『NFT』を使った犯罪について解説

『NFT』を使った犯罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部が解説します。

『NFT』を使った犯罪の事例

大阪市東淀川区に住むAさんは、Bさんが作成したデジタルアート作品を勝手にNFTアートとしてオークションサイトに出品し、30万円で落札されました。
後日オークションの落札者からAさんが作成した物ではないのではないかとの問い合わせがあり、心配になったAさんは弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部の無料相談を利用することにしました。
(フィクションです)

『NFT』って何?

NFTは、「Non-Fungible Token」の略で、日本語では非代替性トークンと呼ばれています。
簡単に説明すると、NFTはデジタルデータの鑑定書のようなもので、あるデジタルデータが他のものとは違うこと、唯一のものであることを証明してくれるものということができます。
デジタルデータは複製が容易にできますが、NFTがついているデジタルデータは他のデータとは区別されるため、唯一無二のものとして希少性などの価値を高めることができます。
2021年にはアメリカのオークションでNFTアートが約75億円で落札されたこともあります。

『NFT』を使った犯罪

NFTはデジタルデータに唯一性を持たせ価値を高めることができるため、ゲームやデジタルアート、音楽など様々な分野で活用されたり活用が検討されたりしています。
しかし、NFT市場が活性化している海外では、アーティストが自身の作品を勝手にコピーされNFTとして販売されるという事例が多数出てきており、たとえば、バンクシーを装った出品者がバンクシーの作品とされるNFTをオークションに出品し33万6000ドルで落札されるというような事件も発生しています。
日本では法整備が進んでいないため、既存の法律を適用できるかが問題とはなりますが、NFTを使用した犯罪には注意する必要があります。
たとえば、今回の事例のような案件の場合、著作権法違反や詐欺罪に問われる可能性があります。

著作権法違反

今回の事例でAさんはBさんの作品をBさんに同意を得ることなく出品しています。
Bさんの作品が著作権法で保護される著作物に当たる場合、Bさんの承諾なく勝手に複製したり譲渡したりすることは著作権法違反に当たります。
AさんはBさんの作品をNFT化していますが、NFTはあくまでも鑑定書のようなものですので、NFT化することによって著作権や所有権が移転するわけではありません。
したがって、Bさんの作品が著作物として保護されるものである場合には、Aさんは著作権法違反の罪に問われることになるでしょう。
なお、2009年の著作権法改正により、「頒布の申出を行う行為」についても著作権を侵害する行為とみなされることになりました。
ですので、仮にオークションで落札者がいなかったとしても、オークションサイトに出品したことだけでもAさんは著作権法違反に問われることになります。また、オークションサイトの責任者にも場合によっては法的責任が発生する場合があります。

詐欺

今回の事例でAさんはBさんの作品を自分の作品と偽って販売しています。
今回の落札者が、Bさん自身が出品していると勘違いし、それによって落札した場合には、詐欺罪が成立すると考えられます。
また、最近では有名アーティストの作品であると偽ったり、有名アーティストの作品の複製にNFTをつけてオリジナルと偽って販売したりする事例も数多く報告されています。
このような場合も当然詐欺罪にあたります。

予想される捜査

NFTを利用した犯罪では被害金額が高額になったり、被害者が多数いる可能性が高くなります。
そうすると、逮捕される可能性が高いといえます。
今回のAさんは大阪市東淀川区に住んでいますが、逮捕される場合にはAさんの住所地を管轄する大阪府東淀川警察に逮捕されるとは限りません。
Bさんや落札者の人が被害届を出した警察署が捜査をする可能性があります。
また、サイバーパトロールにより発覚した場合には、例えば大阪府警本部が捜査をする場合もあります。
逮捕された場合には、釈放や示談成立を目指したり、裁判への対応を考えなければなりませんので、早急に弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所大阪支部は、刑事事件を中心に扱っており、著作権法違反や詐欺にも精通しています。初回の相談は無料で行っていますのでまずはご相談ください。

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