泥酔者の死亡で保護責任者遺棄致死

2019-09-15

泥酔者の死亡で保護責任者遺棄致死

保護責任者遺棄致死について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。

~事件~
大阪市北区に住むAはあるとき、友人たちとの飲み会をAの自宅で開くことにしました。
Aの自宅ということもあり、酔いつぶれても問題ないということで、Aも友人も普段よりも飲酒量は多くなっていました。
しばらくした後、友人のうちの一人が気持ち悪いと言い出したので、見てみると明らかにおかしな様子をしていました。
しかし、まあ飲みすぎただけだろうと考えたAはそのまま友人を寝かせて飲み会を続けました。
次の日、友人がなかなか目覚めないことに怖くなったAは救急車を呼びましたが、友人は死亡してしまいました。
病院からの通報を受けた大阪府天満警察署の警察官はAを保護責任者遺棄致死の疑いで逮捕することにしました。
Aが逮捕されたという連絡を受けたAの両親は刑事事件に強い弁護士に初回接見を依頼することにしました。
(この事例はフィクションです)

保護責任者遺棄致死罪

刑法第218条には保護責任者遺棄罪が規定されており、老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し、又はその生存に必要な保護をしなかった場合について、「3月以上5年以下の懲役」が法定刑として規定されています。
そして、その者を死亡させた場合については保護責任者遺棄致死罪となり、刑法第219条に規定されています。
法定刑は「傷害の罪と比較して重い刑」と規定されているので、傷害致死罪の「3年以上の有期懲役」からその範囲は「3年以上20年以下の懲役」ということになります。

遺棄について

遺棄については狭義の遺棄と広義の遺棄があるとされています。
狭義の遺棄については、被遺棄者を安全な場所から保護、助力を得られない危険場所へ移すという移置行為のことを指します。
刑法第217条に規定されている単純遺棄罪における遺棄がこの狭義の遺棄となります。
そして、広義の遺棄とは移置行為だけでなく、被遺棄者を置いてそのまま立ち去るなど不作為のいわゆる置き去り行為なども含まれることになります。
今回の事例で問題となっている保護責任者遺棄については、この広義の遺棄によって成立するとされています。
今回、Aは友人を移動させたりといった行為を何もしていませんので、単純遺棄罪とはなりません。
しかし、Aに保護責任があったと判断されたため、保護責任者遺棄致死罪で逮捕されることになってしまったのです。

Aが保護責任者となるか

泥酔者を病者と表現することに違和感を覚える方もおられるかと思いますが、泥酔者も保護責任者遺棄罪における病者に含まれる可能性はあります。
過去には「高度の酩酊状態に陥り身体の自由を失い他人の扶助を要する状態にあったと認められるときは、泥酔者が、保護責任者遺棄致死罪の病者に当たる」と判断された例もあります。
今回の事件でみてみると、亡くなった友人に要保護性があったかどうかは、友人の飲酒量や、泥酔して寝込んでしまった時の様子等によって判断される事となるでしょう。
そのほかの細かな状況によっても変わってくるので、具体的な事例に関しては専門家である弁護士の見解を聞くようにしましょう
なお、保護責任者遺棄致死罪となってしまった場合、殺意の有無や状況によっては殺人罪となってしまう可能性もありますので、もしも保護責任者遺棄致死罪でご家族が逮捕されたという連絡を受けたら、すぐに弁護士を派遣させるようにしましょう。

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