SNSで知り合った女性を脅迫した、大阪府天満警察署の少年事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。
SNSで知り合った女性を脅迫した事件
高校生のAさんは1カ月ほど前に、SNSで大阪市内に住む女性と知り合いました。
この女性とは実際に会ったことはなく、SNSだけでのやり取りでしたが、回数を重ねるごとに親しくなった二人は次第に性的な話題のやり取りをするようになり、お互いの裸の画像を交換しました。
それからしばらくしてAさんは、女性に対して「会いたい」とメッセージを送信しましたが、断られたため「会わなければ、あなたの裸の画像をネット上に拡散します。」と女性を脅迫したのです。
その後、女性とのやり取りは途絶えてしまいました。
そんなある日、自宅を訪ねてきた、大阪府天満警察署の警察官に捜索差押許可状を見せられたAさんは、自宅からパソコンやタブレット、スマートホンが押収され、その後警察署に任意同行されて取調べを受けました。
(フォクションです。)
脅迫罪
刑法第222条には「脅迫罪」が規定されています。
脅迫罪を簡単に説明すると、人を「脅す」ことです。
「脅す」とは、刑法第222条の条文に明記されているように「生命、身体、自由、名誉又は財産んに対して害を加える旨を告知する」ことです。
脅迫罪は、結果の発生を必要としないため、未遂の規定はありません。
Aさんは、女性に対して「あなたの裸の画像をネット上に拡散します。」とメッセージを送信しています。
被害者の女性からすれば、自分の裸の画像がネット上で不特定多数の人に晒されることになれば、当然、名誉を害されることになり、恐怖を感じるでしょうから、Aさんの行為は、脅迫罪に該当することは間違いないでしょう。
強要罪
続いて刑法第223条には「強要罪」が規定されています。
強要罪とは、脅迫や暴行を用いて、人に義務のないことを行わせたり、権利の行使を妨害することです。
先に説明したようにAさんの、女性に対して「あなたの裸の画像をネット上に拡散します。」とメッセージを送信する行為は「脅迫」に当たります。
そしてAさんは、この脅迫を用いて女性を脅し、女性に会うように迫っています。
当然、女性にしてみれば、Aさんに会う義務はないわけですから、こういった義務なきことを強要すれば、強要罪が成立します。
脅迫罪や強要罪の罰則
脅迫罪の法定刑は「2年以下の懲役又は30万円以下の罰金」です。
また強要罪の法定刑は「3年以下の懲役」です。
大きな違いは、強要罪には罰金の規定がないことです。
脅迫罪の法定刑のように、その罰則に罰金が規定されていれば、犯行を認めて、本人が同意すれば略式起訴によって、刑事裁判を経ずに罰金刑が確定することがありますが、強要罪のように、その罰則に罰金が規定されていなければ、起訴=(イコール)=刑事裁判を意味し、起訴されれば必ず公開の法定で裁かれることになります。
その他の罪
上記した脅迫罪や、強要罪だけでなく、相手の女性が18歳未満だった場合、Aさんの行為は、児童ポルノの所持罪や製造罪に問われる可能性があります。
少年事件
少年事件は、成人の刑事手続きとは異なり、少年法に基づいて手続きが進みます。
成人であれば、被害者が存在する事件の場合、被害者との示談が成立していれば、刑事処分を免れたり、刑事処分の減軽に期待が持てますが、少年事件の場合は必ずしも、示談の成立が審判不開始や不処分といった結果に直結するとは限らないのです。
少年事件の手続きにおける弁護士の活動は、大きく分けて家庭裁判所に送致されるまでの犯罪捜査段階における「刑事弁護活動」と、家庭裁判所に送致されてからの「付添人活動」に分けられます。
重要なのは、家庭裁判所に送致されてから、少年だけでなく、少年の家族がいかに事件と向き合い、更生に向けてどのように取組んでいくかです。
少年事件に強い弁護士
大阪府内の少年事件を専門に扱っている弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部では、これまで数多くの少年事件を扱ってきた実績がございます。
お子様が脅迫や強要事件を起こしてお困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部にご相談ください。