盗聴器設置で住居侵入罪

2019-01-14

30歳男性からの法律相談

数ヶ月前から、職場の男性同僚に「妻が浮気しているかもしれない」という相談をされており、10日ほど前に、この同僚に頼まれて、同僚の家に盗聴器を仕掛けました。
同僚が奥さんを連れて買い物に行っている間に、同僚から借りた家の鍵を使って同僚の家に入り、寝室とリビングに盗聴器を仕掛けました。
仕掛けた盗聴器は、同僚が日本橋の電気街で購入し、事前に渡されていました。
先日、同僚の奥さんが盗聴器を発見して、大阪府門真警察署に届け出たようです。
私の行為は、犯罪になるのでしょうか?
同僚夫婦が住んでいるのは、門真市の賃貸住宅で、ここの賃貸契約は同僚がしており、住んでいるのは同僚と奥さんの二人だけです。
盗聴器を仕掛けるために家に入ることは、事前に同僚の承諾を得ています
(この相談はフィクションです)

◇住居侵入罪~刑法第130条前段~◇

正当な理由なく他人の住居に侵入すれば住居侵入罪が成立します。
住居侵入罪の法定刑は3年以下の懲役又は10万円以下の罰金です。
住居侵入罪は、「住居の平穏」を保護法益にした法律で、この法律でいう「住居」とは、人の起臥寝食に使用される場所を意味します。
そして住居侵入罪でいう「正当な理由なく」とは、社会的に相当であるかどうかによって判断されており、平穏公然に立ち入った場合でも、その立ち入りが住居者の意思に反するときは、住居侵入罪が成立する場合があります。
住居侵入罪は、その行為の特性から未遂罪の規定はなく、実務上は、身体の大部分が入った時に成立するとされる説が有力です。

◇住居者の承諾◇

住居者等の意思に反することが、住居侵入罪が成立するための要件となります。
つまり、住居者等の承諾、又は推定的承諾がある場合は、住居侵入罪は成立しないというのが判例です。
この承諾は、明示、暗示を問いませんが、住居者の真意に基づくものでなければなりません。
また、住居者の承諾が得て住居に入った場合でも、承諾を得ていない他の部屋に入ることは許されません。
~推定的承諾~
推定的承諾は、住居者が侵入することを承諾したであろうと推定される場合を意味します。
例えば、破損した水道管の修理のために、知人宅へ無断で立ち入ったなどは、推定的承諾があるものと考えられ、住居侵入罪は成立しないでしょう。
不法な目的は、通常、推定的承諾が認められないと考えられますし、また目的が特に不法でなくとも、立ち入る方法等を総合して管理者が同意してなかったであろうと推測される場合は、その推定的承諾を欠くことになります。

◇Aさんの事件を検討◇

それではAさんの行為に住居侵入罪が成立するかどうかを検討します。
かつての家長制度下における判例では、住居侵入罪における保護法益を「住居権」にあるとし、この住居権は一家の家長である夫が専有するものであるとされていたので、夫の承諾さえ得れば、同居している妻の承諾がなくても住居侵入罪に問われることはありませんでした。
しかし現在の憲法下では、男女の本質的平等を保障しており、夫婦は平等に住居権を有するとされています。
この点から、Aさんが、夫の承諾を得て、夫から預かった鍵を使用して住居に立ち入っているとしても、その目的が「盗聴器を仕掛ける」といった社会通念上、認められない不法行為を行うためで、さらにそれによって、承諾を得ていない妻の住居の平穏を犯していると考えられます。
そのためAさんの行為に対して、住居侵入罪が成立すると考えるのが妥当でしょう。

◇盗聴器の設置◇

盗聴器を設置する行為自体を禁止する法律はありませんが、盗聴器を設置する方法によっては様々な犯罪に抵触する可能性があるので注意しなければなりません。
Aさんの事件のように住居侵入罪が成立する他にも、電話機等に仕掛けた場合は電気通信事業法違反に、家具等に細工して仕掛けた場合は器物損壊罪に抵触するおそれがあります。

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