大阪の刑事事件に強い弁護士 監禁致死傷罪と予備的訴因を解説

昨年から「あおり運転」が社会問題となり、警察当局が取締りを強化しています。
その発端となったのが、昨年6月に東名高速道路で発生した夫婦が死亡した交通死亡事故です。
この事件の犯人は、すでに自動車運転死傷行為処罰法違反(危険運転致死傷)などで起訴されていますが、先日、さらに検察が、監禁致死傷罪予備的訴因として追加しました。
今日のコラムでは、新たに追加された「監禁致死傷罪」と「予備的訴因」について大阪の刑事事件に強い弁護士が解説します。

~監禁致死傷罪~

まず監禁致死傷罪ですが、これは刑法第221条に定められた法律です。
監禁致死傷罪はその前条(刑法第220条)に定めらている「監禁罪」によって人を死傷させた場合に成立します。
「監禁」とは、人が一定の区域から出ることを不可能若しくは著しく困難にし、その行動の自由を奪い、人の行動の自由を場所的に拘束することです。
監禁する場所については、区画された場所である必要はなく、人の行動の自由を拘束できる場所であれば足りるとされています。
今回の事件では、高速道路上で、被害者の車の前に、犯人の男が車を止めて被害者の進路を塞ぎ、被害者をその場にとどまらせたことが「監禁」に当たるとして監禁致致死傷罪を適用したと考えられます。

~予備的訴因~

訴因とは、裁判所に対して、起訴状によって明らかにした事実(起訴事実)に対して、特定の罪の成否を判断させることです。
そして、裁判所は訴因に含まれていない罪について判断することはできません。
今回の事件で逮捕された犯人は、既に自動車運転死傷行為処罰法違反(危険運転致死傷)で起訴されていますが、このままですと、裁判所は自動車運転死傷行為処罰法違反(危険運転致死傷)でしか有罪判決を言い渡すことができません。
しかし、この法律は運転中の事故を前提としており、今回の事件のような停車後に起きた事故に対して適用するのは極めて異例で、今後の裁判の進展によっては自動車運転死傷行為処罰法違反(危険運転致死傷)が適用されない可能性があるのです。
そんな時に、予備的訴因として監禁致死傷罪を追加していなければ裁判所は無罪を言い渡すことしかできませんが、予備的訴因を追加したことによって「監禁致死傷罪」での有罪判決を言い渡すことができるのです。
すなわち「予備的訴因」とは、既に起訴されている訴因で有罪にできない時のために追加する、有罪にできる可能性の高い別の訴因の事です。

本日は、大阪の刑事事件に強い弁護士が「監禁致死傷罪」と「予備的訴因」について解説しました。
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