改正された強制わいせつ罪や強制性交等罪の性犯罪が7月13日に施行されます。
そこで弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部の弁護士が7月13日に施行される改正条文を解説します。
罪名の変更
刑法第176条
強制わいせつ罪⇒不同意わいせつ罪
刑法第177条
強制性交等罪⇒不同意性交等罪
刑法第178条
準強制わいせつ罪・準強制性交等罪⇒消滅(刑法第176条・第177条で規制)
改正条文(刑法第176条・不同意わいせつ罪)
1号
(1)から(8)までに掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、6月以上10年以下の拘禁刑に処するものとする
(1)暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
(2)心身の障害を生じさせること又はそれがあること。
(3)アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
(4)睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。
(5)同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。
(6)予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕させること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること。
(7)虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。
(8)経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。
2号
行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、わいせつな行為をした者も、前項と同様とする。
3号
16歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者(当該16歳未満の者が13歳以上である場合については、その者が生まれた日より5年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第1項と同様とする。
改正条文(刑法第177条・不同意性交等罪)
1号
前条第1項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交、肛門性交、口腔性交又は膣若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの(以下この条及び179条第2項において「性交等」という。)をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、5年以上の有期拘禁刑に処する。
2号
行為がわいせつなものではないとの誤信をさせ、若しくは行為をする者について人違いをさせ、又はそれらの誤信若しくは人違いをしていることに乗じて、性交等をした者も、前項と同様とする。
3号
16歳未満の者に対し、性交等をした者(当該16歳未満の者が13歳以上である場合については、その者が生まれた日より5年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第1項と同様とする。
※拘禁刑については、拘禁刑の施行までは「懲役刑」
概ねの改正ポイントについては こちら をご確認ください。
補足(「性交等」行為の拡大)
これまでは、いわゆるセックス(本番性行為)の他、口淫や肛門性交を『性交等』としていましたが、今後は、膣や肛門に限り、指等の身体の一部や、物を挿入する行為も『性交等』となります。
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