~刑法を解説~ 第27章 傷害の罪~②~

~刑法を解説~35回目の本日は、第27章傷害の罪~②~について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。

傷害の罪~②~

本日は、第27章傷害の罪に規定されている法律の中から

第206条 現場助勢罪
第207条 同時傷害の特例
第208条 暴行罪
第208条の2 1項 凶器準備集合罪
        2項 凶器準備結集罪

について解説します。

傷害罪と傷害致死罪については こちらをクリック

まず第206条の現場助勢罪について解説します。
現場助勢罪は、傷害や傷害致死の現場において、実際に暴行行為等に加わらず自ら人を傷害していなくても、現場で勢いを助けた場合に成立する犯罪です。
「勢いを助ける」とは具体的にどういった行為でしょうか?
法律的には、勢いを助ける行為とは「せん動的行為」だと言われており、具体的には、傷害の行為者をはやし立て、行為者の気勢を高めるものであれば、言語によるものと動作によるものとを問われません。

そして第207条には、同時傷害の特例が規定されています。
この特例は、共犯関係にない複数の者が、同時暴行行為に及んで相手に怪我をさせた場合、被害者の傷害の区別(どの怪我を誰が負わせたかの区別)ができないことから、複数の者は共犯として扱われるといった内容の特例です。

続いて第208条の暴行罪を解説します。
暴行罪は、人に暴行を加えることで成立する犯罪です。
ここでいう「暴行」とは、殴る、蹴る、掴む、突き飛ばす等、人の身体に対する有形力の行使だけでなく、人の方に向かって石等を投げつける行為(人に当たらなくても暴行罪となり得る)や、最近では走行中の車やバイクを急接近させる行為でも、暴行罪でいうところの「暴行」に当たります。
暴行によって、人に傷害を負わせた場合は、前回解説した「傷害罪」となります。

最後に解説するのは、第208条の2に規定されている「凶器準備集合罪」「凶器準備結集罪」です。
この法律は、2人以上の者が、他人の生命、身体や財産に共同して危害を加える目的で集合した際、凶器を準備したり、凶器が準備されていることを知って集合した場合に成立する犯罪が凶器準備集合罪です。
そして集合させることによって成立するのが凶器準備結集罪です。

傷害の罪~②~の罰則

①現場助勢罪の法定刑は「1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料」です。
②暴行罪の法定刑は「2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」です。
③凶器準備集合罪の法定刑は「2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金」です。
④凶器準備結集罪の法定刑は「3年以下の懲役」です。

「~刑法を解説~第28章過失傷害の罪」に続く

keyboard_arrow_up

0120631881 問い合わせバナー LINE予約はこちら