必ずしも、その場所から脱出することが不可能であることまでは必要とされておらず、著しく困難である程度で足りるとされています。
例えば、バイクの後部に乗せた人がバイクから降車したがっているのに、そのままバイクを停止させずに走行を続けていれば、監禁罪が成立する可能性があるのです。

逮捕、監禁行為によって人を死傷させると、第221条の逮捕致死(傷)罪監禁致死(傷)罪が成立します。
逮捕・監禁致死(傷)罪が成立するには、逮捕、監禁行為と人の死傷との間に因果関係が必要です。
因果関係さえ認められれば、人を死傷することの故意まで必要とされないので、例えば、建物の2階の部屋に閉じ込めていた被害者が、逃走するために2階の窓から飛び降りて傷害を負った場合などは、監禁致傷罪が成立することになります。

逮捕及び監禁の罪の罰則

逮捕罪監禁罪の法定刑は「3月以上7年以下の懲役」です。
逮捕致死(傷)罪監禁致死(傷)罪の法定刑は、傷害の罪と比較して、重い刑によって処断されます。

傷害の罪~①~については こちらをクリック
傷害の罪~②~については こちらをクリック

「~刑法を解説~第32章脅迫の罪」に続く

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