八尾警察署から少年が逃走した事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
1週間ほど前に、強制わいせつ事件の容疑者として大阪府八尾警察署に任意同行された少年が、警察署内の駐車場から逃走する事件が発生しました。
報道によりますと、有刺鉄線のある門を乗り越えて逃走した少年は、逃走から約6時間後、八尾市と隣接する柏原市の親族宅に隠れていたところを捜査員に発見され、その場で逮捕されたようです。
大阪府内で起こった過去の逃走事件
容疑者、被疑者の逃走事件で思い出すのは、約3年前に発生した大阪府富田林警察署に勾留されていた成人被疑者が、留置場内の接見室から逃走した事件です。
この被疑者は、弁護士接見後に接見室のアクリル板を破壊して逃走しており、大阪府警が大捜索したにも関わらずなかなか発見されずに、最終的に、逃走から1カ月以上が経過して、遠く離れた山口県内で逮捕されています。
また10年以上前になりますが、大阪府枚方警察署においても勾留中の少年が逃走する事件が発生しています。
この事件は、署内の取調室において、取調べ中の少年被疑者が逃走するという非常にショッキングな内容でした。
取調べといえば、取調べを担当する捜査員(警察官)と1対1で行われるのが通常ですし、取調室は、捜査員がデスクワークする執務室の中に設置されているのが通常です。そんな状況で逃走するなんて信じがたい事件だったので非常に印象に残っています。
当時の発表によりますと、少年の取調べを担当した捜査員は夜勤明けで、取調べ中に居眠りをしていたようです。また取調室の外の執務室には誰も捜査員がいなかったことが少年の逃走を容易にしたようですが、逃走の翌日に少年は逮捕されています。
八尾警察署の逃走事件
過去に起こった逃走事件と、今回の事件の大きな違いは、過去の逃走事件は勾留中の被疑者が逃走したのに対して、今回の少年は任意同行中に逃走したという点です。
報道によりますと、警察は逮捕状を取得していたものの、警察署まで任意同行して執行する予定で、まだ逮捕状を執行していなかったようです。
この点に注目すると、逃走した少年は任意同行に応じていたに過ぎず、逃走時点では、法律的な強制力をもった身体拘束を受けていなかったわけです。ですから、逃げる行為自体が逃走の罪に抵触することはありません。
ただ逃走時に、警察官に対して暴行したり、警察署の備品等を破損した場合は、公務執行妨害罪や、器物損壊罪等に抵触する可能性があります。
逮捕状があっても執行しない場合もある
警察は、少年を任意同行した際、すでに少年の逮捕状を取得していたようです。
「なぜ執行しなかったのか?」と疑問に思う方も多いかと思います。
大阪府警の元刑事によりますと、「事前に逮捕状を取得していても、逮捕状を執行せずに警察署まで任意同行してから執行するというのは珍しいことではありません。逮捕というのは強制的に被疑者を身体拘束する権限があるので、逮捕すれば、被疑者に手錠と腰縄を装着するのが基本となります。そういった点で家族や周りの目に配慮して、少年被疑者の場合はとりあえず任意同行して人目のない署内で逮捕状を執行するということはよくあります。」との事です。
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