昨日は、傷害罪と正当防衛について大阪の刑事事件に強い弁護士が解説いたしました。
本日は、実際に正当防衛が認められた事件を紹介します。
~傷害致死罪が無罪に~
この事件は、大阪のミナミの繁華街で起こった事件です。
車を運転中に、接触した相手の男性から走って追い掛けられた際、男性をひいて死亡させた事件で、殺人未遂容疑で逮捕された被告人は、傷害致死罪で起訴されました。
この事件の裁判では、検察側が「自動車運転過失致死罪」を、予備的訴因として起訴内容に追加したにも関わらず、裁判所は「男性の尋常でない攻撃から身を守るためにやむを得ない行動だった」と正当防衛を認定し、無罪を言い渡しました。(事件の発端となった接触事故については道路交通法違反で罰金5万円)
~違法な所持品検査の警察官に対する暴行行為が正当防衛に~
この事件は、大阪市浪速区の路上で警察官から職務質問を受けた際に行われた所持品検査に拒否した男性が、カバンを開けようとした警察官に対して、かみつく等の暴行を加えた公務執行妨害事件です。
男性は、アヘンを所持していたとされるあへん法違反と、警察官に対する公務執行妨害罪で起訴されましたが、裁判所は、警察官の所持品検査が違法であると認定した上で、男性が警察官にかみつく行為に対して正当防衛を認め、無罪を言い渡しました。
~応戦して相手を死亡させた傷害致死事件が正当防衛に~
この事件は約8年前に東京都で発生した事件です。
男性は、因縁をつけてきた被害者とつかみ合いの喧嘩になり、複数回殴りつけられる暴行を受け転倒しました。
転倒した男性が、この暴行に応戦したところ、被害者の男性は転倒し頭を地面に強く打ち付けて死亡してしまったのです。
男性は傷害致死罪で起訴されましたが、裁判所は、被害者が先に殴りかかって、男性が転倒するまで執拗に暴行を続けたことに注目し、応戦した男性の行為に対して「被害者からの差し迫った攻撃に対し、防衛の意思で暴行したことが否定できない」と判断し、正当防衛を求めて無罪を言い渡しました。