殺人事件の刑事裁判を報じるニュース等でよく耳にする言葉で「永山基準」という専門用語がありますが、いったい「永山基準」とはどういったものなのでしょうか。
本日のコラムでは、永山基準を解説すると共に殺人罪の量刑について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
永山基準
永山基準は、けん銃を使用して4人を殺害した犯人(永山則夫元死刑囚)の刑事裁判において、最高裁判所が明示した死刑適用基準をいい、被告人の名前から「永山基準」と名付けられ、昭和58年に基準が示されて以降、これまで殺人事件の量刑はこの永山基準を基に判断されています。
永山基準で有名なのが、被害者数が一つの判断基準になっていることで、殺害した被害者が一人の場合は「無期懲役」、三人の場合は「死刑」と判断基準が定まっていることです。
この基準が、今でも殺人事件の刑事裁判の判決を左右していることに疑問を投げかける声もよく聞かれます。
実際に平成21年から開始された裁判員裁判においては、小学2年生の女児が殺害された殺人、強制わいせつ致死事件の刑事裁判に参加した裁判員からは「個人的な感情としては、(女児の)ご家族と同じ気持ちだったが、裁判の公平性を考え、永山基準に沿って判決を出した」「あまり過去にとらわれすぎると正しい判断できないのかなと。判断基準の見直しがあるのか分からないが、十分に検討していただければいい」(2019年12月4日配信の産経新聞記事を引用)といった意見も上がっています。
被害者の数だけで決まるの?
上記したように、永山基準は被害者数が大きく取り上げられることがほとんどで、実際に殺人事件の刑事裁判では、被害者数が量刑に大きく影響していますが、永山基準には、被害者数(結果の重大性)以外にも
- 犯行の罪質
- 動機
- 犯行態様、特に殺害方法の残虐性
- 遺族の被害感情
- 社会的影響
- 被告の年齢
- 前科
- 犯行後の情状
が判断項目となっており、これらの項目を総合的に判断して死刑判決が下されます。
実際に被害者数が一人であっても、他の項目が突出している場合は死刑判決が下されることがあります。
例えば、2004年に奈良県で起こった小学1年女児殺害事件や、2007年に愛知県で起こった闇サイト殺人事件等、永山基準が示されて以降も何件かは、被害者が一人の殺人事件でも死刑判決が確定しています。
こういった事件の特徴は、殺害方法や、動機の際立って悪質で、反省がうかがえない等犯行後に酌むべき情状がない等がほとんどです。
刑事事件に強い弁護士
殺人事件は死刑判決もあり得る非常に厳しい量刑が予想される事件ですので、殺人事件の刑事弁護は、刑事事件に特化した弁護士に依頼することをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部は、そういった刑事事件を専門に扱っている法律事務所ですので、大阪府内、また関西圏にお住みの方で、刑事事件にお困りの方は是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が提供する 無料法律相談 や、初回接見サービス をご利用ください。