医者の秘密漏示罪
秘密漏示罪について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
~事例~
大阪市東淀川区に住む医師のAはあるとき、飲み屋で知り合った女性に対し有名人Vを診察した際の状況や症状について話をしてしまいました。
その女性は実はジャーナリストであり、内容が記事になってしまいました。
記事を見たVは情報元であるAを刑事告訴することにし、東淀川警察署に告訴状を提出しました。
(この事例はフィクションです)
秘密漏示罪
刑法134条
第1項
「医師、薬剤師、医療品販売業者、助産師、弁護士、弁護人、公証人又はこれらの職にあった者が、正当な理由がないのに、その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときは、6月以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。」
第2項
「宗教、祈祷若しくは祭祀の職にある者が、正当な理由がないのに、その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときも、前項と同様とする。」
秘密漏示罪は条文中に列挙されている職業や役職に就いている者、元々その職業や役職についていた者が業務上で知り得た秘密を漏らしてしまうことを対象としている犯罪でいわゆる身分犯と呼ばれるものです。
本罪は「業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密」を漏らすことで成立します。
秘密とは特定の小範囲の者だけが知っていて一般の者が知らない事実で、「秘密」を知られないことが本人の利益と認められるものをいいます。
「秘密」を漏らす行為についてですが、秘密をまだ知らない他人に知らせることを指し、その方法に制限はありません。
閲覧させること、コピーさせること、書面で交付すること、話して伝えることなどのすべてが漏らす行為にあたるとされています。
なお、秘密を漏らす相手方について、多数に漏らしたような場合はもちろんのこと公然性がないような場合、一人だけに漏らしたような場合であっても秘密漏示罪は成立することになります。
条文中の「正当な理由なく」とは「不法に」ということで、証言拒絶権のある者が公判廷で権利を行使しないで秘密を証言した場合や、刑事訴訟法197条2項の照会に対して回答した場合などについて正当な事由があるとされる説が有力であるとされています。
また、判例によると取材協力行為であっても直ちに正当の理由があるとは認められず違法性が阻却されることはなく、行為の目的、手段の方法の相当性、秘密の内容、秘密の主体が受ける不利益の程度を具体的に考慮されることになります。
ちなみに、公然と秘密を漏らして人の名誉を毀損したときは名誉棄損罪も成立しますが、秘密漏示罪と名誉棄損罪とは観念的競合と呼ばれる関係になりますので、より重い罪である名誉棄損罪の刑で処罰されます。
親告罪の弁護活動
秘密漏示罪は親告罪であると規定されているため、告訴がなければ公訴を提起できない、つまり起訴されないということになります。
つまり、検察官が起訴を決める前に被害者と示談を成立させて告訴を取り消してもらうことができれば起訴されることはありません。
起訴されてからでも示談を締結することができれば、量刑への影響はありますが、示談締結を理由に無罪になることはありません。
そのため、弁護士は起訴される前に被害者との示談を目指して活動していくことになります。
刑事事件において示談を行う場合、被害者が加害者からの直接の交渉を痛がることもままあります。
やはり感情的になってしまったり、思い出したくないなどと言われたりすることも多いです。
その点、刑事事件を多く扱っている弁護士ならば、示談交渉の経験も豊富にあります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では刑事事件、示談交渉に強い弁護士が無料法律相談、初回接見を行っています。
大阪の秘密漏示罪でお困りの方はまずはご予約を、フリーダイヤル0120-631-881にて24時間受け付けておりますのでお気軽にお問合せ下さい。
大阪府淀川警察署までの初回接見費用:37,200円
法律相談料:初回無料