盗撮による児童ポルノ事件
盗撮による児童ポルノ事件について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
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盗撮行為
盗撮行為が各都道府県で規定されている迷惑行為防止条例違反となることは、何度も記事にしています。(過去の記事)
しかし、盗撮行為で成立する犯罪は、迷惑行為防止条例違反だけではない可能性があります。
例えば下記の事例の場合を検討してみましょう。
事例(フィクション)
大阪市旭区に住むAは、毎晩自宅近くの小学校に侵入し、女子トイレに盗撮用のカメラを設置、回収していました。
あるとき、生徒の一人が盗撮用のカメラを発見し、教師が大阪府旭警察署に通報しました。
捜査の結果、Aの犯行であることが判明し、Aは大阪府旭警察署に逮捕されてしまいました。
「Aを盗撮で逮捕しました。」と聞いたAの両親はどうすればよいか困っています。
今回の事例では、最初の一文で明らかな犯罪行為が二つあります。
小学校に侵入するという建造物侵入罪と盗撮用のカメラを設置するという大阪府迷惑行為防止条例違反です。
しかし、今回のAの場合、さらにもう一つの罪に該当してしまう可能性があります。
それは、児童ポルノ製造による児童買春、児童ポルノ法違反です。
児童ポルノ製造
「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(以下、児童買春、児童ポルノ法)」では、児童ポルノをひそかに製造することも禁止されています。(児童買春、児童ポルノ法第7条第5項)
児童ポルノについては児童買春、児童ポルノ法第3条に定義されており、以下のような児童がうつっている写真、ビデオテープその他の物を指します。
1.児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態
2.他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
3.衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの
1と2については盗撮行為の対象となることはあまりないかもしれませんが、3について今回の事例のAのように、基本的に18歳未満の者が利用する学校のトイレやプールの更衣室などを盗撮した場合には該当する可能性があります。
盗撮したものが児童ポルノに該当し、児童買春、児童ポルノ法違反となってしまうと、罰則が重くなってしまいます。
盗撮による大阪府の迷惑行為防止条例違反では「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」(設置のみの場合は「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」)ですし、建造物侵入罪は「3年以下の懲役又は10万円以下の罰金」です。
対して、児童ポルノの製造による児童買春、児童ポルノ法違反では「3年以下の懲役又は300万円以下の罰金」と一番重くなってしまうのです。
このように、盗撮事件では、代表的な迷惑行為防止条例違反だけでなく、今回紹介した児童買春、児童ポルノ法や建造物侵入罪など、該当する罪名が複数考えられます。
「ご家族が盗撮で逮捕された」とだけ聞いても何罪の疑いで逮捕されているのかきちんと確認する必要がありますので、刑事事件に強い弁護士を派遣する初回接見サービスを少しでも早い段階で利用するようにしましょう。
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