強制性交等罪で逮捕された

強制性交等罪で逮捕された

強制性交等罪について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。

事例
大阪府貝塚市に住むAさんは、近所の公園でブランコに乗って遊んでいた少女の姿を見て、少女に「お嬢さんおいくつ」と尋ねました。
少女は怪しむ様子もなく、正直に「10歳」と答えました。
そんな少女に対してAは「お医者さんごっこをしよう」などと言って、Vを付近の草むらに仰向けに寝かせ、パンティを脱がせたうえ自身の陰茎を口に含ませ、射精しました。
その後、Aさんの自宅に大阪府貝塚警察署の警察官が訪れ、Aは強制性交等罪で逮捕されました。
(この事例はフィクションです。)

強制性交等罪

強制性交等
刑法第177条 「13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。」

平成30年の法改正により、強姦罪が廃止され、強制性交等罪となりました。
改正前の「強姦罪」の成立は性器の挿入の有無で判断されましたが、「強制性交等」が成立する行為はより幅広くなり、性交等の定義については、いわゆる膣性交だけではなく、肛門性交口腔性交も含まれることになりました。
このことにより、男性が被害者となる可能性もできました。
法改正により他にかわった点については、告訴がなければ公訴が提起できない(起訴できない)親告罪から非親告罪となったことです
そして、13歳未満については同意の有無に関係なく強制性交等罪になります。
つまり、事例のケースでは口腔性交により、強制性交等罪が成立することになり、Vは当時10歳でしたので、その行為に同意していたとしても成立することになります。
これは、13歳未満の者については性的な行為について、正確な判断を下すことができないということで、その同意が認められないからです。
この同意が認められるようになる年齢のことを性交同意年齢といい、日本ではこの性交同意年齢は13歳とされています。
なお、13歳未満の者にわいせつ行為を行った場合は同意があったとしても強制わいせつ罪となります。

弁護活動

法改正前の「強姦罪」の場合は、性器が挿入されなければ、性器を挿入しようとしたが入らず、性器同士が接触した事実があっても、それは「強姦未遂」とされることがありました。
法改正により行為の幅が広がったため、性行為等を行う意思が明確にあり、暴行や脅迫を加え相手の腕をつかんだ程度の行為でも、強制性交等罪の未遂罪に問われる可能性が増えました。
「強姦罪」の時代には未遂であれば執行猶予がつくことも珍しくはありませんでしたが、性犯罪の厳罰化が進んでいるため、現在は重い処罰となってしまうことも考えられます。
そこで弁護士に依頼し、被害者に対する被害弁償や示談、裁判官に対して十分に反省していることを伝える上申書を提出するなど、弁護活動をしてもらうようにしましょう。
特に示談交渉については、被害者が未成年者の場合はその交渉の相手は保護者ということになるのでその処罰感情は大きく、示談交渉は困難になることが予想されますので、専門家である弁護士に依頼するようにしましょう。

処分・処罰について

強制性交等罪で逮捕されると、最大である20日間の勾留が取られて、警察署の留置場に勾留されて、取調べなどの捜査を受けていくことになることが予想されます。
起訴されて裁判を受ける場合、有罪となれば前科がなくても実刑判決が言い渡される可能性も高いです。
悪質性が高い場合や今回の事例の様に被害者の年齢が低いなどの被害が大きい場合、また余罪が多数あるなどの場合は、より重い刑が言い渡されることになります。

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